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第25話 地元の友人
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正月休みは、麗を連れて田舎に帰省した。
オレの田舎の様子に麗も大変喜んでいた。
「すっごーい。広いね。広いね」
「何もないだけだよ」
「タイちゃん」
「ん?」
「んふー」
手を繋いで温かい吐息と共に大きく微笑む。
まったく。この麗と未来をともに進めるなんて嬉しすぎる。
駅から荷物を引いて自宅へ向かう。
久しぶりの街の人々が懐かしい。
「あれ? 泰志かぁ?」
「おーう。ミネ」
同級生の峰岸だ。通称ミネ。
仲の良かった友人だが、上京して専門学校から就職したために会う機会がなかった。
「うっそ。マジ? 彼女かよぉ」
「ああ。紹介するよ。オレの婚約者。須藤麗だ」
「こんにちわ。いつもタイちゃんがお世話になってます。麗です」
「あれ? どっかで会ったことある?」
「……いえ。たぶんないです」
「だよねぇ」
「なんだよ。ナンパの手口? 人の彼女によぉ」
「あー。うそうそ。ゴメン」
その後は他愛もない雑談。
中学の同級生に子どもがすでに二人いるとか、先生が転任した話とか。
「ミネ今、彼女は?」
「今はいないよ。レイさん、誰か紹介して」
「えー。友だちいないんで……」
「あー。ゴメン」
「まぁ、ミネ頑張れよ!」
「おーう。お前もな」
手を振って別れた。ミネはしばらくオレの背中を眺めていた。
「あの口もとのホクロ。どこかで見たような……」
そんな言葉は当然聞こえなかった。
麗の組み付いた腕が強まる。
オレの両親に会うのに緊張しているのかも知れない。
「タイちゃん」
「なに?」
「ねぇ、放さないで」
「放さないよ」
「放れそうだよ」
「そんなことねぇよ」
オレは麗の腕を小脇に抱えて進んだ。
面白いのか、少しばかり笑っている。
「やっぱ、緊張するか?」
「そんな。タイちゃんのお父さんとお母さんは、レイのお義父さんとお義母さんになるんだもん」
「そうだな」
この時、麗は苦しんでいたのだろう。
もうじき分かる、麗の過去。
それに対するオレの反応。
怖かったのだろう。
怖かったのだろう──。
オレの田舎の様子に麗も大変喜んでいた。
「すっごーい。広いね。広いね」
「何もないだけだよ」
「タイちゃん」
「ん?」
「んふー」
手を繋いで温かい吐息と共に大きく微笑む。
まったく。この麗と未来をともに進めるなんて嬉しすぎる。
駅から荷物を引いて自宅へ向かう。
久しぶりの街の人々が懐かしい。
「あれ? 泰志かぁ?」
「おーう。ミネ」
同級生の峰岸だ。通称ミネ。
仲の良かった友人だが、上京して専門学校から就職したために会う機会がなかった。
「うっそ。マジ? 彼女かよぉ」
「ああ。紹介するよ。オレの婚約者。須藤麗だ」
「こんにちわ。いつもタイちゃんがお世話になってます。麗です」
「あれ? どっかで会ったことある?」
「……いえ。たぶんないです」
「だよねぇ」
「なんだよ。ナンパの手口? 人の彼女によぉ」
「あー。うそうそ。ゴメン」
その後は他愛もない雑談。
中学の同級生に子どもがすでに二人いるとか、先生が転任した話とか。
「ミネ今、彼女は?」
「今はいないよ。レイさん、誰か紹介して」
「えー。友だちいないんで……」
「あー。ゴメン」
「まぁ、ミネ頑張れよ!」
「おーう。お前もな」
手を振って別れた。ミネはしばらくオレの背中を眺めていた。
「あの口もとのホクロ。どこかで見たような……」
そんな言葉は当然聞こえなかった。
麗の組み付いた腕が強まる。
オレの両親に会うのに緊張しているのかも知れない。
「タイちゃん」
「なに?」
「ねぇ、放さないで」
「放さないよ」
「放れそうだよ」
「そんなことねぇよ」
オレは麗の腕を小脇に抱えて進んだ。
面白いのか、少しばかり笑っている。
「やっぱ、緊張するか?」
「そんな。タイちゃんのお父さんとお母さんは、レイのお義父さんとお義母さんになるんだもん」
「そうだな」
この時、麗は苦しんでいたのだろう。
もうじき分かる、麗の過去。
それに対するオレの反応。
怖かったのだろう。
怖かったのだろう──。
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