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【実話ホラー】集団ヒステリー
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私は幽霊を信じない。
それは私は怖がりのために、一度、小学生の頃に幽霊や地獄のことを考えて夜眠れなくなり、暗い場所にも近付けなくなってしまったことがあったのだ。
そんな時に、父親が私の手を引いて近所のお墓に連れて行った。そして言ったのだ。
「どうだ。お前が怖がる幽霊や火の玉がどこにある? そんなものはこの世にはないんだ。だから怖がる必要はない」
なぜかその時、とてもホッとした。また、私が暗がりが怖いというと、お菓子が入っていた鉄の箱を用意して、
「じゃあ、その怖い気持ちをこの箱に入れなさい。そしたらお父さんが裏に埋めてきてやるから」
と言ったので、怖いという気持ちを箱に向けて放ち(アホ)、父に渡すとスコップを持って裏庭に埋めてくれたのだ。
その時、とても安心したように記憶している。ようは暗示なのだろうが、当時の父も私の怖がりに頭を悩ませていたのかもしれない。
そんなこともあって、まあ怖くはあるものの、前ほど恐怖を抱かなくなり、霊という存在も、いない。と思えるようになった。
元々、視える人ではないので、視えないなら怖くはないよね。という感覚だ。
また私自身、ホラーを書く上でこのときのえも言われぬ恐怖というのは、とても役に立っている。こうなると怖いだろうと思いながら書くことが出来るからだ。
話が脱線した。
さて表題へ戻る。当時、専門学生だった私は、学生寮から学校まで自転車で通っていた。
その学校からの帰り道である。自転車を走らせて横目に景色が線となる街並みの動きを楽しんでいた。
しかし『それ』は突如現れた。
電信柱と植え込みの間に、折った座布団のようなものを被った古い着物の女の子が、その景色に混ざって見えたのだ。
「え?」
驚いて急ブレーキをかけて振り向くものの、そんなものはいなかった。
いわゆる『雪ん子』のような格好をしていたのが印象的だったので、脳裏に焼き付いてしまった。
次の日に学校で、こんなものを見たという話をすると、仲間たちは「幽霊だ」「お化けだ」「お前の先祖だ」とか言っていたが、ちょっと怖いよねぇ。的なのでその話は終わったかのように思われた。
しかし、放課後付近に、男友達の友人という二人の女が、青い顔をしながらやってきたのだ。
まあ男友達はA、二人の女はBとCにしよう。
Aは、そのBとCに先ほどの話をすると、BとCは常々霊感がある、徐霊出来るというタチの人たちで、「きっと昔の戦争で亡くなった人だ。家紋さんが優しい人だと思って、私たちを呼んでくるように頼ったのだ」と脳内変換し、使命感から近付いて来たのだった。
『雪ん子』のそれは、おそらくは『防空頭巾』で、防空壕に逃げる際に亡くなったのであろうというストーリーを言っていたので、たしかにその都市は、昔大空襲があった場所だったので、その時は若干信じてしまっていた。
そして私は自転車だが、三人は電車でそこに行くというので、彼らを電車に乗せて私は寮近くの駅まで自転車で迎えに行った。
まあ私と付き合いのあるかたは知っているが、私はそれなりに無神経なので、その駅からその場所まで3キロくらいあることをまだ言ってなかった。
なので……と言うとおかしいが、私が駅に迎えに行くと、BがCをベンチに座らせて介抱していたのだ。
Cは絶えず「寒い……、寒い」といい放ち、Bは「大丈夫? 大丈夫」とやっている。「Bちゃんは私よりも力が強いから大丈夫なんだね」「うん、でも結構この辺は強力だよね」と言っていたのだ。
Aも、二人の様子に怖がって真っ青だったが、私は気付いてしまった。
いや学校のある場所だって空襲あったろうし、どうして駅を降りたとたん?
恐らく彼女たちは、私が言っていた場所がすぐ近くだと思ったので、霊が近くにいると思い込んだのだ。
そして霊の影響を受けたと言っている。ここでワイのワイの騒いで「わー、霊が視えるんだね、スゴいね」と人にはない力を誉めて欲しいペテン師なのだと。
意地が悪いが、ここからかなり遠いという話は伏せて、『雪ん子』の見えた場所へと案内し始めた。
すると道すがら「あそこに二人いる!」だの、「寒い」「頭痛い」だのやっていた。Aはその都度怯えていたが、道半ばまでくると、徐々にそれも少なくなり「家紋さん、まだですか?」と聞く始末。
いや霊がいる場所分かるんじゃないの? と思いつつも「もう少し」と言って置いた。
そのうちにBが「あそこに首のない人がいる!」と言い出し、Cも視える。分かる、とか言い出したので、「へー、どんな服装?」と聞くと顔を見合わせて、Cが「洋服」とか答えると、Bも「そうそう」と同調するので「何色?」と聞くとCが「赤……いや血で染まった白かも」とか言っていた。
その時、Aは私の真意に気付いたようで、少し黙った。そしてBとCも私が疑っていると思い、無口になって雰囲気は悪くなったものの、その場所へは到着した。
「ここだけど」
というと、Bは手を合わせて「わぁ」とか言っていたが、Cは「えー私は何も感じないなぁ」と主張がバラついた。Bも合わせた手を下ろして「私も」とか言い出し、「じゃあ何もいないの? 気のせい?」と言うと、面倒臭そうに「そうじゃない」とか言って街中にカラオケに行くと言ってAを率いて帰っていってしまった。
自分には目に見えない力があると思い込んでしまった人々とは、これからもそのまま生きていくのだろうか?
なんにしろ、あの『雪ん子』は本当に気のせいだったのだろうか?
そして自分の意地の悪い性格。これがホントに怖い。
それは私は怖がりのために、一度、小学生の頃に幽霊や地獄のことを考えて夜眠れなくなり、暗い場所にも近付けなくなってしまったことがあったのだ。
そんな時に、父親が私の手を引いて近所のお墓に連れて行った。そして言ったのだ。
「どうだ。お前が怖がる幽霊や火の玉がどこにある? そんなものはこの世にはないんだ。だから怖がる必要はない」
なぜかその時、とてもホッとした。また、私が暗がりが怖いというと、お菓子が入っていた鉄の箱を用意して、
「じゃあ、その怖い気持ちをこの箱に入れなさい。そしたらお父さんが裏に埋めてきてやるから」
と言ったので、怖いという気持ちを箱に向けて放ち(アホ)、父に渡すとスコップを持って裏庭に埋めてくれたのだ。
その時、とても安心したように記憶している。ようは暗示なのだろうが、当時の父も私の怖がりに頭を悩ませていたのかもしれない。
そんなこともあって、まあ怖くはあるものの、前ほど恐怖を抱かなくなり、霊という存在も、いない。と思えるようになった。
元々、視える人ではないので、視えないなら怖くはないよね。という感覚だ。
また私自身、ホラーを書く上でこのときのえも言われぬ恐怖というのは、とても役に立っている。こうなると怖いだろうと思いながら書くことが出来るからだ。
話が脱線した。
さて表題へ戻る。当時、専門学生だった私は、学生寮から学校まで自転車で通っていた。
その学校からの帰り道である。自転車を走らせて横目に景色が線となる街並みの動きを楽しんでいた。
しかし『それ』は突如現れた。
電信柱と植え込みの間に、折った座布団のようなものを被った古い着物の女の子が、その景色に混ざって見えたのだ。
「え?」
驚いて急ブレーキをかけて振り向くものの、そんなものはいなかった。
いわゆる『雪ん子』のような格好をしていたのが印象的だったので、脳裏に焼き付いてしまった。
次の日に学校で、こんなものを見たという話をすると、仲間たちは「幽霊だ」「お化けだ」「お前の先祖だ」とか言っていたが、ちょっと怖いよねぇ。的なのでその話は終わったかのように思われた。
しかし、放課後付近に、男友達の友人という二人の女が、青い顔をしながらやってきたのだ。
まあ男友達はA、二人の女はBとCにしよう。
Aは、そのBとCに先ほどの話をすると、BとCは常々霊感がある、徐霊出来るというタチの人たちで、「きっと昔の戦争で亡くなった人だ。家紋さんが優しい人だと思って、私たちを呼んでくるように頼ったのだ」と脳内変換し、使命感から近付いて来たのだった。
『雪ん子』のそれは、おそらくは『防空頭巾』で、防空壕に逃げる際に亡くなったのであろうというストーリーを言っていたので、たしかにその都市は、昔大空襲があった場所だったので、その時は若干信じてしまっていた。
そして私は自転車だが、三人は電車でそこに行くというので、彼らを電車に乗せて私は寮近くの駅まで自転車で迎えに行った。
まあ私と付き合いのあるかたは知っているが、私はそれなりに無神経なので、その駅からその場所まで3キロくらいあることをまだ言ってなかった。
なので……と言うとおかしいが、私が駅に迎えに行くと、BがCをベンチに座らせて介抱していたのだ。
Cは絶えず「寒い……、寒い」といい放ち、Bは「大丈夫? 大丈夫」とやっている。「Bちゃんは私よりも力が強いから大丈夫なんだね」「うん、でも結構この辺は強力だよね」と言っていたのだ。
Aも、二人の様子に怖がって真っ青だったが、私は気付いてしまった。
いや学校のある場所だって空襲あったろうし、どうして駅を降りたとたん?
恐らく彼女たちは、私が言っていた場所がすぐ近くだと思ったので、霊が近くにいると思い込んだのだ。
そして霊の影響を受けたと言っている。ここでワイのワイの騒いで「わー、霊が視えるんだね、スゴいね」と人にはない力を誉めて欲しいペテン師なのだと。
意地が悪いが、ここからかなり遠いという話は伏せて、『雪ん子』の見えた場所へと案内し始めた。
すると道すがら「あそこに二人いる!」だの、「寒い」「頭痛い」だのやっていた。Aはその都度怯えていたが、道半ばまでくると、徐々にそれも少なくなり「家紋さん、まだですか?」と聞く始末。
いや霊がいる場所分かるんじゃないの? と思いつつも「もう少し」と言って置いた。
そのうちにBが「あそこに首のない人がいる!」と言い出し、Cも視える。分かる、とか言い出したので、「へー、どんな服装?」と聞くと顔を見合わせて、Cが「洋服」とか答えると、Bも「そうそう」と同調するので「何色?」と聞くとCが「赤……いや血で染まった白かも」とか言っていた。
その時、Aは私の真意に気付いたようで、少し黙った。そしてBとCも私が疑っていると思い、無口になって雰囲気は悪くなったものの、その場所へは到着した。
「ここだけど」
というと、Bは手を合わせて「わぁ」とか言っていたが、Cは「えー私は何も感じないなぁ」と主張がバラついた。Bも合わせた手を下ろして「私も」とか言い出し、「じゃあ何もいないの? 気のせい?」と言うと、面倒臭そうに「そうじゃない」とか言って街中にカラオケに行くと言ってAを率いて帰っていってしまった。
自分には目に見えない力があると思い込んでしまった人々とは、これからもそのまま生きていくのだろうか?
なんにしろ、あの『雪ん子』は本当に気のせいだったのだろうか?
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