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ドアの下から
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独身がこじれ過ぎて適齢期も大きく過ぎてしまった。
それがため、郊外に小さな平屋の住宅を買った。
自分一人で住むだけなのでちょうどいい狭さ。
築25年だが終の住処にはよい城だ。
ご近所もそこそこ遠い閑静なところで、周りには林がある。
おかげで車にはよく鳥の糞がおちるのが難点なので、屋根付きのガレージでも設置しようと思っていた。
リビングにキッチン、寝室、風呂、トイレ。
ただそれだけ。
だが本当にそれだけで充分。贅沢な城だ。
リビングでソファに体を投げ出し、寝転んでビールを飲みながらレンタルDVDをのんびり見る。
まさに独身貴族とはこう言うのを言うのではないだろうか?
寝室は狭いが大きめのクローゼットがあるので収納には困らない。だが今まで集めた蔵書をどこにしまおうか、それには迷っていた。
もともと住んでいたアパートより部屋数は増えたものの、一つ一つが狭いために本棚を処分し、蔵書を段ボール箱に入れたままだったのだ。
廊下に並べた段ボール箱は見た目も悪いし、歩きづらいのだ。
「仕方ない。一時寝室に避難させるか」
そう思い、廊下に並べてあった段ボール箱を寝室に入れたところで気づいた。
廊下の長さに比べて明らかに寝室が狭い。
「おかしいな。ああクローゼットがあるからかな?」
しかしクローゼットを足しても、計算が合わない。廊下の方が長いのだ。
不思議に思い、クローゼットを開けて中を調べてみてもおかしなところはなかった。
「おかしいな」
クローゼットを出ようとして、それを見つけたのは全くの偶然だった。
ドアノブだ。
クローゼットの向かって左側にドアノブがある。
壁と同じ材質で、継ぎ目も目立たなかったので気づかなかった。これは前の住人が秘密の部屋として造ったものかも知れない。そこを見るのは子どものようにワクワクとした気持ちが湧き上がってきた。
回して引いてみると軽い音と共にドアが開いた。
中は二畳ほどの書斎だった。
天井まで本棚が伸びている。
私は口笛を一つ吹いて指を鳴らした。
望んだものがすぐそこにあったのだから。
前の住人は荷物は引き払ったものの、部屋の内容はそのままにしていたようだ。
ドアを開けたすぐ左手側に電気のスイッチ。点けてみるとオレンジ色のムード溢れるライトが点いた。このダークブラウンの書斎を生き生きと映えさせる。
本棚の他に、簡素な机。そこに小さな電気スタンド。今すぐにでもここで本を読めと言わんばかりだ。
私はすぐさま段ボール箱に入った蔵書を本棚に詰め込んだ。
この部屋が私の一番お気に入りの場所となった。
狭い家の一番狭い部屋。ここでイスに座りコーヒーやビールを飲みながら本を読む。
なんて贅沢なのだろう。休日はここにこもりっぱなしの生活を送った。
ある晩、いつものようにそこで本を読んでいた。
イスの上で足を組み直して、ふと気付いた。
出入り口であるドアの下に1センチもない隙間があるのだ。
当たり前だ、どんなドアにも隙間はある。
しかしなぜかそこが気になった。
この家には私一人だけ。
一人だけなのだ。
しかし、その隙間から僅かにこぼれる寝室からの灯りに動きがあるのだ。
ゆらり ふわり
隙間から漏れ差し込む光が揺れる。
ゆらり ふわり
ハッと思った。クローゼットにかけてあるコートか何かが揺れて、光をそのようにさせているのであろう。
思い直して安堵のため息をつき、顔を上げた瞬間驚いて身を引いた。
イスの背もたれがきしむ音を鳴らす。
ドアの下の隙間から生足の指が四本のぞいている。
人差し指、中指、薬指、小指。
誰かがそこにいるのだ。
戦慄が走る。この家には私一人だけ。
他に気配はなかったはず。
背中に嫌な汗が流れる。
もしも、強盗ならそのまま去って出て行ってくれと願った。
逃げ場がない。そこが出入り口なのだ。
この部屋には鍵がない。
今そこを開けられたらどうすることも出来ない。
息を飲んで、しばらくその指とにらめっこするしかなかった。
心臓だけが早鐘のように打たれる。
だが気付かれたくない。息を出来るだけ細くはいた。
どのくらいの時間、そうしていたか分からない。
隙間の指は少しずつ引っ込んでいった。
口を少しばかり大きく開け、『はっはっはっは』と聞こえないように息継ぎをした。
なぜならまだそこにいるかも知れないと思ったからだ。
物音、静寂。
どうしていいか分からない。
それは出て行ってしまったのか?
まだそこにいるのか?
読書を再会しようなどと言う気持ちは無かった。
早くこの書斎から出たかったのだ。
しかし、またイスの背もたれをきしませてしまった。
なぜならまだ、寝室からの灯りが揺らめいているからだ。
まだそこに誰かいる!
ゆらり ふわり
ゆらり ふわり
ゆらり ふわり
目はドアの下を凝視していた。
どうか足の指よのぞかないでくれ! と祈った。
しかし、またもやドアの下から肌色の生の指が出て来た。
恐ろしくて気絶しそうだ。
だがそんなことをして、そこにいる人間に入られたらたまったものではない。
そして今度は足の指では無かった。
爪がない。
そう。手だ。ドアを持ち上げるように両手の指が差し込まれて来たのだ。
「ひぃ!」
思わず部屋の中で大きく悲鳴を上げ壁にすがりついた。
よく考えたらあの小さな隙間から指を差し入れられるはずなどない。
これは人ならぬものの仕業だ!
そう気付いた途端、ドアの外から
「ひ ひ ひ ひ ひ ひ ひ ひ」
と言う笑い声。
聞き取れるか聞き取れないかと言う小さいものであったがここは閑静な住宅。その声が、その声だけが部屋の中に入ってきてしまった。
私のワイシャツはすでに汗でずぶ濡れだった。
差し込まれた両手はガタガタとドアを揺さぶっていた。
開けては来ないが、怖ろしさで気が狂いそうだ。
もはや私は構わずに悲鳴を上げ続けていた。
「ひぃ! ひぃぃ!」
ドアの外は、それを聞くたびになおも楽しそうにドアを揺さぶった。
恐ろしい。だが向こうは面白がっている。
私は口を抑えた。年甲斐もなくいつの間にか涙をこぼしていた。
冷静になれ。平静になれ。と自分に言い聞かせた。
これは気の迷いだ。怖いと思うから見えないものが見えたりするんだ。それにこれは長い夢かも知れない。
怖がれば相手の思うつぼだ。
落ち着け。落ち着け。
そう思うと、次第に手の動きはゆっくりとなっていった。
落ち着け。
落ち着け。自分。
手の動きが止まった。
なぜかそれだけで安堵した。
まだそこに正体不明の何かがいるにも関わらず。
ほぉうとため息を吐いた、その半ば。
次の瞬間、前にも増して差し込まれた両手が激しく動かされた。
「開け 開け 開け あけ あけ アケ」
小さい聞き取りづらい声だがたしかにそう聞こえた。
私はすでに絶叫していた。
「うぁ! ギャ! ギャーーーァ!」
壁にすがりつき、爪を立ててなぜか壁をよじ登って逃げようとしていた。
無様。まさに無様であったが、その時は本当に怖かったのだ。
突然、その両手がシュッと引っ込んだ。
二つ同時。
全身汗びっしょりで肩で大きく息をしていた。
心臓がもう少しで止まるところだった。
なぜか気配が感じられない。
光の揺れもない。
今度こそと言う思いで、大きく息を吐いた。
全身が痛い。
極度の筋肉痛だ。
あまりの緊張に体中の筋肉がこわばったのだ。
スマホを見ると、AM2:46。
なんと、この怪異と3時間ほど付き合っていた。
もう終わりだと思ったが、外に出る勇気が無い。
まだそこにいるかも知れないと
思
っ
た
時
だ
っ
た
隙間から、髪の毛が見えた。
それが紙のように入ってくると全貌が見えてきた。
頭、額、眉毛、そして目。
女だ!
