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転生の章 幼児篇
第5話 奇襲急襲
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ブラウン将軍が就寝し、二時間ほど経ってからだった。
チン! チン! チン! チン!
鐘を叩く音だ。この鐘はコボルド族の伝統のものでコボルド族にしか音が聞こえない。ブラウン将軍はガバッと跳ね起きて大きなこん棒を手に取って櫓に駆けて行った。
このこん棒は木の中に鉄芯が埋め込まれて、先端の膨れたところには鉄の玉が十数個うずめられていた。
「何か見えたか!」
「はい! たいまつが見えます。東の斜面です!」
「20人ほどついてこい!」
戦士をまとめてブラウン将軍は火の光の方に向かって行った。
コボルド族の強みは足の裏にある肉球だ。犬とは違い爪もしまえる。
これで足音を立てないように進めるのだ。ブラウン将軍が東の斜面まで来て、たいまつの火をみると四人の戦士たちだった。チャブチが見た四人だ。彼らは正確に集落の方に向かってゆく。
ブラウンはそこに戦士たちの身を伏せるよう手で合図し、奇襲をかけることにした。
四人の戦士が斜面を登り切り、こちらの部隊に背中を向け集落への道を歩き始めた時だ。
「かかれ!」
おおおおーーーーー!!!
とコボルドの戦士たちが喚声を上げながら立ち上がった。四人の戦士はあっという間にパニックに陥った。
自分たちが奇襲を仕掛けようとしてかえって自分たちが奇襲をかけられたのだ。
「クソ! 向こうにも備えがあったぞ!」
しかし、細い道。急に態勢を変えられない。そこにダメ押しにブラウン将軍が
うぉーーーー!!
と両手を上げ吠えながら立ち上がった。普通のコボルドの二倍。さらに上げられた腕で星明かりが消えるほど。
こんなコボルド見たことがない!
四人の戦士は完全に面食らってしまった。
一人が負けを悟って滑るように斜面を下って行った。
それをブラウン将軍は棍棒で指して指示をした。
「三人であれを追え!」
そう言ったが早いか、三人の足の速い戦士たちが彼を追って行った。
ボグン!
という音が聞こえた。逃げたものの頭をこん棒でかち割ったようだった。
「な、なんだ! これがコボルドのブラウン将軍か!」
人間たちが月明かりを頼りに見て見ると自分たちの二倍の大きさ。しかも彼が率いる軍は統率がとれている。数も多い。
さらに地の利はコボルド側にある。どれを取っても勝ち目などない!
「どうするアブラム!」
「オレに捕まれ!」
一人は近くにいたので彼の手を握れたが、もう一人は遅れてしまった。
アブラムと言われた男は、素早く魔法を使って空へ飛びあがった。
「くそう。移動の魔法。逃がしたか……」
そう言いながら、残った一人に大こん棒を叩き下ろして殺した。
「しかし、向こうにはやはりこちらを攻める腹積もりがあるらしい。明日朝、集落を移動する。ゴールドがいる砦に合流しよう」
ブラウン将軍は戦士たちをまとめて凱旋した。
ブラウン将軍は先ほど倒したばかりの敵に今日の夜襲はもうないとふんだ。
しかし、それは誤算だった。
アブラムの使った移動魔法が降り立った場所は、山の下にあるキャンプだった。
そこには今日、ブラウンが攻め落とした砦の兵士たちがいた。アブラムもそこに人がいるとは思わなかったが訳を聞くとどうやらコボルドに砦を取られたらしい。
そこでアブラムはしめたと思った。彼らにくすぶるコボルトへの恨み。それなら説得は簡単だった。
「コボルドの集落を襲う! 今日はもう夜襲がないと思っているだろう。今なら集落を簡単につぶせる!」
そのキャンプには武器があった。弩や油、槍に剣。
兵の数は100はいる。数でも勝てる!
彼らはすぐに火矢の準備を整え、今度はたいまつをつけず、月明かりを頼りにコボルドの集落に向かって行った。
チン! チン! チン! チン!
鐘を叩く音だ。この鐘はコボルド族の伝統のものでコボルド族にしか音が聞こえない。ブラウン将軍はガバッと跳ね起きて大きなこん棒を手に取って櫓に駆けて行った。
このこん棒は木の中に鉄芯が埋め込まれて、先端の膨れたところには鉄の玉が十数個うずめられていた。
「何か見えたか!」
「はい! たいまつが見えます。東の斜面です!」
「20人ほどついてこい!」
戦士をまとめてブラウン将軍は火の光の方に向かって行った。
コボルド族の強みは足の裏にある肉球だ。犬とは違い爪もしまえる。
これで足音を立てないように進めるのだ。ブラウン将軍が東の斜面まで来て、たいまつの火をみると四人の戦士たちだった。チャブチが見た四人だ。彼らは正確に集落の方に向かってゆく。
ブラウンはそこに戦士たちの身を伏せるよう手で合図し、奇襲をかけることにした。
四人の戦士が斜面を登り切り、こちらの部隊に背中を向け集落への道を歩き始めた時だ。
「かかれ!」
おおおおーーーーー!!!
とコボルドの戦士たちが喚声を上げながら立ち上がった。四人の戦士はあっという間にパニックに陥った。
自分たちが奇襲を仕掛けようとしてかえって自分たちが奇襲をかけられたのだ。
「クソ! 向こうにも備えがあったぞ!」
しかし、細い道。急に態勢を変えられない。そこにダメ押しにブラウン将軍が
うぉーーーー!!
と両手を上げ吠えながら立ち上がった。普通のコボルドの二倍。さらに上げられた腕で星明かりが消えるほど。
こんなコボルド見たことがない!
四人の戦士は完全に面食らってしまった。
一人が負けを悟って滑るように斜面を下って行った。
それをブラウン将軍は棍棒で指して指示をした。
「三人であれを追え!」
そう言ったが早いか、三人の足の速い戦士たちが彼を追って行った。
ボグン!
という音が聞こえた。逃げたものの頭をこん棒でかち割ったようだった。
「な、なんだ! これがコボルドのブラウン将軍か!」
人間たちが月明かりを頼りに見て見ると自分たちの二倍の大きさ。しかも彼が率いる軍は統率がとれている。数も多い。
さらに地の利はコボルド側にある。どれを取っても勝ち目などない!
「どうするアブラム!」
「オレに捕まれ!」
一人は近くにいたので彼の手を握れたが、もう一人は遅れてしまった。
アブラムと言われた男は、素早く魔法を使って空へ飛びあがった。
「くそう。移動の魔法。逃がしたか……」
そう言いながら、残った一人に大こん棒を叩き下ろして殺した。
「しかし、向こうにはやはりこちらを攻める腹積もりがあるらしい。明日朝、集落を移動する。ゴールドがいる砦に合流しよう」
ブラウン将軍は戦士たちをまとめて凱旋した。
ブラウン将軍は先ほど倒したばかりの敵に今日の夜襲はもうないとふんだ。
しかし、それは誤算だった。
アブラムの使った移動魔法が降り立った場所は、山の下にあるキャンプだった。
そこには今日、ブラウンが攻め落とした砦の兵士たちがいた。アブラムもそこに人がいるとは思わなかったが訳を聞くとどうやらコボルドに砦を取られたらしい。
そこでアブラムはしめたと思った。彼らにくすぶるコボルトへの恨み。それなら説得は簡単だった。
「コボルドの集落を襲う! 今日はもう夜襲がないと思っているだろう。今なら集落を簡単につぶせる!」
そのキャンプには武器があった。弩や油、槍に剣。
兵の数は100はいる。数でも勝てる!
彼らはすぐに火矢の準備を整え、今度はたいまつをつけず、月明かりを頼りにコボルドの集落に向かって行った。
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