War battle

ルルル

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12話 チーミング

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「仕方がないな、説明するぞ」

 ザキが息を呑み、集中して話を聞く、その間私たちは周りを警戒する。

「ゆっくり階段上がって、後ろに手榴弾を投げろ、投げた瞬間、俺たちはザキの後を追う、ザキは先に前をクリアリングしてくれ」

 その説明に理解したのか頷いた。

「わかった! でも手榴弾ミスったらどうするんだ?」

 笑いながら肩を叩いた。

「ああ、俺らは走って逃げる」

 ザキは花岡を睨みつけた。

「とりあえず失敗はありえない、だろ?」

 その一言で気持ちが入ったのか、階段に向かう。
 私たちはザキの後ろ姿を見つめ、息を殺す。

「あいつ大丈夫か?」
「心配だよね! ザキだし!」

 真彩もマアルも少し不安らしい。
 だが花岡は自信を持って答えた。

「ああ、あいつなら大丈夫、とりあえず、あいつが手榴弾を手にした瞬間、ダッシュで階段を上がるぞ、甘城とマアルは背後、俺と真彩はザキの後についていく」

 作戦が伝えられ再びザキに視線が向く。

(やべ、緊張してきた、絶対成功させないとな......ん? 何やら声が)

 すると腰を下げてこちらをみてきた。
 何やら合図を送っている。

「何やってんだ?」
「おそらく敵がいたのだろう」
「作戦は?」
「続行だ」

 私は何も言わず、ザキを見つめる。
 ザキはこちらに視線を合わせた後、再び足を動かした。
 そして手榴弾のピンを引こうとする。
 引くのを見て花岡が合図を出す。

「いくぞ!」

 花岡がダッシュで階段に向かう。
 ピンを抜いて、背後に投げた。
 その頃には花岡と真彩がザキに追いつき、前に敵がいないか確認する。
 爆発とともに悲鳴が聞こえた。

「ぐわ!」
「くっ!」
「一、二番!」

 私とマアルは後ろを向いて敵がいないか確認する。

「マークが四つ、後一人?」
「まだわからないな」

 すると前に進んでいった花岡達が敵と睨み合っていた。
 私が前を向くと敵が六人いた。

「なんで?」

 前を向いた瞬間、背後から敵が飛んできた。

「死ねええ!」

 マアルが私を押し倒し、その時マアルにナイフが掠れたが、気にせず腕を掴み投げ飛ばした。
 敵は階段の下に落ちてマークがついた。

「マアルありがとう!」
「よそ見すんじゃねえよ! 手切れるかと思ったわ」
「ごめん、」
「痛くなかったから許す、とりあえず前の援護行く、お前は後ろみとけ」

 そう言って花岡達の方へ走った。
 後ろから来たマアルに気づいた。

「マアルどうだ? やれたか?」
「ああ、五人やれた、だが前に敵が六人だと? どういうことだ?」

 一チーム五人にはずが十一人その場にいたのだ。

「おそらくチーミングだ、気にせず、前のやつら倒すぞ」

(十一人? おかしいな、三チームいるはずなんだが)

 すると上から何かが降って来た。

「避けろ!」

 その瞬間爆発する、花岡の叫ぶにより直撃は避けれたが、ダメージが少し。
 それを見た敵が前に寄ってくる、それと同時に再び手榴弾が降ってくる。

「次は避けれねえぞ、翔太」
「どうするのさ?」

 花岡は考え込んで何も答えない。
 手榴弾が地面についた。

「やばい、死ぬ!」

 その時、背後から甘城の声が聞こえた。

「翔太!」

 爆発が避けきれないと思い、防御体制に入った、そして爆発する。
 生きているのを確認して、周りを見渡すと、前にマークが六人ついてる。
 何が起きたか分からず立ち止まっているとマアルに手を引かれた。

「翔太! 止まってねえで走るぞ!」

 上にいる敵は確実にやれたと思い、その後、手榴弾が落ちてくることはなかった。
 とりあえず敵から見えない、隅に行き体制を整える。

「危なかった! 真彩大丈夫?」

 真彩は呆然としている。

「正直死んだと思った、てか地味に足痛いわ」

 一発目の時に破片が足に当たったのだ。

「ザキ大丈夫か? 俺は大丈夫、マアルは?」
「俺は腕がやばい」

 腕を見せると血がたくさん出ている。
 それをみた真彩が咄嗟に自分の服を千切って圧迫止血を試みる。

「大丈夫? マアル?」

 その姿を見てザキが嫉妬する。
 すると花岡が悲しげに話し出した。

「マアルさっきはありがとうな」
「気にするな」
「不思議じゃない? 私たちの真下に落ちて来たはずが、敵が死ぬって」
「それだよな、翔太何かしたのか?」
「俺は何もしてない」

 すると私に視線が集まる。

「もしかしてゆあたん?」
「まじか? でもどうやって?」
「あの時翔太のこと名前で呼んでたしな」

 少し顔が熱くなった気がした。
 だけど、あの時、みんなが死ぬと思って自然と足が動いていた。

「そんな対したことじゃないんだけどね」

 より一層、視線が集まる。

「手榴弾が落ちて来たのを、2階に落ちていたフライパン、で敵の方に向けて撃ったの」

 信じられないという表情だ、私は恐る恐る、フライパンを前に出した。
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