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第1章
その空に憧れる-6
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赤い屋根が目印の可愛い建物。
店内は手作りの雑貨が売られていたり、壁にカラフルな色彩のファブリックパネルが飾られていて、退屈しない空間になっていた。
奥の窓際の席が空いていたので、そこに座ることにする。
「このカフェ、同じクラスの子も行ってみたいって話してました。来れて良かったです」
「僕も気になってたんだけど、男同士だと何となく入りづらくて」
正面に座った先輩は、メニューを見やすいように私の方へ向けてくれる。
部室で言っていたとおり、本当に彼女はいないらしい。彼女や親しい女友達がいるなら、その人と来ればいいのだから。
一通りメニューを眺めたあと、先輩はベイクドチーズケーキ、私はレアチーズケーキを頼むことにした。
お互い、インテリア雑誌を読んで時間を潰していたら、すぐにケーキが運ばれてくる。
「わぁ、可愛い。美味しそう」
レアチーズケーキの方には、お皿にベリーのソースで模様が描かれていて思わず声を上げる。
そんな私に気を遣ったのか、先輩は自分のお皿をこちらに寄せてきた。ケーキを分けてくれるつもりらしい。
「こっちも食べてみていいよ」
「……いいんですか? じゃあ、いただきます」
私は遠慮がちに先輩のお皿に乗ったベイクドチーズケーキを、フォークでほんの欠片ほど掬った。
「そんな少しで味わかる?」
小さく笑った先輩は、まだ使っていない自分のフォークで、一口大に切り分けたケーキを私の口元に持ってくる。
「ほんとに……遠慮深いところは中学のときから変わってないね」
笑顔の圧力を感じ、私は仕方なく唇を開けた。なるべくフォークに唇が触れないようにしてケーキを口に含む。
チーズの濃厚な味が広がる。
恥ずかしさで頬が上気しているのがわかり、水を飲んで誤魔化した。
赤い屋根が目印の可愛い建物。
店内は手作りの雑貨が売られていたり、壁にカラフルな色彩のファブリックパネルが飾られていて、退屈しない空間になっていた。
奥の窓際の席が空いていたので、そこに座ることにする。
「このカフェ、同じクラスの子も行ってみたいって話してました。来れて良かったです」
「僕も気になってたんだけど、男同士だと何となく入りづらくて」
正面に座った先輩は、メニューを見やすいように私の方へ向けてくれる。
部室で言っていたとおり、本当に彼女はいないらしい。彼女や親しい女友達がいるなら、その人と来ればいいのだから。
一通りメニューを眺めたあと、先輩はベイクドチーズケーキ、私はレアチーズケーキを頼むことにした。
お互い、インテリア雑誌を読んで時間を潰していたら、すぐにケーキが運ばれてくる。
「わぁ、可愛い。美味しそう」
レアチーズケーキの方には、お皿にベリーのソースで模様が描かれていて思わず声を上げる。
そんな私に気を遣ったのか、先輩は自分のお皿をこちらに寄せてきた。ケーキを分けてくれるつもりらしい。
「こっちも食べてみていいよ」
「……いいんですか? じゃあ、いただきます」
私は遠慮がちに先輩のお皿に乗ったベイクドチーズケーキを、フォークでほんの欠片ほど掬った。
「そんな少しで味わかる?」
小さく笑った先輩は、まだ使っていない自分のフォークで、一口大に切り分けたケーキを私の口元に持ってくる。
「ほんとに……遠慮深いところは中学のときから変わってないね」
笑顔の圧力を感じ、私は仕方なく唇を開けた。なるべくフォークに唇が触れないようにしてケーキを口に含む。
チーズの濃厚な味が広がる。
恥ずかしさで頬が上気しているのがわかり、水を飲んで誤魔化した。
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私の過去は、誰にも言えない。憧れている美術部の先輩に嫌われる前に、ある人に頼んで過去の記憶を一部消してもらったが……。
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