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第七部 これからの日常、異世界の日常
異世界の章・その13 ファンタジーが聞こえる
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さて。
異世界に向うことになった異世界政策局の職員たち六名。
男性二人に女性四人という組み合わせで、ツヴァイとアルフィンと共に向かうことになったのだが。
「さて、ツヴァイ、外の転移門まで歩いて行って、全員で転移門に触れないとならないけれど‥‥」
「取材とかいう人たちが大勢いますねぇ。どうしますか?」
「ここのロビーに開く。中からすぐ閉じるから問題ないでしょう?」
そんな会話をしながら、一階ロビーの死角に転移門を作るアルフィン。
――ヒュゥゥゥゥゥツ
ロビーにいた職員達は突然の事で驚いている。
これから何が起こるか、アルフィン達をじっと観察していた。
「まずわたしが見本を見せますので。皆さんはその真似をしてください」
そう説明すると、掌にパスポートを生み出してかざす。
すると転移門に波紋が浮かび上がる。
そこに手を触れると、アルフィンの姿がスッと消えた。
――ザワザワッ
予め説明を受けていたとは言え、やはり実践は違うらしい。
「次は誰からですか?」
そうツヴァイに問いかける子もいたので。
「確か、日本は名前の順番がありますね。ではそれで」
その言葉と同時に、赤城湊が前に出る。
「昔からそうなんですよ。何かあると名前の順番って。一番赤城行きます‼︎」
堂々と叫ぶと、手の中にパスポートを生み出す。
その光景にロビー職員達は顎が外れそうになる。
異世界の人間でない日本人が魔法を使った。
もしここに記者がいたら間違いなく英雄であろう。
スッとパスポートをかざすと、赤城は波紋に手を触れ、そして消えて行った。
そのあとは次々と職員達が消え、最後にツヴァイがロビー職員に挨拶をして転移門に消えた。
このあとはいつも通り、ツヴァイが通った後にアルフィンが転移門を消すと、反対側の転移門に一行を案内する。
そして入る時と同じ方法で転移門をくぐると、いよいよ職員達にとってははじめての異世界である。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
「はあ~此処か異世界てすかぁ」
「思ったよりも普通ですね」
「もっとこう、自然が多い場所かと思っていました」
口々に感想を話している職員達。
気持ちはわかるよ、気持ちは。
「皆さんの思い描いているファンタジーに合わせますと、転移門の位置が鬱蒼と茂った森林とかになってしまいまして、安全を確保できないのですよ」
アルフィンが全員に説明すると、どうやら納得してくれたようだ。
「それじゃぁ、まずは検疫を受けてください。こちらの部屋にどうぞ」
隣の検疫室に通されると、一行はミヌエットの浄化魔法で検疫を受ける。
全員の全身が輝いた時はかなり驚いていたが、それが魔法による浄化であると説明すると納得したようである。
「では次は手荷物検査です。隣へどうぞ」
そのまま隣の部屋に移動すると、いくつかに仕切られた部屋に通される。
そこで個人別に手荷物の検査を受けるのだが、カウンターの上に日本語で大きく
『機械類持ち込み禁止、必ず預けてください』
と表記されていた。
第一回の査察団の時の教訓である。
「あの、ケータイも全てですか?」
「ええ。全てですよ。貴重品は自己管理、機械類と一緒に預けてくれても構いません」
「記念撮影とかは?」
「公式に国交が結ばれていないので駄目です。誤魔化したり隠していたら壊れるので、必ず預けてください」
「壊れますか?」
「壊れます。ボンって言います」
「弁償や保険は?」
「先に持ち込み禁止と説明しているのでありません。直せません。今日は軽く散策したりする感じで楽しんでください」
そう説明すると、職員達は全員が機械類を預ける。
そして検査が終わると無事に税関区画からギルドの一階ロビーに出ることができた。
以前は一度外に出て入り直していたのだが、勝手が悪かったので中を改造して一階ロビーと繋げたのである。
手荷物預かり証は検査室で受け取るようにし、流れを簡略化したようである。
「ようこそ異世界へ」
ロビーで職員達を出迎えたのは異世界ギルドの面々。
「ギルドマスターが今不在ですので、わたしが代わりに。異世界ギルドのサブマスターを務めていますフィリップ・アルバートです」
初老の紳士フィリップが頭を下げる。
親父スキーには強力なインパクトである。
異世界ギルド職員にはエルフやドワーフ、ロリエッタ、獣人、そして人間の老若男女が揃っている。
全てマチュアの策略である。
そして、受付カウンターのあるロビーでは、予め連絡してあったゼクスが待機していた。
ちょくちょくテレビに映っているので、ゼクスと一緒だとそれほど抵抗はないと判断。
「此処からは皆さんが興味あるところに行きましょう。二つのグループに分かれて簡単に方向性を話し合ってください。ゼクスとツヴァイを引率につけますのでよろしくお願いします」
アルフィンがそう話して、ツヴァイ組とゼクス組に分かれるように促すと、女性職員は全員ゼクスに、男性職員はツヴァイのもとに歩み寄る。
「ツヴァイ、ゼクスちょっとこっちに」
チョイチョイと二人を呼ぶと。
「私は後でくる知事と部長の相手をする。此処は任せる」
「了解です」
「わかりました。飲食とかはどうしますか?」
「好きなところに連れて行け。お土産が欲しいとねだられたら、各自の判断で買って差し上げろ。ギルドに登録したいと言われたら‥‥」
そこで腕を組んで考える。
「まあ、登録したからといって何も変わらない。記念に登録程度だろうから、構わん‼︎‼︎」
きっぱりと告げるアルフィン。
「では、行くとしますか」
「今日はアルフィンの金で美味しいものが食べられそうですねぇ。」
ゼクスとツヴァイはそう笑いながら、自分たちの引率メンバーの元に向かって行った。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
アルフィンは異世界ギルドを後にすると、グランドカナンの自宅から馴染み亭の自室に戻る。
――シュンッ
すかさずマチュアに戻ると、階段を降りていつものベランダ席に向かう。
「おや?今日はもうおしまいですか」
ジェイクが搾りたてのフレッシュジュースを持ってくると、そうマチュアに問いかけた。
――ゴクゴクゴクッ
一気に飲み干す。
「この後はVIPが来るかも知れなくてね。異世界の客だから粗相のないように。まあ、ジェイクなら大丈夫か」
「その心配事はないようにしましょう。本日の宿とかはお決まりですか?」
「あ~、宿ねぇ。来訪者専用の宿は必要かもなぁ‥‥建てるか、今ある宿を買い取るか」
「いくつかの宿と提携を組むというのは?」
「宿によってはタチの悪いのがいるからなあ。アレとかアレとか」
チラチラとタチの悪い常連を見るマチュア。
まさか自分たちがタチの悪い代表と扱われているとは思っていないのだろう。
常連のホイ三兄弟がマチュアにマグカップを掲げている。
「あとは商人だな。異世界から持ってきたものを欲しがってとんでもない交渉しかねないし。まだまだアタマが痛いよ」
「こちらに来る時の注意喚起程度でよろしいのでは?100%の安全など保証する必要はないでしょう。ここは彼らにとっての異世界、こちらのルールに従って貰えばいいのですから」
「まあね。宿以外はそれでいいや。草案纏めたら騎士団と巡回騎士に説明すりゃいいか」
「宿も同じですよ。いくつかの信頼できる宿に協力を求めるといいでしょう。その上で、今後も人が増えそうな場合を考えて、いまから建築するのもありがと」
――ポン
相変わらずいいアドバイス。
思わず手を叩いてウンウンと頷いてしまう。
「パーフェクトだよジェイク。済まないが」
「了解しました。宿屋にはいくつか心当たりがありますので、話を持ちかけてみましょう。マチュア様は建築ギルドにどうぞ」
「ありがとう‼︎すまないが頼むね」
そう話してから、マチュアは馴染み亭から飛び出して箒に跨ると、建築ギルドに飛んで行った。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
「いょーう。随分と久しぶりだな。今日はなんの用事だ?」
建築ギルドのギルドマスターであるガルボ・セキスイがマチュアに軽く会釈する。
「久しぶりじゃないよ。異世界ギルド作ったばかりだろうが」
「ガッハッハッ。そうだったな。それで何を建てればいいんだ?」
「気が早いなぁ。なんで分かるんだよ」
「マチュア様がここに来る理由としてはそんな所だろうさ」
そう話をすると、ガルボは羊皮紙を取り出す。
ならばとマチュアも椅子に座ると、早速話を始めた。
「部屋数50。風呂付、食堂あり、個室、大きさはこれぐらいで‥‥」
身振り手振りで大きさの説明をする。
「風呂付とはまた、随分と凄いなあ。何処の貴族様の屋敷だ?」
「異世界から来る人達のための宿だよ。毎日風呂に入らないと落ち着かないだろうから」
「へぇ」
マチュアやストームがこの世界に来た時に驚いたのは風呂問題。
今でこそ慣れてしまったが、家の中で大きな風呂桶にお湯を貼り、それで体を洗っておしまいと言うのがカリス・マレスの風呂事情。
ストームの家や馴染み亭には、マチュアが作った浴槽とお湯を作る魔晶石が設置してあるので、それほど困ってはいないが、そんなものを持っているのは貴族や一部の富豪のみ。
「そんなにお湯を作れるのか?魔晶石で作れるって言うのは聞いているが」
「そうなんだよ。何かいい知恵はないか?」
「さて。あっちの人間にとっての風呂は大切なものか?個室でないとならないのか?人に裸を見られるとやはり恥ずかしいか?」
「まぁ、そう言うひとも‥‥そうか、銭湯だ。親方。すこし工程を変更してくれ」
そう叫ぶと、マチュアは羊皮紙に簡単に図面を書く。
それは日本の様式美である銭湯の平面図。
男湯と女湯、サウナ、そして混浴などなど、いくつもの図面を書き始めた。
それをガルボに見せながら、一つ一つ説明する。
「はあはあ、成る程ねえ。一度に大勢入れる風呂か。いくつもの大きな風呂桶を用意して?」
「ここはほら、石細工師の所でね‥‥」
暫く細かい打ち合わせをしていると、フィリップから水晶に連絡が入る。
――ピッピッ
「 土方知事と三笠部長が参りましたが」
「私の部屋に通しておいて。すぐ行くから」
そう話すと
「こっちは図面ができたら見せるよ、先に用事済ませてきな」
「ああ、それじゃあ近々来るから、あとは頼むね」
――シュンッ
それだけを話して、マチュアは異世界ギルドの執務室に転移した。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
「おおっと。ミナセ女王ですか?」
マチュアが突然部屋にやってきたので、土方知事と三笠部長が慌てて立ち上がった。
「いえいえ、異世界ギルドのギルドマスターを務めていますマチュアです。女王と同じような顔と同じ名前ですが別人ですので」
そう説明するマチュア。
土方知事と三笠部長はすぐに横にいるフィリップを見るが、フィリップもコクリと頷いたので納得したらしい。
「さて、仕事の話しします?それとも何処か行きたい場所ありますか?」
「そうですね。仕事はやらなくてはならないのですが、終業時刻を過ぎていますので。ここで仕事しても残業は付かないですよね?」
三笠部長が土方知事にそう問いかけるが。
「タイムレコーダーが無いからなぁ。無理だな」
「はい。では何処かに行く方向で」
そう告げる三笠部長の言葉で全てが決定した。
「何処かみたいところや行きたいところなどありましたら、私の権限で行ける所にご招待しますよ」
マチュアがそう説明すると、土方知事と三笠部長が同時に一言。
「「飲み屋に行きたい!!」」
全く。
人間っていうやつは、何処までいっても酒が好きなんですねぇ。
そう考えたマチュアは、取り敢えず『そこそこに無難な酒場』へと案内することにした。
………
……
…
酒場『黄昏の湖畔亭』にやってきたマチュアと土方、三笠の三名。
ここは冒険者ギルドからもかなり近く、窓側の席からは街道筋が一望できる。
「この店は何がお薦めなのかな?」
席に着いた土方がマチュアに問いかけているが。
「さて。この手の店ではメニューなんてあってなきがごとしですのでおまかせを」
そんな事を話していると、丁度ウェイトレスがマチュア近くまでやってきた。
「おやマチュアさんお久し。馴染み亭でばっかり飲んでないで、たまにはうちにも来て下さいよ」
「だからきたじゃない。取り敢えずこれで。エール三杯と、肉と魚と野菜料理を適当にお願いね」
――ピン
と指で金貨一枚を弾くと、それをパチッと受け取る。
「マチュアさんところに冷えたエール三杯おねがーい」
その掛け声で、奥の店員がエールを持ってくる。
――ゴトゴトッ
木製のマグカップに冷えたエールがなみなみと入っている。
「まあ、乾杯という風習はありますのでご安心を」
「そうか。しかし不思議な匂いだな」
「どことなくフルーティですね。ビールとエールの違いってなんででしょう?」
「さあな。エールを飲んだことがないのでなんとも」
そんな話をしているので、マチュアがマグカップを高々と掲げた。
「理屈はこの際置いておきましょう。それではかんぱーい」
「乾杯!!」
「かんぱーい」
マチュアの叫びに釣られて土方も三笠も、ついでに彼方此方の席の常連も乾杯と叫ぶ。
「もう少し言葉が分かればいいのだけれどね」
「ええ。本格的にこの世界の言葉を学ぶ必要がありますねぇ」
「それと通貨だ。こっちで飲みたくても、中々飲むことが出来ない。お金がないとなぁ」
「そうですね‥‥って、知事、この前預かったこっちの世界の通貨は?」
「あれは異世界政策局の活動資金だ。個人的に手を付けることはゆるさん」
などなどと話をしているが、目の前でマチュアが一気にエールを半分飲んで満足そうにしているのを見て、土方と三笠もぐいっとエールを喉に流し込む。
――ゴキュゴキュッ
「ぷっはー。そうか。イギリスのパブで飲んだやつに似ている。上面発酵のビールだな」
「果実の香りと味もしますねぇ。リンゴかな?」
「ご名答。この店のエールはアプルの実の香りと味わいがします。これ好きなんですよ」
マチュアが説明していると、テーブルに次々と料理が運ばれてくる。
茹でた腸詰め、一口大の鳥肉のパイ、川魚を蒸し焼きにしたもの、生ハム、茹でた野菜を炒めたものなど、カナンではよく見るメニューである。
「あ、粒マスタード持ってきて。それとエール、アプルの実のやつね」
「はーい。只今っ」
にこやかに叫びながら、マチュアの前に粒マスタードとアプルの身をつかったエール=シードルが運ばれてくる。
「これはどう食べるのかな?」
「基本はフォークでぶっ刺して食べるか指で摘んで口の中ですね。こんな感じで」
マチュアはフォークを巧みに使い、腸詰めを半分に切ること無く齧る。
――シャクッ
歯ごたえの良い音が響き、口の中にジューシーな肉汁が溢れる。
それをモグモグと食べながら、マチュアはいま来たばかりのシードルを喉に流し込む。
「こ、こうかね?」
カプッと腸詰めにかじりつく土方。
三笠は鶏肉のパイを手に取ると、そのまま端からかじりついた。
――ジュッ
どちらも口の中に大量の肉汁があふれる。
「んんっ!! これはっ」
「なんですか、この味は」
特別なスパイスなど使っていない。
当然保存料などの化学調味料や保存料も使っていない。
自然のままのあたりまえの味わいである
「マチュアさん、エールを頼んでほしい」
「私もです。エールのおかわりを」
「でしたら、こう告げて下さい。『エール、ディ、ナーシャ』ってね」
ニコニコと笑うマチュア。
ならばと、三笠も土方もマグカップを頭上に掲げる。
「「エール・ディ・ナーシャ」」
「はいはーい。少々お待ち下さいねー」
ウェイトレスの言葉は判らない。
が、注文が通ったのは理解できた。
やがてエールが二つ届けられると、ウェイトレスは三笠に軽くウィンクした。
「あ、あれはどんな意味が?」
三笠がドキドキしている。
「まあ、家庭不和を招きたくなければ、知らないほうが良いこともありますよ」
そこまで説明すると、マチュアはシードルのおかわりを頼む。
そのタイミングで、土方も三笠も手を上げてエールを追加していた。
段々と酔いも回ってくると、土方も三笠も饒舌になる。
話では、北海道庁総合政策部・異世界政策局を解体して、政府機関にその権利とコネを引き継ぐように進言している議員もいるらしい。
「へぇ。なんか大変そうですねぇ」
「ええ。それでも解体できない理由はありますから。異世界政策局は、カナンの異世界ギルドとの合同出資という形になっていますから。一方的に解体とはできないのですよ」
三笠が淡々と説明する。
「ああ、話は聞いていますよ。解体したくても、私を通さないと出来ないでしょう。それに、政府機関に異世界関係を作られても無視しますよ。今ある異世界政策局を通してくださいってね」
「よくぞ言ってくれた。これで私も堂々と言い切ってやることが出来ますよ」
土方が楽しそうに叫ぶと、三笠もそれに続く。
そして一気にエールを飲み干すと、さらにおかわりを続けていた。
ふと気がつくと、マチュアが窓の外を歩いている一行に気がついた。
「三笠さん、あれって異世界政策局の職員ですよね?」
マチュアがそう話をして外を指差すと、そこでは今まで見たこともない格好の3人の女性職員が歩いていた。
「あれは何をしているんだろうかねぇ」
「多分、冒険者ギルドに登録してきて、その後で装備を整えたんでしょうねぇ」
真っ赤な顔で問い掛ける三笠。
「ほう。もう冒険者ギルドに登録したのか。それにしても、あの装備は一体どうやって買ったのでしょうねぇ」
「ゼクスが買ってあげたんでしょうねぇ。まあ、お土産程度のものですし、銃刀法違反にならないように、刃物はギルドのロビーで預かりますよ」
そう呟くマチュア。
すでに三人はへべれけになっている。
「さて、そろそろ1時間経ちますがどうします?」
「そうだなぁ‥‥マチュアさん、済まないが宿の手配はできるかな?」
土方も足腰立たないくらいに酔っている。
「今日、ここあいてる? 」
「二人? 相部屋ならあるわよ」
「ならいいや、土方さんも三笠さんも、今日はここに止まって明日の朝帰りましょう。それでいいですね‥‥あら?」
――スヤァ
すでにテーブルに潰れている土方と三笠。
ならばと、マチュアは店員に頼み込んで二階の部屋に二人を運んで貰った。
「サラリーマンもストレス貯まるものですねぇ‥‥」
二人を見送った後、マチュアもその場でグーグーと眠ってしまう。
このあと、馴染み亭の従業員がマチュアを迎えに来たのは言うまでもない。
異世界に向うことになった異世界政策局の職員たち六名。
男性二人に女性四人という組み合わせで、ツヴァイとアルフィンと共に向かうことになったのだが。
「さて、ツヴァイ、外の転移門まで歩いて行って、全員で転移門に触れないとならないけれど‥‥」
「取材とかいう人たちが大勢いますねぇ。どうしますか?」
「ここのロビーに開く。中からすぐ閉じるから問題ないでしょう?」
そんな会話をしながら、一階ロビーの死角に転移門を作るアルフィン。
――ヒュゥゥゥゥゥツ
ロビーにいた職員達は突然の事で驚いている。
これから何が起こるか、アルフィン達をじっと観察していた。
「まずわたしが見本を見せますので。皆さんはその真似をしてください」
そう説明すると、掌にパスポートを生み出してかざす。
すると転移門に波紋が浮かび上がる。
そこに手を触れると、アルフィンの姿がスッと消えた。
――ザワザワッ
予め説明を受けていたとは言え、やはり実践は違うらしい。
「次は誰からですか?」
そうツヴァイに問いかける子もいたので。
「確か、日本は名前の順番がありますね。ではそれで」
その言葉と同時に、赤城湊が前に出る。
「昔からそうなんですよ。何かあると名前の順番って。一番赤城行きます‼︎」
堂々と叫ぶと、手の中にパスポートを生み出す。
その光景にロビー職員達は顎が外れそうになる。
異世界の人間でない日本人が魔法を使った。
もしここに記者がいたら間違いなく英雄であろう。
スッとパスポートをかざすと、赤城は波紋に手を触れ、そして消えて行った。
そのあとは次々と職員達が消え、最後にツヴァイがロビー職員に挨拶をして転移門に消えた。
このあとはいつも通り、ツヴァイが通った後にアルフィンが転移門を消すと、反対側の転移門に一行を案内する。
そして入る時と同じ方法で転移門をくぐると、いよいよ職員達にとってははじめての異世界である。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
「はあ~此処か異世界てすかぁ」
「思ったよりも普通ですね」
「もっとこう、自然が多い場所かと思っていました」
口々に感想を話している職員達。
気持ちはわかるよ、気持ちは。
「皆さんの思い描いているファンタジーに合わせますと、転移門の位置が鬱蒼と茂った森林とかになってしまいまして、安全を確保できないのですよ」
アルフィンが全員に説明すると、どうやら納得してくれたようだ。
「それじゃぁ、まずは検疫を受けてください。こちらの部屋にどうぞ」
隣の検疫室に通されると、一行はミヌエットの浄化魔法で検疫を受ける。
全員の全身が輝いた時はかなり驚いていたが、それが魔法による浄化であると説明すると納得したようである。
「では次は手荷物検査です。隣へどうぞ」
そのまま隣の部屋に移動すると、いくつかに仕切られた部屋に通される。
そこで個人別に手荷物の検査を受けるのだが、カウンターの上に日本語で大きく
『機械類持ち込み禁止、必ず預けてください』
と表記されていた。
第一回の査察団の時の教訓である。
「あの、ケータイも全てですか?」
「ええ。全てですよ。貴重品は自己管理、機械類と一緒に預けてくれても構いません」
「記念撮影とかは?」
「公式に国交が結ばれていないので駄目です。誤魔化したり隠していたら壊れるので、必ず預けてください」
「壊れますか?」
「壊れます。ボンって言います」
「弁償や保険は?」
「先に持ち込み禁止と説明しているのでありません。直せません。今日は軽く散策したりする感じで楽しんでください」
そう説明すると、職員達は全員が機械類を預ける。
そして検査が終わると無事に税関区画からギルドの一階ロビーに出ることができた。
以前は一度外に出て入り直していたのだが、勝手が悪かったので中を改造して一階ロビーと繋げたのである。
手荷物預かり証は検査室で受け取るようにし、流れを簡略化したようである。
「ようこそ異世界へ」
ロビーで職員達を出迎えたのは異世界ギルドの面々。
「ギルドマスターが今不在ですので、わたしが代わりに。異世界ギルドのサブマスターを務めていますフィリップ・アルバートです」
初老の紳士フィリップが頭を下げる。
親父スキーには強力なインパクトである。
異世界ギルド職員にはエルフやドワーフ、ロリエッタ、獣人、そして人間の老若男女が揃っている。
全てマチュアの策略である。
そして、受付カウンターのあるロビーでは、予め連絡してあったゼクスが待機していた。
ちょくちょくテレビに映っているので、ゼクスと一緒だとそれほど抵抗はないと判断。
「此処からは皆さんが興味あるところに行きましょう。二つのグループに分かれて簡単に方向性を話し合ってください。ゼクスとツヴァイを引率につけますのでよろしくお願いします」
アルフィンがそう話して、ツヴァイ組とゼクス組に分かれるように促すと、女性職員は全員ゼクスに、男性職員はツヴァイのもとに歩み寄る。
「ツヴァイ、ゼクスちょっとこっちに」
チョイチョイと二人を呼ぶと。
「私は後でくる知事と部長の相手をする。此処は任せる」
「了解です」
「わかりました。飲食とかはどうしますか?」
「好きなところに連れて行け。お土産が欲しいとねだられたら、各自の判断で買って差し上げろ。ギルドに登録したいと言われたら‥‥」
そこで腕を組んで考える。
「まあ、登録したからといって何も変わらない。記念に登録程度だろうから、構わん‼︎‼︎」
きっぱりと告げるアルフィン。
「では、行くとしますか」
「今日はアルフィンの金で美味しいものが食べられそうですねぇ。」
ゼクスとツヴァイはそう笑いながら、自分たちの引率メンバーの元に向かって行った。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
アルフィンは異世界ギルドを後にすると、グランドカナンの自宅から馴染み亭の自室に戻る。
――シュンッ
すかさずマチュアに戻ると、階段を降りていつものベランダ席に向かう。
「おや?今日はもうおしまいですか」
ジェイクが搾りたてのフレッシュジュースを持ってくると、そうマチュアに問いかけた。
――ゴクゴクゴクッ
一気に飲み干す。
「この後はVIPが来るかも知れなくてね。異世界の客だから粗相のないように。まあ、ジェイクなら大丈夫か」
「その心配事はないようにしましょう。本日の宿とかはお決まりですか?」
「あ~、宿ねぇ。来訪者専用の宿は必要かもなぁ‥‥建てるか、今ある宿を買い取るか」
「いくつかの宿と提携を組むというのは?」
「宿によってはタチの悪いのがいるからなあ。アレとかアレとか」
チラチラとタチの悪い常連を見るマチュア。
まさか自分たちがタチの悪い代表と扱われているとは思っていないのだろう。
常連のホイ三兄弟がマチュアにマグカップを掲げている。
「あとは商人だな。異世界から持ってきたものを欲しがってとんでもない交渉しかねないし。まだまだアタマが痛いよ」
「こちらに来る時の注意喚起程度でよろしいのでは?100%の安全など保証する必要はないでしょう。ここは彼らにとっての異世界、こちらのルールに従って貰えばいいのですから」
「まあね。宿以外はそれでいいや。草案纏めたら騎士団と巡回騎士に説明すりゃいいか」
「宿も同じですよ。いくつかの信頼できる宿に協力を求めるといいでしょう。その上で、今後も人が増えそうな場合を考えて、いまから建築するのもありがと」
――ポン
相変わらずいいアドバイス。
思わず手を叩いてウンウンと頷いてしまう。
「パーフェクトだよジェイク。済まないが」
「了解しました。宿屋にはいくつか心当たりがありますので、話を持ちかけてみましょう。マチュア様は建築ギルドにどうぞ」
「ありがとう‼︎すまないが頼むね」
そう話してから、マチュアは馴染み亭から飛び出して箒に跨ると、建築ギルドに飛んで行った。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
「いょーう。随分と久しぶりだな。今日はなんの用事だ?」
建築ギルドのギルドマスターであるガルボ・セキスイがマチュアに軽く会釈する。
「久しぶりじゃないよ。異世界ギルド作ったばかりだろうが」
「ガッハッハッ。そうだったな。それで何を建てればいいんだ?」
「気が早いなぁ。なんで分かるんだよ」
「マチュア様がここに来る理由としてはそんな所だろうさ」
そう話をすると、ガルボは羊皮紙を取り出す。
ならばとマチュアも椅子に座ると、早速話を始めた。
「部屋数50。風呂付、食堂あり、個室、大きさはこれぐらいで‥‥」
身振り手振りで大きさの説明をする。
「風呂付とはまた、随分と凄いなあ。何処の貴族様の屋敷だ?」
「異世界から来る人達のための宿だよ。毎日風呂に入らないと落ち着かないだろうから」
「へぇ」
マチュアやストームがこの世界に来た時に驚いたのは風呂問題。
今でこそ慣れてしまったが、家の中で大きな風呂桶にお湯を貼り、それで体を洗っておしまいと言うのがカリス・マレスの風呂事情。
ストームの家や馴染み亭には、マチュアが作った浴槽とお湯を作る魔晶石が設置してあるので、それほど困ってはいないが、そんなものを持っているのは貴族や一部の富豪のみ。
「そんなにお湯を作れるのか?魔晶石で作れるって言うのは聞いているが」
「そうなんだよ。何かいい知恵はないか?」
「さて。あっちの人間にとっての風呂は大切なものか?個室でないとならないのか?人に裸を見られるとやはり恥ずかしいか?」
「まぁ、そう言うひとも‥‥そうか、銭湯だ。親方。すこし工程を変更してくれ」
そう叫ぶと、マチュアは羊皮紙に簡単に図面を書く。
それは日本の様式美である銭湯の平面図。
男湯と女湯、サウナ、そして混浴などなど、いくつもの図面を書き始めた。
それをガルボに見せながら、一つ一つ説明する。
「はあはあ、成る程ねえ。一度に大勢入れる風呂か。いくつもの大きな風呂桶を用意して?」
「ここはほら、石細工師の所でね‥‥」
暫く細かい打ち合わせをしていると、フィリップから水晶に連絡が入る。
――ピッピッ
「 土方知事と三笠部長が参りましたが」
「私の部屋に通しておいて。すぐ行くから」
そう話すと
「こっちは図面ができたら見せるよ、先に用事済ませてきな」
「ああ、それじゃあ近々来るから、あとは頼むね」
――シュンッ
それだけを話して、マチュアは異世界ギルドの執務室に転移した。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
「おおっと。ミナセ女王ですか?」
マチュアが突然部屋にやってきたので、土方知事と三笠部長が慌てて立ち上がった。
「いえいえ、異世界ギルドのギルドマスターを務めていますマチュアです。女王と同じような顔と同じ名前ですが別人ですので」
そう説明するマチュア。
土方知事と三笠部長はすぐに横にいるフィリップを見るが、フィリップもコクリと頷いたので納得したらしい。
「さて、仕事の話しします?それとも何処か行きたい場所ありますか?」
「そうですね。仕事はやらなくてはならないのですが、終業時刻を過ぎていますので。ここで仕事しても残業は付かないですよね?」
三笠部長が土方知事にそう問いかけるが。
「タイムレコーダーが無いからなぁ。無理だな」
「はい。では何処かに行く方向で」
そう告げる三笠部長の言葉で全てが決定した。
「何処かみたいところや行きたいところなどありましたら、私の権限で行ける所にご招待しますよ」
マチュアがそう説明すると、土方知事と三笠部長が同時に一言。
「「飲み屋に行きたい!!」」
全く。
人間っていうやつは、何処までいっても酒が好きなんですねぇ。
そう考えたマチュアは、取り敢えず『そこそこに無難な酒場』へと案内することにした。
………
……
…
酒場『黄昏の湖畔亭』にやってきたマチュアと土方、三笠の三名。
ここは冒険者ギルドからもかなり近く、窓側の席からは街道筋が一望できる。
「この店は何がお薦めなのかな?」
席に着いた土方がマチュアに問いかけているが。
「さて。この手の店ではメニューなんてあってなきがごとしですのでおまかせを」
そんな事を話していると、丁度ウェイトレスがマチュア近くまでやってきた。
「おやマチュアさんお久し。馴染み亭でばっかり飲んでないで、たまにはうちにも来て下さいよ」
「だからきたじゃない。取り敢えずこれで。エール三杯と、肉と魚と野菜料理を適当にお願いね」
――ピン
と指で金貨一枚を弾くと、それをパチッと受け取る。
「マチュアさんところに冷えたエール三杯おねがーい」
その掛け声で、奥の店員がエールを持ってくる。
――ゴトゴトッ
木製のマグカップに冷えたエールがなみなみと入っている。
「まあ、乾杯という風習はありますのでご安心を」
「そうか。しかし不思議な匂いだな」
「どことなくフルーティですね。ビールとエールの違いってなんででしょう?」
「さあな。エールを飲んだことがないのでなんとも」
そんな話をしているので、マチュアがマグカップを高々と掲げた。
「理屈はこの際置いておきましょう。それではかんぱーい」
「乾杯!!」
「かんぱーい」
マチュアの叫びに釣られて土方も三笠も、ついでに彼方此方の席の常連も乾杯と叫ぶ。
「もう少し言葉が分かればいいのだけれどね」
「ええ。本格的にこの世界の言葉を学ぶ必要がありますねぇ」
「それと通貨だ。こっちで飲みたくても、中々飲むことが出来ない。お金がないとなぁ」
「そうですね‥‥って、知事、この前預かったこっちの世界の通貨は?」
「あれは異世界政策局の活動資金だ。個人的に手を付けることはゆるさん」
などなどと話をしているが、目の前でマチュアが一気にエールを半分飲んで満足そうにしているのを見て、土方と三笠もぐいっとエールを喉に流し込む。
――ゴキュゴキュッ
「ぷっはー。そうか。イギリスのパブで飲んだやつに似ている。上面発酵のビールだな」
「果実の香りと味もしますねぇ。リンゴかな?」
「ご名答。この店のエールはアプルの実の香りと味わいがします。これ好きなんですよ」
マチュアが説明していると、テーブルに次々と料理が運ばれてくる。
茹でた腸詰め、一口大の鳥肉のパイ、川魚を蒸し焼きにしたもの、生ハム、茹でた野菜を炒めたものなど、カナンではよく見るメニューである。
「あ、粒マスタード持ってきて。それとエール、アプルの実のやつね」
「はーい。只今っ」
にこやかに叫びながら、マチュアの前に粒マスタードとアプルの身をつかったエール=シードルが運ばれてくる。
「これはどう食べるのかな?」
「基本はフォークでぶっ刺して食べるか指で摘んで口の中ですね。こんな感じで」
マチュアはフォークを巧みに使い、腸詰めを半分に切ること無く齧る。
――シャクッ
歯ごたえの良い音が響き、口の中にジューシーな肉汁が溢れる。
それをモグモグと食べながら、マチュアはいま来たばかりのシードルを喉に流し込む。
「こ、こうかね?」
カプッと腸詰めにかじりつく土方。
三笠は鶏肉のパイを手に取ると、そのまま端からかじりついた。
――ジュッ
どちらも口の中に大量の肉汁があふれる。
「んんっ!! これはっ」
「なんですか、この味は」
特別なスパイスなど使っていない。
当然保存料などの化学調味料や保存料も使っていない。
自然のままのあたりまえの味わいである
「マチュアさん、エールを頼んでほしい」
「私もです。エールのおかわりを」
「でしたら、こう告げて下さい。『エール、ディ、ナーシャ』ってね」
ニコニコと笑うマチュア。
ならばと、三笠も土方もマグカップを頭上に掲げる。
「「エール・ディ・ナーシャ」」
「はいはーい。少々お待ち下さいねー」
ウェイトレスの言葉は判らない。
が、注文が通ったのは理解できた。
やがてエールが二つ届けられると、ウェイトレスは三笠に軽くウィンクした。
「あ、あれはどんな意味が?」
三笠がドキドキしている。
「まあ、家庭不和を招きたくなければ、知らないほうが良いこともありますよ」
そこまで説明すると、マチュアはシードルのおかわりを頼む。
そのタイミングで、土方も三笠も手を上げてエールを追加していた。
段々と酔いも回ってくると、土方も三笠も饒舌になる。
話では、北海道庁総合政策部・異世界政策局を解体して、政府機関にその権利とコネを引き継ぐように進言している議員もいるらしい。
「へぇ。なんか大変そうですねぇ」
「ええ。それでも解体できない理由はありますから。異世界政策局は、カナンの異世界ギルドとの合同出資という形になっていますから。一方的に解体とはできないのですよ」
三笠が淡々と説明する。
「ああ、話は聞いていますよ。解体したくても、私を通さないと出来ないでしょう。それに、政府機関に異世界関係を作られても無視しますよ。今ある異世界政策局を通してくださいってね」
「よくぞ言ってくれた。これで私も堂々と言い切ってやることが出来ますよ」
土方が楽しそうに叫ぶと、三笠もそれに続く。
そして一気にエールを飲み干すと、さらにおかわりを続けていた。
ふと気がつくと、マチュアが窓の外を歩いている一行に気がついた。
「三笠さん、あれって異世界政策局の職員ですよね?」
マチュアがそう話をして外を指差すと、そこでは今まで見たこともない格好の3人の女性職員が歩いていた。
「あれは何をしているんだろうかねぇ」
「多分、冒険者ギルドに登録してきて、その後で装備を整えたんでしょうねぇ」
真っ赤な顔で問い掛ける三笠。
「ほう。もう冒険者ギルドに登録したのか。それにしても、あの装備は一体どうやって買ったのでしょうねぇ」
「ゼクスが買ってあげたんでしょうねぇ。まあ、お土産程度のものですし、銃刀法違反にならないように、刃物はギルドのロビーで預かりますよ」
そう呟くマチュア。
すでに三人はへべれけになっている。
「さて、そろそろ1時間経ちますがどうします?」
「そうだなぁ‥‥マチュアさん、済まないが宿の手配はできるかな?」
土方も足腰立たないくらいに酔っている。
「今日、ここあいてる? 」
「二人? 相部屋ならあるわよ」
「ならいいや、土方さんも三笠さんも、今日はここに止まって明日の朝帰りましょう。それでいいですね‥‥あら?」
――スヤァ
すでにテーブルに潰れている土方と三笠。
ならばと、マチュアは店員に頼み込んで二階の部屋に二人を運んで貰った。
「サラリーマンもストレス貯まるものですねぇ‥‥」
二人を見送った後、マチュアもその場でグーグーと眠ってしまう。
このあと、馴染み亭の従業員がマチュアを迎えに来たのは言うまでもない。
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