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第34話 フラれた
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なんてことはない。振られたんだ。
見限られた。今はそう思える。
最初はなんでアダルトDVDに出てたことを言えないんだと憤慨。
その後は女々しく麗の残り香が残るタオルケットの匂いをかぎながら自己炎上。
むなしくなって泣く。
そして、憤慨し心のなかで麗を毒づく堂々巡り。
結局、自分の心の狭さかもしれない。
一週間経ってもまだ麗が部屋にいるかと目を追ってしまう。
未練だ。麗は潔く出ていったのに。
止められなかったくせに。
しかし思い出すのは麗に覆い被さる、茶褐色の肌の男、男、男。
ここに麗を留めていて平常心で入れるはずがない。
涙を流しながら大きくため息をつく。
きっと麗はもう立ち直って、刺身を食べながらニャゴニャゴ言ってるのかも知れない。
オレを忘れて別な男と──。
金を渡したのは、行きずりの男のところに行って欲しくないためだ。自分で追い出しておいて、まだ麗のこと自分のものだと思っている。
「レイ……ゴメンな……許してくれ」
今ごろ誰かに抱かれていると思うと、ドロドロとした嫉妬に押しつぶされそうだ。
忘れなくては。忘れなくては。
麗といた時間なんてホントにわずか。
1年いなかったんだから。
「それに、四回目の家族ってなんだろう」
一度目は分かる。
火事で両親を失ったんだ。
二度目は叔父の家へ行って、トラブルがあって出たのかも知れない。
三度目。これがくせ者だ。
オレの部屋に来る前に、別な男と暮らしていたのかも。
家族に近い場所にいけていたのかも。
「そいつと付き合いながら、アダルトDVDに出たのかよ。ひょっとして、ホストかなんか? 良いように金づるだったのかな? それならそれで言ってくれれば良いのに」
ダブルベッドを転がる。
「ふん……なんなんだあの女」
ホントにやり場のない怒りとか、哀しさとか、嫉妬とか。
麗をずっと自分の元に置いておけなかったこの気持ち。
心に大きな穴が空いてしまった。
「あーあ。皆野水都の動画でも見ようかな?」
見たくないなら見なきゃ良いのに。
すでに、裏動画サイトで「皆野水都」を検索していた。
そこには、5分や8分のカットに分けられた麗のアダルト動画が投稿されている。
それを見ていた。懐かしい声が聞こえる。
涙で映像がボケる。
「なんだなんだ。レイのやつ全然感じてないじゃねーか。それ演技だろ? 男優も下手クソ。麗の感じるところが分かってないなぁー」
膝の上で握ったこぶしが痛い。
自分だけ。自分だけの特別な麗が、知らない連中に抱かれている。
それを全国の知らない連中が見ている。
オレだけの麗を。
「あー。クソ」
休みの日が長い。そしてその時間は麗の影に押しつぶされている。
自分でも愚かなことだと分かっているがどうにもならない。
未練。未練。未練。
あの手を放さなければ良かったのか?
答えが出ない。
しかしもう麗はここにはいない。
「新しい恋でもすれば忘れられるのかな……」
明日までたっぷり時間がある。
だけどヒマなので、ダブルベッドの上で目を閉じた。
見限られた。今はそう思える。
最初はなんでアダルトDVDに出てたことを言えないんだと憤慨。
その後は女々しく麗の残り香が残るタオルケットの匂いをかぎながら自己炎上。
むなしくなって泣く。
そして、憤慨し心のなかで麗を毒づく堂々巡り。
結局、自分の心の狭さかもしれない。
一週間経ってもまだ麗が部屋にいるかと目を追ってしまう。
未練だ。麗は潔く出ていったのに。
止められなかったくせに。
しかし思い出すのは麗に覆い被さる、茶褐色の肌の男、男、男。
ここに麗を留めていて平常心で入れるはずがない。
涙を流しながら大きくため息をつく。
きっと麗はもう立ち直って、刺身を食べながらニャゴニャゴ言ってるのかも知れない。
オレを忘れて別な男と──。
金を渡したのは、行きずりの男のところに行って欲しくないためだ。自分で追い出しておいて、まだ麗のこと自分のものだと思っている。
「レイ……ゴメンな……許してくれ」
今ごろ誰かに抱かれていると思うと、ドロドロとした嫉妬に押しつぶされそうだ。
忘れなくては。忘れなくては。
麗といた時間なんてホントにわずか。
1年いなかったんだから。
「それに、四回目の家族ってなんだろう」
一度目は分かる。
火事で両親を失ったんだ。
二度目は叔父の家へ行って、トラブルがあって出たのかも知れない。
三度目。これがくせ者だ。
オレの部屋に来る前に、別な男と暮らしていたのかも。
家族に近い場所にいけていたのかも。
「そいつと付き合いながら、アダルトDVDに出たのかよ。ひょっとして、ホストかなんか? 良いように金づるだったのかな? それならそれで言ってくれれば良いのに」
ダブルベッドを転がる。
「ふん……なんなんだあの女」
ホントにやり場のない怒りとか、哀しさとか、嫉妬とか。
麗をずっと自分の元に置いておけなかったこの気持ち。
心に大きな穴が空いてしまった。
「あーあ。皆野水都の動画でも見ようかな?」
見たくないなら見なきゃ良いのに。
すでに、裏動画サイトで「皆野水都」を検索していた。
そこには、5分や8分のカットに分けられた麗のアダルト動画が投稿されている。
それを見ていた。懐かしい声が聞こえる。
涙で映像がボケる。
「なんだなんだ。レイのやつ全然感じてないじゃねーか。それ演技だろ? 男優も下手クソ。麗の感じるところが分かってないなぁー」
膝の上で握ったこぶしが痛い。
自分だけ。自分だけの特別な麗が、知らない連中に抱かれている。
それを全国の知らない連中が見ている。
オレだけの麗を。
「あー。クソ」
休みの日が長い。そしてその時間は麗の影に押しつぶされている。
自分でも愚かなことだと分かっているがどうにもならない。
未練。未練。未練。
あの手を放さなければ良かったのか?
答えが出ない。
しかしもう麗はここにはいない。
「新しい恋でもすれば忘れられるのかな……」
明日までたっぷり時間がある。
だけどヒマなので、ダブルベッドの上で目を閉じた。
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