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再び世界へ
Round0 MD213VFの実力とは?
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WSBK最終戦後に、まずは改めてモリワキとの契約を交わす事をする事から始まった。その後に役場に婚姻届を提出したりと色々やる事があるのだが、その際に俺は美海との「夫婦の10箇条」を決めていたりもした。あとは、グローブのデザインも小変更を加えている。実は気付いてる人が居るとは思うけど、グローブに「ペアリング」をプリントしてもらった特注品を着用して今シーズンを駆け抜けていたのだ。それを今回は「婚約指輪」に変更しての参戦となる。あとはモリワキと契約を交わした際に「契約条件としてMotoGPにもワイルドカードエントリーする事。」と表記されていた。そしてプリキュアレーシングプロジェクトとiQOSも何とWSBKのみならず全日本ロードレース選手権のこのクラスに出てるモリワキとの冠スポンサー契約を締結してくれる事になった。後は「結婚祝い」として、何と「モリワキ・トリコロール」というモリワキのMD213VFのあのカラーにしてある限定デザインのヘルメットまでプレゼントしてくれた。あとは俺の方から「一応HRC直接契約なので、心配しないで大丈夫よ。」と伝えてある為、HRCリザーブとしても動く事が出来るのだ。そして契約後、鈴鹿にて遂に俺の愛機となる、モリワキMD213VF-S(スカイ)がベールを脱いだ。カーナンバーはWSBK時代から使っている「71」を選択した。俺は、8耐合同テスト後以来久しぶりのGPマシンに跨る事になった。このテストでこのマシンの実力が試される事になる。俺は手馴れた手つきでコースイン。モリワキ管を付けたV4サウンドを轟かせた。ただつい最近まで並列4気筒に乗っていたので、だいぶ挙動や性格が異なっている。それの順応に苦労するライダーが多い。だけど俺はRC213-Vにも乗っている為、その経験を活かす事が出来る。それが唯一の救いとも言える状況だ。俺は、戸惑うこと無く普段のレースと変わらない走りをして、このマシンの「素性」を確かめていた。ある程度走り込んでピットに戻る所か、予想以上に面白いマシンだったので、タイヤが完全に終わるまでガンガン走り込んでいた。そしてタイヤを完全に終わらせてピットに戻ると何やらメカニックがかなりザワついていた。俺は「どうかしましたか?」と聞くと「ヤベェよ…お前…ここのコースレコード更新しちまってるよ…本当にこれ初乗りなのか?」と聞かれた際に「いえいえ初乗りだなんて。以前にも那由多君のマシンを乗った際にもコースレコードよりコンマ数秒落ちのタイム出しましたよ。それとHRCリザーブ兼開発やってる関係でミシュランの特性を熟知してるのもあったりワークス仕様のRC213Vを乗ってる都合上、手懐け方を知ってるもんで。」と言い放つとメカさんはかなり驚愕していた。あとは、チーフメカに「挙動としてはCBR954RRに近い挙動をしてる。まさに俺が欲してたマシンとはこの事だと思う。特にこのカウル。相当考えたんじゃない?軽くて空力を最大限まで活かして、マシンの本来のスペックを最大限まで引き出す様に。そして風を味方にするという事に重点を置いてる。これこそ俺が欲してた物だよ。」と言うと興味津々にメモを取っていた。よく実戦で走ってるライダーの1人からは「遅い!もっと速く走れる様に出来ないの?パワーが足りてないんじゃないか?」と言われるが、俺は、そのライダーに「ただ闇雲にパワーを上げれば良いってもんじゃない。1ps上げたら、その1ps分全てに対応出来る様に作らなきゃいけない。50psだろうと100psだろうと300psだろうと一緒。全てに対応出来る様にしないといけない。それが無いから偏ったマシンになっている。あとはみんなに言えるけど自分を信じる事。マシンと全力で向き合って対話すること。そうしないと、いつまで経っても牙を剥き続けるよ。」とアドバイスをした事もある。当のチーフメカを務めている水沢さんは、「にしても九嶋君も奇遇だね。俺と一緒のバイク乗ってるなんて。あのバイクに着想を得てこのマシンを作ったんだよ。そしてCBR1000RR-Rと愛車を足して2で割ったのにRC213Vのエンジン載せたら、最強のバイク出来んじゃねぇか?って考えて作ったら最高のもんが出来ちまったってことよ。」と言ってきて「えっ!?水沢さんもまさかCBR954RRのオーナーなんですか!?」と聞いたところ、首を縦に振っていた。こんな偶然もあるもんだなと俺は納得してしまった。実はこのテストは美海も見に来ていて「お疲れ様。どうだった?ニューマシンの実力は?」と聞いて来て「多分俺が乗ってきたマシンの中で、ダントツかもしれない。体力も思ったより消費せずに済んだし、負担が軽い。あとは、俺の愛車と性格がかなり類似してる。そこが気に入ってるかな。流石、初年度を制したマシンだけあるよ。面白いマシンだよ。」と返すと「なら、私もライディングしてみようかしらね。」と言ってスタンバイした際に、俺はモリワキにガチで相談して、5分後に「ok出たけど破壊するなとさ。」と伝えて、美海のファーストライドが始まった。これにはモリワキの皆も見守っていた。そして、ピットに戻ると「輝君が言ってた通り、最高のマシンだよ。ここまで軽くてクイックなマシン初めて乗ったよ。」と太鼓判を押していた。そんな感じでテスト走行を終えて来季に備えるのだった。
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