ずっと君のこと ──妻の不倫

家紋武範

文字の大きさ
上 下
17 / 111

第17話 ピッピ船長

しおりを挟む
次の日。鷹也はまた早起きをして朝食のサンドイッチを作った。
簡単にジャムサンド、チーズサンド、ツナサンド、タマゴサンド。
それを三人で食べた。

三人は車に乗り込む。彩が鈴をチャイルドシートに載せた。
車の中は童謡が流れている。
鷹也と彩は大声で楽しそうに歌った。
時折鷹也が歌詞を間違えるが知っているように誤魔化している。

クスリ……。

その姿が面白いのか彩が少しばかり笑った。
鷹也の好きな笑顔だ。この笑顔のために一生をかけようと思った笑顔。
鷹也はうれしくなった。

平日でも遊園地にはたくさんの人がいた。
鷹也は売店で鈴に遊園地のマスコットの耳がついているカチューシャをつけてやった。それを彩も楽しそうに微笑む。
そんな彩の目の前に鷹也は手を出した。

「これはアヤ」

それは、マスコットの恋人の耳のカチューシャだった。

「私に? やだ。恥ずかしい」

そう言ってまた鷹也のすることに気に入らないと言った態度をとったが鷹也は平気な顔をしてこう返す。

「そうか? オレもつけるんだぞ? オレはピッピ船長だ!」

と、ノリノリに悪役の船長の帽子をかぶった。
それを見て彩は、不機嫌な顔を崩して噴き出した。

「似合うだろ? ずっと前にこの映画、映画館で見たよな?」
「うんうん。見た。髭もつければ完璧だよ!」

「髭はあいにくないなぁ。海賊エリアにいけばあるのかな?」
「うんうん。行ってみようか?」

そう言って笑う。鷹也はとても幸せな気分になった。

マスコットの耳をつけた二人と、ピッピ船長は海賊エリアに足を向けた。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

処理中です...