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槇島神社の御神体は動く! 踊る! 戦う!
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「結論から言うと、僕たちは千陣流の妖怪、日本人形の九十九神であるのと同時に千陣家の直属で、桜技流と『社の本庁』が認めた神格でもある」
槇島睦月の発言に、室矢カレナは思わず首を横に振った。
「聞いただけで、面倒そうじゃ……」
本題はここから、という表情で、睦月が説明を続ける。
「カレナが言ったように、僕たちは人数が多すぎる。だから、『千陣家が貸し出す』という形で、十家か、それらが認めた人間の式神にしようと試みたわけ!」
潰したとはいえ、伝説になった室矢家の初代当主、重遠《しげとお》と深い縁がある、美しい少女たち。
千陣流の内部での権勢や他の四大流派への影響力で、1人は欲しいところ。
永遠の女子中学生だ。
重遠に群がっていたことで、全員が経験済み。
下世話な目的にも使えるだろう。
功を挙げた配下への褒美として、彼女たちを抱くことを許す可能性も……。
「だから、槇島神社の御神体として、全国に散らばったのか?」
つまらない、と言いたそうな顔で、睦月が肯定する。
「そうそう……。千陣流の十家である柊家は僕たちを庇ってくれたけど、負担をかけすぎるのも良くないから……。どうせ独自のリアルタイム通信があって、如月たちと連絡を取り合えるし」
「もう、『夕花梨シリーズ』とは呼べないな……」
寂しそうなカレナの発言に、睦月もセンチメンタルに同意。
「あー! 重遠が、そう言っていたね……。懐かしい」
「ところで、カレナの今後だけどさ? ここに住んでもらうのは、難しいんだよ」
「ああ……。ここは、槇島神社の本殿だからな? お主の住居であって、私のためではない。周りが納得しないだろう」
座ったまま、伸びをした睦月は、気まずそうに応じる。
「うん……。誰か、連絡を取りたい人は? いないなら、僕のほうで――」
「それは嬉しいが……。睦月よ、私は決めたのじゃ!」
すっくと立ち上がった、カレナ。
彼女はお嬢さま口調になって、堂々と宣言する。
「ここで、スローライフを行います! 重遠がまた転生してくるまで!!」
◇
今の私は、『室矢』を名乗る必要があるのでしょうか?
でも、重遠が帰ってくるまでは……。
その日は本殿に泊めてもらい、槇島睦月と朝餉をいただいた後で別れた。
お付きの外間朱美がずっとビクビクしていたので、労う。
「お世話になりました」
「い、いえ! こちらこそ……。あ、あの?」
どうやら、私の雰囲気や口調が違うことで、違和感を覚えたようだ。
今後も会うだろうから、教えておく。
「キャラを作っていました。こちらが地です」
「は、はあ……」
綺麗になったゴシックドレスを着たまま、爽やかな空気の中で下界に通じる石段へ向かう。
急な角度で、転がり落ちそうだ。
「これが、私のスローライフへの第一歩……」
うっかり足を踏み外して、空中へ投げ出され、回転する。
途中の石段で跳ねつつ、アクションゲームのように落下していく。
ドオンッと凄まじい音に、地面の揺れ。
たいした事ではないため、目的地へ向かう。
石段を下りたら、田舎道。
舗装されているものの、周囲には田んぼ、あぜ道だけ。
充電した、今は旧式のスマホを触り、電話をかける。
「アイですか? ……ええ。スローライフなので」
切った後に、場違いなドレス姿で歩き出す。
近くで農作業をしていた人が唖然とした顔で、その様子を見ていた。
◇
槇島神社の本殿でゴロゴロしていたら、女子高生の朱美ちゃんが登場。
「睦月さま!? ご友人の方が、色々と噂になっているようですけど!」
神社の石段の上から飛び降りて、地面に着地した。
廃墟に美少女が住み着いて、一番近いホームセンターやインテリアショップで購入した家具などを頭の上に積んだまま、車道を時速100kmぐらいで爆走した。
畑を作っていたかと思えば、数日で様々な野菜が実っていた。
罠にかかった獲物を仕留め、飼った鶏を笑顔でバラしている。
いつの間にか、小さな湖ができていて、釣り。
挨拶はなく、ご近所が行っても姿を見せず。
ゴミ出しもせず、その区画の組長――自治会のまとめ役――は会えずに困っている。
どうやら廃墟の一帯をまとめて買ったらしく、自治会の共用設備やサービスを利用しない限り、文句の言いようがないようだ。
下手をすれば、不法侵入で訴えられる。
「相変わらず、目茶苦茶だね! 重遠がいないことで、本性を出したってことかあ……」
頷きながら、しみじみと考える。
まあ、元気になってくれたのなら、何よりだ……。
「あの! 睦月さまも、何か言っていただければ……」
言いよどんだ朱美ちゃんに、返事をする。
「うん。次に会った時に、言っておく」
「本当ですか!? いや、外には出ないで下さいよ! 御神体の自覚をお持ちになってください!!」
嬉しそうな顔をした直後に、ビシッと突っ込み。
「こちらであれば、本殿で会うことも大目に見ますけど――」
「えーとね、朱美ちゃん? 来週になったら僕たち、高校に通うから!」
フリーズした彼女は、ギギギと、こちらを見た。
「えっと……。だ、誰が? 何を?」
「僕とカレナが、朱美ちゃんも通っている高校で一緒に授業を受けるんだよ?」
意味を理解した朱美は、膝から崩れ落ち、あひんっ! と鳴いた後で、バタリと倒れた。
だいぶ、疲れているね。
布団を敷いて、このまま寝かせよう……。
槇島睦月の発言に、室矢カレナは思わず首を横に振った。
「聞いただけで、面倒そうじゃ……」
本題はここから、という表情で、睦月が説明を続ける。
「カレナが言ったように、僕たちは人数が多すぎる。だから、『千陣家が貸し出す』という形で、十家か、それらが認めた人間の式神にしようと試みたわけ!」
潰したとはいえ、伝説になった室矢家の初代当主、重遠《しげとお》と深い縁がある、美しい少女たち。
千陣流の内部での権勢や他の四大流派への影響力で、1人は欲しいところ。
永遠の女子中学生だ。
重遠に群がっていたことで、全員が経験済み。
下世話な目的にも使えるだろう。
功を挙げた配下への褒美として、彼女たちを抱くことを許す可能性も……。
「だから、槇島神社の御神体として、全国に散らばったのか?」
つまらない、と言いたそうな顔で、睦月が肯定する。
「そうそう……。千陣流の十家である柊家は僕たちを庇ってくれたけど、負担をかけすぎるのも良くないから……。どうせ独自のリアルタイム通信があって、如月たちと連絡を取り合えるし」
「もう、『夕花梨シリーズ』とは呼べないな……」
寂しそうなカレナの発言に、睦月もセンチメンタルに同意。
「あー! 重遠が、そう言っていたね……。懐かしい」
「ところで、カレナの今後だけどさ? ここに住んでもらうのは、難しいんだよ」
「ああ……。ここは、槇島神社の本殿だからな? お主の住居であって、私のためではない。周りが納得しないだろう」
座ったまま、伸びをした睦月は、気まずそうに応じる。
「うん……。誰か、連絡を取りたい人は? いないなら、僕のほうで――」
「それは嬉しいが……。睦月よ、私は決めたのじゃ!」
すっくと立ち上がった、カレナ。
彼女はお嬢さま口調になって、堂々と宣言する。
「ここで、スローライフを行います! 重遠がまた転生してくるまで!!」
◇
今の私は、『室矢』を名乗る必要があるのでしょうか?
でも、重遠が帰ってくるまでは……。
その日は本殿に泊めてもらい、槇島睦月と朝餉をいただいた後で別れた。
お付きの外間朱美がずっとビクビクしていたので、労う。
「お世話になりました」
「い、いえ! こちらこそ……。あ、あの?」
どうやら、私の雰囲気や口調が違うことで、違和感を覚えたようだ。
今後も会うだろうから、教えておく。
「キャラを作っていました。こちらが地です」
「は、はあ……」
綺麗になったゴシックドレスを着たまま、爽やかな空気の中で下界に通じる石段へ向かう。
急な角度で、転がり落ちそうだ。
「これが、私のスローライフへの第一歩……」
うっかり足を踏み外して、空中へ投げ出され、回転する。
途中の石段で跳ねつつ、アクションゲームのように落下していく。
ドオンッと凄まじい音に、地面の揺れ。
たいした事ではないため、目的地へ向かう。
石段を下りたら、田舎道。
舗装されているものの、周囲には田んぼ、あぜ道だけ。
充電した、今は旧式のスマホを触り、電話をかける。
「アイですか? ……ええ。スローライフなので」
切った後に、場違いなドレス姿で歩き出す。
近くで農作業をしていた人が唖然とした顔で、その様子を見ていた。
◇
槇島神社の本殿でゴロゴロしていたら、女子高生の朱美ちゃんが登場。
「睦月さま!? ご友人の方が、色々と噂になっているようですけど!」
神社の石段の上から飛び降りて、地面に着地した。
廃墟に美少女が住み着いて、一番近いホームセンターやインテリアショップで購入した家具などを頭の上に積んだまま、車道を時速100kmぐらいで爆走した。
畑を作っていたかと思えば、数日で様々な野菜が実っていた。
罠にかかった獲物を仕留め、飼った鶏を笑顔でバラしている。
いつの間にか、小さな湖ができていて、釣り。
挨拶はなく、ご近所が行っても姿を見せず。
ゴミ出しもせず、その区画の組長――自治会のまとめ役――は会えずに困っている。
どうやら廃墟の一帯をまとめて買ったらしく、自治会の共用設備やサービスを利用しない限り、文句の言いようがないようだ。
下手をすれば、不法侵入で訴えられる。
「相変わらず、目茶苦茶だね! 重遠がいないことで、本性を出したってことかあ……」
頷きながら、しみじみと考える。
まあ、元気になってくれたのなら、何よりだ……。
「あの! 睦月さまも、何か言っていただければ……」
言いよどんだ朱美ちゃんに、返事をする。
「うん。次に会った時に、言っておく」
「本当ですか!? いや、外には出ないで下さいよ! 御神体の自覚をお持ちになってください!!」
嬉しそうな顔をした直後に、ビシッと突っ込み。
「こちらであれば、本殿で会うことも大目に見ますけど――」
「えーとね、朱美ちゃん? 来週になったら僕たち、高校に通うから!」
フリーズした彼女は、ギギギと、こちらを見た。
「えっと……。だ、誰が? 何を?」
「僕とカレナが、朱美ちゃんも通っている高校で一緒に授業を受けるんだよ?」
意味を理解した朱美は、膝から崩れ落ち、あひんっ! と鳴いた後で、バタリと倒れた。
だいぶ、疲れているね。
布団を敷いて、このまま寝かせよう……。
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