9 / 48
CBR使いの復活
Round4 まさかの事態(ミサノ)
しおりを挟む
第4戦の舞台は、イタリアにあるミサノサーキット。今回は、全日本ロードレース選手権から誠吾が日本GPの予行演習も兼ねて、チームごとワイルドカードエントリーしている。俺は、2戦連続でトラブルに見舞われていた。それは確か、レース1の時だったかな?走行中にタイヤカウルがいきなりパージして、四方八方に飛び散った。それの影響でマシンの挙動も変わってしまい、かなり苦しいレースを強いられてしまった。誠吾は、初めてのWSBKにも関わらず,昨年の王者であるラズカットリオグルを巧みに封じこんでいる。とにかく俺は我慢を強いられ、結果は5位と、ポイントは獲得出来たものの、連続表彰台記録は途絶えてしまった。対する美海や誠吾は、表彰台を獲得。星奈は、自身初優勝を記録した。続くスーパーポールは、久しぶりに俺が優勝した。2位にはジョニーが入り、3位にはガーロフが入った。レース2は、WSBK史上類を見ない超接近戦になった。もうそれは最初から起きていて、メインストレートは縦一線。差はほとんど無い。もう1コーナーの進入が、本当に恐怖でしかなかった。当たったらコケる。それが前に出てしまっていた。そして最後は、横一線。4台並んでフィニッシュ。しかも皆ホンダ。流石に速すぎて分からなかった為、写真判定までもつれ込んだ。俺達は控え室でも結果を待っていて落ち着かなかった。結果は俺の連勝となり、美海が2位、星奈が3位、誠吾が4位という結果になった。控え室で俺は、「これ、Moto2時代に1度あったかどうかだぞ。」と呟く程だった。はっきり言って、マジで落ち着かなかった。そして結果が分かった瞬間に俺は、ガッツポーズ。美海と星奈もホッとした表情を見せていた。誠吾も初めてのWSBKを満喫していたみたいで何よりだった。でも俺は、あの周だけは本当に心臓に悪いものを見てる気がしてならなかった。前回のレースで、美海を巻き添えにしてしまった「同士討ち」の後に、妙に親指第一関節が痛いと言うのか、何と言うのかは知らないけど、まさかと思って慎重にレースを走っていた。あの転倒の後に腰が妙に痛くて、なるべく負担をかけたく無いため、ノリックさんがやっていた、「ノリック走法」を何と4stで完コピして見せた。上体を起こしたまま、前輪に荷重をかけてコーナリングするという、本来ならば2st向けの乗り方をしていた。実はこの走り方こそ、腰に負担をかけずに速く走れたりもする。ただ、見える視界がすごく開けていたので、とても走りやすかった。けどなんか違和感もあった。「普段の俺では無い」という違和感だ。でもこれはあくまでも、「その場しのぎの応急処置」に過ぎない為、「経過観察」が必要なレベルである。最悪の場合、リザーブを使う可能性も出てきたが、現時点でマシンを扱えるのが「俺以外居ない」という、かなり絶望的な状況で、無理だろと思ったが、偶然なのかは知らないが、約1名居た。全日本ロードレース選手権で、誠吾と同じチームから出てる、「矢野香里奈」という女性ライダーだ。そういえば、あの子、過去にWGP125とか250にも出ていて、所謂「2st中毒末期患者」と言われる程の腕前を持ってたりもしている。もしかしたら、俺のマシンを手懐けられるんじゃないかと思って、何かあった時のために「リザーブ登録して欲しい」とHRCから直接要請をしてもらった所、本人も快諾してくれた。これで万全の体制で走れる。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説



ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

江戸時代改装計画
華研えねこ
歴史・時代
皇紀2603年7月4日、大和甲板にて。皮肉にもアメリカが独立したとされる日にアメリカ史上最も屈辱的である条約は結ばれることになった。
「では大統領、この降伏文書にサインして貰いたい。まさかペリーを派遣した君等が嫌とは言うまいね?」
頭髪を全て刈り取った男が日本代表として流暢なキングズ・イングリッシュで話していた。後に「白人から世界を解放した男」として讃えられる有名人、石原莞爾だ。
ここはトラック、言うまでも無く日本の内南洋であり、停泊しているのは軍艦大和。その後部甲板でルーズベルトは憤死せんがばかりに震えていた。
(何故だ、どうしてこうなった……!!)
自問自答するも答えは出ず、一年以内には火刑に処される彼はその人生最期の一年を巧妙に憤死しないように体調を管理されながら過ごすことになる。
トラック講和条約と称される講和条約の内容は以下の通り。
・アメリカ合衆国は満州国を承認
・アメリカ合衆国は、ウェーキ島、グアム島、アリューシャン島、ハワイ諸島、ライン諸島を大日本帝国へ割譲
・アメリカ合衆国はフィリピンの国際連盟委任独立準備政府設立の承認
・アメリカ合衆国は大日本帝国に戦費賠償金300億ドルの支払い
・アメリカ合衆国の軍備縮小
・アメリカ合衆国の関税自主権の撤廃
・アメリカ合衆国の移民法の撤廃
・アメリカ合衆国首脳部及び戦争煽動者は国際裁判の判決に従うこと
確かに、多少は苛酷な内容であったが、「最も屈辱」とは少々大げさであろう。何せ、彼らの我々の世界に於ける悪行三昧に比べたら、この程度で済んだことに感謝するべきなのだから……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる