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第 三 話
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道と言ってもかなり細い。正面から車が来たらそれこそバックが苦手どころの騒ぎじゃない。
まぁ、正面から車が来るなんてことはないだろうということで、この車の四駆の性能頼りに山道を下ったり登ったりしていった。
東先輩が見続けるナビも、ずっと「ルート再検索中」と言う文字が表示されていた。
「あれ? このナビ動いてなくない?」
東先輩の声に中瀬さんのカメラがそちらを向く。
その通りだった。いわゆるシステムダウン。ナビはいつの間にかフリーズしていた。
再起動するためにはナビをオフするか、車のエンジンを付け直すかしかなかったのだが、今度は南条先輩の声。
「道が二手に別れてるな。右側の方がホテル側だからそっちに折れるぞ」
「了解っす」
ナビもダメな今、南条先輩の感覚が頼りだった。
車は右に折れて数メートル進むと、鈍い金属音が聞こえた。
ブッキン!
それと共に南条先輩はブレーキをかける。
少しばかり道も広くなったので、全員で夜闇の中、車を降りた。
「何だぁ? バンパー大丈夫かな?」
南条先輩と東先輩は前を見た。
オレと西森さんは後ろを見る。
そこには赤く錆びたチェーンがちぎれていた。
道にチェーンで侵入を封じていたのであろう。
「南条先輩。私有地ですよ!」
「ウソ。マジか」
先輩二人も来て懐中電灯でそれを照らした。鎖はボロボロに朽ちていた。
何年も何十年も雨ざらしになっていたのかも知れない。
道とは言え、轍から外れた中央には大きく草が生い茂り、轍にすら草が生えている。
鎖を繋いでいたであろう場所を見てみると、両脇に石柱があったのだが不自然なことに気付いた。
「なんかおかしくない?」
「どうして?」
「だって普通こういうのって、鎖が取り外しできるようになってるよね? ここを見てよ」
そこには、石柱に鎖が埋め込まれている。
つまり、封印された形だ。
「な、なんだこれ」
鍵も何も付いていない。
完全なる遮断。
何者もここに入らせまいと言うことなのかも知れない。
南条先輩はため息を吐いた。
「はぁ。ここはホテルのオーナーの私有地なのかも知れないな。奥には別荘か何かがあるのかも知れない。廃されて訪れることもなくなったんだろう」
そう言われてみればそんな気もしてきた。
昔、人がいたからこそ道もあり、鎖もあるわけだから。
「寒い……。ここ怖いよコウヤ……」
翠里のいつものが始まった。
霊障だ。
霊感がある彼女はこの地に感ずるものがあったらしい。
南条先輩と西森さんはニヤリと笑った。
中瀬さんもカメラの電源を入れた。
「ふーん。それは興味深い。湖とホテルには行けなかったけど、この地にも霊がいるみたいだな」
「先輩、でも止めた方がいいですよ。なんか頭も痛いし、吐き気もする……」
「ほー。ますます興味深い」
西森さんは霊には否定的だ。
翠里のこの霊障にも懐疑的。女性特有の生理痛や、ホルモンバランスのせいでそうなるんだと翠里がいない時に聞いたことがある。
だから、霊を信じる気持ちは少ない。だが好奇心は人以上。
もしも霊がいるならば見たいのだ。
「どうだい? 南条さんがよければこの先に行ってみたい。どうせ何年も人が立ち寄ってないんだ。不法侵入なんて見つかる恐れもないだろ?」
「ああ。オレもそう思っていた。この奥に何があるか興味があるなぁ」
オレたちは街灯もない真っ暗な道の先を見つめた。
風が木々を揺らしている。
不気味そのものだった。
まぁ、正面から車が来るなんてことはないだろうということで、この車の四駆の性能頼りに山道を下ったり登ったりしていった。
東先輩が見続けるナビも、ずっと「ルート再検索中」と言う文字が表示されていた。
「あれ? このナビ動いてなくない?」
東先輩の声に中瀬さんのカメラがそちらを向く。
その通りだった。いわゆるシステムダウン。ナビはいつの間にかフリーズしていた。
再起動するためにはナビをオフするか、車のエンジンを付け直すかしかなかったのだが、今度は南条先輩の声。
「道が二手に別れてるな。右側の方がホテル側だからそっちに折れるぞ」
「了解っす」
ナビもダメな今、南条先輩の感覚が頼りだった。
車は右に折れて数メートル進むと、鈍い金属音が聞こえた。
ブッキン!
それと共に南条先輩はブレーキをかける。
少しばかり道も広くなったので、全員で夜闇の中、車を降りた。
「何だぁ? バンパー大丈夫かな?」
南条先輩と東先輩は前を見た。
オレと西森さんは後ろを見る。
そこには赤く錆びたチェーンがちぎれていた。
道にチェーンで侵入を封じていたのであろう。
「南条先輩。私有地ですよ!」
「ウソ。マジか」
先輩二人も来て懐中電灯でそれを照らした。鎖はボロボロに朽ちていた。
何年も何十年も雨ざらしになっていたのかも知れない。
道とは言え、轍から外れた中央には大きく草が生い茂り、轍にすら草が生えている。
鎖を繋いでいたであろう場所を見てみると、両脇に石柱があったのだが不自然なことに気付いた。
「なんかおかしくない?」
「どうして?」
「だって普通こういうのって、鎖が取り外しできるようになってるよね? ここを見てよ」
そこには、石柱に鎖が埋め込まれている。
つまり、封印された形だ。
「な、なんだこれ」
鍵も何も付いていない。
完全なる遮断。
何者もここに入らせまいと言うことなのかも知れない。
南条先輩はため息を吐いた。
「はぁ。ここはホテルのオーナーの私有地なのかも知れないな。奥には別荘か何かがあるのかも知れない。廃されて訪れることもなくなったんだろう」
そう言われてみればそんな気もしてきた。
昔、人がいたからこそ道もあり、鎖もあるわけだから。
「寒い……。ここ怖いよコウヤ……」
翠里のいつものが始まった。
霊障だ。
霊感がある彼女はこの地に感ずるものがあったらしい。
南条先輩と西森さんはニヤリと笑った。
中瀬さんもカメラの電源を入れた。
「ふーん。それは興味深い。湖とホテルには行けなかったけど、この地にも霊がいるみたいだな」
「先輩、でも止めた方がいいですよ。なんか頭も痛いし、吐き気もする……」
「ほー。ますます興味深い」
西森さんは霊には否定的だ。
翠里のこの霊障にも懐疑的。女性特有の生理痛や、ホルモンバランスのせいでそうなるんだと翠里がいない時に聞いたことがある。
だから、霊を信じる気持ちは少ない。だが好奇心は人以上。
もしも霊がいるならば見たいのだ。
「どうだい? 南条さんがよければこの先に行ってみたい。どうせ何年も人が立ち寄ってないんだ。不法侵入なんて見つかる恐れもないだろ?」
「ああ。オレもそう思っていた。この奥に何があるか興味があるなぁ」
オレたちは街灯もない真っ暗な道の先を見つめた。
風が木々を揺らしている。
不気味そのものだった。
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