108 / 111
第108話 裁きの雷
しおりを挟む
鷹也は丹高探偵事務所に訪れていた。
所長の丹高は現金の支払いかと思いながら、鷹也を迎え入れた。
「この度は、妻を捜して頂きありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ力になれずに」
「担当していた調査員の西丘さんにも会いたいのですが」
「ああ。ええ。おりますよ。呼んで参ります」
丹高は立ち上がり、事務所の裏にいる西丘を呼んで来た。
西丘も、鷹也と会うのは少しばかり戸惑ったが大丈夫であろうと踏んで姿を現した。
「西丘さん、わざわざ遠くの方まで妻を捜して頂いたようで」
「いえ~。まさか違う返事が返ってくるとは思いませんでした」
「妻は……どんな感じでしたか?」
「……そうですね。まだなじまない土地ではありましたが精一杯頑張っているようでしたよ」
「そうでしたか」
鷹也は出されたお茶を一息すすった。
「それで、一緒に暮らしている方にはお会いしましたか?」
「あ。ええ。遠目ではありましたが」
「どんな方でした? 背はどのくらいでしたか? 髪型は?」
「あ、それは」
「住んでいる場所は? 家でしたか? アパートでしたか?」
「え?」
「車は乗ってましたか? その車種は? 色はどんなもので?」
「ちょ、スイマセン」
「どうですか? 答えられますか?」
「あの~」
丹高の目からも西丘の挙動が少しばかり違うことが受け取れた。
長い間この商売をしているものだ。
西丘が嘘をついていたことが分かって来た。
「どういうことかね? 西丘くん」
「いえ。そのぅ。秘密にしてくれと言われましたので」
「誰に?」
「それは……奥様に」
それを聞いて鷹也は立ち上がり、事務所から出て彩を連れてきた。
西丘は驚いてイスから滑り落ちてしまった。
「紹介します。妻のアヤです」
「あわわわわわ」
「所長。この西丘という男は職権を乱用し、妻を見つけたにも関わらず、妻には私に新しい女が出来たと言い多額の金を請求していると伝えたようです。そして、自分が言わなければその請求は来ない。だから抱かせろと言う内容の脅迫をしたらしいのです」
所長の顔も真っ青になった。
西丘の慌てぶりからもはやそれは明白だ。
「アヤ。この男なんだろう?」
「ええ。間違いありません」
「西丘くん。妻は妊娠している。そんな脅迫等して流産でもしたら君は責任をとれるのかい? いずれにせよ君のことは警察に通報させてもらうよ」
「そ、そんな」
あわれな目をした西丘に所長の丹高は追い打ちをかけた。
「君は今日を持って解雇とする。多村さま。彼がしたのは業務内のことではありません。休暇の中で行ったことでした」
「そうですか。まぁ、彼の今までの行動で他にも余罪があるかもしれませんね。警察に協力してやってください」
鷹也と彩は、勝利の微笑みを浮かべ車に戻って行った。
中には鷹也の母親と鈴が笑顔で待っていた。
「さぁ~て。久々にアヤのつくる唐揚げが食べたいなぁ」
「うんうん。私も作りたい」
車は家を指して走って行った。
所長の丹高は現金の支払いかと思いながら、鷹也を迎え入れた。
「この度は、妻を捜して頂きありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ力になれずに」
「担当していた調査員の西丘さんにも会いたいのですが」
「ああ。ええ。おりますよ。呼んで参ります」
丹高は立ち上がり、事務所の裏にいる西丘を呼んで来た。
西丘も、鷹也と会うのは少しばかり戸惑ったが大丈夫であろうと踏んで姿を現した。
「西丘さん、わざわざ遠くの方まで妻を捜して頂いたようで」
「いえ~。まさか違う返事が返ってくるとは思いませんでした」
「妻は……どんな感じでしたか?」
「……そうですね。まだなじまない土地ではありましたが精一杯頑張っているようでしたよ」
「そうでしたか」
鷹也は出されたお茶を一息すすった。
「それで、一緒に暮らしている方にはお会いしましたか?」
「あ。ええ。遠目ではありましたが」
「どんな方でした? 背はどのくらいでしたか? 髪型は?」
「あ、それは」
「住んでいる場所は? 家でしたか? アパートでしたか?」
「え?」
「車は乗ってましたか? その車種は? 色はどんなもので?」
「ちょ、スイマセン」
「どうですか? 答えられますか?」
「あの~」
丹高の目からも西丘の挙動が少しばかり違うことが受け取れた。
長い間この商売をしているものだ。
西丘が嘘をついていたことが分かって来た。
「どういうことかね? 西丘くん」
「いえ。そのぅ。秘密にしてくれと言われましたので」
「誰に?」
「それは……奥様に」
それを聞いて鷹也は立ち上がり、事務所から出て彩を連れてきた。
西丘は驚いてイスから滑り落ちてしまった。
「紹介します。妻のアヤです」
「あわわわわわ」
「所長。この西丘という男は職権を乱用し、妻を見つけたにも関わらず、妻には私に新しい女が出来たと言い多額の金を請求していると伝えたようです。そして、自分が言わなければその請求は来ない。だから抱かせろと言う内容の脅迫をしたらしいのです」
所長の顔も真っ青になった。
西丘の慌てぶりからもはやそれは明白だ。
「アヤ。この男なんだろう?」
「ええ。間違いありません」
「西丘くん。妻は妊娠している。そんな脅迫等して流産でもしたら君は責任をとれるのかい? いずれにせよ君のことは警察に通報させてもらうよ」
「そ、そんな」
あわれな目をした西丘に所長の丹高は追い打ちをかけた。
「君は今日を持って解雇とする。多村さま。彼がしたのは業務内のことではありません。休暇の中で行ったことでした」
「そうですか。まぁ、彼の今までの行動で他にも余罪があるかもしれませんね。警察に協力してやってください」
鷹也と彩は、勝利の微笑みを浮かべ車に戻って行った。
中には鷹也の母親と鈴が笑顔で待っていた。
「さぁ~て。久々にアヤのつくる唐揚げが食べたいなぁ」
「うんうん。私も作りたい」
車は家を指して走って行った。
0
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
不倫した挙句に離婚、借金抱えた嬢にまでなってしまった私、だけど人生あきらめません!
越路遼介
大衆娯楽
山形県米沢市で夫と娘、家族3人で仲良く暮らしていた乾彩希29歳。しかし同窓会で初恋の男性と再会し、不倫関係となってしまう。それが露見して離婚、愛する娘とも離れ離れに。かつ多額の慰謝料を背負うことになった彩希は東京渋谷でデリヘル嬢へと。2年経ち、31歳となった彼女を週に何度も指名してくるタワマンに住む男、水原。彼との出会いが彩希の運命を好転させていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる