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第7章・王位継承と、狙われた魔導書
第321話・契約の精霊
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走る走る走る。
カマンベール王国王都中央を走る街道を、ただひたすらに馬車は走ります。
すでにエセリアル馬車の認識阻害機能も失われ、普通にただ早い馬車となってしまっていますが、それでも止まることなく馬車は走ります。
「正面から、魔法の矢じゃなぁ」
「分かっている……精霊の楯よ、我らに守りの加護を与えろよっ。『エレメンタル・シールド』っ」
――ヒュウウウ
御者台でブランシュさんが立ち上がると、両手を広げて馬車全体を透き通った壁のようなもので覆いました。そして、正面から大量に飛来して来た魔法の矢を弾き飛ばすと、そのまま魔術師たちのど真ん中目掛けて大爆走。
「はっはっはっ。馬車に轢かれたくなければ、道を開けるがよいぞぉぉぉぉぉぉ」
――ガッギィィィィィィィィィィィィィン
背中に背負っていた巨大な剣を引き抜くと、クリムゾンさんがそれを右腕一つで構え、場所の側面から突き出しました。
そのまま走るものですから、馬車の右側で魔法を撃っていた魔族の術師たちも慌てて逃走。
そのまま立っていたら、まっよぐに胴体事真っ二つにされていたでしょう。
そして後方から飛んでくる弓兵たちの矢については、ノワールさんが馬車の窓で箱乗り状態。
次々と飛んでくる矢に向かって、右手指先から炎を飛ばして迎撃しています。
「うわわ……ア、アリサちゃん、大丈夫?」
「だ、だいじょぶ……こわいけど。だいじょぶ……」
体をプルプルと震わせつつも、必死に笑顔を見せようとするアリサちゃん。
急いで刑場に突入して、クレアさんたちを助けるのが先決。
馬車に乗せてからどうするかなんて、なにも考えていません。
あとはひたすら走り出して、エセリアルモードが元通り使える場所まで逃げるか、もしくは……。
「うん、みんなを助けたら、世界樹に直接語り掛けて、結界を発動するから……それまで、我慢していてね」
「うん、だいじょぶ……」
――グラッ
そう呟いた瞬間、馬車の右側から大きな何かがぶつかりました。
馬車全体が揺れて、私とアリサちゃんもあぶなく壁にぶつかりそうになりましたよ。
「だい……だいじょぶないよぉ」
「うんうん……」
涙目のアリサちゃん。
私は抱きしめて、そう慰めるのが精いっぱい。
本当……私にもっと力があればよかったのに……。
せめて、身を護る力だけでも。
そう思った時。
「あ、そうだ……ねぇ、アリサちゃん、これ、ぎゅっと握っていて」
以前、私の身を案じてペルソナさんが渡してくれたペンダント。
それを手に取ってぎゅっと握る。
これのおかげて、私はどんな無茶なことも潜り抜けてきた。
魔族に襲われて、馬車ごと海の上に放り投げられたときも。
そのあと、海向こうの大陸を3年間旅していた時も。
つねに、ペルソナさんが私を護ってくれた。
だから、今度は私がアリサちゃんを守るとき。
右手でペンダントを握り、そしてアリサちゃんがその上に手を重ねる。
「ペルソナさん、私たちを守ってください」
「おねえちゃんや、みんなを守ってください」
私とアリサちゃん、二人の祈りを込めると、少しだけ、ペンダントが暖かくなったような気がします。うん、これはペルソンナさんの返事。
彼の優しさ、それが伝わってくるような気がします。
それに、私たちの周囲に半透明のバリアのようなものも広がりました。
これは精霊の力? ここに居れば安全なのですね。
「アリサちゃん、この中にいれば安全だから、だから何があってもここから出ちゃだめだからね」
「わ、分かった……」
うん、これで最低でも、アリサちゃんは守れる。
そう思った時、外からブランシュさんの声が飛んできました。
「姐さんっ、着いたぞ!! ギリギリだった」
「ブランシュさん、クレアさんは無事でしたか!!」
そう叫んでから、アリサちゃんにペンダントを託してから馬車の窓から上半身を出します。
すでに処刑台の上へと連れられていたクレアさんとその家族が、まもなく斬首台に固定されようとしていました。
ええ、ギリギリでしたが大丈夫です。
「クリムゾンさん、あの台をぶっ飛ばしてください!!」
「おおう、任せるのじゃ!!」
エセリアルホースの手綱をブランシュさんに投げ渡してから、クリムゾンさんが御者台で立ち上がると、手にしていた両手剣を腰溜めに構えます。
その瞬間、刀身が5mほどに伸びました。
ええ、あれが元々タイタン族であるクリムゾンさんの武器です。
普段は私たち合わせて体の等身を小さくしていただけ。
本気を出したクリムゾンさんは伊達ではありません。
でも、やっぱり苦しそうです。
「あと5分というところか……お嬢や、あとは任せるぞ、どっ……せぃぃぃぃぃぃぃ」
――ドゴォォォォォォォォ
処刑台の手前で馬車が大きくターン。
そのまま処刑台の足を真っ二つに切断しました。
そしてバランスを失って台座から処刑人たちが転げ落ちると、クレアさんたちは後ろ手に縛られたまま処刑台の後ろに逃げはじめました。
ええ、ちょうど馬車を後ろに向かって走らせているところでしたので、しっかりとクレアさんたちの真ん前に馬車を回すことに成功しましたよ。
あとは馬車の扉を開けて、クレアさんたちを馬車に乗せるだけ。
――ガチャッ
「クレアさん、助けにきました!! 早く乗ってくださいっ」
馬車の中からそう叫びますと、クレアさんが涙を流しながら走ってきました。
「て、でんぢょぉぉぉぉぉぉぉぉ、もうだめかと思った、もう会えなくなると思ったぁぁぁ」
「うんうん、早く乗って、お父さんたちも急いで乗ってください。私たちはハーバリオス王国から来ました、すでに勇者さんたちがカマンベール王国奪回作戦で動いています。まずはここから離れましょう」
「わ、わかった!!」
「助かりましたわ……」
もう焦燥しきったご両親とご兄弟も、慌てて馬車に飛び乗ります。
そして全員が乗ったことを確認して、ブランシュさんが馬車を走らせ始めましたが。
先ほどまでの加速力がありません。
「……姐さん……盟約が完全発動したみたいだ」
「初代勇者カナン・アーレストとの盟約により、この国に対して害意を成すことはできない。アイゼンボーグ家をカマンベール王国から逃がすことが害意と判断されたのか?」
「そんなことありません。この国の人々を救うことが害意なのですか」
クリムゾンさん、そしてブランシュさんがそう呟いています。
カナン・アーレストとの盟約が、世界を救った勇者との盟約が、そんな理不尽な筈はありません。
「……盟約……が、書き換えられている……ええ、クリスティナさま、私たちとカナン・アーレストとの盟約、それが記されている石板が、書き換えられているのかも……」
「そんなことって……」
まさか、魔族が石板を入手し、書き換えた?
もしもそうだとしたら……最悪です。
そして馬車は走り出したものの、すでに前後左右に魔族の騎士たちがびっしりと取り巻いています。
巨大なオーガが私たちの行く手を阻み、すでに動けなくなってしまいました。
「紅、白……覚悟してください。私は盟約を破棄します」
「黒、それは駄目だ!! そんなことをしたら、俺たちはもう」
「ですが、それしかクリスティナさまを助ける術がありません……ということでクリスティナさま、私たちはカナン・アーレストとの盟約を破棄します。ここで騒動が起きますので、その隙にクリスティナさまは逃げてください」
え、ノワールさん、何を話しているのですか?
盟約の破棄? それってどうなるの?
