2 / 12
第2話 なぞなぞ
しおりを挟む
慌てて、近くにあった鏡を見る。
ん~。少し老けてる気がする。ちょっと待て。俺って二十七歳なわけ? 髪型も落ち着いちゃって。
じゃあ~……。あの小柄で出るとこはボインボイン出てるモデルみたいに可愛い人が奥さんで、若干茶髪気味で目の大きなリンちゃんは娘!?
えー! 六年後はあんなかわいい人と結婚してラブラブで娘までいるってわけ!?
か~! 人生捨てたもんじゃない。捨てる神あれば拾う神あり。やった。やった。やったった~。
でもどうしよう。元の時代に戻れるのか? あの奥さんとどんな風に恋に堕ちるんだ?
つか、やっぱり夢を見てるのかなぁ?
「やっぱり、変でち」
手を上げて喜んだ後で考え込んでいると、ドアのところに娘のリンちゃんが立っていた。手にはお人形さんを抱えている。
「リンちゃん、さっきはありがとうね~」
「えへへ。ママと一緒に作ったでち。美味しいでちよ。食べて食べて」
か~! かわいい。奥さん譲りだな。将来は相当な美人さんになるぞ。近付いてくる男が心配だな。
おいキミ。ウチの娘とどういう関係かね? 清い交際をしたまえよ。
うーん。心配だ。心配だ。男なんてみんなクソだからな。
俺はリンちゃんから貰ったラッピングを開けてトリュフ型チョコを口に入れた。
「おーいしー!」
「みてー。このキラキラはリンちゃんが作ったんでち」
そこには、カラフルなトッピングチョコ。作ってねーだろ。振り掛けただけだろ。でも可愛い。
リンちゃんの口にも一粒入れてやり、食べ終わるとリンちゃんは手をパタパタさせて喜んでいた。
「パパ。早くご飯食べるでち」
「お。そうか」
娘のリンちゃんとともにリビングとキッチンが一体型になっているところへ。
すげえ。この家は持ち家なのか? 二十七歳にして。マジ? 俺ってすげえ。
テーブルに座ると、奥さんが目の前にご飯を用意してくれた。かわいい。えーと。
名前! キミは誰なの!? キスしたけど。こりゃ困った。なんて呼べば……。
目の前には、スプーンでご飯を食べているリンちゃん。
「リンちゃん。なぞなぞです」
「やったー! なぞなぞちゅき!」
「ママのお名前は何でしょう?」
ふふふ。我ながらいい作戦。
「えーと、えーと、ママわぁ。ママのお名前わぁ」
しばらく考えてから顔を上げた。
「すずもとしゃな!!」
「せ、せいかぁ~い!」
「わーい! やった! やった~!」
涼本しゃな! 姓は俺の姓なのね。そりゃそうか。しゃな? めずらしい~。そんな名前の人いるんだね~。
「おーい。しゃな~。お水もちょうだい」
キッチンにいるしゃなに声をかけると、不思議な顔をして水を持ってきた。
「どうしたの? 赤ちゃんみたいな話し方して」
あ、赤ちゃん? 俺は思い立ってもう一度スマホを開いた。電話帳の涼本のところを見ると「涼本紗菜」の文字。うーん。これは「しゃな」? ……「さな」じゃねぇか!
くそぅ。リンちゃんの舌足らずに惑わされた。
「へんなパパだねぇ。ねぇ、ご飯食べたらリンちゃん着替えさせて。そして約束通り保育園に送っていってね。仕事終わったら、保育園にお迎えに行って、私の実家にリンちゃんを預けてくる。その後私を仕事先まで迎えに来てから二人でデートする。分かってるよね?」
全然分かりませんでした。そうだったのね……。本日のスケジュール。だってデートとしか書いてないもの。
デート! 昨日のバレンタインでフラれたばっかの俺が、こんな可愛い人とデート! マジすか。
「ウヒヒ。リア充爆発するでち」
か、かわええ。娘もかわええ。こりゃ夢でもタイムスリップでもどっちでもいいや。
朝食を食べ終わると娘に連れられて、クローゼットとタンスのある部屋に。すでに奥さんの紗菜が暖房を入れていてくれたので部屋の中は温かかった。
つーか、このタンス見覚えある! 俺が使ってたヤツじゃん? そーか、そーか。新居に持ってきてたんだな~。新しいの買えよな~。未来の俺。
「ばんじゃ~い」
なんだ、なんだ? リンちゃんを見ると諸手を挙げて万歳をしていた。俺も一緒になって手を上げた。
「バンザーイ」
「ばんじゃ~い」
リンちゃんは手を上げたまま。俺はニコニコ笑っていた。するとリンちゃんは不思議そうな顔。
「お着替えは?」
あ、あー! そういうことね。自分で上着は脱げないから脱がせてくれってことか~。サーセン。何ごとも初めてなもんで。
俺はリンちゃんの上着を脱がせて、いつもなにを着ているか聞いて着替えさせた。ホッと一息。
お! か、会社? 俺はどこに勤めてるの? 前の会社でいいのかな?
