67 / 67
聖女くんの演説
しおりを挟む
『ジン! 起きろ、ジン!!』
頭の中で、声が響いた。
黒い大剣のカレトヴルフに封じた、古龍カーヌスの声だ……。
「ぐっ……」
呻きながら、上体を起こした。
確か、聖女科で騎士組が、本職の愚連隊に絡まれて――
「ああ、そうだ! 俺はルイーゼたちと一緒に、騎士科のバカどもとの戦いに行ったはずだが……。くそっ! どこだ、ここ?」
まだ、頭がクラクラする。
薄暗く、室内の灯りは限られているな?
『設置式の転移魔法だな! ピンポイントで、お前を狙ったようだ』
「なら、こっちも……発動しない!?」
魔法の手応えがなく、俺は立ち上がった。
周りを調べるも――
「ここ、フレムンド学院の女子エリアか!?」
『……お前がこの部屋を出れば、晴れてヘンタイ扱いという二重の罠か』
姑息な! と言い捨てたカーヌスは、不機嫌そうだ。
いっぽう、俺は手探りで調べる。
「部屋そのものが厳重な封印だな? 聖女科のどこかだと思うが……」
『ふむ……。我も、妙に感じるぞ? ところで、あのライトアップされている衣装と剣は調べんのか?』
ため息をついた俺は、しぶしぶ、少し高い場所に安置されているものを見た。
「あれか……」
◇
フレムンド学院の聖女科は、ざわついていた。
ここに在籍している騎士組と呼ばれる女子たちが、札付きのワルと模擬戦をしているからだ。
丸テーブルで紅茶を飲むエステル・ブルーニ・ジュラン公爵令嬢は、優雅。
取り巻きの令嬢が、話しかける。
「エステル様? 今ごろ、模擬戦が始まっていると思いますが……」
「わたくしが行くほどでは、ありません! わざわざ、情報を提供して……ブホッ!」
紅茶を噴き出したエステルに、周りは唖然とするも、すぐ視線の先を見る。
1人の女子が走っていた。
淑女失格といえるが、問題はそこにあらず!
彼女たちには分からないが、それは現代でいうところの白い夏用セーラー服。
それも、上下セパレートの……。
ノースリーブで、紺色のカラーが目立つ。
頭には、大きな黒いリボン。
青色のミニスカートで、ローファーの革靴。
ロングソードを鞘ごと背負っており――
「お、お待ちなさい!!」
エステルの叫びに、その女子は立ち止まった。
低いイケボで返す。
「何か?」
「……何かも何も! どうして、男子がここにいるのです!?」
走っていた女子は、コスプレみたいな服装の男子だったのだ!!
突きつけた指がぷるぷると震える、エステル。
かつて、これほどのプレッシャーがあっただろうか?
家の存亡をかけた王宮の駆け引きですら、ここまでにあらず。
あまりに堂々した様子で、自分が間違っているのでは? とすら思える。
彼は、現代でいう黒いサングラスをかけたまま、エステルを見据えた。
「今の俺……私は、聖女くんだ! それ以上でも、それ以下でもない」
「い、いやいやいや! おかしいでしょう?」
閉じた扇子で指したエステルは、ついに叫ぶ。
「あ、あなた! 元貴族で教官2人を倒したジンですよね? 女子エリアに入り込んで――」
「冗談ではない!!」
いきなりの大声に、エステルの両肩が跳ねた。
周りの女子も、目を丸くしている。
片手を横に振ったジンは、腹丸出しのセーラー服のままで演説する。
「王侯貴族科にいるフェルム王国のランストック伯爵令息だったジンではなく、フレムンド学院の聖女くんとして言おう! お互いの武勇を競うべき模擬戦において、騎士科のグザール隊による卑劣なる行為! どんな相手にも勝てるであろうジンを設置式の転移魔法でこの女子エリアに飛ばしたのだ!! それは許せない」
公爵令嬢エステルは、完全に吞まれたままで同意する。
「そ、そうでしたの……。見下げ果てた所業ですわね? ですが――」
「グザール隊は、フレムンド学院の在り方を歪めている! 見よ!! 模擬戦に挑んでいるジンの仲間たちは、今この瞬間にも、彼の一勝があるはずと信じているのだ!」
