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第6話 可愛い彼女
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夏休みが始まった。
部活が午前中の場合は午後はバイトを入れてる。その後は勉強。
夏休みといえども高校生は忙しい。
部活はバドミントン。必死に練習していると、部員からざわつく声。
そちらを見ると、日傘をさしてこちらを見ている智絵里。
オレと目が合うと盛んに手を振っていた。
か、かわいい。
「すっげぇかわいい子じゃん。誰かの彼女?」
と練習が中断してしまうほど。
おいおい。期間限定彼女のサービス良すぎだよ。
「おーい。智絵里。練習の邪魔すんなよ?」
「はーい!」
「「「「「ええええー!!!」」」」」
はー。気持ちいい。最高。
「マーくん頑張ってぇ~!」
智絵里からの声援。
うわ~。これはなんとも男冥利に尽きますなぁ~。
一斉に部員たちの血走った目がこちらへ向く。
か・い・か・ん。快感。
「もーう。仕方ねぇなぁ智絵里わぁ」
もう、部員たちからの眼差しが夏の日差しよりも熱い。
そりゃそうだ。智絵里は性格は最悪だが、見た目はそんじょそこらにいる感じじゃない。
かなりの美少女だ。
みんなの羨望が手に取るように分かる。
「せ、先輩」
「どうした?」
「か、彼女さんっスか?」
「そうなんだよ」
「えー! マジっすか。どこ高?」
「あれだよ。冥紋女子高等学校」
「え! 冥女っスか! めっちゃ頭いいじゃないっスか」
「そうなんだよな~」
「かわいいし、スタイルもいいし、頭もいいなんて、先輩、ありえないっス!」
「おいおい。これが現実。君たちも早く受け入れなさい」
なんて気持ちがいい。
人生でこんなに気持ちいいことあったかァ?
いやない。
その後は練習の合間を縫って質問の嵐。
もう最高です。優越感で最高。
部活が終え、バイトのために駅までの帰り道。
智絵里はオレの腕を組んでベタベタしていた。
「うーん。いや~。最高」
「気に入ってくれた?」
「もっちろん。なんだこの優越感!」
「ふふ。じゃぁよかった」
電車の中でもイチャイチャなオレたち。
あのイヤだった智絵里が嘘みたいにカワイイ。
「智絵里」
「なに。マーくん」
「腹減ったろ? 何か食う」
いくら美沙に奢ってたって、智絵里に彼女代を払ってたって、バイトしているんだ。余裕はある。
智絵里に余裕なところを見せたい。オレは地元駅中の食品店街に連れて行こうとした。
「そんなぁ。悪いよ」
「いやいいって。付き合い始めた記念に」
「いいよ。お金もったいない」
智絵里はかたくなに断ってきた。
「いいじゃんか。パスタとかラーメンとか好きなの言いなよ」
「いい」
なんだろう。これは期間限定彼女の枠内に入ってないのかも知れない。少しばかりやはり雇っているんだなと言う気持ちにテンションが下がった。
「そこのコンビニで二人でパンでも食べようよ。それくらいなら私が出すから」
「え。いいよ」
「いいから。次はマーくんが出してよ。今日は私」
「あ、そう?」
思わずニヤける。二人で食べるならどこでも良かった。
ましてや、コンビニの飲食コーナーで二人並んで食べるなんて高校生らしいじゃないか。
オレたちは二人で小さなパンと飲み物を買って駅の道を行く人を見ながら飲食コーナーで食べた。
「今からバイト?」
「そうだな。今日は20時まで」
「えー。マーくんに会えないなんて寂しい。寂しいィ」
「そんなこと言うなよ。またベランダで会えるじゃん」
「帰ったら連絡して」
「うん」
「絶対だよ」
「おう。絶対」
「じゃ、待ってるね~」
そんな会話をしながら食事を終え、智絵里はオレをバイト先に送ると家へ帰っていった。
その背中を見送るオレの顔からニヤけが止まらない。
なんて素晴らしい世界。
このままミュージカルを踊りたい気分だ。
イヤな店長も今日は50パーセントほど減少している。
早く帰りたい。
帰って智絵里に会いたかった。
バイトが終わるとオレは用意された夕飯を取って部屋へ。
ベランダへ出ると、呼ぶ前から智絵里もベランダへ出て来た。
「ちーえりちゃん」
「オッス」
「今日は最高でした」
「買ってよかったでしょ」
その言葉に現実に戻される。
見た目の彼女。智絵里は人前だけの彼女なんだ。
今の二人きりの時は彼女じゃない。
いつもの智絵里。オレの世界一苦手な女。
「明日のスケジュールは、午後から部活で、それが終わったらバイト? 午前中は?」
「明日はバイトはないんだ。午前中は寝ようと思って」
「じゃ、午後からまた応援に行けばいいね」
「だね」
「勉強は?」
「ああ。家に帰ってからするよ」
「あっそ。オーケー」
智絵里はそれを手帳に書き込むと、小さい音を立ててそれを畳む。
そしてそのまま部屋へ戻っていくのを仕切りから見ていた。
気がなさすぎる。
当たり前か。雇われ彼女。
夏休み期間だけの秘密の恋愛。
でも、智絵里はどうなんだろう。
付き合ってる人がいないからこんなことしてんだよな。
部活の練習を見に来れるほど時間があるってことだろ。
てことは本命はいない。
なんだこの気が楽になった感。
楽しみだった夏休みは、金で買ったものだけどその対価分は楽しめそうだ。
部活が午前中の場合は午後はバイトを入れてる。その後は勉強。
夏休みといえども高校生は忙しい。
部活はバドミントン。必死に練習していると、部員からざわつく声。
そちらを見ると、日傘をさしてこちらを見ている智絵里。
オレと目が合うと盛んに手を振っていた。
か、かわいい。
「すっげぇかわいい子じゃん。誰かの彼女?」
と練習が中断してしまうほど。
おいおい。期間限定彼女のサービス良すぎだよ。
「おーい。智絵里。練習の邪魔すんなよ?」
「はーい!」
「「「「「ええええー!!!」」」」」
はー。気持ちいい。最高。
「マーくん頑張ってぇ~!」
智絵里からの声援。
うわ~。これはなんとも男冥利に尽きますなぁ~。
一斉に部員たちの血走った目がこちらへ向く。
か・い・か・ん。快感。
「もーう。仕方ねぇなぁ智絵里わぁ」
もう、部員たちからの眼差しが夏の日差しよりも熱い。
そりゃそうだ。智絵里は性格は最悪だが、見た目はそんじょそこらにいる感じじゃない。
かなりの美少女だ。
みんなの羨望が手に取るように分かる。
「せ、先輩」
「どうした?」
「か、彼女さんっスか?」
「そうなんだよ」
「えー! マジっすか。どこ高?」
「あれだよ。冥紋女子高等学校」
「え! 冥女っスか! めっちゃ頭いいじゃないっスか」
「そうなんだよな~」
「かわいいし、スタイルもいいし、頭もいいなんて、先輩、ありえないっス!」
「おいおい。これが現実。君たちも早く受け入れなさい」
なんて気持ちがいい。
人生でこんなに気持ちいいことあったかァ?
いやない。
その後は練習の合間を縫って質問の嵐。
もう最高です。優越感で最高。
部活が終え、バイトのために駅までの帰り道。
智絵里はオレの腕を組んでベタベタしていた。
「うーん。いや~。最高」
「気に入ってくれた?」
「もっちろん。なんだこの優越感!」
「ふふ。じゃぁよかった」
電車の中でもイチャイチャなオレたち。
あのイヤだった智絵里が嘘みたいにカワイイ。
「智絵里」
「なに。マーくん」
「腹減ったろ? 何か食う」
いくら美沙に奢ってたって、智絵里に彼女代を払ってたって、バイトしているんだ。余裕はある。
智絵里に余裕なところを見せたい。オレは地元駅中の食品店街に連れて行こうとした。
「そんなぁ。悪いよ」
「いやいいって。付き合い始めた記念に」
「いいよ。お金もったいない」
智絵里はかたくなに断ってきた。
「いいじゃんか。パスタとかラーメンとか好きなの言いなよ」
「いい」
なんだろう。これは期間限定彼女の枠内に入ってないのかも知れない。少しばかりやはり雇っているんだなと言う気持ちにテンションが下がった。
「そこのコンビニで二人でパンでも食べようよ。それくらいなら私が出すから」
「え。いいよ」
「いいから。次はマーくんが出してよ。今日は私」
「あ、そう?」
思わずニヤける。二人で食べるならどこでも良かった。
ましてや、コンビニの飲食コーナーで二人並んで食べるなんて高校生らしいじゃないか。
オレたちは二人で小さなパンと飲み物を買って駅の道を行く人を見ながら飲食コーナーで食べた。
「今からバイト?」
「そうだな。今日は20時まで」
「えー。マーくんに会えないなんて寂しい。寂しいィ」
「そんなこと言うなよ。またベランダで会えるじゃん」
「帰ったら連絡して」
「うん」
「絶対だよ」
「おう。絶対」
「じゃ、待ってるね~」
そんな会話をしながら食事を終え、智絵里はオレをバイト先に送ると家へ帰っていった。
その背中を見送るオレの顔からニヤけが止まらない。
なんて素晴らしい世界。
このままミュージカルを踊りたい気分だ。
イヤな店長も今日は50パーセントほど減少している。
早く帰りたい。
帰って智絵里に会いたかった。
バイトが終わるとオレは用意された夕飯を取って部屋へ。
ベランダへ出ると、呼ぶ前から智絵里もベランダへ出て来た。
「ちーえりちゃん」
「オッス」
「今日は最高でした」
「買ってよかったでしょ」
その言葉に現実に戻される。
見た目の彼女。智絵里は人前だけの彼女なんだ。
今の二人きりの時は彼女じゃない。
いつもの智絵里。オレの世界一苦手な女。
「明日のスケジュールは、午後から部活で、それが終わったらバイト? 午前中は?」
「明日はバイトはないんだ。午前中は寝ようと思って」
「じゃ、午後からまた応援に行けばいいね」
「だね」
「勉強は?」
「ああ。家に帰ってからするよ」
「あっそ。オーケー」
智絵里はそれを手帳に書き込むと、小さい音を立ててそれを畳む。
そしてそのまま部屋へ戻っていくのを仕切りから見ていた。
気がなさすぎる。
当たり前か。雇われ彼女。
夏休み期間だけの秘密の恋愛。
でも、智絵里はどうなんだろう。
付き合ってる人がいないからこんなことしてんだよな。
部活の練習を見に来れるほど時間があるってことだろ。
てことは本命はいない。
なんだこの気が楽になった感。
楽しみだった夏休みは、金で買ったものだけどその対価分は楽しめそうだ。
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