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襲撃
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また課長に叱られた。いつもいつも俺ばかりだ。ヤキモキする。同僚の菅井はニヤニヤからかうように笑っていやがった。ムカつく。
帰りがけに総務の赤井嬢に声をかけた。しかし約束があるらしい。課長とデキてる噂は本当なのか。前々から目を付けていたのに。所詮女なんてイケメンが好きなのかよ。
次の日、部長に集められて緊急の朝礼が始まった。課長が会社帰りに何者かに襲われて失明したらしい。
あのイケ顔が目にも当てられない顔になったかと、胸の中で溜飲が下がったが、みんなの顔は明らかに俺を疑っていた。
中でも課長と仲の良かった杉田係長には呼び出しを食らって、事情聴取のような真似をされたが、俺じゃない。
こんなことされるいわれはないし、パワハラだと言うと、杉田係長は苦虫を噛み潰したような顔をして俺を解放してくれた。
同僚の菅井は、近付いてきて俺の不幸を笑うので腹が立って仕方がなかった。
次の日も臨時朝礼である。杉田係長が帰宅途中で襲われ、頭蓋骨骨折の重症だと言われた。
みんな一斉に俺を見る。
違う。違う。
どうして俺がこんな目に。課長にも係長にもさんざんな目に合わされたのは俺だと言うのに。
菅井は、恐れたような顔をして俺と目を合わさなくなった。なんだってんだ畜生。
いたたまれなくなった。針のむしろだ。俺の代わりに嫌なやつを襲ってくれるのはありがたいが、嫌疑が俺にかかっちまってるじゃないか。
帰ろうとすると、総務の赤井嬢が俺を睨んでいる。おそらく課長を襲ったのは俺だと思い込んでやがるんだ。
チクショウ……。
早々に家に帰って着替えた。帽子をかぶってマスクをし、変装したのだ。
そしてこっそりと会社に戻る。
恐らくだが、この襲撃事件は、俺の犯行と見せかけるものだろう。真犯人は別にいて、俺を身代わりにして犯罪を楽しんでいる。
きっと次に襲われるのは──。
会社から赤井嬢が出てきた。こっそりとそれを追う。彼女は薄暗い公園の道を進んだ。
襲われるとしたら、ここかもしれない。
俺は彼女を守る騎士のように距離を取って、彼女がよく見える位置にいた。
その時だった。茂みからスーツ姿の男が覆面を被りバットを振り上げて彼女へと襲いかかる。
そのスーツは、俺と同じもので背格好も似ていた。
赤井嬢は叫んだが、肩を殴られて倒れ込んでしまった。俺はそこに駆け出す。
犯人は彼女の上に跨がり、服を破って欲を満たそうとしていたので簡単に抑え込むことが出来た。
「誰だお前は!」
被り物を外すと、それは菅井だった。
そこに警察がやってきて、真犯人の菅井に取り押さえて手錠をかけていた。
しかしどうやら警察が張っていたのは俺らしく、家からずっと泳がされていたらしい。赤井嬢を付け回していたので、九割方俺を犯人だと思っていたが、こう言う結果になったのだと言っていた。
正直腹が立ったが、真犯人が捕まって良かったとホッとした。
ようやく平凡な日常が戻ったと思った。部長が朝礼を開いた時の話しでは、菅井は取り調べに入る前に苦しみだし、そのまま生き絶えたらしい。どうも取り押さえられた時に頭に衝撃を受けたか、精神的なショックとかそんなことらしい。結局、あいつの動機は分からず終いだった。
怖かったであろう、赤井嬢のところに行き、慰めつつも食事に誘うと、嫌そうではなかったが予定があるから別の日にと言われ、少し気持ちが浮わついた。
これはきっと脈ありだ。助けた俺に惚れたのかも。
次の日、部長が臨時朝礼を開いた。
「昨日、総務の赤井さんが帰宅途中に何者かに襲われたそうだ。最近物騒だからみんなも気を付けてくれたまえ──」
一斉にみんな俺を見る。
う、ウソだろ? 犯人は一体……? 一体誰だって言うんだ!?
