異世界ライフの楽しみ方

呑兵衛和尚

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第七部 これからの日常、異世界の日常

異世界の章・その4 そろそろ作戦開始の模様ですな

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 グツグツグツグツ 
 巨大な鍋でゆっくりと煮込まれるモツ。
 本当ならば、ここに豆腐とかこんにゃくとか長ネギが欲しいところであるが、そんなものはこのカナン近郊ではマチュアでも見たことが無い。
 正確には豆腐とこんにゃくは、である。
 既に味付けを終えたシルヴィーは、一口ズズッと味見をする。
 その味付けに満足したのか、ペロッと舌を出して喜んでいる。
「ふっふっふっふっ。カ~レ~ン、今回の対決は妾の勝ちできまりぢゃな」
 隣のコンロで鍋の材料を睨みつけているカレンにそう話しかけているが。
「何をおっしゃいますか。私の作るモツ鍋こそが至高。実家で様々な調味料を吟味し、そして調合したこの味こそストームのハートを掴むのに決まっていますわ」
 パパパッと赤い香辛料を次々と放り込んでいくカレン。
 そんなこんなで、シルヴィーとカレンの二人は馴染み亭の厨房で黙々ともつ煮を作っている所であった。
「あ、あのー店長? この二人は放って置いて良いんですか?」
 そう料理長のキャリコが笑っているが、まあそのまま放置で構わないでしょうと考えた。
「いんでない? 何ならキャリコとフランキも作ってみなさいな。私が直接味見をしてあげよう」
 上手く行けば新しい店のメニューとなる。
 二人の実力もそろそろ見てみたいものだということで、急遽キャリコとフランキも参戦決定。
「了解しました」
「はいはい。それじゃあ始めますか」
 シルヴィーたちの隣で仕込みを始めると、あれよあれよという間にもつ煮を仕上げる二人、
 この辺りは経験の差がはっきりと出てしまっていた。
 それを横目で眺めながら、シルヴィーたちもどうにかもつ煮を完成させた。
「それでは、実食に入りましょうか‥‥」
 マチュアがそう告げると、4人共小さいお椀にもつ煮を注ぐとお盆に並べて店内に持っていく。

 店内には、5名の審査員という名目で呼ばれた人々がもつ煮が到着するのを座って待っていた。
 あまりにも豪華ゲストなので、午後の営業までは店内貸切状態。
 それでもこの新メニューの味付け対決を見たいということで、窓やベランダから大勢の客が覗き込んでいる。
「それではご紹介します。審査委員はサムソンの鍛冶師ストーム、ケルビム・ラグナ・マリア皇帝、レックス・ラグナ・マリア殿、フィリップ・アルバートさん、そして特別ゲストにマチュア・ミナセ女王にいらして頂きました」

――ブーーーーッ
 その審査員の構成に、カレンとシルヴィーは思いっきり吹き出している。
「ちょちょちょっと、なんで現皇帝と先代皇帝まで呼んでいるのよ」
「あうあうあうあう。これは参ったのぢゃ」
 動揺しているのは二人だけ。
 キャリコ、フランキの両名は何度かこの面子にも料理を出している。
 なので畏まってはいるものの動揺はない。
「ということで、5つのお椀が並んでいます。そこには5名で作ったもつ煮が置いてありますので、どれが美味しいか審査して下さい。なお、テーブルには和国の佐倉という地方で買った特製の七味唐辛子ととっても美味しい水をご用意してあります。それでは実食お願いします」
 その言葉と同時に、入り口や窓辺から身体を乗り出して見ようとする観客たち。
ほどよい異国風の匂いが店の外まで流れていたらしく、匂いにつられてフラフラと新しい客までやって来ている。

「ほう。これはまた私の知らない味だな、千差万別、甲乙つけがたし‥‥だが、私はこれを推そう」
 レックス先王は2番のあっさりとした味わいのもつ煮を選択。
「‥‥この濃厚な味わい。そして解けるように柔らかいモツ。私はこれですね」
 ミナセ女王は5番を推挙した。
「ふむ。1番は何処かで味わったことがある‥‥だが、私の好みはこれ一択ですね」
 フィリップは3番を押した模様。
「ほっほっほっ。この和国の味噌とかいう調味料が一番会うのは3番かな?」
 そしてケルビム皇帝も3番がお好みのようで。 
 そして最後のストーム。
――ズズズズッ
 全てのもつ煮を一気に平らげると、迷うこと無く3番を選んだ。
「5と行きたいが、それだと審査にならないとみたので次点の3だな。これは酒に合う。飯に合わせるなら1番でいい」
「はい終了っっっっっっ。それでは審査結果を発表します!!」

――ドゥルルルルルルルルルルッ、チャチャーン
 口で音楽を呟きながらマチュアが盛大にさけぶ。
「お椀に書かれている数字を御覧ください1番のお椀に入っているもつ煮はカレン嬢が。2番はキャリコ。3番はシルヴィー。4番はフランキ。そして5番は私が作りましたっっっっ!! という事で、勝者、シルヴィー!!」
 その発表と同時にシルヴィーがピョンピョンと飛びはねる。
「やった、やったぞ。妾のが選ばれたぞよ」
「あーはいはい。わたしのは 一票も入っていませんでしたわ‥‥けれど、ストームがご飯に会うのは私のって言ってくれましたけれどね」
 かなり悔しかったのであろう。
 カレンが腕を組んでそう呟いている。
 だが、シルヴィーはニマーッと笑う。
「呑兵衛のストームには、妾のもつ煮がいちばんぢゃ。そうぢゃろ?」
 にこやかに問い掛けるシルヴィーだが。
「まあ、一番好きなのは、飯にも酒にもあう5番のマチュアのだがな。それだと審査にならんだろう? だから酒にはシルヴィー、飯にはカレンでいいんじゃないか?」
 おっと。
 とどめの一撃を放つストーム。
「そ、そうなのか‥‥」
「またしてもマチュアさんに負けた‥‥」
 ショックで下を向くシルヴィーとカレン。
 だが、マチュアはあっけらかんと一言。
「あのねぇ。私はこう見えても料理人のクラスレベルはS以上よ? シルヴィーやカレンに負ける筈無いじゃない。それにはっきりと結果はでたでしょ? 人それぞれ好みがあるんだから、私に負けたからって落ち込まない」
 腕を組んでそう告げるマチュア。
「そ、そうぢゃな。では次の勝負といこうではないか」
「ええ良いでしょう。ではストーム、次の勝負はなんぢゃ?」
 その二人の迫力にズイッと後に下がるストーム。
 この二人はどこまでも戦うのか。
 しかし、このような場合は必ずやってきていたクッコロがいないのはどういうことか。
「そうだなぁ‥‥久し振りに鶏のすき焼きかラーメンが食べたいな。作れるか?」
 はて?
 そのメニューは二人も知らない。
 マチュアは暫し腕を組んで考えていが、ポン、と手をたたく。
「マチュア、妾にこっそり教えてたもれ?」
「マチュアさん。私にも教えて頂けませんか?」
 そう問い掛ける二人にマチュアは一言。
「すき焼きは鶏肉を甘じょっぱいタレで煮込んでタマゴを絡めて食べるもの。ラーメンは異国の料理で、茹でた麺にスープを注いで食べるやつね。公平に行きましょう。これ以上は教えない」
 それだけのヒントで二人は色々と考える。
「まあ、1ヶ月ぐらい考えてみなさいな。私以外に聞くのはありだよ」
 その言葉で、カレンは店の外に飛び出し、シルヴィーは二階に向かった。
 それをのんびりと見送ってから、マチュアは全員に普通に食事を提供する。

「さて、マチュアよ。件の施設や書類は大体揃ったのかな?」
 そうケルビム皇帝がマチュアに問いかけてくるので。
「ストームが天狼と話を付けてくれました。私の方は大体おしまいですね。あとはタイミングを図っています」
「ほうほう。いよいよ神々でも成し得なかった偉業をカナンで試すのか。私の時代でなかったのは誠に残念だ」
 レックスがお茶を飲みながらそう話していると、隣のフィリップも一言。
「今回の人事には、私も名簿に名前を連ねています。年相応にどっしりと構えられる、それでいて人を見る目がしっかりとしているという理由でですけれど」
「ミナセ女王は?」
「私の方は全てマチュアに委任しています。この件については私でも口を挟めませんわ」
 その言葉の意味が何なのか、外で聞いているものは非常に興味がある。
 だが、完全秘密主義のマチュアがそうそう口を割ることがないのも知っている。
「では、私はそろそろ執務に戻りましょう。マチュアさん、美味しい料理をありがとうございます」
「いえいえ、女王にはいつも便宜をはかって頂いていますので。それではお気をつけ下さい」
 そのまま外で待機していた護衛のファイズと共に王城へと戻っていくミナセ女王。
 そしてレックス先王とケルビム皇帝も二階から本国へと戻ると、ストームもようやく重い腰を上げた。