「ノワールさん、ブランシュさん……クリムゾンさん、盟約の破棄って、いったい何のことなのですか」
「……簡単に告げるなら、俺たちに与えられていた永遠の命が失われる。俺たちはエセリアルナイト、勇者のために生きている。その盟約を解除すれば、与えられていた加護は全て途絶える」
「まあ、15分は持つじゃろうから……その隙に逃げるがよいぞ!!」
「まって、待ってください!!」
そう叫んでも、すでにノワールさんたちは覚悟を決めたようで、私たちに向かってにっこりとほほ笑んでいました。そして馬車が大きく揺れ始め、あちこちが攻撃を受けたような破壊音まで響いてきました。
「駄目です、みなさんはフェイール商店の」
「用心棒だからなぁ」
「食客じゃな」
「クリスティナさまの護衛です。私たちは、その務めを果たすだけです」
そう告げて、ノワールさんが馬車から飛び出します。
そしてブランシュさんとクリムゾンさんも御者台から飛び降りると、三人で馬車を守るように立ちました。
「駄目です……お願い……みんなで生きて帰るんです、無茶なことはしないでくださいっっっっ」
もう、涙があふれているのは分かっています。
こうするしか方法がないって言われても、私は納得できません……。
「みんなで帰るんです、この窮地だって、きっととどうにかできるはずです!! だから……無茶しないでくださいっっっっ」
――ポフウッ
そう私が叫んだ時。
突然、私たちを取り囲んでいた魔族の騎士たちが、ちいさなぬいぐるみに変化しました。
そしてひとつ、また一つと次々とぬいぐるみへと変わっていきます。
「え……これっ、て……」
まさか、ですよね。
そう思って馬車の外を見た時。
魔族たちの上空で、空飛ぶ箒に仁王立ちしている女性の姿が見えました。
「契約の精霊の長であるセフィラ・エンゲージとの契約により……」
きき覚えのある、そして懐かしい声。
私は、ずっとこの声に励まされてきました。
まさか……ううん、契約の精霊との契約は絶対。
だから、奇跡は起きたのですね。
「あーーーしが、来た!!!」
柚月ルカさんが……帰ってきました。
カマンベール王国王都中央を走る街道を、ただひたすらに馬車は走ります。
すでにエセリアル馬車の認識阻害機能も失われ、普通にただ早い馬車となってしまっていますが、それでも止まることなく馬車は走ります。
「正面から、魔法の矢じゃなぁ」
「分かっている……精霊の楯よ、我らに守りの加護を与えろよっ。『エレメンタル・シールド』っ」
――ヒュウウウ
御者台でブランシュさんが立ち上がると、両手を広げて馬車全体を透き通った壁のようなもので覆いました。そして、正面から大量に飛来して来た魔法の矢を弾き飛ばすと、そのまま魔術師たちのど真ん中目掛けて大爆走。
「はっはっはっ。馬車に轢かれたくなければ、道を開けるがよいぞぉぉぉぉぉぉ」
――ガッギィィィィィィィィィィィィィン
背中に背負っていた巨大な剣を引き抜くと、クリムゾンさんがそれを右腕一つで構え、場所の側面から突き出しました。
そのまま走るものですから、馬車の右側で魔法を撃っていた魔族の術師たちも慌てて逃走。
そのまま立っていたら、まっよぐに胴体事真っ二つにされていたでしょう。
そして後方から飛んでくる弓兵たちの矢については、ノワールさんが馬車の窓で箱乗り状態。
次々と飛んでくる矢に向かって、右手指先から炎を飛ばして迎撃しています。
「うわわ……ア、アリサちゃん、大丈夫?」
「だ、だいじょぶ……こわいけど。だいじょぶ……」
体をプルプルと震わせつつも、必死に笑顔を見せようとするアリサちゃん。
急いで刑場に突入して、クレアさんたちを助けるのが先決。
馬車に乗せてからどうするかなんて、なにも考えていません。
あとはひたすら走り出して、エセリアルモードが元通り使える場所まで逃げるか、もしくは……。
「うん、みんなを助けたら、世界樹に直接語り掛けて、結界を発動するから……それまで、我慢していてね」
「うん、だいじょぶ……」
――グラッ
そう呟いた瞬間、馬車の右側から大きな何かがぶつかりました。
馬車全体が揺れて、私とアリサちゃんもあぶなく壁にぶつかりそうになりましたよ。
「だい……だいじょぶないよぉ」
「うんうん……」
涙目のアリサちゃん。
私は抱きしめて、そう慰めるのが精いっぱい。
本当……私にもっと力があればよかったのに……。
せめて、身を護る力だけでも。
そう思った時。
「あ、そうだ……ねぇ、アリサちゃん、これ、ぎゅっと握っていて」
以前、私の身を案じてペルソナさんが渡してくれたペンダント。
それを手に取ってぎゅっと握る。
これのおかげて、私はどんな無茶なことも潜り抜けてきた。
魔族に襲われて、馬車ごと海の上に放り投げられたときも。
そのあと、海向こうの大陸を3年間旅していた時も。
つねに、ペルソナさんが私を護ってくれた。
だから、今度は私がアリサちゃんを守るとき。
右手でペンダントを握り、そしてアリサちゃんがその上に手を重ねる。
「ペルソナさん、私たちを守ってください」
「おねえちゃんや、みんなを守ってください」
私とアリサちゃん、二人の祈りを込めると、少しだけ、ペンダントが暖かくなったような気がします。うん、これはペルソンナさんの返事。
彼の優しさ、それが伝わってくるような気がします。
それに、私たちの周囲に半透明のバリアのようなものも広がりました。
これは精霊の力? ここに居れば安全なのですね。
「アリサちゃん、この中にいれば安全だから、だから何があってもここから出ちゃだめだからね」
「わ、分かった……」
うん、これで最低でも、アリサちゃんは守れる。
そう思った時、外からブランシュさんの声が飛んできました。
「姐さんっ、着いたぞ!! ギリギリだった」
「ブランシュさん、クレアさんは無事でしたか!!」
そう叫んでから、アリサちゃんにペンダントを託してから馬車の窓から上半身を出します。
すでに処刑台の上へと連れられていたクレアさんとその家族が、まもなく斬首台に固定されようとしていました。
ええ、ギリギリでしたが大丈夫です。
「クリムゾンさん、あの台をぶっ飛ばしてください!!」
「おおう、任せるのじゃ!!」
エセリアルホースの手綱をブランシュさんに投げ渡してから、クリムゾンさんが御者台で立ち上がると、手にしていた両手剣を腰溜めに構えます。
その瞬間、刀身が5mほどに伸びました。
ええ、あれが元々タイタン族であるクリムゾンさんの武器です。
普段は私たち合わせて体の等身を小さくしていただけ。
本気を出したクリムゾンさんは伊達ではありません。
でも、やっぱり苦しそうです。
「あと5分というところか……お嬢や、あとは任せるぞ、どっ……せぃぃぃぃぃぃぃ」
――ドゴォォォォォォォォ
処刑台の手前で馬車が大きくターン。
そのまま処刑台の足を真っ二つに切断しました。
そしてバランスを失って台座から処刑人たちが転げ落ちると、クレアさんたちは後ろ手に縛られたまま処刑台の後ろに逃げはじめました。
ええ、ちょうど馬車を後ろに向かって走らせているところでしたので、しっかりとクレアさんたちの真ん前に馬車を回すことに成功しましたよ。
あとは馬車の扉を開けて、クレアさんたちを馬車に乗せるだけ。
――ガチャッ
「クレアさん、助けにきました!! 早く乗ってくださいっ」
馬車の中からそう叫びますと、クレアさんが涙を流しながら走ってきました。
「て、でんぢょぉぉぉぉぉぉぉぉ、もうだめかと思った、もう会えなくなると思ったぁぁぁ」
「うんうん、早く乗って、お父さんたちも急いで乗ってください。私たちはハーバリオス王国から来ました、すでに勇者さんたちがカマンベール王国奪回作戦で動いています。まずはここから離れましょう」
「わ、わかった!!」
「助かりましたわ……」
もう焦燥しきったご両親とご兄弟も、慌てて馬車に飛び乗ります。
そして全員が乗ったことを確認して、ブランシュさんが馬車を走らせ始めましたが。
先ほどまでの加速力がありません。
「……姐さん……盟約が完全発動したみたいだ」
「初代勇者カナン・アーレストとの盟約により、この国に対して害意を成すことはできない。アイゼンボーグ家をカマンベール王国から逃がすことが害意と判断されたのか?」
「そんなことありません。この国の人々を救うことが害意なのですか」
クリムゾンさん、そしてブランシュさんがそう呟いています。
カナン・アーレストとの盟約が、世界を救った勇者との盟約が、そんな理不尽な筈はありません。
「……盟約……が、書き換えられている……ええ、クリスティナさま、私たちとカナン・アーレストとの盟約、それが記されている石板が、書き換えられているのかも……」
「そんなことって……」
まさか、魔族が石板を入手し、書き換えた?
もしもそうだとしたら……最悪です。
そして馬車は走り出したものの、すでに前後左右に魔族の騎士たちがびっしりと取り巻いています。
巨大なオーガが私たちの行く手を阻み、すでに動けなくなってしまいました。
「紅、白……覚悟してください。私は盟約を破棄します」
「黒、それは駄目だ!! そんなことをしたら、俺たちはもう」
「ですが、それしかクリスティナさまを助ける術がありません……ということでクリスティナさま、私たちはカナン・アーレストとの盟約を破棄します。ここで騒動が起きますので、その隙にクリスティナさまは逃げてください」
え、ノワールさん、何を話しているのですか?
盟約の破棄? それってどうなるの?
「ノワールさん、ブランシュさん……クリムゾンさん、盟約の破棄って、いったい何のことなのですか」
「……簡単に告げるなら、俺たちに与えられていた永遠の命が失われる。俺たちはエセリアルナイト、勇者のために生きている。その盟約を解除すれば、与えられていた加護は全て途絶える」
「まあ、15分は持つじゃろうから……その隙に逃げるがよいぞ!!」
「まって、待ってください!!」
そう叫んでも、すでにノワールさんたちは覚悟を決めたようで、私たちに向かってにっこりとほほ笑んでいました。そして馬車が大きく揺れ始め、あちこちが攻撃を受けたような破壊音まで響いてきました。
「駄目です、みなさんはフェイール商店の」
「用心棒だからなぁ」
「食客じゃな」
「クリスティナさまの護衛です。私たちは、その務めを果たすだけです」
そう告げて、ノワールさんが馬車から飛び出します。
そしてブランシュさんとクリムゾンさんも御者台から飛び降りると、三人で馬車を守るように立ちました。
「駄目です……お願い……みんなで生きて帰るんです、無茶なことはしないでくださいっっっっ」
もう、涙があふれているのは分かっています。
こうするしか方法がないって言われても、私は納得できません……。
「みんなで帰るんです、この窮地だって、きっととどうにかできるはずです!! だから……無茶しないでくださいっっっっ」
――ポフウッ
そう私が叫んだ時。
突然、私たちを取り囲んでいた魔族の騎士たちが、ちいさなぬいぐるみに変化しました。
そしてひとつ、また一つと次々とぬいぐるみへと変わっていきます。
「え……これっ、て……」
まさか、ですよね。
そう思って馬車の外を見た時。
魔族たちの上空で、空飛ぶ箒に仁王立ちしている女性の姿が見えました。
「契約の精霊の長であるセフィラ・エンゲージとの契約により……」
きき覚えのある、そして懐かしい声。
私は、ずっとこの声に励まされてきました。
まさか……ううん、契約の精霊との契約は絶対。
だから、奇跡は起きたのですね。
「あーーーしが、来た!!!」
柚月ルカさんが……帰ってきました。
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