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14話 可能性

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 その言葉に驚いた、学園のトップである人が、嘘をついて裏で働いているなんて、ありえない、あるはずがないからだ。

「え、えっと、学園長がですか?」

 私は言葉を詰まらせながら話す、ヴイちゃんは、じっと動かず何かを考えている。

「ああ、あの学園は嘘にまみれている」

 嘘とは何かが一番気になる。

「えっと、嘘とは? 私達からすると、学園のトップの人が嘘をつくなんて思いませんけど、しかも、この寮、学園長から提案されましたし」

 この話も嘘なのか? と疑ったが、嘘ではないと私は思っている。
 だが、彼には学園そのものが嘘だと考えている。

「甘い言葉で惹きつけ、最後は突き放す野郎だ」

 するとずっと黙り込んでいた、ヴイちゃんが話を始める。

「私は学園長が嘘をついてるのは思いません、学園そのものが素敵だとも感じています」

 今日あった出来事、もし嘘にまみれていたら、あの時に私たちはどうなっていたのか?

「俺たちSSクラスの生徒もそう思っていた、だが、ある行動によって嘘だと確信した」

 一応周りを確認して話を始める。

「クラスの担任からは、旅行と言われ、当日集められた生徒は楽しみにしていた」

 旅行は楽しいものだから、集められた生徒はさぞかし嬉しかったのだろう。

「だが、たどり着いた場所は、周りになにもなく、建物は崩壊していて、周りに人が住んでいる気配もない、飛行機がなにもないところに着陸する」

 たしかに旅行なのになにもないところに着陸するのはおかしい。

「俺たちは窓から外の景色を見ていた、すると身体が動かなくなり、気づいたら飛行機の外にいて、俺たちが乗っていた飛行機は、上空に飛んでいた、その時に見た担任と学園長の顔が忘れられない」

 だが気になることがある、一部の生徒だけが集められ、旅行だなんておかしな話だ、普通ならクラス全体で行くべきだ。

「一部の生徒とは、どんな生徒なんですか?」

 手を思い切っり握りしめて、歯を食いしばり話す。

「クラスの順位、下位二十位、までの生徒」

 上位の生徒は集められていなかったらしい、それは単純に修行ではないのかとも思う。

「俺はクラスの順位は十四位だった、だから今回、駆り出された」

 少しの間なにも言わなかったヴイちゃんが話しをする。

「駆り出されたってどういうことですか?」

 それに関しては私も疑問に思った、駆り出されるって私からすると、あまりいいイメージじゃない。

「あの学園長は、上位の奴らにしか興味がない、下位の奴らは駒でしかない、生きてることさえ許さないという考えだ」

 私たちは黙って話を聞く。

「今回は下位の生徒だったが、恐らく、これから全生徒が巻き込まれることになるだろう」

 それはどうして? と聞く。

「あいつらはこの世界のことを隠している、お前らは「マルキア」「アサキド」「ムーン」「ランコサ」「キューレイ」「アムルサクルド」「ドーム」 これらの街を知っているな?」

 この国「アルマキア」の七都市だ、それがどうしたと首をかしげる。

「それら以外にも、「キュレル」「アーキ」「クアンテルク」「ドルドル」 と言った四都市があるんだ」

 そんな都市聞いたことも習ったこともない、横を見ると聞いたことがあるみたいな反応をしているヴイちゃん。

「なぜみんな知らないのかというと、簡単な話だ、このマルキアは一番栄えているところだ、特に魔法が栄えている、その名門の学園長とあれば、権力はすごい、それを利用して、それらの都市がなかったかのようにしているんだ」

 全く話の意味がわからない、たしかに名門の学園長だったらそれなりに、権力はあるはず、だが、国の政治を侵すまでの権力はあるのか不思議だ。
 ヴイちゃんが思ったことを話す。

「なるほど、本来ある場所がなかったかのように改ざんされてるのですね、今の話を聞いている限り、あなた達が旅行と言われ、連れていかれたのは、いま言った四都市のどれかですよね?」

 ヴイちゃんは頭がよく切れる、集団になると弱いが、少人数ならすごい。

「ああ、だが、そこがどこの都市なのかはわからない、だって、そんな都市があるなんて思ってもいなかったからだ」

 私は話がわからなくなってきて、頭がパンクしそうだ、ヴイちゃんの様子を見ると、やたらと汗の量がすごい。
 すると口パクで話す。

(どうしよ、話が難しい)

 どうやらヴイちゃんもあまり理解できていないようだ。
 それでもお構いなく、話を続ける。

「携帯など使って見たが、全く使い物にならなかった」

 そう言って携帯を見せてきた、液晶が割れていて使い物にならない。

「それでみんなで歩いて帰ろうとしたんだ、すると見たことのない、奴らが出てきて、いきなり攻撃を始めたんだ」

 荒れ果てた土地、おそらく奴らが荒らしたと考えられる。

「予想外の展開により、相手の攻撃に避けれず、直撃したものもいる」

 直撃したものは当然、死ぬということだ。

「俺たちは必死に逃げた、一度は離れ離れになったが、徐々に合流していき、八人と出会えた」

 私はその言葉に驚き、ついつい口から漏れた。

「と、いうことは?」
「ああ、十二人は帰らぬ人となった、俺たちは最初は疑ったさ、死んでいないと、だけど、あの血の量、明らか致死量だ」

 絞り出すように話をする、少しだけ学園のことがわかった気がする。

「そう、なんですか、あなたはここにいるということは生き残れたということですよね?」

 ヴイちゃんが話を始める。

「ああ、他の奴らを置いてな」

 その言葉に引っかかり、もう一度聞く。

「私の予想ですが、あなたの味方がこれらのことを伝えるように、ワープさせたんだと思いますよ?」

 全員死んだら、今の話を聞けなかった、それだけは避けたかったのだろう。

「だけど、なんで俺だけなんだ?」

 そんなこと私にはわからない。

「さあ私にはわかりませんが、あなたに可能性を感じたのでしょう」

 唇を噛み締めたまま少しの間動かなくなった、その間、イオリがこっちを見て口パクで何かを言っている。

(その敵? ってなんていう名前なのかな?)
(わからない!)

 落ち着いたのか話をまとめる。

「話が長くなったな、俺が言えるのは、学園は俺たちのことを「道具」としか思っていないというこだ」
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