「さてと。それじゃあ俺も戻るとするか」
「最近は忙しいかね?」
「そうでもない。エーリュシオンの森で天狼からいろいろと話も聞いてきたし。ほら、これを建物に掲げておけってさ」
 そう話しながら一枚の石版を取り出すと、それをマチュアに手渡す。
「空間超越の保護か‥‥これだと、あの4つの世界には行けないよな?」
「まだダメだ。天狼曰く、まずは一つの世界で試してみなさいとの事だ。行き先ももう決定している」
 と話すと、ストームは念話で一言。
『残念だが、俺達のいた世界にいけるようになるにはまだ先らしい。こればかりは仕方ない』
『ほうほう。で、最初は?』
『俺達の地球と似た地球らしい。ほぼ同じ環境で人間が進化したらしい。不思議なことに俺たちの世界とも遜色ないほどに酷似しているそうだが』
『まあ、いってみれば判るさ。なら、これを嵌めて全ておしまいだ』 
 にこやかに話をすると、マチュアは静かに頷いた。
「それで、ストームは一体どっちを嫁に貰うんだ?」
 これは普通に声を出して問い掛ける。
 すると、ストームも静かに頷いている。
「どっちもいい子だからなぁ」
「ええ。私としてはとっとと孫の姿を見たいものです。いっそシルヴィー様とカレンの二人を娶るというのはいかがでしょう」

――パン
 と手をたたくフィリップだが。
「その件はサムソンに帰ってからだ! それじゃあーばよっ。いい夢見させてフベシッ」
――スパァァァァァァン
「はいはい。それじゃあね。キャスバル宰相にも宜しくね」
 「まだ正式には任官してないぞ。確か来週あたりに告知するらしい。フォンゼーン王がそう話していたぞ」
 そんな話をしていると、やっと店が開店したらしく次々と客が入ってくる。
 もっとも、注文の大半はもつ煮という事態になっているのだが、5種類のもつ煮が大量に作られているので暫くは困らないだろう‥‥。
「あ、せっかくだからシルヴィーとカレンのもつ煮寄越せ。うちでのんびり食べるわ」
「はいはい。厨房から持っていけ‥‥」
 という事でモツには3種類になった模様。
 そしてほくほく顔のストームを見送ると、マチュアは箒にまたがってサウスカナンへと飛んでいった。


 ○ ○ ○ ○ ○ 


 建物の外観も内装もほぼ完璧に完成している。
 巨大な建物の一階には、またしても魔法陣が設置されているのだが、今回はそこから外に出るためにはもう一つ手前の部屋を通らなくてはならない。
 マチュアいわく、そこは検疫を受ける場所であるらしい。
 隣の部屋は荷物のチェックを行う場所であり、勝手にカナンやこの世界のものを持ち出さないようにという配慮である。
 また、異世界の物品を持ってきて交渉しようとするものを止めるために、持ち込める物もかなり規制するようだ。
 二階には雑貨屋が併設してあり、ついでに異国の通貨をこっちの世界の通貨に換金する場所も設けてある。
 これでどんなことにも対処出来るようである。
「はっはっはっ。どうしよう、完成していたわ」
 にこやかに建物に入ると、図面と見比べて色々とチェックするマチュア。
 そして一階の魔法陣の真下に天狼から受け取った石版を埋め組むと、その中央に立って静かに意識を集中する。
「|転移門(ゲート)オープン‥‥開放っっっ」
 おい。
――キィィィィィィン
 そのマチュアの言葉と同時に、魔法陣の真上に銀色の扉が開いた。
 まだ異世界との繋がりは持っていない。
 これにマチュアが最後の調整を行うことで、このカナンはもう一つの地球と扉を通じて繋がることが出来るようになる。
 但し。
 向こうがマチュアたちを受け入れるかどうか、そこが最大の問題である。
「さーて。直接交渉は私と護衛が一人欲しいねぇ‥‥うん、女性に受けの良いゼクスにしよう」
 たったそれだけの理由でゼクスを選択するマチュア。
 だが、見た目がいいのは大切である。
「ちよいとツヴァイ、カモン」
 そう影に話しかけると、中からエンジの姿のツヴァイが姿を表した。
「あら? エンジ?」
「ええ。単独行動以外はこっちで。それでなんの御用ですか?」
「ちょいとアイデアが欲しい。私の知識から地球の税関や検疫、輸入食品や雑貨に関しての持ち込みについての記憶を引っ張ってきて」
 そう呟くと、検疫所にする予定の部屋でティータイムを楽しみながら打ち合わせを始めるマチュア。
「ふむふむ。この世界にできるだけ悪影響の出ないものですか。それと、こちらから持ち出して向こうの世界に害のないもの。最初は人の行き来だけですか?」
「将来的には貿易もありと考える。が、向こうの人間がこっちに来て無謀なことをするのもゴメンだ。中二病こじらせて『かーちゃん、俺、異世界で冒険者になるよ』なんていう奴がきたら大変だからな」
 実にありえる。
 そしてその条件を頭の中で推敲するエンジ。
「では、統合税関を設置しましょう。場所はここの一階で、|転移門(ゲート)を通って最初に入る部屋でチェック。その奥で手荷物のチェックなども並行で行い、携帯やスマートフォン、録画録音撮影機材は全てそこで預かることとします」
「でもねぇ。身体につけてまったく見えないものもあるんだよ?」
「外に出るところで電磁パルスでも照射しますか?」
「そうだねぇ。人体に影響のない範囲で。予め国交を認めるときに、それらのものは一切持ち込まないことと説明しよう。どうなっても知らないぞということで」
 などなど、次々と取り決めをしていく二人。
 それらをサラサラつと羊皮紙にメモすると、マチュアはそれを綺麗に清書して書類を作り上げる。
「ほいさ。これでどうだい?」
 受け取った書類をしっかりとチェックするツヴァイ。
「まあ草稿としては問題ありませんね。これを数冊つくって関係者に配布して意見を聞いてみましょう」
 トントンと書類を纏めると、ツヴァイはそれらを肩から下げているスモールバッグに放り込む。
「まあ宜しく頼むね。それでは私は‥‥と、まだ開かないか」
「まだですよ。全てが終わってからです。マチュア様はゼクスと話をつけて下さい」
「はいはい。それじゃあ行ってきますか」
 そう呟いてから、マチュアとツヴァイの二人は建物から外に出ていった。


