6 / 8
初めての邂逅
しおりを挟む チャットが切れた途端、シュンの気持ちも切り替わった。
いつもはチップやアヤネに進行を任せ、自分は陰ながらそれを支えることを選択している。先頭に立って人を引っ張るよりも、そういう役割が好きだからだ。
なので、回避盾をメインに役割を請け負っているが、中衛職の支援プレイヤーという意識の方が合っているのかもしれない。
しかし、今はひとりぼっちである。
支援するべき相手がいない以上、ひとりで解決していかなければならない。
「チャットがつながってたら、『誰が一番早く出られるか競争な!』って、絶対チップが言い出してるよな。今回だったら、ユキチちゃんの方が先かな?」
近くにいないパーティメンバー達の顔を思い出し、クスリと笑みを浮かべる。
シュンが最初に行ったことは、ザッと部屋全体を見回すこと。そして、すぐに行動に移る。
「ま、最初は、これ見よがしに置いてあるコレからだろうね」
自分が立っていた正面には部屋の出口が、そして、背後には机が置かれていた。
机の上には小さな宝箱が置かれ、ダイヤル式のカギがかけられており、宝箱の近くには大きめの封筒も置かれている。
シュンは封筒を手に取ると、中を確認する。
「えーと? クロスワードパズルと指令書が3枚、宝箱の開け方1枚か。良かった。さすがにこっちの世界の文字だったら、ハルマ君がいないと無理だったかも。これならボクでもいける」
取り出した書類を確認すると、やるべきことが記されていた。
ヒントを手がかりに部屋の中に散らばる数字を見つけ出し、ダイヤル式のカギを開けること。そして、宝箱の中にある、この部屋から出るためのカギを入手することまでが第1関門であるらしい。
クロスワードパズルに目を通す。どうやら、一般知識3割、Greenhorn-onlineの知識7割といった感じだ。
続いて、3枚の指令書にも目を通す。こちらは、知識よりも直感型の謎解き問題のようである。
「うーん。こういう直感型は、チップとかアヤネの方が得意なんだよなあ」
それでも、彼は学年トップクラスの成績の持ち主であり、発想力も柔軟性を持っている。テキパキと謎を解き進め、25分ほどで3つの数字を見つけることに成功していた。
「ふー。こんなところに隠してあったのか……。これで、赤、青、黄色のボールに書かれた数字が見つかった」
最初の封筒に入っていた1枚と一緒に、3つのボールを机の上に置く。
「順番は指定されてない、か。ま、3つだけだから、組み合わせは総当たりでもすぐに見つかるだろうけど……」
シュンはダイヤル式のカギを回し、青、黄、赤の順に数字をそろえると、両手で左右に引っ張ってみる。
「ん、やっぱり! この色合いからして、信号の3色だと思ったんだよね」
するりと手応えなく外れたカギは、役目を終えたのか宙に溶けて消えてしまった。そのことにさほど驚くこともなく、シュンは宝箱の中からカギを取り出すことに成功していた。
取り出したカギを持って、即座に部屋の扉に向かう。
カギ穴に差し込みカチリと回すと、第1関門突破となった。
いつもはチップやアヤネに進行を任せ、自分は陰ながらそれを支えることを選択している。先頭に立って人を引っ張るよりも、そういう役割が好きだからだ。
なので、回避盾をメインに役割を請け負っているが、中衛職の支援プレイヤーという意識の方が合っているのかもしれない。
しかし、今はひとりぼっちである。
支援するべき相手がいない以上、ひとりで解決していかなければならない。
「チャットがつながってたら、『誰が一番早く出られるか競争な!』って、絶対チップが言い出してるよな。今回だったら、ユキチちゃんの方が先かな?」
近くにいないパーティメンバー達の顔を思い出し、クスリと笑みを浮かべる。
シュンが最初に行ったことは、ザッと部屋全体を見回すこと。そして、すぐに行動に移る。
「ま、最初は、これ見よがしに置いてあるコレからだろうね」
自分が立っていた正面には部屋の出口が、そして、背後には机が置かれていた。
机の上には小さな宝箱が置かれ、ダイヤル式のカギがかけられており、宝箱の近くには大きめの封筒も置かれている。
シュンは封筒を手に取ると、中を確認する。
「えーと? クロスワードパズルと指令書が3枚、宝箱の開け方1枚か。良かった。さすがにこっちの世界の文字だったら、ハルマ君がいないと無理だったかも。これならボクでもいける」
取り出した書類を確認すると、やるべきことが記されていた。
ヒントを手がかりに部屋の中に散らばる数字を見つけ出し、ダイヤル式のカギを開けること。そして、宝箱の中にある、この部屋から出るためのカギを入手することまでが第1関門であるらしい。
クロスワードパズルに目を通す。どうやら、一般知識3割、Greenhorn-onlineの知識7割といった感じだ。
続いて、3枚の指令書にも目を通す。こちらは、知識よりも直感型の謎解き問題のようである。
「うーん。こういう直感型は、チップとかアヤネの方が得意なんだよなあ」
それでも、彼は学年トップクラスの成績の持ち主であり、発想力も柔軟性を持っている。テキパキと謎を解き進め、25分ほどで3つの数字を見つけることに成功していた。
「ふー。こんなところに隠してあったのか……。これで、赤、青、黄色のボールに書かれた数字が見つかった」
最初の封筒に入っていた1枚と一緒に、3つのボールを机の上に置く。
「順番は指定されてない、か。ま、3つだけだから、組み合わせは総当たりでもすぐに見つかるだろうけど……」
シュンはダイヤル式のカギを回し、青、黄、赤の順に数字をそろえると、両手で左右に引っ張ってみる。
「ん、やっぱり! この色合いからして、信号の3色だと思ったんだよね」
するりと手応えなく外れたカギは、役目を終えたのか宙に溶けて消えてしまった。そのことにさほど驚くこともなく、シュンは宝箱の中からカギを取り出すことに成功していた。
取り出したカギを持って、即座に部屋の扉に向かう。
カギ穴に差し込みカチリと回すと、第1関門突破となった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

婚約者に心変わりされた私は、悪女が巣食う学園から姿を消す事にします──。
Nao*
恋愛
ある役目を終え、学園に戻ったシルビア。
すると友人から、自分が居ない間に婚約者のライオスが別の女に心変わりしたと教えられる。
その相手は元平民のナナリーで、可愛く可憐な彼女はライオスだけでなく友人の婚約者や他の男達をも虜にして居るらしい。
事情を知ったシルビアはライオスに会いに行くが、やがて婚約破棄を言い渡される。
しかしその後、ナナリーのある驚きの行動を目にして──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
この作品は、小説家になろう様にも掲載しています。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる