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転生の章 ハーレム篇
第25話 大好きな人
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その人はピンク。
彼女はドアに背中を向け、壁を向いて寝ていた。
ボクはその後ろにそっと入り込んだ。
「……だ……れ?」
彼女は寝ぼけた様子で小さく声を上げた。
ボクは黙ってその首筋に甘く噛みついた。
「あ……チャブ……団長閣下……」
「うん……。ピンク……」
「あたし……あたしなんか……」
「ピンク、キミが好きだ。好きなんだ」
彼女はいつものようにボクに体をゆだねた。
「なぜ?」とも「どうして?」とも言わなかった。
ボクは夜中彼女の体に溺れた。
何度も何度も彼女の中に自分の本当の思いをぶつけた。
事が終わり、二人で前の初夜ように天井を見上げていた。
ボクたちは何も話さなかった。
彼女は側室のことでボクのことを憎んでいるかもしれない。恨んでいるかもしれない。
だからと言って、ボクに彼女に対して詫びようという気持ちはなかった。
ハーレムは前からの夢だったし、鬼族のトップとなった今、そのくらいの我が儘は許されてもいいとの思いが強かった。
そして、父セピアン・ブラウンの血を残すという意味もある。
彼女は正妻でそれが揺らぐことなんてない。一族トップの女性だ。
ボクがいるからこそそれがある。
感謝こそすれ、憎まれることなんて。
……賢者タイムか。
冷静にものを考えるふりして、ただ行為が終わったから情熱が一時的に冷めただけだ。自分が悪いのにピンクのせいにしようとしている。
「ゴメンな……?」
ピンクは久しぶりにクスリと笑った。
本当に久しぶり。
ボクがジュンを側室にすると言った以来かも知れない。
彼女の笑顔が好きなボクは大きな手で彼女の頬を撫でさすった。
「んふふ……」
「女あさりなんて最低かな?」
「……まーね」
「でも認めて欲しい」
彼女は深く天井に向かってため息をついた。
「あたしは、団長閣下の妻だもん。団長の職は激務でしょ? 息抜きが必要だよ。そう父にも言われたし……」
「うん……」
「もう家に入れてしまったのは仕方ないよ。でも二人までですからね」
「え?」
「もうオシマイ。いいでしょ?」
その言葉は愛されていると思う強い言葉だった。
昔の幼馴染みの頃のような言葉づかい。
でももう終わりと言う言葉にボクは返事をせず笑って誤魔化した。
「はは……」
ピンクの顔が一気に青くなる。
彼女は半身を起こして、ボクの片手を握って懇願した。
「ねぇ、お願い。チャブチ……」
「……まぁ、もう少し……」
「……え?」
「いいだろ? ボクは英雄なんだぞ?」
彼女は黙ってしまった。
ゆっくりとボクに背中を向けてそのうちに『グス……』と鼻をすする音が聞こえた。
その音を聞きながら、彼女の隣りで寝た。
◇
それから一年が経った。
妻達はピンクを筆頭にうまくやっているらしかった。
ボクと母ユキは疎遠になったが、ピンクが他の妻や子供達を連れてご機嫌伺いをしてくれたので向こうの状況はそれとなく聞いていた。
食事も全員で同席し、大きな家族のようだった。
それぞれ順番にジュンは男児を産み、キャラは女児を産んだ。そしてピンクも女児を産んだ。
みんなをそれぞれにほめたたえたが、ボクはやっぱりピンクのそばにいた。
「ありがとう。ピンク。6人目……大変だったろ?」
彼女はポロリと涙を流して、無言で微笑みながらうなずいた。
その姿があまりにも可愛くて、ボクは彼女に顔を近づけて首筋に噛みついた。
「ああん! チャブチのバカ!」
「ああ、ゴメンゴメン。つい可愛すぎて……」
「もう! 知らない!」
「ははは」
ピンクはいい女だ。やっぱり正妻だ。
ジュンもキャラもかわいい。側に置いておきたい。
でもあと二人くらい欲しいかな?
