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バッドエンド直前
1話
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「第一王子ともあろう者が、婚約パーティ中にジェスタ様との婚約破棄を宣言するなど、恥ずかしいと思わないのですか!」
「だ、だがなアインハルト嬢、その女は領内で領地や私財を没収し暴政を敷いていると貴族達の直訴が大量に」
「お黙りなさい!サーシェス王子はジェスタ様の領内を見たことがあるのですか!」
「小さな頃に一度は…」
「この娘の政治を碌に知らない王子は顔も知らないような貴族の言葉を信じて、自分の婚約者と婚約破棄するのですね、何て恥知らずな…」
私は未来を変えられなかった筈だ。
前世でやった乙女ゲーム「赤き瞳」の悪役令嬢のジェスタ・レスカーレに転生した私は、未来を変えられずゲームのエンディング通りに婚約破棄され、幽閉される筈だったのだ。
なのに、一体何が起きているのだ。
アインは何故、サーシェス王子を怒鳴りつけているんだ。
私はこんな展開をゲームで見た記憶が無い。
そもそも私はアインハルトをゲームで見た記憶が無い、こんな高身長のイケメンな女の子がでるようなゲームじゃなかった。
今世の付き合いだって私の領地の隣のノルン家の令嬢だったから外交上会う機会が多かっただけだ。
ノルン家はウチの領内で採れた農作物をいっぱい買ってくれたお得意様だったなあ…。
大豊作だったせいで、滅茶苦茶農作物余ってて、売る場所が他に無かったから大安売りしたんだよね。
それでも農作物有り余ってたから、最後の方は無料で送ったりしてたけど、もしかしてそれのおかげで助けてくれてるのかな。
無いな。
政治のことよくわかんないけど、農作物送っただけで助けてくれたりはしないでしょ。
「ジェスタ様、どうして黙っておられるのですか!まさか…あれをっ…?」
えっちょっと待って。
何がまさかなの、私は何も考えてないよ。
あと、あれって何さ。
意思疎通ってのはまず会話が重要だと思うよ、そうじゃないと伝わるものも伝わらないと思うな。
「わかりました、私も覚悟を決めましょう」
何の覚悟???
えっ、ちょっと待って、私何も話してないんだけど話進めないで欲しいな。
今止めないと何もかも手遅れになりそうな気配がぷんぷんするから止めておかないと。
「アイン、少し黙って」
「はっ了解しました!」
ドレス姿だというのに、騎士のように片膝をつくアイン。
やべメッチャかっけえ顔色の悪いチビの私があれを真似ても孤児がおひねり貰おうとしてるようにしか見えないと思うな。
うん、どうしようかこの状況。
周りの貴族たちはダンマリでこちらの状況を伺っている。
サーシェス王子はアインハルトに怒鳴られ、勢いが無くなり不安そうに私の動向を伺っている。
うん、これ強気にいけば逃げれるわ。
原作なら、この場で兵士に取り押さえられてそのまま幽閉されるんだけど、アインのおかげで滅茶苦茶逃げやすくなってるわ。
ここはどーんとでかいこと言っておけば、混乱起こして逃げ切れるでしょ。
弱気になってる人間なんて押せば勝手に混乱する。
攻撃こそ最大の防御よ。
原作みたいに死ぬまで幽閉なんてまっぴらごめんだからね。
私の勝利条件はここからの逃走。敗北条件は脱出失敗。
うん、わかりやすくていいわね。
「ジェスタ、お前は」
何も言わせないよ。
「サーシェス王子、レスカーレ家が当主として最後のご奉公として、辺境伯の爵位を返上し、領地も私財も全てサーシェス王子に献上いたしますわ」
「なっ、突然何を言いだす」
「これが婚約者としての最後のプレゼント、貴方の望みもこれで叶うんじゃないかしら」
「俺の望みだと、お前は一体何を」
「こんな公の場で言って欲しいの?」
自分なりの最高の笑みで私の持つ全てをプレゼント。
前世の漫画で読んだけど賭けは自信満々に一点張りしたほうがいいって主人公が言ってたわ。
そうすれば相手が勝手に深読みして自滅を起こしやすくなるって理由らしいけど。
大成功かしら。
ついでに意味深な事言っておけば、成功率はますますアップ、するような気がするわ。
「それじゃあね。王子様、元婚約者として幸福を祈ってるわ」
周りの貴族たちは、出口まで黙って道を開けてくれる。
おっしゃ逃げ切れた、大成功、大成功よ。
何故かアインも一緒に付いてきてるけど、何で??
もしかして、無職になった私のこと養ってくれるの?
さっき味方してくれたし、ごり押せばノルン家で養ってくれそうね。
「サーシェス王子、私もノルンの家名を返上する!このような国での貴族など恥でしかない!」
ちょっと待って、アンタまで無職になってどうするの。
えっ、何で?
えっ?
「だ、だがなアインハルト嬢、その女は領内で領地や私財を没収し暴政を敷いていると貴族達の直訴が大量に」
「お黙りなさい!サーシェス王子はジェスタ様の領内を見たことがあるのですか!」
「小さな頃に一度は…」
「この娘の政治を碌に知らない王子は顔も知らないような貴族の言葉を信じて、自分の婚約者と婚約破棄するのですね、何て恥知らずな…」
私は未来を変えられなかった筈だ。
前世でやった乙女ゲーム「赤き瞳」の悪役令嬢のジェスタ・レスカーレに転生した私は、未来を変えられずゲームのエンディング通りに婚約破棄され、幽閉される筈だったのだ。
なのに、一体何が起きているのだ。
アインは何故、サーシェス王子を怒鳴りつけているんだ。
私はこんな展開をゲームで見た記憶が無い。
そもそも私はアインハルトをゲームで見た記憶が無い、こんな高身長のイケメンな女の子がでるようなゲームじゃなかった。
今世の付き合いだって私の領地の隣のノルン家の令嬢だったから外交上会う機会が多かっただけだ。
ノルン家はウチの領内で採れた農作物をいっぱい買ってくれたお得意様だったなあ…。
大豊作だったせいで、滅茶苦茶農作物余ってて、売る場所が他に無かったから大安売りしたんだよね。
それでも農作物有り余ってたから、最後の方は無料で送ったりしてたけど、もしかしてそれのおかげで助けてくれてるのかな。
無いな。
政治のことよくわかんないけど、農作物送っただけで助けてくれたりはしないでしょ。
「ジェスタ様、どうして黙っておられるのですか!まさか…あれをっ…?」
えっちょっと待って。
何がまさかなの、私は何も考えてないよ。
あと、あれって何さ。
意思疎通ってのはまず会話が重要だと思うよ、そうじゃないと伝わるものも伝わらないと思うな。
「わかりました、私も覚悟を決めましょう」
何の覚悟???
えっ、ちょっと待って、私何も話してないんだけど話進めないで欲しいな。
今止めないと何もかも手遅れになりそうな気配がぷんぷんするから止めておかないと。
「アイン、少し黙って」
「はっ了解しました!」
ドレス姿だというのに、騎士のように片膝をつくアイン。
やべメッチャかっけえ顔色の悪いチビの私があれを真似ても孤児がおひねり貰おうとしてるようにしか見えないと思うな。
うん、どうしようかこの状況。
周りの貴族たちはダンマリでこちらの状況を伺っている。
サーシェス王子はアインハルトに怒鳴られ、勢いが無くなり不安そうに私の動向を伺っている。
うん、これ強気にいけば逃げれるわ。
原作なら、この場で兵士に取り押さえられてそのまま幽閉されるんだけど、アインのおかげで滅茶苦茶逃げやすくなってるわ。
ここはどーんとでかいこと言っておけば、混乱起こして逃げ切れるでしょ。
弱気になってる人間なんて押せば勝手に混乱する。
攻撃こそ最大の防御よ。
原作みたいに死ぬまで幽閉なんてまっぴらごめんだからね。
私の勝利条件はここからの逃走。敗北条件は脱出失敗。
うん、わかりやすくていいわね。
「ジェスタ、お前は」
何も言わせないよ。
「サーシェス王子、レスカーレ家が当主として最後のご奉公として、辺境伯の爵位を返上し、領地も私財も全てサーシェス王子に献上いたしますわ」
「なっ、突然何を言いだす」
「これが婚約者としての最後のプレゼント、貴方の望みもこれで叶うんじゃないかしら」
「俺の望みだと、お前は一体何を」
「こんな公の場で言って欲しいの?」
自分なりの最高の笑みで私の持つ全てをプレゼント。
前世の漫画で読んだけど賭けは自信満々に一点張りしたほうがいいって主人公が言ってたわ。
そうすれば相手が勝手に深読みして自滅を起こしやすくなるって理由らしいけど。
大成功かしら。
ついでに意味深な事言っておけば、成功率はますますアップ、するような気がするわ。
「それじゃあね。王子様、元婚約者として幸福を祈ってるわ」
周りの貴族たちは、出口まで黙って道を開けてくれる。
おっしゃ逃げ切れた、大成功、大成功よ。
何故かアインも一緒に付いてきてるけど、何で??
もしかして、無職になった私のこと養ってくれるの?
さっき味方してくれたし、ごり押せばノルン家で養ってくれそうね。
「サーシェス王子、私もノルンの家名を返上する!このような国での貴族など恥でしかない!」
ちょっと待って、アンタまで無職になってどうするの。
えっ、何で?
えっ?
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