1 / 48
CBR使いの復活
新シーズン開幕!!
しおりを挟む
さて、MotoGPの世界から一度離れて、再び「CBR使い」として復活を遂げた俺だが、久しぶりのスーパーバイク世界選手権という事もあって、知ってるメンツが何人いるか、気になってきた。中にはかつて一緒に戦ったライダーも居る。例えば、昨年まで「絶対王者」として君臨していた、ジョナサン・レイやマイケル・ファン・デルマークとかアレックス・ロウズとかもいる。そして、今シーズンのキックオフとも言えるマンダリカでの公式テストが開幕!!ホンダ勢は皆気合いが入っている。美海は、初めてのSBKフル参戦となる。俺もそうだ。そして一番のニュースはなんとモリワキがモータースポーツに復活したという事!!ちなみにこれを受けて俺らワークスは共同で専用マフラーとかをエキマニとかを開発してたけど、めちゃくちゃ良い音鳴るし、パワーもあってトルクもあって扱いやすくなった。そしてチーム名も「Team HRC FireBlade Racing」から「HRC Team MORIWAKI FireBlade Racing」に変更してマシンカラーも伝統の「モリワキ・トリコロール」に変化した。実はモリワキ自体2019年に一度WSBKにフル参戦したものの結果が芳しくなくて僅か一年で撤退。ちなみに俺もそこから1度ワイルドカードエントリーして表彰台を取ったりしている。実は今季型のCBR1000RR-RW FireBladeは幾つか変更点がある。例えばサスペンションは「オーリンズ」から「ショーワ」に。マフラー、エキマニとかは「アクラポ」から「モリワキ」へ。ブレーキも「ブレンボ」から「ニッシン」と、かなり国産メーカーのパーツを多用したりしている。そしてホンダ勢はなんとかなり出血大サービスをした。それは「全チームワークスマシン供給」という正気の沙汰とは思えない事をやっている。ちなみにワークスマシンをいじる為にホンダは供給してるチームに最低でも10人派遣するとの事。ここまで来ると本気で勝ちに行く姿勢なのが分かる。だけどここに来て美海にアクシデントが起きた。それは、高速セクションで派手に転倒した時だった。この時、俺はすぐ近くを走行していて、メット越しに美海がコケるところがハッキリ見えた。そして俺はすぐにマシンを止めて美海の所に向かい「大丈夫か!?美海!?」と聞くと「ぃ…たいよ…足首が…痛い…助けて…怖いよ…助けて…ぃたいよ…助けて…ぃたいよ…」と、意識はあるけど多分骨折って、かなりパニックになってる可能性があると判断した俺は「ひとまず、深呼吸してみよう。大丈夫だよ。俺が着いてるからね。もし不安だったら手を握っても良いよ。強く握っても良いからね。」と落ち着かせる為の措置をしていた所に医療班が駆け付けてきて「大丈夫かい!?そこのお嬢さんに手を握らせてる君?怪我とかない?」と聞かれて俺は「えっ!?お…俺!?お…俺はどこも怪我して無いけど。うん。てか、今は俺の事はいいから、彼女の怪我の処置をしてくれ!多分足首をやった可能性大!もしアレなら俺も手伝える事あったら手伝うよ!」と医療班に伝えると、医療班の気前の良いお兄ちゃん(実際ガチで気前良かったしノリノリで、後で知ったんだけど俺のファンとの事だった。)が「あっ、ソレならそこにあるマシンを回収して欲しいな。」と言ってくれて、俺は「おう!分かった!」とコケたとこが本当に変な所ではなくて良かったと思いつつ、ズタボロになった晴南の81号車を押して回収作業にあたった。しかし派手に壊れたものだ。でもフレームとかにダメージがない事が唯一の救いだし、何より、彼女に命の別状がない事が本当の救いだった。でもコケた箇所が幸いにもピットロードからそんなに離れてなかったので俺は「このマシンは俺が自力で押していくから!」と言ってマーシャルさんを同伴させてピットロードまで全力疾走。実はこの時、シフターが損壊スレスレの所まで行っていたので足でやると、思った以上の力がかかって壊れるリスクがあった為、「手」を使って操作する事も独学で覚えたりしていた。先ず最初は、マシンを起こして、システムを起動させてギアが何速に入ってるかを確認してから、クラッチを握ってギアを抜いてニュートラルに。あとはシステムをシャットダウンさせてなんていう作業も手際良くやっていた。そして、せーので勢いをつけて裏道使ってピットロードまで全力疾走。俺はピットロードまで帰って来て理由を話した。「いやぁ、ピットロードまで近かったから、いちいちトラックでドナドナするよりも走って来た方が良いと思ってな。」とカウルもひしゃげて、スクリーンもかち割れて、ズタボロになった美海の81号車を押してガレージまで帰って来ると、そこにはもう「今すぐにでも直せますよ。」と言わんばかりに工具類がズラっと並んでいた。それと先ず美海がコケた時にやったのが「今左足首痛いと思うよね。今から脊髄やってないか、確かめたいから少し体触るよ。いい?」と美海に同意を求めると「良いですよ。輝先輩なら。安心出来ます。」とokを出してくれた。俺は美海の右側を触ったりして「今触ったりしてる感覚あるのわかる?」と聞くと、美海は「うん。わかるよ。」と返してくれた。そして俺は美海に「今から右手とか動かせる?」とか色々やって、脊髄をやってないかを確かめてたりもしていた。程なくして俺のマシンもガレージまでドナドナされて来た。幸いにも俺のマシンはノーダメージ。先ずは2台のマシンのカウルを引っペがして砂利をブロワーで吐き出す作業から始めた。俺は、このグラベルの石の大きさに驚いていた。記念に持って帰ろうかしら。そして美海もメディカルチェックの結果、左足では無くて左足首をやってるかもしれないという言うのを聞いてホッとしていられなかった。しかし、アレだけデカい石だ、コケた時にはもう最悪な事になりそうだ。美海も何とか、歩いて帰って来れたということはちゃんとした受け身とエアバッグが機能してくれたということだ。それと先ず最初に俺が付き添ってあげた事が一番安心出来たというところだと思う。ただ、ヘルメットは見ての通りボロボロ。バイザーもどっか綺麗に吹っ飛んでる有り様だった。幸いにも俺が日本に居る時に何故か、誤発注してしまい(確か日本に居る時に、高校時代かつ、レーサー仲間の友達とかと夜通し遊んで馬鹿騒ぎした勢いか、深夜テンションか何かの勢いで思いっきりやらかして、その次の日の朝くらいにAraiから「すいません、数おかしくないですか?」という電話かメール来て分かったレベル。)というより、2020年に使わなくて余りに余ってしまったスペアバイザーを持ってきていたので美海に「少しヘルメット貸して」と言い、晴南が「良いですよ。」と快諾してくれて、ヘルメットを持って行き、先ずはウェスとかで拭くだけ拭いて汚れを落としてから、俺が昨年使わなかったスペアバイザーを上からくっ付けて修復完了。あとはAraiの現地ブースに持ち込んで「捨てバイザー貼って欲しいんだけど、良いかな?」って頼んで捨てバイザーを貼ってもらい元通りに。そして、Araiの現地ブースに持ち込んだ時に現地ブースの人に「あの!これ、もし良かったら…使ってください!!」と言われて、ある物を手渡ししてくれた。その「ある物」というのが、教習所とかでバイク免許取るのにAraiのマイメット持参する人なら分かると思うけど、Arai謹製の「巾着袋」。それを手渡ししてくれて、とても助かった。そして巾着袋にメットをぶち込んでから美海の所に届けに行った。美海の所に着くと、俺は美海にある問題を出した。「さて、この巾着袋の中にはヘルメットが入ってる。ちなみに俺のでは無いよ。さて誰のだと思う?」と問題を出すと、美海は「もしかして私のですか?」と言い、俺は「正解!ほら、この巾着袋を開けてみて。」と言って美海に巾着袋を開けさせると、美海のメットが現れた。これには美海も大喜び。良かったよ。こんなに喜んでもらえて。「でも、なんで私のメットのスペアバイザーを切らしていたのが分かったんですか?」と美海が聞いてきて、俺は「あぁこれ?これね、俺がシーズンオフの際に日本に居る時、高校時代の友達(レーサー仲間)とかと夜通し馬鹿騒ぎしてて、その勢いで買っちゃって大変な事になっちゃったから晴南に半分分けてやろうかなって思ってMotoGPで活動してる時から毎ラウンド持ち込んでたんだよ。しっかし、なかなかメットを壊す様な転倒をした事が無いからどうしようか困っててね。」なんて言うと美海は、「ありがとうございます!!私もスペアバイザー切らしていてすごく困っていたんです。助かりました!!」とすごく感謝していた。そして、星奈も慌てて駆け付けて来て「美海ちゃんがすっ転んだって言うからビックリしちゃって!?」なんて息切らしながら言ってたけど俺は「美海は左足首を軽くやっただけだよ。あとは、俺が最後まで寄り添ってたから。」と言うと星奈は「良かったぁ。大怪我ではなくて。」と一安心していた。そんな事もあったマンダリカでの公式テストだった。そして、あの転倒の後にすぐにでも「アイシング」したのが功を奏したみたいだ。
3
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説



ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

江戸時代改装計画
華研えねこ
歴史・時代
皇紀2603年7月4日、大和甲板にて。皮肉にもアメリカが独立したとされる日にアメリカ史上最も屈辱的である条約は結ばれることになった。
「では大統領、この降伏文書にサインして貰いたい。まさかペリーを派遣した君等が嫌とは言うまいね?」
頭髪を全て刈り取った男が日本代表として流暢なキングズ・イングリッシュで話していた。後に「白人から世界を解放した男」として讃えられる有名人、石原莞爾だ。
ここはトラック、言うまでも無く日本の内南洋であり、停泊しているのは軍艦大和。その後部甲板でルーズベルトは憤死せんがばかりに震えていた。
(何故だ、どうしてこうなった……!!)
自問自答するも答えは出ず、一年以内には火刑に処される彼はその人生最期の一年を巧妙に憤死しないように体調を管理されながら過ごすことになる。
トラック講和条約と称される講和条約の内容は以下の通り。
・アメリカ合衆国は満州国を承認
・アメリカ合衆国は、ウェーキ島、グアム島、アリューシャン島、ハワイ諸島、ライン諸島を大日本帝国へ割譲
・アメリカ合衆国はフィリピンの国際連盟委任独立準備政府設立の承認
・アメリカ合衆国は大日本帝国に戦費賠償金300億ドルの支払い
・アメリカ合衆国の軍備縮小
・アメリカ合衆国の関税自主権の撤廃
・アメリカ合衆国の移民法の撤廃
・アメリカ合衆国首脳部及び戦争煽動者は国際裁判の判決に従うこと
確かに、多少は苛酷な内容であったが、「最も屈辱」とは少々大げさであろう。何せ、彼らの我々の世界に於ける悪行三昧に比べたら、この程度で済んだことに感謝するべきなのだから……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる