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いざ決戦! 真夏の鈴鹿8耐
8耐予選
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遂に開幕した、FIM世界耐久選手権第3戦コカ・コーラ鈴鹿8時間耐久レース。その予選が今日開催される。8耐の予選は、SBKと違ってかなり変わってる。それは「アタックライダー3人のうち、2人のベストタイムの平均タイムで争う」という方式のため、チームワークが鍵を握ってる。アタックライダーは、トップバッターは俺、2人目は星奈、3人目に美海を持ってきている。俺ら3人は、予選開始までの間に作戦会議をしたりしていた。その中で出たのが、誰が「ライダーカラーコード」を「ブルーにするのか」だ。その「ライダーカラーコード」というのは「ブルー」が「第1ライダー」で「イエロー」が第2ライダー、「レッド」が第3ライダーという識別を安易にする為のやつだ。その中で出たのが、「ブルーは、輝にした方がいいと思う。だって今年で8回目のベテランでしょ。だったら一番信頼できる。」と星奈が言ってくれて皆それに乗っかる形で決まった。そして「輝がブルーだとしたら、あたしがイエローやる。美海ちゃんに負担かけたくないから。」と星奈がイエローに。そしてレッドが美海という形になった。予選1回目開始時刻の午後12:10になり、俺は、「んじゃ、1発かまして来るよ。20分後に戻ってくっから。行ってきます。」とだけ言ってマシンに跨って、ガレージからコースへと向かった。そして、最初は、他者のアタックを妨害しない様に注意しながら、ウォームアップを行い、ホームストレートからフルスロットルでアタック開始。さぁ、久しぶりの鈴鹿8耐予選が始まった。フリー走行では連日トップを守り抜いた、リエラ・ホンダ。その強さを皆の前で見せつける時が来た。肝心な1コーナーの進入も完璧に決まり、スピードを維持したまま、S字をクリア。スプーンコーナーも、WSBK同様の走り方をして、タイムを削りに削った。特設シケインも途中コケそうになったが意地と気合と根性でマシンを制御して通過。そして、実況のピエール北川さんも「その差がガンガン拡がってる!なんとストレートだけで1秒近く拡げている!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙とんでもない!とんでもないぞ!!速すぎる!!誰なんだ!?一体彼にこんなマシン渡したのは?3秒は行かないが、4秒の壁が見えている!ホームストレートに帰って来た!!タイムはどうだ?!どうだ?!出たァ!!2分04秒942!!遂に4秒の壁を超えた!!本当に彼は一体何者なんだ?速すぎる!!」と大興奮。俺も思わずガッツポーズをした程のタイムが出た。そして、12:30になった時点で俺の番は終わり、次は星奈の番。俺は、始まる前に「多分このタイムは更新しようと思えば出来るけど、どのチームも明日のトップ10に備えてそんなに本気出してないから、大丈夫だと思う。とりあえず、まずは自分のやれる限りの仕事を最大限にやりきる事。頑張ってね!!」と星奈に言って、星奈をコースへ送り出した。そして、俺は、メットを脱ぐと、この猛暑でぐったりしかけていた。それもそのはずだ。あんなタイム出しておいて、平然な顔してられる訳ない。俺はすかさず、「ねぇ冷凍庫にアイスある?チョコモナカジャンボみたいなやつあったら食べていい?」と聞くと、メカさんが「あるよ。好きに食べていいよ。」と言ってくれて俺は、歩いて冷凍庫まで向かい、チョコモナカジャンボを食べて休憩していた。そして、その時に俺は、星奈の本気を見てしまった。さっき俺が出したタイムをあっさり更新した。そして、星奈が戻ってくると、「なぁにそんな驚いた顔してんの?何かあったの?」と聞いてきて俺は、「何かあったの?こうもねぇよ…あんたの化けの皮が剥がれた姿を目の当たりにしたらこうなるって…たまたま、チョコモナカジャンボ2つ目を食おうとした時にピエールさんが叫んだりしてるから何かあったなと思ってモニター見たら俺のタイム更新されてんじゃん!ってなって焦ったよ。」と言うと星奈も「あたしも、あんなタイム出ると思わなかったよ。それとこのアイス封開けてないよね?」と聞いてきて、俺は、「ナイスタイミング。ちょうど封を開けようとしたけど辞めていたんだ。食べたいなら渡すよ。」とチョコモナカジャンボを渡して、星奈の番が終わり、次はレッド登録の美海の番。これまた美海も美海で2分05秒台を連発。そして、2人のライダーのベストタイムの平均タイムでトップは確定してるが、結果が出るのが異様に長くて、正式発表されたのが午後21:00。結果はリエラ・ホンダの暫定ポールポジションが決定した。残念ながら、トップ10トライアルは天候不順により、3回連続で開催されない事となった。しかし、ホンダ勢はトップ10に食い込む事が出来た。迎えたトップ10クオリファイ。そこでもホンダ勢は強さを見せた。特に俺らのリエラ・ホンダは、2分4秒台を叩き出して堂々のポールポジションを獲得した。2位にはTSR、3位にJPホンダという形になった。でも、トップ3が8耐史上初の超若手トリオという快挙も達成できた。
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