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35話 業火(ヘルファイア)

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「防御ばかりじゃ面白くないわ!」

 あばらがやられたことにより、思った通りの動きができない、防御するのに精一杯だ。

 突然攻撃が止まる。

「やっぱ馬鹿だ!」

 後ろを振り返り、一言いう。

「あなたの生徒、助かったらしいわ、よかったねー!」

 サキュアはあまり興味が湧かないのか、つまらなさそうに言う。

「そうか、それは良かった」
「で、どうするのー? シャル・ヴイをこっちに渡して、ここから立ち去る?」

 提案を出されたがもちろんNoだ。

「全員連れて帰るに決まってるだろ」

 上目遣いでこちらを見つめ、微笑し再び攻撃を開始する。

「まあいいや、じゃあドーン!」

 紫のビームが発動され、それを避けると、ビームが2手に分かれた。

(やばい!)

 そのまま義手にあたり、腕が外れる。

「あらー、おしい!」

 拾いに行くことはできない、片手で戦うしかない、すると前に影が。

「先生!」

 ヴイの声が聞こえた、みんな無事だったそうだ、ウィデアも少し元気になっていた。

 サキュアは気にせず攻撃を仕掛ける。

「これは流石に避けれないでしょー」

 一度地面に足をつく、その瞬間、私の足に何かがからむ。

「くそ!」

 サキュアは手を引くと、そのまま後ろに倒れてしまう、倒れた私を、ビームで攻撃する。

「やっぱり!」

 避けることは不可能だ、やばい。
 その時、私の前に大きな壁が出てきた。

「巨大壁(タイタンウォール)」

 私の前に形成され、ビームに当たるがビクともしない、壁のおかげで、足に絡みついていた、何かが取れ、動くことができるようになる。

「フェリックス、ありがとう」
「あぶないですよ」

 守られたことにより、少し不機嫌だ、フェリックスを見て、舌を出し、あっかんべーをしている。

 先生は一度距離を取り、私たちの方に来る。
 その間、サキュアからの攻撃は来なかった、先輩に守られたことが、相当悔しかったのか。

「どうする、先生」
「先生、あばら? 大丈夫ですか?」

 とても痛そうにしている、息もしにくいのか、苦しそうだ。

「あっああ」

 イオリが先生を心配そうな目で見つめる、するとユアンが、ルアと何か話している。

「ルア、私たちでなんとかしましょ!」
「でも、あれ、相手じゃきついよ? 私、授業もダメだったし」

 その話を聞いてたイオリも話に入る。

「私もやる、ユアン何か作戦あるの?」
「うーん」

 どうやら考えていないらしい、だが、相手が攻撃して来ないから、考える時間はある。

「俺も戦いますよ」
「いや、俺に」
「先生がそう言っても俺はやります」

 先生を置いて、サキュアの前に立つ。

「あら、作戦会議は終わったのかな? でもねウルク相手じゃやる気でないなー」

 挑発は気にしない、相手を倒すことだけに集中する。

「まあいいわ、どうぞー」

 私はなにもしませーん、と言った雰囲気を醸し出している、そんなの御構い無しに攻撃をする。

「氷の壁(ウォールオブアイス)」

 相手の視界にはいらないように隠れる、そして。

「猫目(キャットアイ)」

 壁越しで相手を見る。その動きを見て少し警戒している。

「学園で上位って聞いたけど、正直見くびってたわ」

 氷の壁で相手を囲む、サキュアは周りをキョロキョロしている。
 相手には見えてないだろうけど、俺の前の氷の壁の外側には少し、ヒビが入っている。

(そろそろか)

 相手が俺の方を見た瞬間、先生に合図を送り、俺は「炎嵐(ファイアーストーム)」を無詠唱で発動させる。
 そして、いいタイミングで、ヒビが入ってるところに、蹴りを入れ、そこに視点を集中させる。
 そこから顔を出すのではなく、先生のテレポートにより、敵の前に行く。

「早く早く!」

 気づいていない、これならいける!
 すぐにテレポートを使う。

「あれ、いないねー」

 いないことを気づいたが、遅い、俺はお前の前にいる!

「炎嵐(ファイアーストーム)」

 前に現れると同時に発動、目の前に来ることは予想できなかったのか、一瞬で後ろに下がったが、避けきれない。

「予想外だわ!」

 攻撃を食らっているのにも関わらず、喜んでいる、そしてそのまま、先生の「交代(チェンジ)」で入れ替わる。

「業火(ヘルファイア)!」
 
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