 ○ ○ ○ ○ ○ 


 一週間後。
 全ての準備は終わった。
 サウスカナンに完成した『異世界越境ギルド』と呼ばれる新しい施設は、ミナセ女王の除幕式で幕を開いた。
 そして責任者には馴染み亭のマチュアが、その補佐官としてフィリップ・アルバードとツヴァイが正式に国から任命されていた。
 その他にもギルド員として10名ほどの事務官たちが勤務することになった。
 ここのギルドも他のギルドと同じく、登録することで異世界との交易をこのギルドで行うことができるようになる。
 但し、商人ギルドのランクがB以上の商会のみが登録を許されている為、まだまだハードルが高い。
 登録時のランクによって売買できる商品の量が決定されるため、皆興味津々である。
 そしてこのギルドには冒険者も登録が可能である。
 登録した冒険者は、異世界にゆく許可申請を行うことが出来るようになる。
 ただし、単独で行くのはまだ先であり、暫くはチームを組んでの観光ツアーみたいなものである。
 なお、|転移門(ゲート)をくぐるには一定以上の魔力か心力を必要とする。
 あちらの世界から此方に来るためにも、魔力が高くなくては来ることは出来ない。
 そうすることで、誰でも簡単に来ることが出来るかもという考えを起こさせない。
 この世界に来るためには、選ばれたものでなくてはならないのである。

 除幕式には各国からの代表や異世界との交易許可を取るための商人たちが大勢集まっていた。
「それでは、まずは我がカナンの魔導力で異世界への扉を開きましょう。後々各国にも同じような施設を作りたいと思いますが、いま暫くはカナンで様々な実績と経験を積ませていただきます」
 ミナセ女王の声が会場全体に広まると、ギルドの扉がゆっくりと開かれた。
 そして綺麗に列を成して冒険者や商人たちが登録を開始する。
 その光景をマチュアは‥‥。
「はいっ、ではこちらのプレートに血を一滴お願いします‥‥お客様の異世界ランクはDですので、異世界に向うだけの魔力や心力を保有していません。商人もしくは冒険者としての実績を付けてからもう一度いらしてくださいね。二階の雑貨屋の使用は問題ありませんので‥‥では次の方っっっっ」
 人手が足りなくて受付嬢をしている模様。
 その後ろの席では、フィリップが商人から提出されている書類をじっと眺めてはチェックしている模様。
「続いて‥‥あら、カレンかい」
「ええ。アルバート商会サムソン本店として参りましたわ。登録をお願いします」
「はいはい。では此方の天秤に|魂の護符(プレート)をおいて下さいね‥‥はい出ました。異世界ランクはBランクですので、後日相手の世界との取引が可能になりましたら商品目録の提出をお願いしますわ。で、このカードには血を一滴お願いします‥‥」
「あらあら、ウチでもBなのですか。Aランクっていますか?」
「さあ? まだAランクなんて見たこと無いよ。A認定は直接異世界に赴いての取引だから、そうそうでないよ。馴染み亭だってBなんだから」
 ブツブツと文句をいうマチュア。
 その異世界ランクを決めているのは天狼そのものなので、どうも基準がわからない。
「なお、アルバート商会カナン支店もBだよ。では次の方‥‥」
 カレンに異世界ギルドカードを手渡して次の申請を処理するマチュア。
 そして夕方になっても客が途切れることはなかったのだが、教会の鐘の音が鳴ったら仕事はおしまいである。
「それでは本日の申請は此処までとします。また明日お待ちしていますので、どうぞ宜しくお願いします」
 マチュアが席を立って頭を下げると彼方此方から拍手が巻き起こる。
 そして正面扉がゆっくりと閉まると、いよいよ異世界に交渉に行くための準備が始められた。
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