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第18話 大切なこと
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絶対ェ、絶対ェ、結婚する。
麗と一緒に幸せな結婚。
なにも真司と蛍への対抗意識じゃない。
それは少しはあるかも知れないが、麗を幸せにしたい。
その気持ちが大きい。
「なー。タイちゃん」
麗がじゃれついてくるが、オレは寝室に置いた机に向かって一生懸命仕事をする。
結婚や未来のためにはやっぱりお金が必要なんだ。
麗には親がいない。ウチの親はオレを専門学校に入れて金が全くなくなったと言っていた。当てにならない。
つまり、互いの両親からの援助は求められないので必死だ。
会社の仕事の他に、国や公共機関で募集しているデザインのコンテストに応募する。
これは優勝なら、絵柄が採用され賞金がでる。
次点でも賞金。わずかでも足しになればいいし、名前も売れる。
それがすぐ結果となった。
地区祭りポスターのコンテストで奨励賞二万円。
こんなに嬉しい二万円はなかった。
「レイ?」
「なー」
「これ見てみろよ。オレの名前」
「あ。お魚ってこう書くの?」
「お魚じゃない、坂間野。レイも坂間野になるんだから覚えとけよ」
「え?」
「結婚するんだろ?」
麗はそれを聞くとグニャグニャになってしまった。体に溶けるように抱き付いて、オレの膝に頭を乗せて顔を見上げてきた。
「なーん。うれしいなーん」
なんて可愛らしい。ニコニコ笑って全身で嬉しいことをアピールしている。
「それで、賞金が出たんだ。これは結婚資金に取っておくからな」
「お金? 結婚資金?」
「そう。ウェディングドレス来たり、披露宴したりするだろ?」
「なーん」
オレは普通の男とは違うかも知れない。
結婚披露宴に憧れを持っているのだ。
「なー。レイは別に結婚式しなくてもいいなー」
「なんでだよ。女の子の憧れじゃないの? 白いウェディングドレス着て、ブーケ投げて、みんなから写真取られて。パシャパシャパシャ。フラッシュの点滅にご注意ください。パシャパシャ」
「別にいい。タイちゃんと一緒なら」
「お前はほんとにかわいいやつだなぁ~」
「なーん」
「にゃーん」
オレたちは互いの体に飛び付いた。
麗が好きだ──。
この可愛らしい顔。
そして肉体。
尽くしてくれる気持ち。
いつもオレを一番に考えてくれる。
互いに同時に果て合い、深い息。
「どうだレイ。奨励賞のデザインをとった男に抱かれるのは」
「なーん。最高なーん」
ふふふ。かわいい。
でも気になってしまった。
麗には最高の技がある。男を悦ばせる技。蕩けさせる術。
それってつまり、過去に寝た男から教えられたんだよなぁ~。
おっと。麗の過去は詮索しないんだった。
気にすると気になっちまう。
デザインのことを考えなくては。
デザインのこと。
「今日はお祝いにスーパーからマグロのお刺身を買ってくるか」
「なーん。レイはぁ、レイはぁ、形が悪くてもいっぱい食べたい」
「あそこスジが多いじゃん?」
「あとネギトロ」
「そしてツナ缶?」
「なー」
「行くぞ。スーパー!」
「なー!」
オレたちは服を着替えて、刺身を買いに出掛けた。
麗の好きなお魚。
それはオレも好きなもの。
麗はオレに合わせてくれるけど、オレも麗に合わせて行ってる。
それって二人の生活にとても重要だ。
とっても、とっても重要なんだ。
麗と一緒に幸せな結婚。
なにも真司と蛍への対抗意識じゃない。
それは少しはあるかも知れないが、麗を幸せにしたい。
その気持ちが大きい。
「なー。タイちゃん」
麗がじゃれついてくるが、オレは寝室に置いた机に向かって一生懸命仕事をする。
結婚や未来のためにはやっぱりお金が必要なんだ。
麗には親がいない。ウチの親はオレを専門学校に入れて金が全くなくなったと言っていた。当てにならない。
つまり、互いの両親からの援助は求められないので必死だ。
会社の仕事の他に、国や公共機関で募集しているデザインのコンテストに応募する。
これは優勝なら、絵柄が採用され賞金がでる。
次点でも賞金。わずかでも足しになればいいし、名前も売れる。
それがすぐ結果となった。
地区祭りポスターのコンテストで奨励賞二万円。
こんなに嬉しい二万円はなかった。
「レイ?」
「なー」
「これ見てみろよ。オレの名前」
「あ。お魚ってこう書くの?」
「お魚じゃない、坂間野。レイも坂間野になるんだから覚えとけよ」
「え?」
「結婚するんだろ?」
麗はそれを聞くとグニャグニャになってしまった。体に溶けるように抱き付いて、オレの膝に頭を乗せて顔を見上げてきた。
「なーん。うれしいなーん」
なんて可愛らしい。ニコニコ笑って全身で嬉しいことをアピールしている。
「それで、賞金が出たんだ。これは結婚資金に取っておくからな」
「お金? 結婚資金?」
「そう。ウェディングドレス来たり、披露宴したりするだろ?」
「なーん」
オレは普通の男とは違うかも知れない。
結婚披露宴に憧れを持っているのだ。
「なー。レイは別に結婚式しなくてもいいなー」
「なんでだよ。女の子の憧れじゃないの? 白いウェディングドレス着て、ブーケ投げて、みんなから写真取られて。パシャパシャパシャ。フラッシュの点滅にご注意ください。パシャパシャ」
「別にいい。タイちゃんと一緒なら」
「お前はほんとにかわいいやつだなぁ~」
「なーん」
「にゃーん」
オレたちは互いの体に飛び付いた。
麗が好きだ──。
この可愛らしい顔。
そして肉体。
尽くしてくれる気持ち。
いつもオレを一番に考えてくれる。
互いに同時に果て合い、深い息。
「どうだレイ。奨励賞のデザインをとった男に抱かれるのは」
「なーん。最高なーん」
ふふふ。かわいい。
でも気になってしまった。
麗には最高の技がある。男を悦ばせる技。蕩けさせる術。
それってつまり、過去に寝た男から教えられたんだよなぁ~。
おっと。麗の過去は詮索しないんだった。
気にすると気になっちまう。
デザインのことを考えなくては。
デザインのこと。
「今日はお祝いにスーパーからマグロのお刺身を買ってくるか」
「なーん。レイはぁ、レイはぁ、形が悪くてもいっぱい食べたい」
「あそこスジが多いじゃん?」
「あとネギトロ」
「そしてツナ缶?」
「なー」
「行くぞ。スーパー!」
「なー!」
オレたちは服を着替えて、刺身を買いに出掛けた。
麗の好きなお魚。
それはオレも好きなもの。
麗はオレに合わせてくれるけど、オレも麗に合わせて行ってる。
それって二人の生活にとても重要だ。
とっても、とっても重要なんだ。
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