少しばかり気の強いのとか、天然な子とか……。
ボクだけのハーレムはまだ未完成だ。
しかし問題が起きた。
コボルド族には大事なしきたりがある。
名付け親に名前を貰わないとその子は幸せになれないと言う強迫観念が親として持ち合わせている。
それは尊敬している目上の人が理想だ。
その人物はボクにとっては叔父ゴールドが順位一等なのだ。
だが叔父は、側室であるジュンが産んだ男児に最初は名を与えようとしなかった。
側室の産んだ子に名前をつけられない。
他の者に頼めとのことだった。
何度も言うがコボルド族では名付け親というものは大切だ。
栄光と祝福が与えられる。
叔父ゴールドに付けてもらうほどの栄誉はない。
ボクの後見人なのだからなおさらだ。
この強情な叔父に対してボクは産まれたばかりの赤子を抱いて家に訪問して見せた。
産まれたばかりのこの子は、叔父に似た金毛に覆われていた。
叔父は最初は目を背けていたが、『だぁ』と言う子どもの声につい振り向いて嬉しそうな顔をして無言で赤子を抱き涙を流した。
「チャブチにもワシの血が流れておるものなぁ……」
金毛。特徴的な毛色だ。
叔父の父は、戦場で目立つとこの毛の色を嫌っていたが、叔父自身は誇りに思っていた。自慢だったのだ。一族で唯一の金毛だ。
叔父には男児がいなかった。
オーク族に蹂躙され子供を作ることもままならず、ようやく最近女児が産まれたばかりだった。
自分に似た金色の体毛のこの子をとても感じ入ってしまった。可愛らしくなってしまったらしい。自分に男児が産まれたらつけようと思っていた「助けるもの」という意味の「プラチヌ」という名を付けた。
キャラの子には「力強い草」を意味す「シェル」と付けた。
ピンクが産んだ娘には悩んだ末「輝き」を意味する「サクラ」と付けたのだった。
彼女はドアに背中を向け、壁を向いて寝ていた。
ボクはその後ろにそっと入り込んだ。
「……だ……れ?」
彼女は寝ぼけた様子で小さく声を上げた。
ボクは黙ってその首筋に甘く噛みついた。
「あ……チャブ……団長閣下……」
「うん……。ピンク……」
「あたし……あたしなんか……」
「ピンク、キミが好きだ。好きなんだ」
彼女はいつものようにボクに体をゆだねた。
「なぜ?」とも「どうして?」とも言わなかった。
ボクは夜中彼女の体に溺れた。
何度も何度も彼女の中に自分の本当の思いをぶつけた。
事が終わり、二人で前の初夜ように天井を見上げていた。
ボクたちは何も話さなかった。
彼女は側室のことでボクのことを憎んでいるかもしれない。恨んでいるかもしれない。
だからと言って、ボクに彼女に対して詫びようという気持ちはなかった。
ハーレムは前からの夢だったし、鬼族のトップとなった今、そのくらいの我が儘は許されてもいいとの思いが強かった。
そして、父セピアン・ブラウンの血を残すという意味もある。
彼女は正妻でそれが揺らぐことなんてない。一族トップの女性だ。
ボクがいるからこそそれがある。
感謝こそすれ、憎まれることなんて。
……賢者タイムか。
冷静にものを考えるふりして、ただ行為が終わったから情熱が一時的に冷めただけだ。自分が悪いのにピンクのせいにしようとしている。
「ゴメンな……?」
ピンクは久しぶりにクスリと笑った。
本当に久しぶり。
ボクがジュンを側室にすると言った以来かも知れない。
彼女の笑顔が好きなボクは大きな手で彼女の頬を撫でさすった。
「んふふ……」
「女あさりなんて最低かな?」
「……まーね」
「でも認めて欲しい」
彼女は深く天井に向かってため息をついた。
「あたしは、団長閣下の妻だもん。団長の職は激務でしょ? 息抜きが必要だよ。そう父にも言われたし……」
「うん……」
「もう家に入れてしまったのは仕方ないよ。でも二人までですからね」
「え?」
「もうオシマイ。いいでしょ?」
その言葉は愛されていると思う強い言葉だった。
昔の幼馴染みの頃のような言葉づかい。
でももう終わりと言う言葉にボクは返事をせず笑って誤魔化した。
「はは……」
ピンクの顔が一気に青くなる。
彼女は半身を起こして、ボクの片手を握って懇願した。
「ねぇ、お願い。チャブチ……」
「……まぁ、もう少し……」
「……え?」
「いいだろ? ボクは英雄なんだぞ?」
彼女は黙ってしまった。
ゆっくりとボクに背中を向けてそのうちに『グス……』と鼻をすする音が聞こえた。
その音を聞きながら、彼女の隣りで寝た。
◇
それから一年が経った。
妻達はピンクを筆頭にうまくやっているらしかった。
ボクと母ユキは疎遠になったが、ピンクが他の妻や子供達を連れてご機嫌伺いをしてくれたので向こうの状況はそれとなく聞いていた。
食事も全員で同席し、大きな家族のようだった。
それぞれ順番にジュンは男児を産み、キャラは女児を産んだ。そしてピンクも女児を産んだ。
みんなをそれぞれにほめたたえたが、ボクはやっぱりピンクのそばにいた。
「ありがとう。ピンク。6人目……大変だったろ?」
彼女はポロリと涙を流して、無言で微笑みながらうなずいた。
その姿があまりにも可愛くて、ボクは彼女に顔を近づけて首筋に噛みついた。
「ああん! チャブチのバカ!」
「ああ、ゴメンゴメン。つい可愛すぎて……」
「もう! 知らない!」
「ははは」
ピンクはいい女だ。やっぱり正妻だ。
ジュンもキャラもかわいい。側に置いておきたい。
でもあと二人くらい欲しいかな?
少しばかり気の強いのとか、天然な子とか……。
ボクだけのハーレムはまだ未完成だ。
しかし問題が起きた。
コボルド族には大事なしきたりがある。
名付け親に名前を貰わないとその子は幸せになれないと言う強迫観念が親として持ち合わせている。
それは尊敬している目上の人が理想だ。
その人物はボクにとっては叔父ゴールドが順位一等なのだ。
だが叔父は、側室であるジュンが産んだ男児に最初は名を与えようとしなかった。
側室の産んだ子に名前をつけられない。
他の者に頼めとのことだった。
何度も言うがコボルド族では名付け親というものは大切だ。
栄光と祝福が与えられる。
叔父ゴールドに付けてもらうほどの栄誉はない。
ボクの後見人なのだからなおさらだ。
この強情な叔父に対してボクは産まれたばかりの赤子を抱いて家に訪問して見せた。
産まれたばかりのこの子は、叔父に似た金毛に覆われていた。
叔父は最初は目を背けていたが、『だぁ』と言う子どもの声につい振り向いて嬉しそうな顔をして無言で赤子を抱き涙を流した。
「チャブチにもワシの血が流れておるものなぁ……」
金毛。特徴的な毛色だ。
叔父の父は、戦場で目立つとこの毛の色を嫌っていたが、叔父自身は誇りに思っていた。自慢だったのだ。一族で唯一の金毛だ。
叔父には男児がいなかった。
オーク族に蹂躙され子供を作ることもままならず、ようやく最近女児が産まれたばかりだった。
自分に似た金色の体毛のこの子をとても感じ入ってしまった。可愛らしくなってしまったらしい。自分に男児が産まれたらつけようと思っていた「助けるもの」という意味の「プラチヌ」という名を付けた。
キャラの子には「力強い草」を意味す「シェル」と付けた。
ピンクが産んだ娘には悩んだ末「輝き」を意味する「サクラ」と付けたのだった。
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