顔半分が1センチもないドア下の隙間からのぞいてきた。
目は完全な白目だったが、笑っている形だった。
「おる? おるの? おる? おるの?」
そう言いながら、インベーダーゲームの敵のように左右に顔を動かしていた。
鼻から下は出て来ないが、あの隙間から顔なんて人間なら出るはずがない。
間違いなく人ならぬもの。
私はもうどうすることも出来ずに、恐怖に引きつり涙を流しながらそれの様子を見るしか無かった。
手に取っていたスマホ。
画面をタップすること数回。
彼女に音が聞こえないように、それを体に押し付けていた。
「もしもし。事故ですか? 事件ですか? もしもし」
警察に緊急通報した。
無言でも、おかしな場合は番号を辿って急行してくれると聞いたことがあった。
自分ではここから出られない。
外部から開けてもらはない限りは。
AM6時。サイレンと共に警察がやって来てくれた。
女はしばらく顔をのぞかせていたが、警察が入り込んでくるとゆっくりとクローゼットの方へ引っ込んでいった。
警察は外でしばらく叫んでいたが、私は何も言うことが出来ない。
事件性があると判断し突入してきてくれた。
助かった。
「どなたか、どなたかいませんか?」
「……はい。ここです」
絞り出してようやく言った言葉に、書斎のドアノブが回った。
助かった。
安堵の表情を向け、ため息を吐いて救出の警察官の方を見た。
「いたぁ おったぁ」
「ひぃぃぃぃいいいいい!!!」
それがため、郊外に小さな平屋の住宅を買った。
自分一人で住むだけなのでちょうどいい狭さ。
築25年だが終の住処にはよい城だ。
ご近所もそこそこ遠い閑静なところで、周りには林がある。
おかげで車にはよく鳥の糞がおちるのが難点なので、屋根付きのガレージでも設置しようと思っていた。
リビングにキッチン、寝室、風呂、トイレ。
ただそれだけ。
だが本当にそれだけで充分。贅沢な城だ。
リビングでソファに体を投げ出し、寝転んでビールを飲みながらレンタルDVDをのんびり見る。
まさに独身貴族とはこう言うのを言うのではないだろうか?
寝室は狭いが大きめのクローゼットがあるので収納には困らない。だが今まで集めた蔵書をどこにしまおうか、それには迷っていた。
もともと住んでいたアパートより部屋数は増えたものの、一つ一つが狭いために本棚を処分し、蔵書を段ボール箱に入れたままだったのだ。
廊下に並べた段ボール箱は見た目も悪いし、歩きづらいのだ。
「仕方ない。一時寝室に避難させるか」
そう思い、廊下に並べてあった段ボール箱を寝室に入れたところで気づいた。
廊下の長さに比べて明らかに寝室が狭い。
「おかしいな。ああクローゼットがあるからかな?」
しかしクローゼットを足しても、計算が合わない。廊下の方が長いのだ。
不思議に思い、クローゼットを開けて中を調べてみてもおかしなところはなかった。
「おかしいな」
クローゼットを出ようとして、それを見つけたのは全くの偶然だった。
ドアノブだ。
クローゼットの向かって左側にドアノブがある。
壁と同じ材質で、継ぎ目も目立たなかったので気づかなかった。これは前の住人が秘密の部屋として造ったものかも知れない。そこを見るのは子どものようにワクワクとした気持ちが湧き上がってきた。
回して引いてみると軽い音と共にドアが開いた。
中は二畳ほどの書斎だった。
天井まで本棚が伸びている。
私は口笛を一つ吹いて指を鳴らした。
望んだものがすぐそこにあったのだから。
前の住人は荷物は引き払ったものの、部屋の内容はそのままにしていたようだ。
ドアを開けたすぐ左手側に電気のスイッチ。点けてみるとオレンジ色のムード溢れるライトが点いた。このダークブラウンの書斎を生き生きと映えさせる。
本棚の他に、簡素な机。そこに小さな電気スタンド。今すぐにでもここで本を読めと言わんばかりだ。
私はすぐさま段ボール箱に入った蔵書を本棚に詰め込んだ。
この部屋が私の一番お気に入りの場所となった。
狭い家の一番狭い部屋。ここでイスに座りコーヒーやビールを飲みながら本を読む。
なんて贅沢なのだろう。休日はここにこもりっぱなしの生活を送った。
ある晩、いつものようにそこで本を読んでいた。
イスの上で足を組み直して、ふと気付いた。
出入り口であるドアの下に1センチもない隙間があるのだ。
当たり前だ、どんなドアにも隙間はある。
しかしなぜかそこが気になった。
この家には私一人だけ。
一人だけなのだ。
しかし、その隙間から僅かにこぼれる寝室からの灯りに動きがあるのだ。
ゆらり ふわり
隙間から漏れ差し込む光が揺れる。
ゆらり ふわり
ハッと思った。クローゼットにかけてあるコートか何かが揺れて、光をそのようにさせているのであろう。
思い直して安堵のため息をつき、顔を上げた瞬間驚いて身を引いた。
イスの背もたれがきしむ音を鳴らす。
ドアの下の隙間から生足の指が四本のぞいている。
人差し指、中指、薬指、小指。
誰かがそこにいるのだ。
戦慄が走る。この家には私一人だけ。
他に気配はなかったはず。
背中に嫌な汗が流れる。
もしも、強盗ならそのまま去って出て行ってくれと願った。
逃げ場がない。そこが出入り口なのだ。
この部屋には鍵がない。
今そこを開けられたらどうすることも出来ない。
息を飲んで、しばらくその指とにらめっこするしかなかった。
心臓だけが早鐘のように打たれる。
だが気付かれたくない。息を出来るだけ細くはいた。
どのくらいの時間、そうしていたか分からない。
隙間の指は少しずつ引っ込んでいった。
口を少しばかり大きく開け、『はっはっはっは』と聞こえないように息継ぎをした。
なぜならまだそこにいるかも知れないと思ったからだ。
物音、静寂。
どうしていいか分からない。
それは出て行ってしまったのか?
まだそこにいるのか?
読書を再会しようなどと言う気持ちは無かった。
早くこの書斎から出たかったのだ。
しかし、またイスの背もたれをきしませてしまった。
なぜならまだ、寝室からの灯りが揺らめいているからだ。
まだそこに誰かいる!
ゆらり ふわり
ゆらり ふわり
ゆらり ふわり
目はドアの下を凝視していた。
どうか足の指よのぞかないでくれ! と祈った。
しかし、またもやドアの下から肌色の生の指が出て来た。
恐ろしくて気絶しそうだ。
だがそんなことをして、そこにいる人間に入られたらたまったものではない。
そして今度は足の指では無かった。
爪がない。
そう。手だ。ドアを持ち上げるように両手の指が差し込まれて来たのだ。
「ひぃ!」
思わず部屋の中で大きく悲鳴を上げ壁にすがりついた。
よく考えたらあの小さな隙間から指を差し入れられるはずなどない。
これは人ならぬものの仕業だ!