「私はこの場で、フレムンド学院が目指すべき聖女について指摘したい! この姿は聖女科に安置されている、かつての遺産……。なぜだ!?」
黒いサングラス越しに見つめられ、エステルは気圧された。
「そ、そう言われても……」
「誰も、英雄フレムンドの事実を見ないからだ! 聖女の真実も!!」
「その辺にしておけ! 女子エリアに入った男子が、タダで済むと思うな」
警護をしている女騎士は、ジンの後ろから肩に手を置こうと――
ブレるように消えた彼が、彼女の後ろに現れ、片足を払った。
「なっ!?」
女騎士の部分的なアーマーが床にぶつかり、ガシャンと音を立てた。
「お前が相手にしているのは、フレムンドの相棒だった聖女そのものだ……」
「くっ……。私では勝てないと言うのか……」
黒いサングラスに見下ろされ、床で上体を起こした女騎士は格の違いを思い知る。
いっぽう、ジンはエステルを見た。
ビクッとする、公爵令嬢。
「模擬戦で、バカどもを叩きのめす! 今は、それでいい……。失礼する!」
「そ、そうですわね……。いえ、ちょっとお待ちなさい!?」
真っ赤になったエステルが引き留めるも、ジンは模擬戦の会場へ走り出した。
立ち上がった彼女は、すぐに追いかける。
「わたくし達も、行きますわよ!」
「「「は、はいっ!」」」
上に本を乗っけても落とさない、モデル歩きで……。
頭の中で、声が響いた。
黒い大剣のカレトヴルフに封じた、古龍カーヌスの声だ……。
「ぐっ……」
呻きながら、上体を起こした。
確か、聖女科で騎士組が、本職の愚連隊に絡まれて――
「ああ、そうだ! 俺はルイーゼたちと一緒に、騎士科のバカどもとの戦いに行ったはずだが……。くそっ! どこだ、ここ?」
まだ、頭がクラクラする。
薄暗く、室内の灯りは限られているな?
『設置式の転移魔法だな! ピンポイントで、お前を狙ったようだ』
「なら、こっちも……発動しない!?」
魔法の手応えがなく、俺は立ち上がった。
周りを調べるも――
「ここ、フレムンド学院の女子エリアか!?」
『……お前がこの部屋を出れば、晴れてヘンタイ扱いという二重の罠か』
姑息な! と言い捨てたカーヌスは、不機嫌そうだ。
いっぽう、俺は手探りで調べる。
「部屋そのものが厳重な封印だな? 聖女科のどこかだと思うが……」
『ふむ……。我も、妙に感じるぞ? ところで、あのライトアップされている衣装と剣は調べんのか?』
ため息をついた俺は、しぶしぶ、少し高い場所に安置されているものを見た。
「あれか……」
◇
フレムンド学院の聖女科は、ざわついていた。
ここに在籍している騎士組と呼ばれる女子たちが、札付きのワルと模擬戦をしているからだ。
丸テーブルで紅茶を飲むエステル・ブルーニ・ジュラン公爵令嬢は、優雅。
取り巻きの令嬢が、話しかける。
「エステル様? 今ごろ、模擬戦が始まっていると思いますが……」
「わたくしが行くほどでは、ありません! わざわざ、情報を提供して……ブホッ!」
紅茶を噴き出したエステルに、周りは唖然とするも、すぐ視線の先を見る。
1人の女子が走っていた。
淑女失格といえるが、問題はそこにあらず!
彼女たちには分からないが、それは現代でいうところの白い夏用セーラー服。
それも、上下セパレートの……。
ノースリーブで、紺色のカラーが目立つ。
頭には、大きな黒いリボン。
青色のミニスカートで、ローファーの革靴。
ロングソードを鞘ごと背負っており――
「お、お待ちなさい!!」
エステルの叫びに、その女子は立ち止まった。
低いイケボで返す。
「何か?」
「……何かも何も! どうして、男子がここにいるのです!?」
走っていた女子は、コスプレみたいな服装の男子だったのだ!!
突きつけた指がぷるぷると震える、エステル。
かつて、これほどのプレッシャーがあっただろうか?
家の存亡をかけた王宮の駆け引きですら、ここまでにあらず。
あまりに堂々した様子で、自分が間違っているのでは? とすら思える。
彼は、現代でいう黒いサングラスをかけたまま、エステルを見据えた。
「今の俺……私は、聖女くんだ! それ以上でも、それ以下でもない」
「い、いやいやいや! おかしいでしょう?」
閉じた扇子で指したエステルは、ついに叫ぶ。
「あ、あなた! 元貴族で教官2人を倒したジンですよね? 女子エリアに入り込んで――」
「冗談ではない!!」
いきなりの大声に、エステルの両肩が跳ねた。
周りの女子も、目を丸くしている。
片手を横に振ったジンは、腹丸出しのセーラー服のままで演説する。
「王侯貴族科にいるフェルム王国のランストック伯爵令息だったジンではなく、フレムンド学院の聖女くんとして言おう! お互いの武勇を競うべき模擬戦において、騎士科のグザール隊による卑劣なる行為! どんな相手にも勝てるであろうジンを設置式の転移魔法でこの女子エリアに飛ばしたのだ!! それは許せない」
公爵令嬢エステルは、完全に吞まれたままで同意する。
「そ、そうでしたの……。見下げ果てた所業ですわね? ですが――」
「グザール隊は、フレムンド学院の在り方を歪めている! 見よ!! 模擬戦に挑んでいるジンの仲間たちは、今この瞬間にも、彼の一勝があるはずと信じているのだ!」
「私はこの場で、フレムンド学院が目指すべき聖女について指摘したい! この姿は聖女科に安置されている、かつての遺産……。なぜだ!?」
黒いサングラス越しに見つめられ、エステルは気圧された。
「そ、そう言われても……」
「誰も、英雄フレムンドの事実を見ないからだ! 聖女の真実も!!」
「その辺にしておけ! 女子エリアに入った男子が、タダで済むと思うな」
警護をしている女騎士は、ジンの後ろから肩に手を置こうと――
ブレるように消えた彼が、彼女の後ろに現れ、片足を払った。
「なっ!?」
女騎士の部分的なアーマーが床にぶつかり、ガシャンと音を立てた。
「お前が相手にしているのは、フレムンドの相棒だった聖女そのものだ……」
「くっ……。私では勝てないと言うのか……」
黒いサングラスに見下ろされ、床で上体を起こした女騎士は格の違いを思い知る。
いっぽう、ジンはエステルを見た。
ビクッとする、公爵令嬢。
「模擬戦で、バカどもを叩きのめす! 今は、それでいい……。失礼する!」
「そ、そうですわね……。いえ、ちょっとお待ちなさい!?」
真っ赤になったエステルが引き留めるも、ジンは模擬戦の会場へ走り出した。
立ち上がった彼女は、すぐに追いかける。
「わたくし達も、行きますわよ!」
「「「は、はいっ!」」」
上に本を乗っけても落とさない、モデル歩きで……。
53
お気に入りに追加
544
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
クラスごと異世界に召喚されたんだけど別ルートで転移した俺は気の合う女子たちととある目的のために冒険者生活 勇者が困っていようが助けてやらない
枕崎 削節
ファンタジー
安西タクミ18歳、事情があって他の生徒よりも2年遅れで某高校の1学年に学期の途中で編入することになった。ところが編入初日に一歩教室に足を踏み入れた途端に部屋全体が白い光に包まれる。
「おい、このクソ神! 日本に戻ってきて2週間しか経ってないのにまた召喚かよ! いくらんでも人使いが荒すぎるぞ!」
とまあ文句を言ってみたものの、彼は否応なく異世界に飛ばされる。だがその途中でタクミだけが見慣れた神様のいる場所に途中下車して今回の召喚の目的を知る。実は過去2回の異世界召喚はあくまでもタクミを鍛えるための修行の一環であって、実は3度目の今回こそが本来彼が果たすべき使命だった。
単なる召喚と思いきや、その裏には宇宙規模の侵略が潜んでおり、タクミは地球の未来を守るために3度目の異世界行きを余儀なくされる。
自己紹介もしないうちに召喚された彼と行動を共にしてくれるクラスメートはいるのだろうか? そして本当に地球の運命なんて大そうなモノが彼の肩に懸かっているという重圧を撥ね退けて使命を果たせるのか?
剣と魔法が何よりも物を言う世界で地球と銀河の運命を賭けた一大叙事詩がここからスタートする。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。
応援していただけたら執筆の励みになります。
《俺、貸します!》
これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ)
ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非!
「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」
この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。
しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。
レベル35と見せかけているが、本当は350。
水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。
あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。
それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。
リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。
その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。
あえなく、追放されてしまう。
しかし、それにより制限の消えたヨシュア。
一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。
その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。
まさに、ヨシュアにとっての天職であった。
自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。
生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。
目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。
元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。
そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。
一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。
ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。
そのときには、もう遅いのであった。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる