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34話 馬鹿な二人

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 サキュアは私たちを見もしない、気にしていないのだ。
 その間に私たちは敵が潜伏しているところに、ゆっくりと近づく。

 ルアと仮面二人がいるところは、サキュアが座っていた王座を超えて、少し進むと、岩で山みたいになっているところで、二人の戦いを見ている。
 ルアは抵抗せず、座っている。

「あ! ルア!」

 ユアンが指をさしたところにルアがいる、しかしあまりの興奮で、声がでかい、先輩はすぐにユアンの口を押さえた。

「静かに」

 口を開けて驚いた様子だ、すぐに落ち着き、ゆっくりと山の方へ向かう。

「戦闘になる、よね?」

 イオリが恐る恐る、先輩に問いかける、確かに、はい、どうぞ、で返してくれるわけがない。

 先輩は何も言わずに頷き、拳を作り胸を叩く。

 イオリは少し不安そうな目を向けるが、気にせず歩き続ける。

 そして敵がいてる、すぐそこまで来た、そこで二人はやっと、こちらに気づく。

 ルアをそこにおいて、こちらに出てきた。

「どうした? 返して欲しいのか?」

 その声はとても腹がたつ、ユアンがその挑発に乗るが、手で静止する。

「感情的になるな、俺がやるから、下がれ、隙があれば助けに行け」

 そう言って私たちは、後ろに下がり、様子を見守る。

「おいおい、お前一人で大丈夫か?」

 この人たちは知らないのか? 先輩が強いことを、するともう一人の人が、耳打ちする。

 すると驚いた様子で先輩を見る。

「まじか! 正直言って、俺よく見てなかったから知らなかったわ」

 そんな呑気なことを言ってる途中、どこからか、炎の矢、炎射矢が仮面の二人にすれすれに通過する、突然のことで後ろに逃げてしまう。

 その出来事に私たちも驚いた、その隙を狙い、ユアンが真っ先にルアのところに走る。
 仮面の二人は体制を崩し、倒れている、すぐに立ち上がり、ユアンを攻撃しようとするが、先輩の魔法により阻止する。

「巨大壁(タイタンウォール)」

 私たちが作る壁よりもはるかに、分厚く、でかい壁が敵とユアンの間に形成される。

「くそ、早くしねえと!」

 敵は能力を駆使しながら、巨大壁を壊そうとするが、壊れる様子はない。

「もういい、俺がやる、ファイアーキック!」

 炎系の能力、足に炎を纏い、壁を蹴りつけるが、何も起きない。

「いって!」

 その様子をみてイオリがあきれた様子で言う。

「なんか、あれだね、この二人大したことないね」

 私は微笑し相槌を打つ。
 その声が聞こえたのか、こちらに指をさして、なにかを言っている。

「だまれ!」

 壁は諦めたのか、こちらに向かってくる、が。心配ない。

 炎系の能力の男がファイアーキックを発動し、イオリをめがけているが、先輩が、足を取り、雷火(ライ)を発動させる。

「痺れさせろ! 雷火」

 相手の能力はキャンセルされる、そのまま下に落ち、痺れている、もう一人の男が水系の能力で背後から対抗する。

「くっそ! くらえ!」

 そう言って出てきたのは、水で形成された剣だ。
 それを大きく振りかぶり、先輩めがけて発動するが、先輩はすぐに敵の横に移動し、その剣に軽く触れる。

「アースクエイク!」

 地面だけを揺らせることができるのではなく、対象物だけも揺らせるらしい。

「!」

 揺れた瞬間持っていた剣が折れる、それに気づき、攻撃を止めるが、もう遅い。

 先輩はそのまま相手のお腹にキックを入れる。

「じゃあな! 馬鹿ども」

 地面に叩きつけるように蹴り、雷火で痺れさせた奴とぶつけさせる。

「動けねえから!」

 その声と同時に砂埃が、相当痛そうだ、それを見てイオリは喜んでいる。

「やったね!」

 それを見て、ユアンがルアを連れて、こちらに来る。

 こちらに来るとすぐにルアが先輩の手を取り、お礼を言う。

「えっと、ありがとうございます! 助かりました!」

 先輩はあからさまに緊張している、だってルアは美女だからだ。

 顔は童顔で、髪は黄色で一つ結び、さらに黒色のリボンでくくっている。

「お、おう、だが、まだ終わりじゃない」

 緊張はほぐれていないが、すぐに切り替え、先生とサキュアが戦ってる方を見る。

 それに続き私たちも見る。
 私は胸中で思っていたことが、言葉として出たことに気づかなかった。

「今度は、私たちが」

 みんなが私を見たことにより気づき、顔が赤くなる。

 イオリが頭も撫でながら言う。

「だね! いこ!」

---

 少し足早に歩きながら、元の場所に戻っていると、ユアンが不思議そうに言う。

「あれだね、呆気なかったね」
「連携もクソもなかったね」
「ヴイちゃん言うよになったねー!」

 その会話には全く入ってこない先輩、なぜなら真横にルアがいて質問攻めされていたからだ。
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