俺は着替えたリンちゃんを連れてキッチンに顔を出した。
「あ、タッちゃん。はいお弁当。お仕事頑張ってね」
「あの~、さな?」
「どうしたの?」
「クイズです。私の会社の名前は?」
「え? えー……。カタカナで長いから覚えてないんだよね~。自動車部品作ってる、何とかカンとかエナジー」
え? これは難題! くそう。あ、そうだ。タイムスリップする前の会社も、最後にエナジーがつくぞ! じゃ、そのままそこに勤務してんのか!
つか、あそこの会社の給料で家建てたの? 正社員になると給料もボーナスもだいぶ違ったんだなぁ。やったぜ!
ん~。少し老けてる気がする。ちょっと待て。俺って二十七歳なわけ? 髪型も落ち着いちゃって。
じゃあ~……。あの小柄で出るとこはボインボイン出てるモデルみたいに可愛い人が奥さんで、若干茶髪気味で目の大きなリンちゃんは娘!?
えー! 六年後はあんなかわいい人と結婚してラブラブで娘までいるってわけ!?
か~! 人生捨てたもんじゃない。捨てる神あれば拾う神あり。やった。やった。やったった~。
でもどうしよう。元の時代に戻れるのか? あの奥さんとどんな風に恋に堕ちるんだ?
つか、やっぱり夢を見てるのかなぁ?
「やっぱり、変でち」
手を上げて喜んだ後で考え込んでいると、ドアのところに娘のリンちゃんが立っていた。手にはお人形さんを抱えている。
「リンちゃん、さっきはありがとうね~」
「えへへ。ママと一緒に作ったでち。美味しいでちよ。食べて食べて」
か~! かわいい。奥さん譲りだな。将来は相当な美人さんになるぞ。近付いてくる男が心配だな。
おいキミ。ウチの娘とどういう関係かね? 清い交際をしたまえよ。
うーん。心配だ。心配だ。男なんてみんなクソだからな。
俺はリンちゃんから貰ったラッピングを開けてトリュフ型チョコを口に入れた。
「おーいしー!」
「みてー。このキラキラはリンちゃんが作ったんでち」
そこには、カラフルなトッピングチョコ。作ってねーだろ。振り掛けただけだろ。でも可愛い。
リンちゃんの口にも一粒入れてやり、食べ終わるとリンちゃんは手をパタパタさせて喜んでいた。
「パパ。早くご飯食べるでち」
「お。そうか」
娘のリンちゃんとともにリビングとキッチンが一体型になっているところへ。
すげえ。この家は持ち家なのか? 二十七歳にして。マジ? 俺ってすげえ。
テーブルに座ると、奥さんが目の前にご飯を用意してくれた。かわいい。えーと。
名前! キミは誰なの!? キスしたけど。こりゃ困った。なんて呼べば……。
目の前には、スプーンでご飯を食べているリンちゃん。
「リンちゃん。なぞなぞです」
「やったー! なぞなぞちゅき!」
「ママのお名前は何でしょう?」
ふふふ。我ながらいい作戦。
「えーと、えーと、ママわぁ。ママのお名前わぁ」
しばらく考えてから顔を上げた。
「すずもとしゃな!!」
「せ、せいかぁ~い!」
「わーい! やった! やった~!」
涼本しゃな! 姓は俺の姓なのね。そりゃそうか。しゃな? めずらしい~。そんな名前の人いるんだね~。
「おーい。しゃな~。お水もちょうだい」
キッチンにいるしゃなに声をかけると、不思議な顔をして水を持ってきた。
「どうしたの? 赤ちゃんみたいな話し方して」
あ、赤ちゃん? 俺は思い立ってもう一度スマホを開いた。電話帳の涼本のところを見ると「涼本紗菜」の文字。うーん。これは「しゃな」? ……「さな」じゃねぇか!
