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第18話 夢からの帰宅
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遊園地の中を家族そろって歩く。
鈴は二人に対して手を伸ばし、その手を二人して繋ぐ。
鷹也は彩の顔を見た。彩も鷹也の顔を見る。
そして互いに微笑む。
ああ。その笑顔だ。それが見たくて今まで辛い仕事もしてきた。
家族を置き去りだったが、幸せのために頑張って来たのだ。
価値があった。今までやってきたことに価値があったのだ。
最初、彩とはギクシャクしたが、それだけ離れていたってことだ。
だが、こうして三日目には回復した。
二人の絆はそう簡単に失われるものではない。
気付くと、鷹也の頬に一筋の輝くものが流れていた。
「タカちゃん、どうしたの?」
彩の言葉で気が付いた。鷹也はすぐにそれを拭いた。
「なんでもないやいやい」
「プッ。あっはっは」
「はは!」
鈴がキョトンとした顔で二人を見る。
自分のことを笑われていると思い
「ねぇ~。笑わないでよ~」
「そうだな。ゴメンゴメン」
小さな娘を二人は高く持ち上げて振り子のように揺さぶりながら歩いた。
鈴はまだ小さい。乗れる乗り物は限られている。選んで乗ると、気に入って何度も乗りたがったのでそれに合わせて何度も並んだ。途中、抱っこをしたりおんぶをしたり。
どうやら鈴は鷹也の抱っこが気に入ったようで、彩よりも鷹也に抱っこをしてもらいたがった。
彩はそれを微笑みながら見る。
「ふふ~。私の辛さが分かるかな?」
「なんの……これしき……」
だが鷹也はわざとつらそうな顔をし、彩はそれを見てまた笑った。
一日中遊園地の中を歩き回り、花火まで見て疲れ切ってしまった眠り込む彩と鈴を車に乗せながら鷹也は家路についた。
家に着くと、鈴はそのまま眠ってしまった。
鷹也もどっかりとソファーに体をうずめる。そこに彩が暖かい飲み物を出してくれた。
「お疲れ様」
「ありがとう」
鷹也は疲れた身を起こしそれを飲む。彩もその隣に座り、自分の飲み物を飲んだ。
「楽しかったな」
「そうだね」
互いに見つめ合う二人。鷹也は迷わず、彼女に唇を重ねる。
彼女もそれを受ける。
じょじょに体を密着させ、ソファの上で互いに抱き合う。
「タカちゃん」
「どうした?」
彩の目には涙が浮かんでいた。鷹也はその涙の意味を理解した。
寂しかったのであろう。今までずっと一人で子育てをしてきた。
始めて家族の感触を掴めた。
そう思ったのだろう。
鷹也も今日、初めて家族というものを味わったと感じた。
いくら養うためとはいえ、自分は働き過ぎた。
出世もしたのでこれからは少し家族のために時間を使おうと思った。
そう思いながら何度も唇を合わせる。
彩は泣きながら笑った。
「タカちゃんはいつも魔法使いみたいだよ」
「そうか?」
「私はいつもタカちゃんに救われてる。でも私は……」
「言うなよ……。オレも反省したんだ。家族の為とは言え、家を空けすぎた。悪い夫だった。スマン」
「そんなことない! 私は……私は……」
鷹也はその彩の唇を自分の唇でふさいだ。
そして、そのまま彼女を抱き上げ、自分の寝室に運んだ。
彩は鷹也の首に自分の腕を絡めた。
鈴は二人に対して手を伸ばし、その手を二人して繋ぐ。
鷹也は彩の顔を見た。彩も鷹也の顔を見る。
そして互いに微笑む。
ああ。その笑顔だ。それが見たくて今まで辛い仕事もしてきた。
家族を置き去りだったが、幸せのために頑張って来たのだ。
価値があった。今までやってきたことに価値があったのだ。
最初、彩とはギクシャクしたが、それだけ離れていたってことだ。
だが、こうして三日目には回復した。
二人の絆はそう簡単に失われるものではない。
気付くと、鷹也の頬に一筋の輝くものが流れていた。
「タカちゃん、どうしたの?」
彩の言葉で気が付いた。鷹也はすぐにそれを拭いた。
「なんでもないやいやい」
「プッ。あっはっは」
「はは!」
鈴がキョトンとした顔で二人を見る。
自分のことを笑われていると思い
「ねぇ~。笑わないでよ~」
「そうだな。ゴメンゴメン」
小さな娘を二人は高く持ち上げて振り子のように揺さぶりながら歩いた。
鈴はまだ小さい。乗れる乗り物は限られている。選んで乗ると、気に入って何度も乗りたがったのでそれに合わせて何度も並んだ。途中、抱っこをしたりおんぶをしたり。
どうやら鈴は鷹也の抱っこが気に入ったようで、彩よりも鷹也に抱っこをしてもらいたがった。
彩はそれを微笑みながら見る。
「ふふ~。私の辛さが分かるかな?」
「なんの……これしき……」
だが鷹也はわざとつらそうな顔をし、彩はそれを見てまた笑った。
一日中遊園地の中を歩き回り、花火まで見て疲れ切ってしまった眠り込む彩と鈴を車に乗せながら鷹也は家路についた。
家に着くと、鈴はそのまま眠ってしまった。
鷹也もどっかりとソファーに体をうずめる。そこに彩が暖かい飲み物を出してくれた。
「お疲れ様」
「ありがとう」
鷹也は疲れた身を起こしそれを飲む。彩もその隣に座り、自分の飲み物を飲んだ。
「楽しかったな」
「そうだね」
互いに見つめ合う二人。鷹也は迷わず、彼女に唇を重ねる。
彼女もそれを受ける。
じょじょに体を密着させ、ソファの上で互いに抱き合う。
「タカちゃん」
「どうした?」
彩の目には涙が浮かんでいた。鷹也はその涙の意味を理解した。
寂しかったのであろう。今までずっと一人で子育てをしてきた。
始めて家族の感触を掴めた。
そう思ったのだろう。
鷹也も今日、初めて家族というものを味わったと感じた。
いくら養うためとはいえ、自分は働き過ぎた。
出世もしたのでこれからは少し家族のために時間を使おうと思った。
そう思いながら何度も唇を合わせる。
彩は泣きながら笑った。
「タカちゃんはいつも魔法使いみたいだよ」
「そうか?」
「私はいつもタカちゃんに救われてる。でも私は……」
「言うなよ……。オレも反省したんだ。家族の為とは言え、家を空けすぎた。悪い夫だった。スマン」
「そんなことない! 私は……私は……」
鷹也はその彩の唇を自分の唇でふさいだ。
そして、そのまま彼女を抱き上げ、自分の寝室に運んだ。
彩は鷹也の首に自分の腕を絡めた。
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