5 / 183
第一部・二人の転生者と異世界と
マチュア・その4・ダンジョンに到着しました
しおりを挟む
竜骨山脈。
大陸を上下に分割するほどの巨大な山脈。
遠くから見ると竜の背骨にも見える形状のため、そう呼ばれているらしい。
周辺には未だ前人未到の地域が多く存在したり、エルフやドワーフなどの隠れ里もある。
中でも【霧の迷宮】と呼ばれている地域は、エルフの上位種である【ハイエルフ】の住まう聖域であるらしく、他種族は足を踏み入れることも許されていないのだとか。
カナンを出発したマチュアたちは、まずは山脈の裾野に広がる森林地域へと向かっていった。
道中にある幾つかの村で休憩を取りつつ、あと数日もあれば目的の大洞窟の入り口までたどり着くことができる街道ぞいの村までやってきた。
この村は、途中で立ち寄ってきた幾つかの村よりはかなり大きい。
此処までは徒歩でだいたい7日だが、此処から先は馬を使って進むことができないため、この先の大洞窟を訪れるものは此処の村に馬や馬車を預けたり、食糧の補充をする。
そして緊急時のために、この村には冒険者ギルドから派遣されてきた幾つかのパーティと冒険者ギルドの出張所も常駐していた。
「ここで最後の補充ですわ。あとは徒歩で1日、ここからは街道は整備されていませんので慎重に向かわないといけませんけれど」
メレアとフィリアの二人は、近場の酒場へと案内しつつそう教えてくれた。
サイノスは一足先にここに駐屯している冒険者達の小屋へと報告に向かっているらしい。
「それにしても、違約金というのはかなり高額だったのですね」
通常は依頼金は成功報酬の1/5~1/2というのが基本らしい。
だが、この依頼は報酬金額と同額に設定されていた。
「そーなんだよ。なんでこの依頼にこんなに高額な報酬がかかっているのか理解できないんだよ」
「確かに。ここの洞窟の難易度が高レベルなのは判っていますけれど、どうして依頼を受ける人がいなかったのか‥‥」
そうフィリアとメレアが話をしているうちに、酒場へとたどり着いてしまった。
そのまま店内に入ると、手近な席についてとりあえずエールを注文する。
ここのエールは果実酒も加えられているらしく、とてもフルーティーな香りがする。
それを一気に飲み干して、マチュアは一息つく。
「ふぅ」
店内にはポツポツと冒険者の姿も見える。
中にはこの村の住人の姿もあり、思ったよりもここは寂れてはいない。
「あ、さっきの話なんだけれどね。サイノスの装備を売りとばせーっていうやつ。話を聞いたら、サイノスの装備は特殊な言い伝えがあるらしくてねぇ」
「一子相伝とかそういう感じのものらしいのですよ。なので断じて売ることはできないとかで」
それを売り飛ばして違約金を払うという話のことである。
結果としては、それを売ることは断じて出来ないというサイノスの意見を尊重し、『試しに様子だけでも見てみよう』ということで大洞窟へとやってきたのである。
(それにしても、巻き込まれてしまいましたなー。ものの見事に)
と心の中で泣き言を呟くマチュア。
確かに依頼の難易度が高い。
トリックスターとはいえ、マチュアはBランクの冒険者。
メレアとフィリアはCランク、サイノスはつい最近Bランクに昇格したらしい。
ちなみに依頼の難易度はA+、+表示のため、Aランクパーティ複数での任務難易度に設定されていた。
サイノスが持っていたギルドカードには、パーティーとして行動した場合のパーティランクも表示されているそうで。
現在の西風のパーティランクはB-。
マチュアを含めたランクの平均ではなく、連携などを行なった場合のボーナスなども加味されて表示されているらしい。
マチュアも、なんとかなるだろうというサイノスの言葉を信じてここまできたのだが。
(‥‥私のSSSは空気読んでB扱いのままだったしなぁ。まあそれでいいんだけれど、A+とB-で何処がなんとかなるに繋がるんだろうなぁ)
やがて日も暮れてきた頃。
「おまたせ。ここの駐在冒険者との話はついた」
サイノスがにこやかに戻ってきた。
「ということは」
「まさかここで戦力増援されるのですわね」
という二人の期待に
「気合い入れて頑張れヨロシクだって。俺たち信用されているんだなぁ」
またしても親指を立てて誇らしげに告げるサイノス。
──ガクッ
「ま、まあそうなるよなぁ」
「だが、依頼については可能なとこまで向かってみて、討伐や調査不可能と判断したら帰還してもよいということにはなったぜ。報酬は減額されるけど、安全を第一にということだ」
ほう。
この短時間でそこまで話を勧めてくるとはなかなかのやり手リーダーです。
「ということで、出発は明日の早朝。それまでは自由時間とする」
そう告げると同時に、エールを注文するサイノス。
「あ、それでは私は準備にでも‥‥」
と告げて、マチュアは酒場の二階にある部屋へと向かっていく。
「それではー」
「また明日、宜しくお願いしますわね」
というフィリアたちの言葉に会釈しつつ、マチュアは部屋へと移動する。
──ガチャッ
部屋に戻するとすかさず内鍵をかけて準備を開始。
「幾らなんでもレベル差がありすぎるよなぁ。前衛は嫌なので【モードチェンジ】しておきますか」
素早くウィンドゥを展開し、まずは今現在表示されていてるクラスを確認する。
選択可能なクラスは【魔術師】【暗黒騎士】【司祭】【拳術士】【採集者】【生産者】の6つ。
表示はされているものの【忍者】と【僧侶】は選択不可能になっていた。
恐らくはまだ、選択するための条件を満たしていないのだろう。
さらに彼方此方に未表示の枠があるので、全てを数えて見るとトータルで12種類のクラスが選択できるようになる。
「‥‥今の構成がサイノスさんの騎士、メレアさんの精霊魔術師、フィリアさんのシーフ。うん、選択肢はないな」
そのままクラスを【魔術師】から【司祭】へと変える。
装備は自動的に変化するので、全身は板金で補強されたハードレザーアマーに変化。
左手にはミスリルのバックラー、右手には同じくミスリルのフレイル。
背中にはきれいな装飾の施されたマントが装備される。
「回復は【軽治癒《ライトヒール》】【治癒《ヒール》】【解毒《アンチドート》】などの基本は使えそうだけど、退魔系は範囲型のみか。あとは【祝福《ブレス》】は使えそうだけど‥‥」
そう呟きつつ、現在使用可能な魔法の確認を行っていく。
緊急時には【蘇生《レイズデッド》】などの高レベル魔法も必要となりそうだけれど、使うと色々とまずそうである。
「初めてのダンジョンかー。冒険者ギルドに登録して、まさか最初の依頼が高難易度とは‥‥」
考えるだけでも頭が痛くなってくるマチュア。
それでも覚悟を決めるしかないと自分に言い聞かせると、とりあえずはそのまま眠りにつくことにした。
○ ○ ○ ○ ○
翌朝。
早朝出発ということもあって、マチュアが準備を終えて一階に下りた時は、すでにサイノスたちは準備万端であった。
「あ、す、すいません。遅れてしまったようで」
「いや、俺達も今部屋から下りてきたところさ。では朝食を取ってから出発することにしよう」
「マチュアさん、本日も宜しくお願いしますね」
「うんうん。初めてのダンジョンで寝付けなかったんだねー」
と次々と言われる。
まあ、正直いって、少し興奮していて寝付けなかったということもありますが。
「そういえば、マチュアさん‥‥今日は随分とガッチリとした装備なんだね」
とフィリアに言われる。
「ハードレザーか。あれ? マチュアさん魔法も使えたよね、そんな装備で大丈夫なの?」
そのサイノスの言葉にキョトンとしてしまった。
「えーっと、どういう意味でしょうか」
と問いかける。
するとメレアがすかさず説明してくれた。
「魔術師の使う魔法は、金属の鎧などを装備していると発動が難しくなるのですよ。一般的に魔法の発動には魔障と詠唱と触媒が必要なのはご存知ですよね?」
その言葉にコクコクと頷く。
「確かマチュアさんは魔導書をお持でしたから、詠唱の部分はある程度カットできましたよね。触媒はその魔導書が代行してくれていると思われますが、体の動きを束縛するような装備は、魔障が集まりにくくなるのです」
つまり周囲の魔障を全身で取り込むため、魔障の流れを阻害するような、ガッチリと締め付ける装備は好ましくないそうだ。
「本日は後衛で皆さんをバックアップしますので。攻撃は皆さんにおまかせします」
「それは願ってもない。トリックスターは神聖魔術の心得もあるのですか」
サイノスがそう頷いている横では、メレアとフィリアの二人が何かを考えている。
「ど、どうしました?」
「いえ、トリックスターがどのようなことが出来るのかなんて知らなかったものでして。『何でもできるけど万能ではない』という意味はそういうことなのですね」
「けれど大変だよね。何でもできるけれど装備はしっかりとしないとならないから‥‥あれ? マチュアさん、その装備バックの中に入っていたの? 随分と大きい荷物になるよね」
フィリアに問いかけられても大丈夫。
「私の持ってきたバックの一つは、内部収納が大きいのですよ」
「マジックアイテムか!! それは珍しい。付与されているのは『内部空間拡張』だな」
「マチュアさん、それかなり高額なんだよー。盗まれないように気をつけてね」
「でも、初心者でそれを持っているのも凄いですわ」
と矢継ぎ早に言われると。
「まあ、家に代々伝えられていたものでして‥‥それよりもそろそろ出発ですよね」
と告げて立ち上がる。
「まあ、そうだな。それじゃあ行くか」
さいうサイノスの掛け声で、いよいよ洞窟へと向かうことになった‥‥。
○ ○ ○ ○ ○
村を出発してすぐに、メレアが精霊魔法を発動した。
大地の精霊に働きかけて、皆の防具に簡易的な結界を施している。
この結界は様々な効果を発揮されるらしく、何でも凄いのは『自分たちよりも強い敵対者に対しては効果はないが、弱い敵は近づくことが無くなる』という。
おかげで、村に到着するまでは殆ど敵の襲撃を受けることはなかった。
だがここから先は、この効果はあんまり期待出来ないらしい。そのため、もう一つの効果である『防御力の強化』が重要になる。
なにはともあれ、このまま進めば夕方には洞窟の入口近くまで到着するとサイノスに説明されたので、まずはそこを目指すこととなった。
前衛をサイノス、その後ろにメレアとマチュアが横に並ぶように。
そしてその後ろではフィリアが後方警戒を行っている。
この陣形で進めば、最悪モンスターからの襲撃をいち早く確認することが出来るらしい。
――ガサササッ
すると、メレアの横の茂みが揺く。
その動きに合わせてメレアとサイノスの立ち位置が入れ替わり、楯を構えてすかさず剣を引き抜き構えている。
「キラーウィルムか。気をつけて」
巨大なミミズがズルズルと這い寄ってくる。
頭の先端に捕食するための口があり、そこから対象を丸呑みするらしい。
初心者パーティーならかなり苦戦するらしく、危険度でいえばDに該当するらしい。
そうこうしているうちにキラーウィルムは突然加速してサイノスたちとの間合いを一気に詰めると、サイノスに向かって飛びかかっていく。
頭部がバックリと開き、サイノスを丸呑みしようとしているが。
――ガキイッ
その一撃を手にした楯で横に弾き飛ばす。
そしてサイノスは素早くロングソードで切りかかっていった。
――ザシュザシュッ
次々と斬りつけるサイノスと、キラーウィルムの足元の大地を魔法で泥に変えて動きを阻害するメレア。
フィリアは得意の投げナイフを次々と飛ばしている。
だが、キラーウィルムもそうやすやすとはやられてくれない。
すかさずサイノスに飛びかかると、その口に並んだ牙でその腕に噛み付く。
――ザシュッ
寸でのどころで躱したが、牙はがっちりとサイノスの腕を抉っていた。
「サイノスさん!!」
マチュアはサイノスが攻撃を受けた刹那、素早く軽治癒を発動した。
(多分これでいいはず‥‥)
――シュゥゥゥゥッ
キラーウィルムの攻撃でえぐれていた右頬の傷が、淡く輝いて消えていった。
その光景を見て、マチュアはよし、と拳を握る。
魔法や攻撃スキルについては、実際に試さないと効果がどれぐらいか実感できない。
この依頼は、それを実行して試すいいチャンスとも言える。
「メレアさん下がって下さい。前に出ます」
と叫んで前に出るマチュア。
オンラインゲームの中でモンクだったときの癖が、ついここで出てしまった。
「は、はい!!」
慌てて下がるメレア。
するとマチュアはサイノスの横に立つと、楯とフレイルを構えた。
「マチュアさん行けるのか?」
「やってみます‥‥」
と素早く間合いを詰めると、手にしたフレイルでキラーウィルムに向かって乱打を開始。
――ドドドドドゴォォォォォッ
高速で殴り続けるマチュア。
1分ほど殴り続けたのち、バックステップで後ろに下がると、すでにスキルの準備を終えていたサイノスにタッチする。
「喰らえ。必殺剣・一刀両断っ!!」
――ズバァァァァッ
盗賊たちに恐怖をもたらしたサイノスの必殺技が炸裂する。
その一撃でキラーウィルムの胴体は真っ二つになり、絶命した。
「ふぅ。時間稼いでくれて助かった」
「い、いえいえ‥‥」
と呟きつつ、マチュアはゆっくりと後ろに下がる。
「サイノスの必殺剣は、武器に【波動(オーラ)】を載せて威力を上げる技なんだよ。その載せる力が大きければ大きいほど、威力は増大するんだ」
フィリアがそう説明してくれる。
「まあ、この前の盗賊なんかはノーチャージで行けるんだけれどね。流石にこいつらは皮膚が伸縮するうえにヌメヌメとしていて、刃を弾く性質を持っているから」
サイノスがソードに残っているキラーワームの体液を振り拭うと、カチャッと鞘に収める。
「しかし、トリックスターって何でも出来るんだなぁ。高速乱打なんて久しぶりに見たよ」
はぁ?
さっきマチュアがやった高速の乱打、この世界では中級から上級の戦闘スキルらしいと説明された。
慌ててスキルについての詳細を調べていくと、コンバットアーツという戦闘用のコマンド技にそれは確かにあった。
『コンバットアーツ:高速乱打』
「あ、さっきは夢中でつい‥‥」
と告げてはみたものの、メレアが驚きの表情のまま固まっている。
「冒険者登録するだけで、訓練もなしに高度な回復魔法や中級戦闘技術も体得するなんて、トリックスターってレベルが上がると凄いのですね」
すいません。
なにか本当にすいません。
ただチートなだけです。
マチュアは心のなかでだけ謝っているが。
(俺でこれだと、ストームはもっととんでもないことになっているんだろうなぁ)
はい、もっとどころじゃありません。
そのままワームの死体を草むらに戻しておこうとすると、すぐさまフィリアがナイフ片手に器用にキラーウィルむを解体していく。
「それ、まさか食べるのですか?」
遅る遅る問いかけるマチュア。
だが、フィリアは頭を軽くひねって一言。
──ズルッ
「ほら、これがキラーウィルムの魔石だよ。マチュアさんは狩猟はしていたかもしれないけれど、こういうのは知らないんだなぁ」
フィリアの手の中には、野球ボール大の黒い宝石が輝いている。
「魔石?」
「ええ。一部の動物や魔物の中には、こうやって周囲の魔障を取り込んで結晶化しているものもいるのですよ。この辺りは魔障濃度が高いので、かなりの確率で魔石をもっていますわ」
「そ。その大きさだと、大体金貨1枚ぐらいの買い取りだろうなぁ」
メレアとサイノスがそう説明しているうちに、型板の終わったキラーウィルムは道端の草むらに放り投げられている。
こうしておくと、小動物たちが綺麗サッパリと食べてくれるそうだ。
食物連鎖は大切ですね、うん。
そして再び洞窟へと出発する一行。
午前中はあのあとモンスターとの遭遇はなかったのだが、午後になってちらほらとモンスターと遭遇し始めた。
ゴブリンやブラウンボア、グリーンスネークといった亜人や魔獣と戦闘にはなったが、サイノスとマチュアが前衛として戦闘に参加したので難なく突破していった。
そこそこに魔石も回収できたので、パーティーとしてはホクホクらしい。
そして夕方頃。
洞窟の手前にある少し開けた場所までたどり着くと、明日に備えての野営の準備開始。
簡易テントを設置して焚火をたくと、さっそく夕食の準備が始まった。
「明日からは本格的な洞窟の調査になる。マチュアさんにも期待していますよ」
「Bクラスの実力を是非見せてください」
「自然洞なのでトラップは存在しないから、僕は周辺の警戒をさせてもらうね」
ああっ、変な期待をしないでほしい。
基本ヘタレなので戦いたくないんです本当に。
ただ前衛はやっていて楽しかったけれど、攻撃は当たると痛い。
防具のお陰でいまだダメージは受けていないけれど、きっと傷ついた途端にビビって動けなくなるかもしれない。
そんなことを考えつつも、食事を終えてから二人一組になって夜間の警戒にあたることになった。
マチュアはメレアと一緒に前半を担当。
後半はサイノスとフィリアがやってくれる。
寝る前にメレアが施してくれた結界のお陰で、何事もなく交代となった。
そのまま街を出る前に金貨2枚で買い込んだ『野営道具セット』から毛布を取り出すと、焚き火の横でそれに包まる。
明日はいよいよ洞窟内部。
何事もありませんようにと神様に祈るけれど、そんな優しいことはないようです。
大陸を上下に分割するほどの巨大な山脈。
遠くから見ると竜の背骨にも見える形状のため、そう呼ばれているらしい。
周辺には未だ前人未到の地域が多く存在したり、エルフやドワーフなどの隠れ里もある。
中でも【霧の迷宮】と呼ばれている地域は、エルフの上位種である【ハイエルフ】の住まう聖域であるらしく、他種族は足を踏み入れることも許されていないのだとか。
カナンを出発したマチュアたちは、まずは山脈の裾野に広がる森林地域へと向かっていった。
道中にある幾つかの村で休憩を取りつつ、あと数日もあれば目的の大洞窟の入り口までたどり着くことができる街道ぞいの村までやってきた。
この村は、途中で立ち寄ってきた幾つかの村よりはかなり大きい。
此処までは徒歩でだいたい7日だが、此処から先は馬を使って進むことができないため、この先の大洞窟を訪れるものは此処の村に馬や馬車を預けたり、食糧の補充をする。
そして緊急時のために、この村には冒険者ギルドから派遣されてきた幾つかのパーティと冒険者ギルドの出張所も常駐していた。
「ここで最後の補充ですわ。あとは徒歩で1日、ここからは街道は整備されていませんので慎重に向かわないといけませんけれど」
メレアとフィリアの二人は、近場の酒場へと案内しつつそう教えてくれた。
サイノスは一足先にここに駐屯している冒険者達の小屋へと報告に向かっているらしい。
「それにしても、違約金というのはかなり高額だったのですね」
通常は依頼金は成功報酬の1/5~1/2というのが基本らしい。
だが、この依頼は報酬金額と同額に設定されていた。
「そーなんだよ。なんでこの依頼にこんなに高額な報酬がかかっているのか理解できないんだよ」
「確かに。ここの洞窟の難易度が高レベルなのは判っていますけれど、どうして依頼を受ける人がいなかったのか‥‥」
そうフィリアとメレアが話をしているうちに、酒場へとたどり着いてしまった。
そのまま店内に入ると、手近な席についてとりあえずエールを注文する。
ここのエールは果実酒も加えられているらしく、とてもフルーティーな香りがする。
それを一気に飲み干して、マチュアは一息つく。
「ふぅ」
店内にはポツポツと冒険者の姿も見える。
中にはこの村の住人の姿もあり、思ったよりもここは寂れてはいない。
「あ、さっきの話なんだけれどね。サイノスの装備を売りとばせーっていうやつ。話を聞いたら、サイノスの装備は特殊な言い伝えがあるらしくてねぇ」
「一子相伝とかそういう感じのものらしいのですよ。なので断じて売ることはできないとかで」
それを売り飛ばして違約金を払うという話のことである。
結果としては、それを売ることは断じて出来ないというサイノスの意見を尊重し、『試しに様子だけでも見てみよう』ということで大洞窟へとやってきたのである。
(それにしても、巻き込まれてしまいましたなー。ものの見事に)
と心の中で泣き言を呟くマチュア。
確かに依頼の難易度が高い。
トリックスターとはいえ、マチュアはBランクの冒険者。
メレアとフィリアはCランク、サイノスはつい最近Bランクに昇格したらしい。
ちなみに依頼の難易度はA+、+表示のため、Aランクパーティ複数での任務難易度に設定されていた。
サイノスが持っていたギルドカードには、パーティーとして行動した場合のパーティランクも表示されているそうで。
現在の西風のパーティランクはB-。
マチュアを含めたランクの平均ではなく、連携などを行なった場合のボーナスなども加味されて表示されているらしい。
マチュアも、なんとかなるだろうというサイノスの言葉を信じてここまできたのだが。
(‥‥私のSSSは空気読んでB扱いのままだったしなぁ。まあそれでいいんだけれど、A+とB-で何処がなんとかなるに繋がるんだろうなぁ)
やがて日も暮れてきた頃。
「おまたせ。ここの駐在冒険者との話はついた」
サイノスがにこやかに戻ってきた。
「ということは」
「まさかここで戦力増援されるのですわね」
という二人の期待に
「気合い入れて頑張れヨロシクだって。俺たち信用されているんだなぁ」
またしても親指を立てて誇らしげに告げるサイノス。
──ガクッ
「ま、まあそうなるよなぁ」
「だが、依頼については可能なとこまで向かってみて、討伐や調査不可能と判断したら帰還してもよいということにはなったぜ。報酬は減額されるけど、安全を第一にということだ」
ほう。
この短時間でそこまで話を勧めてくるとはなかなかのやり手リーダーです。
「ということで、出発は明日の早朝。それまでは自由時間とする」
そう告げると同時に、エールを注文するサイノス。
「あ、それでは私は準備にでも‥‥」
と告げて、マチュアは酒場の二階にある部屋へと向かっていく。
「それではー」
「また明日、宜しくお願いしますわね」
というフィリアたちの言葉に会釈しつつ、マチュアは部屋へと移動する。
──ガチャッ
部屋に戻するとすかさず内鍵をかけて準備を開始。
「幾らなんでもレベル差がありすぎるよなぁ。前衛は嫌なので【モードチェンジ】しておきますか」
素早くウィンドゥを展開し、まずは今現在表示されていてるクラスを確認する。
選択可能なクラスは【魔術師】【暗黒騎士】【司祭】【拳術士】【採集者】【生産者】の6つ。
表示はされているものの【忍者】と【僧侶】は選択不可能になっていた。
恐らくはまだ、選択するための条件を満たしていないのだろう。
さらに彼方此方に未表示の枠があるので、全てを数えて見るとトータルで12種類のクラスが選択できるようになる。
「‥‥今の構成がサイノスさんの騎士、メレアさんの精霊魔術師、フィリアさんのシーフ。うん、選択肢はないな」
そのままクラスを【魔術師】から【司祭】へと変える。
装備は自動的に変化するので、全身は板金で補強されたハードレザーアマーに変化。
左手にはミスリルのバックラー、右手には同じくミスリルのフレイル。
背中にはきれいな装飾の施されたマントが装備される。
「回復は【軽治癒《ライトヒール》】【治癒《ヒール》】【解毒《アンチドート》】などの基本は使えそうだけど、退魔系は範囲型のみか。あとは【祝福《ブレス》】は使えそうだけど‥‥」
そう呟きつつ、現在使用可能な魔法の確認を行っていく。
緊急時には【蘇生《レイズデッド》】などの高レベル魔法も必要となりそうだけれど、使うと色々とまずそうである。
「初めてのダンジョンかー。冒険者ギルドに登録して、まさか最初の依頼が高難易度とは‥‥」
考えるだけでも頭が痛くなってくるマチュア。
それでも覚悟を決めるしかないと自分に言い聞かせると、とりあえずはそのまま眠りにつくことにした。
○ ○ ○ ○ ○
翌朝。
早朝出発ということもあって、マチュアが準備を終えて一階に下りた時は、すでにサイノスたちは準備万端であった。
「あ、す、すいません。遅れてしまったようで」
「いや、俺達も今部屋から下りてきたところさ。では朝食を取ってから出発することにしよう」
「マチュアさん、本日も宜しくお願いしますね」
「うんうん。初めてのダンジョンで寝付けなかったんだねー」
と次々と言われる。
まあ、正直いって、少し興奮していて寝付けなかったということもありますが。
「そういえば、マチュアさん‥‥今日は随分とガッチリとした装備なんだね」
とフィリアに言われる。
「ハードレザーか。あれ? マチュアさん魔法も使えたよね、そんな装備で大丈夫なの?」
そのサイノスの言葉にキョトンとしてしまった。
「えーっと、どういう意味でしょうか」
と問いかける。
するとメレアがすかさず説明してくれた。
「魔術師の使う魔法は、金属の鎧などを装備していると発動が難しくなるのですよ。一般的に魔法の発動には魔障と詠唱と触媒が必要なのはご存知ですよね?」
その言葉にコクコクと頷く。
「確かマチュアさんは魔導書をお持でしたから、詠唱の部分はある程度カットできましたよね。触媒はその魔導書が代行してくれていると思われますが、体の動きを束縛するような装備は、魔障が集まりにくくなるのです」
つまり周囲の魔障を全身で取り込むため、魔障の流れを阻害するような、ガッチリと締め付ける装備は好ましくないそうだ。
「本日は後衛で皆さんをバックアップしますので。攻撃は皆さんにおまかせします」
「それは願ってもない。トリックスターは神聖魔術の心得もあるのですか」
サイノスがそう頷いている横では、メレアとフィリアの二人が何かを考えている。
「ど、どうしました?」
「いえ、トリックスターがどのようなことが出来るのかなんて知らなかったものでして。『何でもできるけど万能ではない』という意味はそういうことなのですね」
「けれど大変だよね。何でもできるけれど装備はしっかりとしないとならないから‥‥あれ? マチュアさん、その装備バックの中に入っていたの? 随分と大きい荷物になるよね」
フィリアに問いかけられても大丈夫。
「私の持ってきたバックの一つは、内部収納が大きいのですよ」
「マジックアイテムか!! それは珍しい。付与されているのは『内部空間拡張』だな」
「マチュアさん、それかなり高額なんだよー。盗まれないように気をつけてね」
「でも、初心者でそれを持っているのも凄いですわ」
と矢継ぎ早に言われると。
「まあ、家に代々伝えられていたものでして‥‥それよりもそろそろ出発ですよね」
と告げて立ち上がる。
「まあ、そうだな。それじゃあ行くか」
