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アドリアンシリーズ第11話……エピソード2……パナマ運河建設
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1379年8月上旬日曜日朝7時……パナマ港
アドルフは昨日のビアンカの提案の意味を考えてみた。
交易港は大西洋側に作るのが良いが、南の王国を制圧する拠点は先住民たちの話によるとここパナマ運河のほうが良い。大西洋側の交易港と太平洋側の制圧拠点を結ぶ運河が必要だ。今は金も人員も豊富にある。制圧をしながら運河の建設を行う必要がある。ビアンカに必要な金塊と人員を計算させてみた。
ビアンカ「金塊一万トンと人員一万人なら10年掛かります」
アドルフ「よし金塊10万トンと人員5万人ならどうだ。3ヶ月で行けるか?」
ビアンカ「何とか出来るでしょう」
アドルフはビアンカに金塊10万トンと人員5万人を与えた。
先住民の話を総合すると南に互いに争っている二つの王国がある。チヌー王国……注①とクスコ王国……注②だ。
アドルフは帆船を200艘建造し、軍隊5,000名、工兵隊5,000名の体制で望んだ。
1379年8月中旬月曜日朝7時……パナマ港
パナマ運河の建設はビアンカに任せ、妻妾たち及び先住民の通訳とマリンチェを引き連れ、チャンチャンに向かった。
ペルーのチムー王国、首都はチャンチャン
一月ほどの航海でチャンチャンに着き、注意深く上陸した。王宮はすぐに見つかった。高さ10メートル、底辺7メートルのアドベの城壁で囲まれており、入り口は2メートルほどの狭い通路の1ヶ所のみである。この中に多数潜んでいるようだ。先住民2人だけを派遣し、こちらに害意がないことを伝えさせた。数人だけとならあっても良いそうだ。
アドルフは腹を決めて、先住民2人とマリンチェの4人で向こうの国王に面会した。城壁の内側には、サッカーコート位の広場があった。案外狭い感じだ。建物の壁は日干し煉瓦で作られており、部屋どうしの仕切りは、砂漠地帯特有の暑さを和らげる目的で、風通しの良い網目状になっている。
国王「お前たちの目的はなんだ。今クスコ王国との戦もあり、お前たちの相手をしている暇はないのだ」
アドルフ「害意はありません。交易が目的です」
アドルフは国王に日常の生活用品を見せて必要ならいくらでもあると伝えさせた。
国王は農機具類に興味を示した。アドルフは先住民に命じて、鋼鉄製の鋤、鍬などを持ってこさせた。馬具類も興味がありそうだったので、弓矢とともに持ってこさせた。
最後の決め手に「鋼鉄製のツルハシやトロッコを運ぶ線路」をプレゼントした。国王プレテニカ33歳はアドルフたちとの同盟を決意し、自分の若い妻を誰かアドルフに贈ることにした。これは同盟成立の聖なる誓いの印であり断るわけには行かなかった。アドルフはリンカ28歳を選んだ。リンカはプレテニカの正妻であり、チヌー王国では隠然たる影響力を持っていた。
1379年9月中旬月曜日朝7時……チャンチャンの王宮
ビアンカ及びテレソネ35歳とアトトストリ34歳、メリカ30歳、リンカ28歳をそれぞれ同格のアドルフ夫人とした。イランクエイトル17歳、テスカトラン・ミヤワツィン16歳、マリンチェの3人は側室のままである。
テレソネとマリンチェは道中で出産した。テレソネは男の子バーキル、マリンチェは女の子ジーハーンである。
アトトストリ34歳、イランクエイトル17歳、テスカトラン・ミヤワツィン16歳の3人は出産が近い。
アドルフは工兵隊に命じてチャンチャンから少し北東にあるカハマルカ……注③に移動してカハマルカに宮殿を兼ねた砦を建設した。
カハマルカ
1379年11月中旬日曜日朝7時……カハマルカの宮殿
アトトストリ34歳、イランクエイトル17歳、テスカトラン・ミヤワツィン16歳の3人は出産した。
順にウマイマ女、ナジャーフ女、サーヒブ男である。ビアンカもムーサー男を出産したと知らせてきた。
女たちは全員ここに置き、いよいよアドルフはクスコ王国との戦いの火蓋を切ることにした。問答無用で仕掛けるのである。
カハマルカを出発し、山中を南東方向に進んだ。
赤がクスコ王国
クスコ王国
途中までは同盟国なので心配はなかったが、進むにつれて山賊が多くなってきた。
途中のアバンカイで敵の大軍と出くわした。
アバンカイ
こちらも驚いたが向こうは予測してなかったようで慌てふためいていた。敵の混乱に乗じて、大半を銃で撃ち殺し、敵の大将を捕らえた。クスコ王国の国王インカ・ワカ40歳、王妃メル・ワカ32歳、皇子ヤワル・ワカ20歳、皇子妃キャシャーン19歳を生け捕りにした。クスコはすぐ近くであり、勢いに乗ってクスコ宮殿を占領し、国王と皇子を処刑した。王妃と皇子妃は側室にした。
今回はここまでにしておきましょう。次回をお楽しみに。
******
注① ……チヌー王国……ウィキペディアによると
チムー王国は, ペルー北部の沿岸部でチムー文化を担った王国で、850年頃から1470年頃まで存在した。後期中間期最大の王国で、1000kmの海岸線とアンデスの人口の2/3を含んだ。現存する最大の遺跡はチャン・チャン。 チムー王国はモチェ文化の遺民によって興された。
注② ……クスコ王国……ウィキペディアによると
クスコ王国は、アンデス山脈山中の小王国。1200年頃にケチュア族が作った小規模の都市国家として始まり、和戦両様の同化によって成長した。
注③……カハマルカはペルー北部の都市で標高2750m。
山に囲まれた盆地にある。
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アドルフは昨日のビアンカの提案の意味を考えてみた。
交易港は大西洋側に作るのが良いが、南の王国を制圧する拠点は先住民たちの話によるとここパナマ運河のほうが良い。大西洋側の交易港と太平洋側の制圧拠点を結ぶ運河が必要だ。今は金も人員も豊富にある。制圧をしながら運河の建設を行う必要がある。ビアンカに必要な金塊と人員を計算させてみた。
ビアンカ「金塊一万トンと人員一万人なら10年掛かります」
アドルフ「よし金塊10万トンと人員5万人ならどうだ。3ヶ月で行けるか?」
ビアンカ「何とか出来るでしょう」
アドルフはビアンカに金塊10万トンと人員5万人を与えた。
先住民の話を総合すると南に互いに争っている二つの王国がある。チヌー王国……注①とクスコ王国……注②だ。
アドルフは帆船を200艘建造し、軍隊5,000名、工兵隊5,000名の体制で望んだ。
1379年8月中旬月曜日朝7時……パナマ港
パナマ運河の建設はビアンカに任せ、妻妾たち及び先住民の通訳とマリンチェを引き連れ、チャンチャンに向かった。
ペルーのチムー王国、首都はチャンチャン
一月ほどの航海でチャンチャンに着き、注意深く上陸した。王宮はすぐに見つかった。高さ10メートル、底辺7メートルのアドベの城壁で囲まれており、入り口は2メートルほどの狭い通路の1ヶ所のみである。この中に多数潜んでいるようだ。先住民2人だけを派遣し、こちらに害意がないことを伝えさせた。数人だけとならあっても良いそうだ。
アドルフは腹を決めて、先住民2人とマリンチェの4人で向こうの国王に面会した。城壁の内側には、サッカーコート位の広場があった。案外狭い感じだ。建物の壁は日干し煉瓦で作られており、部屋どうしの仕切りは、砂漠地帯特有の暑さを和らげる目的で、風通しの良い網目状になっている。
国王「お前たちの目的はなんだ。今クスコ王国との戦もあり、お前たちの相手をしている暇はないのだ」
アドルフ「害意はありません。交易が目的です」
アドルフは国王に日常の生活用品を見せて必要ならいくらでもあると伝えさせた。
国王は農機具類に興味を示した。アドルフは先住民に命じて、鋼鉄製の鋤、鍬などを持ってこさせた。馬具類も興味がありそうだったので、弓矢とともに持ってこさせた。
最後の決め手に「鋼鉄製のツルハシやトロッコを運ぶ線路」をプレゼントした。国王プレテニカ33歳はアドルフたちとの同盟を決意し、自分の若い妻を誰かアドルフに贈ることにした。これは同盟成立の聖なる誓いの印であり断るわけには行かなかった。アドルフはリンカ28歳を選んだ。リンカはプレテニカの正妻であり、チヌー王国では隠然たる影響力を持っていた。
1379年9月中旬月曜日朝7時……チャンチャンの王宮
ビアンカ及びテレソネ35歳とアトトストリ34歳、メリカ30歳、リンカ28歳をそれぞれ同格のアドルフ夫人とした。イランクエイトル17歳、テスカトラン・ミヤワツィン16歳、マリンチェの3人は側室のままである。
テレソネとマリンチェは道中で出産した。テレソネは男の子バーキル、マリンチェは女の子ジーハーンである。
アトトストリ34歳、イランクエイトル17歳、テスカトラン・ミヤワツィン16歳の3人は出産が近い。
アドルフは工兵隊に命じてチャンチャンから少し北東にあるカハマルカ……注③に移動してカハマルカに宮殿を兼ねた砦を建設した。
カハマルカ
1379年11月中旬日曜日朝7時……カハマルカの宮殿
アトトストリ34歳、イランクエイトル17歳、テスカトラン・ミヤワツィン16歳の3人は出産した。
順にウマイマ女、ナジャーフ女、サーヒブ男である。ビアンカもムーサー男を出産したと知らせてきた。
女たちは全員ここに置き、いよいよアドルフはクスコ王国との戦いの火蓋を切ることにした。問答無用で仕掛けるのである。
カハマルカを出発し、山中を南東方向に進んだ。
赤がクスコ王国
クスコ王国
途中までは同盟国なので心配はなかったが、進むにつれて山賊が多くなってきた。
途中のアバンカイで敵の大軍と出くわした。
アバンカイ
こちらも驚いたが向こうは予測してなかったようで慌てふためいていた。敵の混乱に乗じて、大半を銃で撃ち殺し、敵の大将を捕らえた。クスコ王国の国王インカ・ワカ40歳、王妃メル・ワカ32歳、皇子ヤワル・ワカ20歳、皇子妃キャシャーン19歳を生け捕りにした。クスコはすぐ近くであり、勢いに乗ってクスコ宮殿を占領し、国王と皇子を処刑した。王妃と皇子妃は側室にした。
今回はここまでにしておきましょう。次回をお楽しみに。
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注① ……チヌー王国……ウィキペディアによると
チムー王国は, ペルー北部の沿岸部でチムー文化を担った王国で、850年頃から1470年頃まで存在した。後期中間期最大の王国で、1000kmの海岸線とアンデスの人口の2/3を含んだ。現存する最大の遺跡はチャン・チャン。 チムー王国はモチェ文化の遺民によって興された。
注② ……クスコ王国……ウィキペディアによると
クスコ王国は、アンデス山脈山中の小王国。1200年頃にケチュア族が作った小規模の都市国家として始まり、和戦両様の同化によって成長した。
注③……カハマルカはペルー北部の都市で標高2750m。
山に囲まれた盆地にある。
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