ずっと君のこと ──妻の不倫

第３話 結婚

男の名前は多村おおむら鷹也たかや。そしてその妻、彩あや。

二人は幼なじみで鷹也の方は物心ついたときにはすでに彼女に惹かれていた。彼女と永遠を誓いたいと。

長い黒髪に落ち着いた顔立ち。大きな目を中心に鼻も口も整っている。
アゴの先までほっそりしていて、大勢に好かれる美人ではないかもしれないが、愛らしい笑顔。
それにやられた。

いつの間にか彼女に夢中になっていた。

中学校の卒業式。
片手に卒業証書の筒を持ち、彼女に愛の告白をした。

オーケーだった。

互いの高校は違っていたが、時間を見つけてはデートをした。
大学も同じところを受験して、互いに合格。

両方の親に許可をもらって同棲を始めた。
当然二人とも初めて相手同士だった。
混じり気のない純粋な二人。
二人は一生一緒にいる。そう決めていた。

ずっとずっと一緒にいたかった。

互いに就職が決まり、大学卒業前に結婚した。
入籍だけの小さな結婚。

だが早く形が欲しかったのだ。

それを待っていたかのように彼女の両親が続いて他界した。
元々、体の調子が良い方ではなかったのだが、一人っ子の彼女を大学に入れ授業料の為に無理が祟ったのだ。

彼女は悲しみに暮れた。

「タカちゃん。あたしひとりぼっちになっちゃったよぉ……」

そう言って、鷹也にもたれかかる。

「一人じゃないさ。オレがいる。ずっとアヤを守り続ける。な？　そうだろ？」
「うん……」

そんな泣いている彼女が愛おしくて仕方がなかった。
これを守る。そう決めた瞬間だった。

仕事が始まった。初めての会社。初めての仕事。だがすぐに彼女は仕事を辞めてしまった。

なぜか？
辞める理由ができたからだ。

そう。子供ができたのだ。
23の歳で妊娠なんて早すぎるかもしれない。
でも、一緒にいれば自然にできるものだった。