そう気付いた途端、ドアの外から
「ひ ひ ひ ひ ひ ひ ひ ひ」
と言う笑い声。
聞き取れるか聞き取れないかと言う小さいものであったがここは閑静な住宅。その声が、その声だけが部屋の中に入ってきてしまった。
私のワイシャツはすでに汗でずぶ濡れだった。
差し込まれた両手はガタガタとドアを揺さぶっていた。
開けては来ないが、怖ろしさで気が狂いそうだ。
もはや私は構わずに悲鳴を上げ続けていた。
「ひぃ! ひぃぃ!」
ドアの外は、それを聞くたびになおも楽しそうにドアを揺さぶった。
恐ろしい。だが向こうは面白がっている。
私は口を抑えた。年甲斐もなくいつの間にか涙をこぼしていた。
冷静になれ。平静になれ。と自分に言い聞かせた。
これは気の迷いだ。怖いと思うから見えないものが見えたりするんだ。それにこれは長い夢かも知れない。
怖がれば相手の思うつぼだ。
落ち着け。落ち着け。
そう思うと、次第に手の動きはゆっくりとなっていった。
落ち着け。
落ち着け。自分。
手の動きが止まった。
なぜかそれだけで安堵した。
まだそこに正体不明の何かがいるにも関わらず。
ほぉうとため息を吐いた、その半ば。
次の瞬間、前にも増して差し込まれた両手が激しく動かされた。
「開け 開け 開け あけ あけ アケ」
小さい聞き取りづらい声だがたしかにそう聞こえた。
私はすでに絶叫していた。
「うぁ! ギャ! ギャーーーァ!」
壁にすがりつき、爪を立ててなぜか壁をよじ登って逃げようとしていた。
無様。まさに無様であったが、その時は本当に怖かったのだ。
突然、その両手がシュッと引っ込んだ。
二つ同時。
全身汗びっしょりで肩で大きく息をしていた。
心臓がもう少しで止まるところだった。
なぜか気配が感じられない。
光の揺れもない。
今度こそと言う思いで、大きく息を吐いた。
全身が痛い。
極度の筋肉痛だ。
あまりの緊張に体中の筋肉がこわばったのだ。
スマホを見ると、AM2:46。
なんと、この怪異と3時間ほど付き合っていた。
もう終わりだと思ったが、外に出る勇気が無い。
まだそこにいるかも知れないと
思
っ
た
時
だ
っ
た
隙間から、髪の毛が見えた。
それが紙のように入ってくると全貌が見えてきた。
頭、額、眉毛、そして目。
女だ!
顔半分が1センチもないドア下の隙間からのぞいてきた。
目は完全な白目だったが、笑っている形だった。
「おる? おるの? おる? おるの?」
そう言いながら、インベーダーゲームの敵のように左右に顔を動かしていた。
鼻から下は出て来ないが、あの隙間から顔なんて人間なら出るはずがない。
間違いなく人ならぬもの。
私はもうどうすることも出来ずに、恐怖に引きつり涙を流しながらそれの様子を見るしか無かった。
手に取っていたスマホ。
画面をタップすること数回。
彼女に音が聞こえないように、それを体に押し付けていた。
「もしもし。事故ですか? 事件ですか? もしもし」
警察に緊急通報した。
無言でも、おかしな場合は番号を辿って急行してくれると聞いたことがあった。
自分ではここから出られない。
外部から開けてもらはない限りは。
AM6時。サイレンと共に警察がやって来てくれた。
女はしばらく顔をのぞかせていたが、警察が入り込んでくるとゆっくりとクローゼットの方へ引っ込んでいった。
警察は外でしばらく叫んでいたが、私は何も言うことが出来ない。
事件性があると判断し突入してきてくれた。
助かった。
「どなたか、どなたかいませんか?」
「……はい。ここです」
絞り出してようやく言った言葉に、書斎のドアノブが回った。
助かった。
安堵の表情を向け、ため息を吐いて救出の警察官の方を見た。
「いたぁ おったぁ」
「ひぃぃぃぃいいいいい!!!」
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