帰りがけに総務の赤井嬢に声をかけた。しかし約束があるらしい。課長とデキてる噂は本当なのか。前々から目を付けていたのに。所詮女なんてイケメンが好きなのかよ。
次の日、部長に集められて緊急の朝礼が始まった。課長が会社帰りに何者かに襲われて失明したらしい。
あのイケ顔が目にも当てられない顔になったかと、胸の中で溜飲が下がったが、みんなの顔は明らかに俺を疑っていた。
中でも課長と仲の良かった杉田係長には呼び出しを食らって、事情聴取のような真似をされたが、俺じゃない。
こんなことされるいわれはないし、パワハラだと言うと、杉田係長は苦虫を噛み潰したような顔をして俺を解放してくれた。
同僚の菅井は、近付いてきて俺の不幸を笑うので腹が立って仕方がなかった。
次の日も臨時朝礼である。杉田係長が帰宅途中で襲われ、頭蓋骨骨折の重症だと言われた。
みんな一斉に俺を見る。
違う。違う。
どうして俺がこんな目に。課長にも係長にもさんざんな目に合わされたのは俺だと言うのに。
菅井は、恐れたような顔をして俺と目を合わさなくなった。なんだってんだ畜生。
いたたまれなくなった。針のむしろだ。俺の代わりに嫌なやつを襲ってくれるのはありがたいが、嫌疑が俺にかかっちまってるじゃないか。
帰ろうとすると、総務の赤井嬢が俺を睨んでいる。おそらく課長を襲ったのは俺だと思い込んでやがるんだ。
チクショウ……。
早々に家に帰って着替えた。帽子をかぶってマスクをし、変装したのだ。
そしてこっそりと会社に戻る。
恐らくだが、この襲撃事件は、俺の犯行と見せかけるものだろう。真犯人は別にいて、俺を身代わりにして犯罪を楽しんでいる。
きっと次に襲われるのは──。
会社から赤井嬢が出てきた。こっそりとそれを追う。彼女は薄暗い公園の道を進んだ。
襲われるとしたら、ここかもしれない。
俺は彼女を守る騎士のように距離を取って、彼女がよく見える位置にいた。
その時だった。茂みからスーツ姿の男が覆面を被りバットを振り上げて彼女へと襲いかかる。
そのスーツは、俺と同じもので背格好も似ていた。
赤井嬢は叫んだが、肩を殴られて倒れ込んでしまった。俺はそこに駆け出す。
犯人は彼女の上に跨がり、服を破って欲を満たそうとしていたので簡単に抑え込むことが出来た。
「誰だお前は!」
被り物を外すと、それは菅井だった。
そこに警察がやってきて、真犯人の菅井に取り押さえて手錠をかけていた。
しかしどうやら警察が張っていたのは俺らしく、家からずっと泳がされていたらしい。赤井嬢を付け回していたので、九割方俺を犯人だと思っていたが、こう言う結果になったのだと言っていた。
正直腹が立ったが、真犯人が捕まって良かったとホッとした。
ようやく平凡な日常が戻ったと思った。部長が朝礼を開いた時の話しでは、菅井は取り調べに入る前に苦しみだし、そのまま生き絶えたらしい。どうも取り押さえられた時に頭に衝撃を受けたか、精神的なショックとかそんなことらしい。結局、あいつの動機は分からず終いだった。
怖かったであろう、赤井嬢のところに行き、慰めつつも食事に誘うと、嫌そうではなかったが予定があるから別の日にと言われ、少し気持ちが浮わついた。
これはきっと脈ありだ。助けた俺に惚れたのかも。
次の日、部長が臨時朝礼を開いた。
「昨日、総務の赤井さんが帰宅途中に何者かに襲われたそうだ。最近物騒だからみんなも気を付けてくれたまえ──」
一斉にみんな俺を見る。
う、ウソだろ? 犯人は一体……? 一体誰だって言うんだ!?
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