さいうサイノスの掛け声で、いよいよ洞窟へと向かうことになった‥‥。
○ ○ ○ ○ ○
村を出発してすぐに、メレアが精霊魔法を発動した。
大地の精霊に働きかけて、皆の防具に簡易的な結界を施している。
この結界は様々な効果を発揮されるらしく、何でも凄いのは『自分たちよりも強い敵対者に対しては効果はないが、弱い敵は近づくことが無くなる』という。
おかげで、村に到着するまでは殆ど敵の襲撃を受けることはなかった。
だがここから先は、この効果はあんまり期待出来ないらしい。そのため、もう一つの効果である『防御力の強化』が重要になる。
なにはともあれ、このまま進めば夕方には洞窟の入口近くまで到着するとサイノスに説明されたので、まずはそこを目指すこととなった。
前衛をサイノス、その後ろにメレアとマチュアが横に並ぶように。
そしてその後ろではフィリアが後方警戒を行っている。
この陣形で進めば、最悪モンスターからの襲撃をいち早く確認することが出来るらしい。
――ガサササッ
すると、メレアの横の茂みが揺く。
その動きに合わせてメレアとサイノスの立ち位置が入れ替わり、楯を構えてすかさず剣を引き抜き構えている。
「キラーウィルムか。気をつけて」
巨大なミミズがズルズルと這い寄ってくる。
頭の先端に捕食するための口があり、そこから対象を丸呑みするらしい。
初心者パーティーならかなり苦戦するらしく、危険度でいえばDに該当するらしい。
そうこうしているうちにキラーウィルムは突然加速してサイノスたちとの間合いを一気に詰めると、サイノスに向かって飛びかかっていく。
頭部がバックリと開き、サイノスを丸呑みしようとしているが。
――ガキイッ
その一撃を手にした楯で横に弾き飛ばす。
そしてサイノスは素早くロングソードで切りかかっていった。
――ザシュザシュッ
次々と斬りつけるサイノスと、キラーウィルムの足元の大地を魔法で泥に変えて動きを阻害するメレア。
フィリアは得意の投げナイフを次々と飛ばしている。
だが、キラーウィルムもそうやすやすとはやられてくれない。
すかさずサイノスに飛びかかると、その口に並んだ牙でその腕に噛み付く。
――ザシュッ
寸でのどころで躱したが、牙はがっちりとサイノスの腕を抉っていた。
「サイノスさん!!」
マチュアはサイノスが攻撃を受けた刹那、素早く軽治癒を発動した。
(多分これでいいはず‥‥)
――シュゥゥゥゥッ
キラーウィルムの攻撃でえぐれていた右頬の傷が、淡く輝いて消えていった。
その光景を見て、マチュアはよし、と拳を握る。
魔法や攻撃スキルについては、実際に試さないと効果がどれぐらいか実感できない。
この依頼は、それを実行して試すいいチャンスとも言える。
「メレアさん下がって下さい。前に出ます」
と叫んで前に出るマチュア。
オンラインゲームの中でモンクだったときの癖が、ついここで出てしまった。
「は、はい!!」
慌てて下がるメレア。
するとマチュアはサイノスの横に立つと、楯とフレイルを構えた。
「マチュアさん行けるのか?」
「やってみます‥‥」
と素早く間合いを詰めると、手にしたフレイルでキラーウィルムに向かって乱打を開始。
――ドドドドドゴォォォォォッ
高速で殴り続けるマチュア。
1分ほど殴り続けたのち、バックステップで後ろに下がると、すでにスキルの準備を終えていたサイノスにタッチする。
「喰らえ。必殺剣・一刀両断っ!!」
――ズバァァァァッ
盗賊たちに恐怖をもたらしたサイノスの必殺技が炸裂する。
その一撃でキラーウィルムの胴体は真っ二つになり、絶命した。
「ふぅ。時間稼いでくれて助かった」
「い、いえいえ‥‥」
と呟きつつ、マチュアはゆっくりと後ろに下がる。
「サイノスの必殺剣は、武器に【波動(オーラ)】を載せて威力を上げる技なんだよ。その載せる力が大きければ大きいほど、威力は増大するんだ」
フィリアがそう説明してくれる。
「まあ、この前の盗賊なんかはノーチャージで行けるんだけれどね。流石にこいつらは皮膚が伸縮するうえにヌメヌメとしていて、刃を弾く性質を持っているから」
サイノスがソードに残っているキラーワームの体液を振り拭うと、カチャッと鞘に収める。
「しかし、トリックスターって何でも出来るんだなぁ。高速乱打なんて久しぶりに見たよ」
はぁ?
さっきマチュアがやった高速の乱打、この世界では中級から上級の戦闘スキルらしいと説明された。
慌ててスキルについての詳細を調べていくと、コンバットアーツという戦闘用のコマンド技にそれは確かにあった。
『コンバットアーツ:高速乱打』
「あ、さっきは夢中でつい‥‥」
と告げてはみたものの、メレアが驚きの表情のまま固まっている。
「冒険者登録するだけで、訓練もなしに高度な回復魔法や中級戦闘技術も体得するなんて、トリックスターってレベルが上がると凄いのですね」
すいません。
なにか本当にすいません。
ただチートなだけです。
マチュアは心のなかでだけ謝っているが。
(俺でこれだと、ストームはもっととんでもないことになっているんだろうなぁ)
はい、もっとどころじゃありません。
そのままワームの死体を草むらに戻しておこうとすると、すぐさまフィリアがナイフ片手に器用にキラーウィルむを解体していく。
「それ、まさか食べるのですか?」
遅る遅る問いかけるマチュア。
だが、フィリアは頭を軽くひねって一言。
──ズルッ
「ほら、これがキラーウィルムの魔石だよ。マチュアさんは狩猟はしていたかもしれないけれど、こういうのは知らないんだなぁ」
フィリアの手の中には、野球ボール大の黒い宝石が輝いている。
「魔石?」
「ええ。一部の動物や魔物の中には、こうやって周囲の魔障を取り込んで結晶化しているものもいるのですよ。この辺りは魔障濃度が高いので、かなりの確率で魔石をもっていますわ」
「そ。その大きさだと、大体金貨1枚ぐらいの買い取りだろうなぁ」
メレアとサイノスがそう説明しているうちに、型板の終わったキラーウィルムは道端の草むらに放り投げられている。
こうしておくと、小動物たちが綺麗サッパリと食べてくれるそうだ。
食物連鎖は大切ですね、うん。
そして再び洞窟へと出発する一行。
午前中はあのあとモンスターとの遭遇はなかったのだが、午後になってちらほらとモンスターと遭遇し始めた。
ゴブリンやブラウンボア、グリーンスネークといった亜人や魔獣と戦闘にはなったが、サイノスとマチュアが前衛として戦闘に参加したので難なく突破していった。
そこそこに魔石も回収できたので、パーティーとしてはホクホクらしい。
そして夕方頃。
洞窟の手前にある少し開けた場所までたどり着くと、明日に備えての野営の準備開始。
簡易テントを設置して焚火をたくと、さっそく夕食の準備が始まった。
「明日からは本格的な洞窟の調査になる。マチュアさんにも期待していますよ」
「Bクラスの実力を是非見せてください」
「自然洞なのでトラップは存在しないから、僕は周辺の警戒をさせてもらうね」
ああっ、変な期待をしないでほしい。
基本ヘタレなので戦いたくないんです本当に。
ただ前衛はやっていて楽しかったけれど、攻撃は当たると痛い。
防具のお陰でいまだダメージは受けていないけれど、きっと傷ついた途端にビビって動けなくなるかもしれない。
そんなことを考えつつも、食事を終えてから二人一組になって夜間の警戒にあたることになった。
マチュアはメレアと一緒に前半を担当。
後半はサイノスとフィリアがやってくれる。
寝る前にメレアが施してくれた結界のお陰で、何事もなく交代となった。
そのまま街を出る前に金貨2枚で買い込んだ『野営道具セット』から毛布を取り出すと、焚き火の横でそれに包まる。
明日はいよいよ洞窟内部。
何事もありませんようにと神様に祈るけれど、そんな優しいことはないようです。
1
お気に入りに追加
256
あなたにおすすめの小説

Link's
黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。
人類に仇なす不死の生物、"魔属”
そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者”
人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている――
アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。
ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。
やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に――
猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。


魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
回帰した貴公子はやり直し人生で勇者に覚醒する
真義あさひ
ファンタジー
名門貴族家に生まれながらも、妾の子として虐げられ、優秀な兄の下僕扱いだった貴公子ケイは正妻の陰謀によりすべてを奪われ追放されて、貴族からスラム街の最下層まで落ちぶれてしまう。
絶望と貧しさの中で母と共に海に捨てられた彼は、死の寸前、海の底で出会った謎のサラマンダーの魔法により過去へと回帰する。
回帰の目的は二つ。
一つ、母を二度と惨めに死なせない。
二つ、海の底で発現させた勇者の力を覚醒させ、サラマンダーの望む海底神殿の浄化を行うこと。
回帰魔法を使って時を巻き戻したサラマンダー・ピアディを相棒として、今度こそ、不幸の連鎖を断ち切るために──
そして母を救い、今度こそ自分自身の人生を生きるために、ケイは人生をやり直す。
第一部、完結まで予約投稿済み
76000万字ぐらい
꒰( ˙𐃷˙ )꒱ ワレダイカツヤクナノダ~♪
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる