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第2話 ローズを追い出す
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王太子はローズの態度にイライラして、シンディの部屋をノックもせずに開けると、エリックとシンディが顔を近づけていたのだが、二人は体勢を立て直してエリックはソファから立ち上がり、床に跪き、シンディはドレスの裾を持ち大きく広げて礼をした。王太子はそれを受けて空いたソファに腰を下ろす。
「早かったのですね殿下」
「ああ。ローズのヤツがいたのですぐに帰ってきた」
「ははぁ。やっぱり噂は本当だったのですね?」
「なに?」
エリックは、ため息をついて話し始めた。
まるで王太子が何も知らないお坊ちゃまと言わんばかりに。
「王太子妃がジカルマより妖しい薬を大量に集めて陛下を毒殺しようとしているということですよ。ジカルマは魔法の国。そのようなことはお手の物なのでしょう。陛下が崩御なされれば実権を手に入れて王太子殿下を廃し、女王として君臨するという噂ですよ」
「な、なに!?」
「……証拠もないので私も黙っていたのですが、ローズ様が嫁してから町中その噂で持ちきりでした。現に陛下がお倒れになったのはローズ様が来てからですし……」
シンディも中傷はしたくないものの、愛するもののために仕方なく言うしかないという感じであった。
王太子は顔を赤くして立ち上がると、荒々しく扉を閉めて出て行ってしまった。それを見たエリックとシンディは顔を見合わせて微笑んだ。
こちらは王太子妃のお部屋。
ローズの好みなのか、サッパリ華々しくなく、重い色の調度品が並び壁もそのような色合い。
小さなテーブルに座って侍女のソフィアとレダに囲まれお茶を飲んでいた。
「今日は……ちょっと話せた」
「何言ってるんです。もう13歳の頃じゃないんですよ? 姫様がそのようだから卑賤な妾に先を越されるのです」
「言わないでよ~……」
「全く、神の祝福で誰よりも美しき美貌を持つ姫様が、嫉妬の魔女にその美貌を奪われて、愛する人と結ばれるか満月の晩しかその美貌をあらわせないだなんて」
「レダ。美しさなんて一時よ。だから私は王太子殿下と心で惹かれ合いたいの。きっとわかってくださるわ」
「そうでしょうか?」
「なんだかんだで、あんな妾だってそこそこ美しいってだけで男子を産んだらどうするのです」
「それは……」
「まったく。王太子殿下のどこがいいのやら」
「ソフィア。殿下はお優しい人よ。とっても。とっても……」
ローズはバルコニーにある大きな庭園に目をやる。そこは美しいバラ園。
古い記憶。5年前の結婚したばかりの時。
王太子は土と枯れ草ばかりのこの庭園をローズにおくった。
それは王太子からすれば厭味で意地悪だったのかも知れない。
しかしローズは国を出たばかりで趣味もない自分へ贈られた最高のプレゼントだと感じていたのだ。
ローズが熱いお茶に口を付けようとすると、扉が荒々しく開く。そこには怖い顔をした王太子。侍女二人は慌てて跪き、ローズも顔を赤らめて二人に指示をした。
「こ、これ。二人とも。殿下は国産のお茶がお好みである。すぐに点てなさい」
しかし王太子はその言葉の間にローズに迫る。部屋を見ると袋の中に妖しい草。もっともこれはジカルマ産の茶葉であったのだが、王太子は毒だと思い込み、ローズの柔らかな頬を平手で打ちすえた。
「あっ!」
何が起きたか分からないローズ。勝手に涙がこぼれてしまい、その場に膝をついてしまう。
「尼寺へ行け! 魔女め!」
そう言い放つと王太子は足を踏みならして扉を叩き付けるように閉める。ローズはショックで床に顔を伏せて泣くしか出来なかった。
「早かったのですね殿下」
「ああ。ローズのヤツがいたのですぐに帰ってきた」
「ははぁ。やっぱり噂は本当だったのですね?」
「なに?」
エリックは、ため息をついて話し始めた。
まるで王太子が何も知らないお坊ちゃまと言わんばかりに。
「王太子妃がジカルマより妖しい薬を大量に集めて陛下を毒殺しようとしているということですよ。ジカルマは魔法の国。そのようなことはお手の物なのでしょう。陛下が崩御なされれば実権を手に入れて王太子殿下を廃し、女王として君臨するという噂ですよ」
「な、なに!?」
「……証拠もないので私も黙っていたのですが、ローズ様が嫁してから町中その噂で持ちきりでした。現に陛下がお倒れになったのはローズ様が来てからですし……」
シンディも中傷はしたくないものの、愛するもののために仕方なく言うしかないという感じであった。
王太子は顔を赤くして立ち上がると、荒々しく扉を閉めて出て行ってしまった。それを見たエリックとシンディは顔を見合わせて微笑んだ。
こちらは王太子妃のお部屋。
ローズの好みなのか、サッパリ華々しくなく、重い色の調度品が並び壁もそのような色合い。
小さなテーブルに座って侍女のソフィアとレダに囲まれお茶を飲んでいた。
「今日は……ちょっと話せた」
「何言ってるんです。もう13歳の頃じゃないんですよ? 姫様がそのようだから卑賤な妾に先を越されるのです」
「言わないでよ~……」
「全く、神の祝福で誰よりも美しき美貌を持つ姫様が、嫉妬の魔女にその美貌を奪われて、愛する人と結ばれるか満月の晩しかその美貌をあらわせないだなんて」
「レダ。美しさなんて一時よ。だから私は王太子殿下と心で惹かれ合いたいの。きっとわかってくださるわ」
「そうでしょうか?」
「なんだかんだで、あんな妾だってそこそこ美しいってだけで男子を産んだらどうするのです」
「それは……」
「まったく。王太子殿下のどこがいいのやら」
「ソフィア。殿下はお優しい人よ。とっても。とっても……」
ローズはバルコニーにある大きな庭園に目をやる。そこは美しいバラ園。
古い記憶。5年前の結婚したばかりの時。
王太子は土と枯れ草ばかりのこの庭園をローズにおくった。
それは王太子からすれば厭味で意地悪だったのかも知れない。
しかしローズは国を出たばかりで趣味もない自分へ贈られた最高のプレゼントだと感じていたのだ。
ローズが熱いお茶に口を付けようとすると、扉が荒々しく開く。そこには怖い顔をした王太子。侍女二人は慌てて跪き、ローズも顔を赤らめて二人に指示をした。
「こ、これ。二人とも。殿下は国産のお茶がお好みである。すぐに点てなさい」
しかし王太子はその言葉の間にローズに迫る。部屋を見ると袋の中に妖しい草。もっともこれはジカルマ産の茶葉であったのだが、王太子は毒だと思い込み、ローズの柔らかな頬を平手で打ちすえた。
「あっ!」
何が起きたか分からないローズ。勝手に涙がこぼれてしまい、その場に膝をついてしまう。
「尼寺へ行け! 魔女め!」
そう言い放つと王太子は足を踏みならして扉を叩き付けるように閉める。ローズはショックで床に顔を伏せて泣くしか出来なかった。
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