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第7章・王位継承と、狙われた魔導書

第311話・商品は受け取りました、そして少女も受け取りました……

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 はい。
 無事にナンバ屋さんから紹介して貰った宿にチェックイン。
 それからの3日間、私とブランシュさん、ノワールさんは連日のように王都の商業区に向かい、西方諸国では見かけない珍しい商品を大量購入。ええ、仕入れですよも仕入れ。
 決して趣味ではありません。

 まあ、このガンバナニーワ王国名物の【粉もの料理】の原材料とか、怪しげな太鼓を持った人形とか、とらかく名物と呼ばれているものをつぎ次と購入したのです。
 おかげで、チュニックのお腹の部分がちょっときつくなったように感じましたけれど、それは成長期ということで理解してください。

「姐さん……成長期っていうのは、大体6歳から16歳ぐらいまでの子供が成長する時期の事を言うのであって、姐さんの場合は単純に太ったフベシッ!」

――スパァァァァン
「ブランシュさん、一言多いです」
「な、なんだよその打撃武器は」
「以前、ここに来た時に購入したツッコミハリセンという奴です。それよりも、そろそろ時間だと思うのでナンバ屋さんに向かいましょう」
「そうするか……それじゃあっと!!」

 指輪に収納していたエセリアル馬車を取り出して、乗り込みますと、さっそくナンバ屋さんまで向かいます。とにかく急いで仕入れを終わらせて、ハーバリオスに帰らなくてはなりませんからね。

………
……


――ナンバ屋
 はい、あっという間に到着です。
 そりゃあもう、エセリアルモードで幾つもの家を透過してきましたから。
 そのまま馬車は指定の場所に移動させてから、急ぎ正面入り口から入って受付へ。

「只今込み合っていますので、受付札をお取りになってお待ちください」
「はい、ありがとうございます……と」

 カウンター横に積まれている受付札を手に取り、窓側の席へ移動。
 そのまま1時間ほどノンビリと待っていますと、ようやく私たちの順番がやってきました。
 
「フェイール商店のクリスティナさま。納品を行いますので、外の停車場6番まで馬車を移動させてください」
「あ、了解しました」
「まあ、うちの場合はアイテムボックスに仕舞うので、馬車を移動させる必要はないんだけれどなぁ」
「全ての商人がアイテムボックスを持っているわけではありませんからね。倉庫から直接馬車まで納品できるのは楽でいいのではないですか?」
「まあ、ちげぇねぇな」

 はい。
 私は幸いなことにアイテムボックスの加護がありますけれど、すべての商人が持っているわけではありませんからね。
 ということで、一旦外に出てエセリアル馬車の元に移動。
 そこから馬車を移動させる必要が……ってあれ?
 
「……あの、ブランシュさん?」
「この光景は予想外なんだけれど……どうしたものか?」

 私たちのエセリアル馬車、そこの御者台に座ってぐったりとしている女性……というか少女の姿があります。ええ、認識阻害が働いているはずですので、馬車があるのは理解していても認識されなくなるはずのエセリアル馬車に、それも御者台によじ登ってぐったりとしていますわ。

「……うん、勇者の系譜なのでしょうか……って、ちょっと待ってください、この子、怪我しているじゃないですか!! えぇっと、薬薬……元気溌剌な奴はどこに!!」
「あ、姐さん、俺の作ったハイポーションを飲ませておくから、姐さんは6番にいって荷物を受け取って来てくれ。流石に俺が代理で受け取るわけにはいかんし、そもそもこんな怪しげな少女と姐さんを二人だけにするわけにはいかなすいからさ」
「そ、それもそうですわ。では、ここはブランシュさんにお任せします」

 ということで、私は急ぎ荷物を受け取るために指定された場所まで全力疾走。
 すでに待っていたルナパークさんに軽く会釈をしたのち、さっそく納品を開始して貰います。
 
「お待たせしました。こちらが納品書ですので、検品をお願いします。商品はこちらにありますので」

 そうルナパークさんが告げた後ろ。
 倉庫にまんべんなく収められている大量の荷物。
 全てガンバナニーワ統一規格の木箱に納められています。
 
「こ、これはまた……壮観ですね」
「ええ。フェイール商店たっての願いという事ですから、こちらとしても全力でご用意させていただきました」

 そう告げてから、ルナパークさんが私にこつそりと耳打ちしてくれます。

「それとですね、例の……あの元気溌剌になるポーションって、まだ在庫はありますか? ここ数日ですけれど、国王陛下の体調が芳しくないとかで、宮廷治癒師の方がかかりっきりになっている状態でして。冒険者ギルドに【霊薬エリクシール】の納品依頼が出されたぐらいなので」
「んんん、国王陛下ですか。では、とっておきの一本をどうぞ。でも途については国王陛下以外には内密にということで」
「ええ。本当に助かりました」

 アイテムボックスから一本のポーションを取り出してルナパークさんに手渡します。
 まあ、国王が病気ということは、ガンバナニーワの危機。
 チャーリィ皇太子にごひいきにして貰った私としては、ここは一肌脱がせてもらいましたよ。
 そのあとは次々とチェックを続けていき、最後に支払いを済ませて受け取り完了です。
 全てアイテムボックスに保管しましたので、あとはハーバリオスまで旅行券で帰還するのみ。
 ルナパークさんに挨拶してナンバ屋さんの前に止めてある馬車に向かいますと、ブランシュさんが困った顔をしていますが。

「ああ、姐さん……ちょっと、いや、実に非常に面倒くさいことになった。とりあえず、急ぎここから離れたいんだけれど、この子の分のチケットはあるか?」

 御者台の上で、意識を取り戻した少女がローブにくるまってブルブルと震えています。
 そしてふと気が付いたののですが、あちこちで胡散臭い、むくつけき男たちが血相を変えて走っているではあ~りませんか。

「あら、これはチャーリィ皇太子の口癖ですよね。と」

 私の姿に気が付いたらしい男たちが、こっちに向かって走って来たので私も御者台に飛び乗ります。
 はい、認識阻害が発動しましたので、私を見失ってキョロキョロしていますよ。

「うん、あの人たちがこの子を探しているのは明白ですし……そもそも、その腕に刻まれている紋様って隷属術式じゃないですか!!」

 ローブにくるまっている少女の左腕に、禁忌とされている隷属術式が浮かびあがっています。
 うん、このままだと危険ですし、なによりもブランシュさんがこの子を保護しています。
 つまり正義はこちらにありですね。

「ブランシュさんは使わなくても大丈夫なのですよね。では、私とこの子の分で二枚の旅行券を使います。ええ、緊急ですので私の手を握ってくれますか? 私を信じてくれますか?」

 優しく少女に話しかけます。
 すると、私の言葉を信じてくれたのか、ローブの隙間から手を差し出してくれました。
 あとはその子の手を握り、旅行券を二枚纏めて発動。
 対象者の同意を得たので、旅行券は有効。
 それでは、いざハーバリオス王国へ、それいけ、レッツゴー!
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