くそぅ。リンちゃんの舌足らずに惑わされた。
「へんなパパだねぇ。ねぇ、ご飯食べたらリンちゃん着替えさせて。そして約束通り保育園に送っていってね。仕事終わったら、保育園にお迎えに行って、私の実家にリンちゃんを預けてくる。その後私を仕事先まで迎えに来てから二人でデートする。分かってるよね?」
全然分かりませんでした。そうだったのね……。本日のスケジュール。だってデートとしか書いてないもの。
デート! 昨日のバレンタインでフラれたばっかの俺が、こんな可愛い人とデート! マジすか。
「ウヒヒ。リア充爆発するでち」
か、かわええ。娘もかわええ。こりゃ夢でもタイムスリップでもどっちでもいいや。
朝食を食べ終わると娘に連れられて、クローゼットとタンスのある部屋に。すでに奥さんの紗菜が暖房を入れていてくれたので部屋の中は温かかった。
つーか、このタンス見覚えある! 俺が使ってたヤツじゃん? そーか、そーか。新居に持ってきてたんだな~。新しいの買えよな~。未来の俺。
「ばんじゃ~い」
なんだ、なんだ? リンちゃんを見ると諸手を挙げて万歳をしていた。俺も一緒になって手を上げた。
「バンザーイ」
「ばんじゃ~い」
リンちゃんは手を上げたまま。俺はニコニコ笑っていた。するとリンちゃんは不思議そうな顔。
「お着替えは?」
あ、あー! そういうことね。自分で上着は脱げないから脱がせてくれってことか~。サーセン。何ごとも初めてなもんで。
俺はリンちゃんの上着を脱がせて、いつもなにを着ているか聞いて着替えさせた。ホッと一息。
お! か、会社? 俺はどこに勤めてるの? 前の会社でいいのかな?
俺は着替えたリンちゃんを連れてキッチンに顔を出した。
「あ、タッちゃん。はいお弁当。お仕事頑張ってね」
「あの~、さな?」
「どうしたの?」
「クイズです。私の会社の名前は?」
「え? えー……。カタカナで長いから覚えてないんだよね~。自動車部品作ってる、何とかカンとかエナジー」
え? これは難題! くそう。あ、そうだ。タイムスリップする前の会社も、最後にエナジーがつくぞ! じゃ、そのままそこに勤務してんのか!
つか、あそこの会社の給料で家建てたの? 正社員になると給料もボーナスもだいぶ違ったんだなぁ。やったぜ!
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
旦那様の様子がおかしいのでそろそろ離婚を切り出されるみたいです。
バナナマヨネーズ
恋愛
とある王国の北部を治める公爵夫婦は、すべての領民に愛されていた。
しかし、公爵夫人である、ギネヴィアは、旦那様であるアルトラーディの様子がおかしいことに気が付く。
最近、旦那様の様子がおかしい気がする……。
わたしの顔を見て、何か言いたそうにするけれど、結局何も言わない旦那様。
旦那様と結婚して十年の月日が経過したわ。
当時、十歳になったばかりの幼い旦那様と、見た目十歳くらいのわたし。
とある事情で荒れ果てた北部を治めることとなった旦那様を支える為、結婚と同時に北部へ住処を移した。
それから十年。
なるほど、とうとうその時が来たのね。
大丈夫よ。旦那様。ちゃんと離婚してあげますから、安心してください。
一人の女性を心から愛する旦那様(超絶妻ラブ)と幼い旦那様を立派な紳士へと育て上げた一人の女性(合法ロリ)の二人が紡ぐ、勘違いから始まり、運命的な恋に気が付き、真実の愛に至るまでの物語。
全36話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる