2 / 68
第2話 自己紹介
しおりを挟む
怖いお兄さんを警戒しながら、腕にしがみつく彼女を引きずって安アパートに到着。
一つ屋根の下、男女がすることって言ったらアレだよな。
真司から貰い続けていた男性用避妊具。
部屋の箱の中に溜まりたまって30くらいある。
今のオレは一味違う。
酒も手伝い、ありもしない自信に満ちあふれ、テンションはマックスだった。
ドアを開けると彼女は嬉しそうに部屋に上がり込んで、部屋を見渡した。
「なーん。なーん」
彼女の口癖なのかも知れない。子どものようだが、嬉しそうに声を上げる。一間のリビング、奥の寝室。廊下と一体型のキッチン。お風呂とトイレ。
彼女は順繰りにそれを眺めると嬉しそうに微笑み、また抱き付いてきた。
「いいおうちだね」
「そうかな? 家賃は安いよ」
抱き付かれて彼女の大きな胸がオレの胸に当たる。
そこを見ると、今にもシャツからはみ出しそうにこんもりとしていて、谷間が見えた。
もう我慢の限界。
彼女を抱き締めようとしたとき。
彼女のお腹から「くる~……」っと音がする。
思わず笑ってしまった。よほど空腹なんだろう。
「なーん。お腹すいた~」
「みたいだね」
冷蔵庫を開けると、牛乳。そしてテーブルの上に箱に入ったドライフルーツ入りのシリアル。
「シリアルでいい?」
「なーん」
なんて可愛らしい返事と笑顔。
意味は分からないが、本当に猫みたい。
小さいボウルと、木のスプーンを用意して、ボウルにシリアルと牛乳を注いだ。
「なーん。おいしそー」
「そうかな?」
彼女は本当に旨そうに、スプーンでシリアルをすくって食べていた。
その間に、部屋のエアコンを入れる。
「あ!」
すかさず彼女は、シリアルの入ったボウルを持って、エアコンの下に移動してきた。エアコンから出る風が、彼女の髪を小さくなびかせる。
「なーん。涼しー。これ、おいしー」
なんて自由な。行儀は悪いが、微笑ましく、そんな姿の彼女にしばらく見入っていた。
そのうちに、キレイにシリアルを平らげた彼女はそれを近くのテーブルの上に置いた。
こちらを振り向いて楽しそうに笑うが、口の周りが牛乳だらけ。口の端から牛乳が一筋こぼれている。
なぜかめちゃくちゃ興奮した。
このまま押し倒してしまいたい。
そう思っていると、彼女はまたひと声猫のように鳴く。
「ねぇ。お名前は?」
「え? ああ。坂間野 泰志」
「え? ふふ。さかなのたい? 面白いお名前」
「違う違う。坂間野」
「おさかな?」
「おは入ってないの」
「にゃーん」
「……わざとやってるな」
「にゃん」
可愛らしかった。魚に敏感に反応するなんて、やっぱり猫。
彼女は必要以上にベタベタしてくる。
オレの緊張もほぐれてゆく。
そのまま、エアコンの下にあるソファーに密着しながら座った。
「君は? 君の名前」
「レイはお魚さんみたいに面白くないよ」
「レイって言うんだ」
「うん。須藤 麗」
「へー。ストウレイね……。つか、猫みてー」
「えー。そうかなぁ?」
「そうだよ」
「なーん」
須藤麗。野良猫って意味に近いじゃないか。ピッタリだ。オレはわずかに微笑んだ。
麗はソファーが小さいのか、腕をオレの肩に回す。
大きな胸が、オレの顔に近付くのだ。
なんて無防備な。
「レイは? 何歳?」
「タイちゃんは?」
「タイちゃん?」
「だって、おさかなも、タイシも呼びづらいじゃない?」
「そうか、いいね」
「でしょ。これからはタイちゃんで」
「オレは23」
そして、童貞ね。
そんなオレが、さっき会った子とこんなにイチャイチャしてるなんて不思議。
「へー。お兄さんじゃん。レイは19」
「わっか! 学生?」
「ううん。何もしてないの」
「へー。フリーターかな?」
「違うよ」
そう言いながら麗の顔が近づく。
ふっくらとした光る唇。
これは……。つまり、キス!
スイマセン。童貞でスイマセン。
キスもまだでした。
どうすりゃいいんだ?
でも、自然にって感じだよな。
彼女の頬に手を添えて。
と思ったら、麗は二本の手でオレの頬を押さえ、強引に唇を合わせてきた。
余りのことに、目を開けていた。
だが、すぐに目を閉じる。
彼女の口に合わせて、こちらの口を馴染ませてゆく。
そして、大人のキス。
何だよ。今日のオレは。
大人の階段じゃねぇ。エレベーター。
ものすごい勢いで上がっていくぞ!
屋上が近いッ!
「レイ、シャワー浴びてこよっと!」
麗は立ち上がると、自分の家のようにシャワールームへ。
最初はキスの余韻に浸りながらその姿がシャワールームに消えるのを眺めていたがハッとした。
今 し か ねぇ!
シャワーの音を聞きながら、寝室へ行き、ベッドのシーツを引き直す。引き直したシーツは冷たく、麗もきっと気に入るだろう。
そして避妊具。真司に貰っていた、様々なパッケージのものを、小さい箱に入れて置いたのだ。
聞いたことがある。枕の下に隠しておくと良いと言うことを。
とりあえず二つ。残りはベッドの下に箱ごと入れ込んだ。
そして、真司にラインを打つ。
Line:泰志「今日、大人になります。さらば童貞」
シャワーの音を聞きながら落ち着かない。
真司が言っていたことを思い出す。
「あんまり、童貞こじらせて、セックスに夢を抱き過ぎんなよ。動画とは全然違うぞ。あれはショー。本来はそれの80パーセントほど地味なもんだから」
そうなのだろうか?
確かに、経験が無いから何とも言えない。
でも、ドキドキもワクワクも止まらない。
一つ屋根の下、男女がすることって言ったらアレだよな。
真司から貰い続けていた男性用避妊具。
部屋の箱の中に溜まりたまって30くらいある。
今のオレは一味違う。
酒も手伝い、ありもしない自信に満ちあふれ、テンションはマックスだった。
ドアを開けると彼女は嬉しそうに部屋に上がり込んで、部屋を見渡した。
「なーん。なーん」
彼女の口癖なのかも知れない。子どものようだが、嬉しそうに声を上げる。一間のリビング、奥の寝室。廊下と一体型のキッチン。お風呂とトイレ。
彼女は順繰りにそれを眺めると嬉しそうに微笑み、また抱き付いてきた。
「いいおうちだね」
「そうかな? 家賃は安いよ」
抱き付かれて彼女の大きな胸がオレの胸に当たる。
そこを見ると、今にもシャツからはみ出しそうにこんもりとしていて、谷間が見えた。
もう我慢の限界。
彼女を抱き締めようとしたとき。
彼女のお腹から「くる~……」っと音がする。
思わず笑ってしまった。よほど空腹なんだろう。
「なーん。お腹すいた~」
「みたいだね」
冷蔵庫を開けると、牛乳。そしてテーブルの上に箱に入ったドライフルーツ入りのシリアル。
「シリアルでいい?」
「なーん」
なんて可愛らしい返事と笑顔。
意味は分からないが、本当に猫みたい。
小さいボウルと、木のスプーンを用意して、ボウルにシリアルと牛乳を注いだ。
「なーん。おいしそー」
「そうかな?」
彼女は本当に旨そうに、スプーンでシリアルをすくって食べていた。
その間に、部屋のエアコンを入れる。
「あ!」
すかさず彼女は、シリアルの入ったボウルを持って、エアコンの下に移動してきた。エアコンから出る風が、彼女の髪を小さくなびかせる。
「なーん。涼しー。これ、おいしー」
なんて自由な。行儀は悪いが、微笑ましく、そんな姿の彼女にしばらく見入っていた。
そのうちに、キレイにシリアルを平らげた彼女はそれを近くのテーブルの上に置いた。
こちらを振り向いて楽しそうに笑うが、口の周りが牛乳だらけ。口の端から牛乳が一筋こぼれている。
なぜかめちゃくちゃ興奮した。
このまま押し倒してしまいたい。
そう思っていると、彼女はまたひと声猫のように鳴く。
「ねぇ。お名前は?」
「え? ああ。坂間野 泰志」
「え? ふふ。さかなのたい? 面白いお名前」
「違う違う。坂間野」
「おさかな?」
「おは入ってないの」
「にゃーん」
「……わざとやってるな」
「にゃん」
可愛らしかった。魚に敏感に反応するなんて、やっぱり猫。
彼女は必要以上にベタベタしてくる。
オレの緊張もほぐれてゆく。
そのまま、エアコンの下にあるソファーに密着しながら座った。
「君は? 君の名前」
「レイはお魚さんみたいに面白くないよ」
「レイって言うんだ」
「うん。須藤 麗」
「へー。ストウレイね……。つか、猫みてー」
「えー。そうかなぁ?」
「そうだよ」
「なーん」
須藤麗。野良猫って意味に近いじゃないか。ピッタリだ。オレはわずかに微笑んだ。
麗はソファーが小さいのか、腕をオレの肩に回す。
大きな胸が、オレの顔に近付くのだ。
なんて無防備な。
「レイは? 何歳?」
「タイちゃんは?」
「タイちゃん?」
「だって、おさかなも、タイシも呼びづらいじゃない?」
「そうか、いいね」
「でしょ。これからはタイちゃんで」
「オレは23」
そして、童貞ね。
そんなオレが、さっき会った子とこんなにイチャイチャしてるなんて不思議。
「へー。お兄さんじゃん。レイは19」
「わっか! 学生?」
「ううん。何もしてないの」
「へー。フリーターかな?」
「違うよ」
そう言いながら麗の顔が近づく。
ふっくらとした光る唇。
これは……。つまり、キス!
スイマセン。童貞でスイマセン。
キスもまだでした。
どうすりゃいいんだ?
でも、自然にって感じだよな。
彼女の頬に手を添えて。
と思ったら、麗は二本の手でオレの頬を押さえ、強引に唇を合わせてきた。
余りのことに、目を開けていた。
だが、すぐに目を閉じる。
彼女の口に合わせて、こちらの口を馴染ませてゆく。
そして、大人のキス。
何だよ。今日のオレは。
大人の階段じゃねぇ。エレベーター。
ものすごい勢いで上がっていくぞ!
屋上が近いッ!
「レイ、シャワー浴びてこよっと!」
麗は立ち上がると、自分の家のようにシャワールームへ。
最初はキスの余韻に浸りながらその姿がシャワールームに消えるのを眺めていたがハッとした。
今 し か ねぇ!
シャワーの音を聞きながら、寝室へ行き、ベッドのシーツを引き直す。引き直したシーツは冷たく、麗もきっと気に入るだろう。
そして避妊具。真司に貰っていた、様々なパッケージのものを、小さい箱に入れて置いたのだ。
聞いたことがある。枕の下に隠しておくと良いと言うことを。
とりあえず二つ。残りはベッドの下に箱ごと入れ込んだ。
そして、真司にラインを打つ。
Line:泰志「今日、大人になります。さらば童貞」
シャワーの音を聞きながら落ち着かない。
真司が言っていたことを思い出す。
「あんまり、童貞こじらせて、セックスに夢を抱き過ぎんなよ。動画とは全然違うぞ。あれはショー。本来はそれの80パーセントほど地味なもんだから」
そうなのだろうか?
確かに、経験が無いから何とも言えない。
でも、ドキドキもワクワクも止まらない。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
あなたは人妻のパンツを見た
ヘロディア
恋愛
主人公と夫は仲睦まじい夫婦である。
実は隣の家にもラブラブカップルが住んでいて、毎晩喘ぎ声が聞こえてくるようなイチャイチャっぷりである。
隣の夫人を少々羨ましく思った主人公は、夫とある約束をする…
ずっと君のこと ──妻の不倫
家紋武範
大衆娯楽
鷹也は妻の彩を愛していた。彼女と一人娘を守るために休日すら出勤して働いた。
余りにも働き過ぎたために会社より長期休暇をもらえることになり、久しぶりの家族団らんを味わおうとするが、そこは非常に味気ないものとなっていた。
しかし、奮起して彩や娘の鈴の歓心を買い、ようやくもとの居場所を確保したと思った束の間。
医師からの検査の結果が「性感染症」。
鷹也には全く身に覚えがなかった。
※1話は約1000文字と少なめです。
※111話、約10万文字で完結します。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる