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四次元を超えた死亡フラグが迫る!
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時翼月乃との時間が終わった。
室矢家のハーレムに加えることが、正妻の南乃詩央里によって決定。
目を離したら、月乃は攫われる。
彼女が子供を産めば、無条件で開門搏撃拳の宗家の直系だ。
もはや、選択の余地はない。
諸々の事情を説明した後に、室矢家の超空間ネットワークへ加えた。
目を丸くした月乃が受け入れるまでに、時間がかかるだろう。
卒業後の就職先として、魔法技術特務隊に誘われていたようで。
その責任者である梁愛澄に、キャンセルを丸投げ。
幸いにも、貸しはいくらでもある。
月乃は、ベルス女学校の学年主席だったし。
俺が予約していたわけでもないから、別に怒る話じゃない。
東京の明示法律大学で、日常に戻った。
マンモス校の私立だけに、ボッチの俺は目立たない――
「あいつだよな? 日替わりで、違う美人を侍らせている奴は」
「どこの奴だ?」
「知らん! 目ぼしいサークルじゃないだろ」
「俺たちのサークルに入れるか? 飲み会で、その女たちも呼べば――」
「やめとけ! 前に、あいつへ絡んだグループが全員、大学を辞めた」
「マジ!?」
「ああ、マジだ! 日本に帰れないまま、船員をやってるとさ!」
「そいつらが『時間を飛ばされた』と騒いでいたの、聞いたぜ?」
「講義でも、あいつの手下みたいな学生がいるしな」
「そいつは?」
「話しかけたけど、違う奴がフォローしてきたんで。すぐ逃げたわ」
「……何か、ヤバくね? どっかの組の御曹司とか?」
このベンチだけ、近づく学生がいない。
ゾロゾロと、大学生のグループが近づいてきた。
その先頭は――
「重遠!」
俺の妻の1人である、悠月明夜音だ。
マネーパワーなら、断トツ。
しかし、お付きの数が多い……。
「明夜音か? ずいぶんと大袈裟だな」
「仕方ありません! いつぞやに、男子グループが絡んできたから」
自分でも不本意だ、と言わんばかりの顔。
「そうか……。で、何の用だ?」
「天気が良いから、遊びに出かけましょう」
明夜音が、片手を耳に当てて、トントンと軽く叩いた。
超空間のネットワークによる念話へ。
『以前のMA(マニューバ・アーマー)で、進展がありました』
『急ぎか?』
『はい! 申し訳ありませんが、すぐにでも』
息を吐いた後で、返事をする。
「ああ、いいぞ! 残りの講義は――」
「代行させます。手配を」
「了解」
これだから、金持ちは……。
そう思ったが、明夜音は真剣だ。
バッグを肩掛けしつつ、立ち上がる。
遠巻きに見ている大学生たちの視線を感じつつ、立ち去った。
――悠月財閥の研究所
軍施設と同じレベルの警備を抜けた先には、モジュール単位にされたMAの姿。
4mのサイズ。
前に言われた通り、家紋のようなマークがある。
人が乗れるシートを持つ、コクピットブロックも……。
モニターには、そいつのパイロットらしき男の姿。
牢屋に閉じ込められていて、両腕は拘束服によって固定。
かなり憔悴している。
俺は、悠月明夜音に問う。
「何が分かった?」
「パイロットの彼は、貴族のようです。そして、彼がいる帝国は、こちらへ侵攻するようです」
「そりゃ、大変だ!」
他人事のように言えば、ため息をついた明夜音が目配せ。
すると、IDカードを胸につけた白衣の男が頷いた。
「自称パイロットが言うには、侵攻してくるのはダルディアス帝国。ご覧になったMAは小規模ながら、慣性制御を実現……。平たく言えば、本来のベクトルを自由に軽減できるのです。これによって、推進ユニットの効率が飛躍的に――」
「要点だけ、お願いいたします」
白衣の男は、明夜音に頭を下げる。
「失礼しました、悠月さま……。物理法則への干渉は、超能力に近いですね! 地球上のMAとは比べ物になりません! 生身で交戦してよく撃破できたと、感心しております」
俺は、説明してる科学者に尋ねる。
「あなたの視点で、ダルディアス帝国が侵攻してくる可能性は?」
「高いです! 件のパイロットの発言に頼りますが……。我々とは違い、すでに四次元より上の理論を実用化しているようです」
「単刀直入に聞きます。あなたの手に負えますか?」
「……ぜひ研究したいとは思っています」
つまり、無理ということだ。
「操備流にMA一式を渡し、協力を要請したいのですが?」
すかさず、明夜音が決定を下す。
「その方向で動きましょう! ウチだけで抱えていたら、危険です! あなたの頑張りは、ムダにしませんよ? 可能な限り、時間を与えます。取れるだけのデータを」
白衣の男は、明夜音にお辞儀をした。
「ご配慮くださり、ありがとうございます! データ収集を急ぎます」
1秒も惜しいようで、早足の退室。
バシュッと扉が閉まり、俺は息を吐いた。
「おそらく、どこかの時空に穴を開けてくるぞ……」
「ええ……。1機だけで圧倒的な性能。それに、帝国と名乗るだけの規模」
明夜音の指摘。
「強行偵察か、こちらへ繋げた際の事故かは、微妙なところだ」
「いずれにせよ、連絡が途絶えた時点で、後続がやってきます」
2人で憂鬱になるも、ここで唸っていても仕方ない。
室矢家のハーレムに加えることが、正妻の南乃詩央里によって決定。
目を離したら、月乃は攫われる。
彼女が子供を産めば、無条件で開門搏撃拳の宗家の直系だ。
もはや、選択の余地はない。
諸々の事情を説明した後に、室矢家の超空間ネットワークへ加えた。
目を丸くした月乃が受け入れるまでに、時間がかかるだろう。
卒業後の就職先として、魔法技術特務隊に誘われていたようで。
その責任者である梁愛澄に、キャンセルを丸投げ。
幸いにも、貸しはいくらでもある。
月乃は、ベルス女学校の学年主席だったし。
俺が予約していたわけでもないから、別に怒る話じゃない。
東京の明示法律大学で、日常に戻った。
マンモス校の私立だけに、ボッチの俺は目立たない――
「あいつだよな? 日替わりで、違う美人を侍らせている奴は」
「どこの奴だ?」
「知らん! 目ぼしいサークルじゃないだろ」
「俺たちのサークルに入れるか? 飲み会で、その女たちも呼べば――」
「やめとけ! 前に、あいつへ絡んだグループが全員、大学を辞めた」
「マジ!?」
「ああ、マジだ! 日本に帰れないまま、船員をやってるとさ!」
「そいつらが『時間を飛ばされた』と騒いでいたの、聞いたぜ?」
「講義でも、あいつの手下みたいな学生がいるしな」
「そいつは?」
「話しかけたけど、違う奴がフォローしてきたんで。すぐ逃げたわ」
「……何か、ヤバくね? どっかの組の御曹司とか?」
このベンチだけ、近づく学生がいない。
ゾロゾロと、大学生のグループが近づいてきた。
その先頭は――
「重遠!」
俺の妻の1人である、悠月明夜音だ。
マネーパワーなら、断トツ。
しかし、お付きの数が多い……。
「明夜音か? ずいぶんと大袈裟だな」
「仕方ありません! いつぞやに、男子グループが絡んできたから」
自分でも不本意だ、と言わんばかりの顔。
「そうか……。で、何の用だ?」
「天気が良いから、遊びに出かけましょう」
明夜音が、片手を耳に当てて、トントンと軽く叩いた。
超空間のネットワークによる念話へ。
『以前のMA(マニューバ・アーマー)で、進展がありました』
『急ぎか?』
『はい! 申し訳ありませんが、すぐにでも』
息を吐いた後で、返事をする。
「ああ、いいぞ! 残りの講義は――」
「代行させます。手配を」
「了解」
これだから、金持ちは……。
そう思ったが、明夜音は真剣だ。
バッグを肩掛けしつつ、立ち上がる。
遠巻きに見ている大学生たちの視線を感じつつ、立ち去った。
――悠月財閥の研究所
軍施設と同じレベルの警備を抜けた先には、モジュール単位にされたMAの姿。
4mのサイズ。
前に言われた通り、家紋のようなマークがある。
人が乗れるシートを持つ、コクピットブロックも……。
モニターには、そいつのパイロットらしき男の姿。
牢屋に閉じ込められていて、両腕は拘束服によって固定。
かなり憔悴している。
俺は、悠月明夜音に問う。
「何が分かった?」
「パイロットの彼は、貴族のようです。そして、彼がいる帝国は、こちらへ侵攻するようです」
「そりゃ、大変だ!」
他人事のように言えば、ため息をついた明夜音が目配せ。
すると、IDカードを胸につけた白衣の男が頷いた。
「自称パイロットが言うには、侵攻してくるのはダルディアス帝国。ご覧になったMAは小規模ながら、慣性制御を実現……。平たく言えば、本来のベクトルを自由に軽減できるのです。これによって、推進ユニットの効率が飛躍的に――」
「要点だけ、お願いいたします」
白衣の男は、明夜音に頭を下げる。
「失礼しました、悠月さま……。物理法則への干渉は、超能力に近いですね! 地球上のMAとは比べ物になりません! 生身で交戦してよく撃破できたと、感心しております」
俺は、説明してる科学者に尋ねる。
「あなたの視点で、ダルディアス帝国が侵攻してくる可能性は?」
「高いです! 件のパイロットの発言に頼りますが……。我々とは違い、すでに四次元より上の理論を実用化しているようです」
「単刀直入に聞きます。あなたの手に負えますか?」
「……ぜひ研究したいとは思っています」
つまり、無理ということだ。
「操備流にMA一式を渡し、協力を要請したいのですが?」
すかさず、明夜音が決定を下す。
「その方向で動きましょう! ウチだけで抱えていたら、危険です! あなたの頑張りは、ムダにしませんよ? 可能な限り、時間を与えます。取れるだけのデータを」
白衣の男は、明夜音にお辞儀をした。
「ご配慮くださり、ありがとうございます! データ収集を急ぎます」
1秒も惜しいようで、早足の退室。
バシュッと扉が閉まり、俺は息を吐いた。
「おそらく、どこかの時空に穴を開けてくるぞ……」
「ええ……。1機だけで圧倒的な性能。それに、帝国と名乗るだけの規模」
明夜音の指摘。
「強行偵察か、こちらへ繋げた際の事故かは、微妙なところだ」
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