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第7章・王位継承と、狙われた魔導書
第296話・世界の平和と自国の安寧、はかりにかけていいものですか?
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私がハーバリオス王都でフェイール商店を再開して2週間が経過しました。
この間、様々な出来事がありました。
まず、もっとも多かったのが、他国の貴族による勧誘です。
どの貴族も、『我が国に勇者が召喚された暁には』から始まって、『勇者の住む世界の商品の仕入れ先を教えていただきたい』とか『我が家が経営している商会の参加に加えてやる、ありがたく思え』に至るまで、まさに勇者語録のテンプレートというものをしっかりと踏襲された貴族が日夜、訪れていました。
もっとも、営業時間にいらっしゃられても他のお客様の迷惑なので、一旦お引き取りをお願いしたのち、閉店後にブランシュさん立ち合いの元、お話を聞くだけに留めています。
それでも、やれ貴族の面子がどうだの、貴様のような小娘に勇者ご用達が務まるはずがないだのと仰られますので、そういった無礼な方にはご丁寧にお引き取りをお願いしたのち、ガンバナニーワ式のお別れの挨拶を行いましたよ。
ええ、塩ですよ、塩。
これは東方諸国に伝わっている勇者語録限定の作法らしく、二度と会いたくない客が帰ったのち、玄関から塩をまくというやつです。
それにしても、こう毎日のように来られても迷惑なので、とっとと話し合いを終わらせて勇者を召喚して欲しいものです。
………
……
…
「はぁ。それでクリスティナさんはご機嫌斜めなのですか」
「ああ、ペルソナからも言ってやってくれ。あんまりぷりぷりと怒っていると、額に皺がよって来るってよ………と、これが最後か?」
「そうですね。ではクリスティナさん、検品が終わりましたら支払いの方をよろしくお願いします」
「はい、もう少々お待ちください。あと、ブランシュさんには後ほどお話がありますので」
まったく、そんなに怒ってなんていませんからね。
たまたま、そういう日が続いただけですから。
ちなみに今日は定期配達日ですので、夕方6つの鐘の直後にペルソナさんがやって来てくれました。
私も久しぶりにお会いできてうれしいですね。
ということで、とっとと検品を終わらせてから、少しペルソナさんとお話でもしたいですね。
「ふぅ。これで検品は完了です。いつもありがとうございます」
「いえいえ、これも仕事ですので、では、いつも通りにチャージ払いですね?」
「はい、よろしくお願いします」
【シャーリィの魔導書】を取り出してペルソナさんに掲げます。
そしていつも通りに手を翳して支払いチェックを終えたのち、ペルソナさんは新しい型録を手渡してくれました。
「これは来月のフェアの商品型録です。詳しくはお読みいただいたのち、もし分からないことがありましたら次の配達時にご説明しますので。それと、こちらを預かってきました」
そう告げながら、ペルソナさんが私に手紙を差し出します。
「これは……どなたからですか?」
「フェイールの氏族長、クリスティナさんのおばあさまからです。ここに来る前に、ノワールに用事がありまして顔を出してきたのですけれど、その時に手紙を預かってきました」
「おばあさまから!!」
「はい。では、私はブランシュと話があるので、ちょっとだけ席を外させてもらいますね」
そう告げてから、ペルソナさんが馬車に戻っていきます。
ちょうどブランシュさんも彼の後ろについていったので、私は店内に戻って急ぎ手紙を確認しました。
「うんうん……おばあ様もノワールさんも、元気そうですね」
手紙には、ここ二週間ほどの出来事が簡潔につづられていました。
やはりカマンペール王国の刺客が里に送られて来たそうですが、里に敵意を持つものは結界を通ることができないため、暫くは結界外に滞在していたそうですが、すぐにどこかに行ってしまったそうです。
ちなみに刺客としてやって来たのは、フェイールの外を裏切った他の里から来たエルフたちだそうで。ほら、魔族ってハーバリオス国境に張り巡らされている結界を越えることができないようですから。
フェイールの里の世界樹が活性化してるため、このハーバリオスの護りについては、今しばらくは盤石ということなのでしょう。
「でも、やっばりカマンベール王国の出来事については分からないのですよねぇ……」
つまり、暗躍している魔族の動向がつかめない。
こればかりは、直接カマンベール王国に向かわなくては無理ですからね。
それに、クレアさんのこともちょっと心配です。
ご両親に借りていた借金を突っ返したら、すぐにハーバリオスに戻って来るという話をしていましたのに。
「……うん、クレアさんがフェイールの里まで向かったら、ノワールさんがいてくれるので何とかなるでしょう。ただ、カマンベール王国から出られないのかもしれませんし……うーん、どうしたものか」
色々と考えてみても、すぐに答えなんて出てくる筈もないので、今しばらくはクレアさんの安全を祈っていることにしましょう。私一人ではどうすることもできませんので……。
「……と、そうですね。おばあ様とノワールさんに、手紙を出した方がいいですよね……うん、裏技のオンパレードを使わせていただきましょう」
アイテムボックスから、ノワールさんもお勧めする化粧品のセット、ハーブティーの缶詰、そして日持ちの良いクッキーアソートを取り出します。
それを綺麗に箱に納めると、その中に私が書いた手紙を同梱。
あとは箱を閉じて、これをペルソナさんにお願いすることにしましょう……。
「配達先指定……って、こういう裏技はありなのでしょうか」
ちょっと狡いかもしれませんけれど、私の書いた手紙も一緒に届けてほしいので、ペルソナさんにお願いすることにしましょう。
ちょうどお話も終わったようですから。
「ペルソナさん、実はお願いがありまして」
「お願いですか……と、ああ、なるほど。こちらの箱を指定配達したいのですね?」
「はい、お願いできますでしょうか?」
私の横に置いてある箱を見て、ペルソナさんは察してくれました。
「構いませんよ。発注品を直接、相手に届けるだけが指定配達ではありませんので。と、そうそう、つい今しがた、王宮から使いの者が来たそうですよ。今は外でブランシュが対応していますので」
「そ、そうなのですか!!」
「はい。私が一緒に居ますと、認識阻害の効果が発生しているので話をすることもできませんから。ということで、私だけが店内に戻って来たということです」
そう説明してから、ペルソナさんが荷物をアイテムボックスに収納してくれました。
「なるほど。そういうことなのですね」
「ええ。では、私はそろそろ失礼します。当面の間は、朝の配達はクラウンが、夕方の配達は私が担当することになりますので、ご了承ください」
「はい、大丈夫です。それでは、今日もありがとうございました」
「いえいえ。それでは失礼します。今後も型録通販のシャーリィを、どうぞごひいきにお願いします」
いつものように丁寧にあいさつをしてから、ペルソナさんは馬車に乗って戻っていきます。
そして入れ違いに王宮からの使いの方と、ブランシュさんが店内に入ってきました。
………
……
…
「姐さん。勇者召喚についての日取りが決定したらしいぞ」
まずはブランシュさんの開口一発。
いきなり大切な説明を有難うございます。
「ようやくですか。それで、どちらの国での召喚となるのでしょうか?」
「はい。それがですね、ちっょとややこしいことになりまして……」
使いの方が頬を流れる汗を必死に拭っているので、まずは落ち着いてもらうためにアイテムボックスからフェイスタオルを取り出して手渡し、良く冷えた『籠の目・優しいジュース』を取り出してた渡します。
「まずは、汗を拭いて喉を潤してください」
「ああ、これはご丁寧にありがとうございます」
そうして使いの方が人心地つけてから、話を再開しました。
「勇者召喚の儀式は、4日後の朔の月の夜に行われます。宮廷魔導師が、その日がもっとも儀式との相性がよいと説明していただけまして。それで、どの国がという事ですが……」
「はい」
「ボルドー連邦王国、モーレンジィ王国、ミスティカ平原、そしてハーバリオス王国の4か国での召喚となりました。我が国以外の王国、氏族ではすでに勇者召喚に必要な魔力は確保されているらしく、我が国についてはブランシュさまが、精霊女王の使徒さまににお伝えして、魔力を供給してもらい事になりましてですね……」
うん、つまり4か国で召喚を始めると。
それについては特に問題はありませんよ、そもそも一国につき勇者召喚が行われるのは一人だけ、前回のハーバリオス王国がおかしかったのですからね。
「でも、そうなりますと勇者ご用達商人の私の立ち位置は、どうなるのでしょうか?」
「はぁ。どの国も、フェイール商店を寄越せと打診を行っていまして。ですが、フェイール商店はハーバリオスの商人ゆえ、この王都に商会を構え、そこを拠点として各国に商品を流通するということで話はつきました。もっとも、どの国も自国を拠点し他国に商品を流通すると主張していましたが」
うん、無理ですね。
それこそ初代勇者であるカナン・アーレストさまの禁呪、空間転移魔法でもない限りは不可能です。
ちなみに私は使えませんよ。私の魔導書は【型録通販のシャーリィ】ですからね。
私は戦えません、はい、終了です。
「無理です。他国となると今から向かう必要もありますので。他国からこちらにくる商会を一つに絞っていただき、無理のない範囲での納品ならば可能であるとお伝えください」
「畏まりました。ちなみにですが、わが国が召喚する勇者の接待役、つまり窓口になるのはユリシーズ王子となります。以後、勇者についての話がありましたら、直接王城にてユリシーズ王子と話をしていただくか、もしくは王子がフェイール商店を訪れるかたちとなりますので」
「はぁ、なるほど……ってえ、ユリシーズ王子が来るのですか?」
それは聞いていませんよぉ。
まあ、今聞いたのですから当然ですけれどね。
それにしても、また王子様のお相手ですか。
なんというか、こう、私ってそういう運命なのでしょうか。
「はい。では確かにご用件はお伝えしましたので。4日後の夕方、改めてお迎えに伺いますので、よろしくお願いします」
「畏まりました」
そう告げてから、使いの方は帰っていきましたが。
それにしても、ここにきて状況が大きく変化してくるというのは、またなんというか。
もう少し手心を加えてくれても良いかと思いますよ、運命の女神さま。
この間、様々な出来事がありました。
まず、もっとも多かったのが、他国の貴族による勧誘です。
どの貴族も、『我が国に勇者が召喚された暁には』から始まって、『勇者の住む世界の商品の仕入れ先を教えていただきたい』とか『我が家が経営している商会の参加に加えてやる、ありがたく思え』に至るまで、まさに勇者語録のテンプレートというものをしっかりと踏襲された貴族が日夜、訪れていました。
もっとも、営業時間にいらっしゃられても他のお客様の迷惑なので、一旦お引き取りをお願いしたのち、閉店後にブランシュさん立ち合いの元、お話を聞くだけに留めています。
それでも、やれ貴族の面子がどうだの、貴様のような小娘に勇者ご用達が務まるはずがないだのと仰られますので、そういった無礼な方にはご丁寧にお引き取りをお願いしたのち、ガンバナニーワ式のお別れの挨拶を行いましたよ。
ええ、塩ですよ、塩。
これは東方諸国に伝わっている勇者語録限定の作法らしく、二度と会いたくない客が帰ったのち、玄関から塩をまくというやつです。
それにしても、こう毎日のように来られても迷惑なので、とっとと話し合いを終わらせて勇者を召喚して欲しいものです。
………
……
…
「はぁ。それでクリスティナさんはご機嫌斜めなのですか」
「ああ、ペルソナからも言ってやってくれ。あんまりぷりぷりと怒っていると、額に皺がよって来るってよ………と、これが最後か?」
「そうですね。ではクリスティナさん、検品が終わりましたら支払いの方をよろしくお願いします」
「はい、もう少々お待ちください。あと、ブランシュさんには後ほどお話がありますので」
まったく、そんなに怒ってなんていませんからね。
たまたま、そういう日が続いただけですから。
ちなみに今日は定期配達日ですので、夕方6つの鐘の直後にペルソナさんがやって来てくれました。
私も久しぶりにお会いできてうれしいですね。
ということで、とっとと検品を終わらせてから、少しペルソナさんとお話でもしたいですね。
「ふぅ。これで検品は完了です。いつもありがとうございます」
「いえいえ、これも仕事ですので、では、いつも通りにチャージ払いですね?」
「はい、よろしくお願いします」
【シャーリィの魔導書】を取り出してペルソナさんに掲げます。
そしていつも通りに手を翳して支払いチェックを終えたのち、ペルソナさんは新しい型録を手渡してくれました。
「これは来月のフェアの商品型録です。詳しくはお読みいただいたのち、もし分からないことがありましたら次の配達時にご説明しますので。それと、こちらを預かってきました」
そう告げながら、ペルソナさんが私に手紙を差し出します。
「これは……どなたからですか?」
「フェイールの氏族長、クリスティナさんのおばあさまからです。ここに来る前に、ノワールに用事がありまして顔を出してきたのですけれど、その時に手紙を預かってきました」
「おばあさまから!!」
「はい。では、私はブランシュと話があるので、ちょっとだけ席を外させてもらいますね」
そう告げてから、ペルソナさんが馬車に戻っていきます。
ちょうどブランシュさんも彼の後ろについていったので、私は店内に戻って急ぎ手紙を確認しました。
「うんうん……おばあ様もノワールさんも、元気そうですね」
手紙には、ここ二週間ほどの出来事が簡潔につづられていました。
やはりカマンペール王国の刺客が里に送られて来たそうですが、里に敵意を持つものは結界を通ることができないため、暫くは結界外に滞在していたそうですが、すぐにどこかに行ってしまったそうです。
ちなみに刺客としてやって来たのは、フェイールの外を裏切った他の里から来たエルフたちだそうで。ほら、魔族ってハーバリオス国境に張り巡らされている結界を越えることができないようですから。
フェイールの里の世界樹が活性化してるため、このハーバリオスの護りについては、今しばらくは盤石ということなのでしょう。
「でも、やっばりカマンベール王国の出来事については分からないのですよねぇ……」
つまり、暗躍している魔族の動向がつかめない。
こればかりは、直接カマンベール王国に向かわなくては無理ですからね。
それに、クレアさんのこともちょっと心配です。
ご両親に借りていた借金を突っ返したら、すぐにハーバリオスに戻って来るという話をしていましたのに。
「……うん、クレアさんがフェイールの里まで向かったら、ノワールさんがいてくれるので何とかなるでしょう。ただ、カマンベール王国から出られないのかもしれませんし……うーん、どうしたものか」
色々と考えてみても、すぐに答えなんて出てくる筈もないので、今しばらくはクレアさんの安全を祈っていることにしましょう。私一人ではどうすることもできませんので……。
「……と、そうですね。おばあ様とノワールさんに、手紙を出した方がいいですよね……うん、裏技のオンパレードを使わせていただきましょう」
アイテムボックスから、ノワールさんもお勧めする化粧品のセット、ハーブティーの缶詰、そして日持ちの良いクッキーアソートを取り出します。
それを綺麗に箱に納めると、その中に私が書いた手紙を同梱。
あとは箱を閉じて、これをペルソナさんにお願いすることにしましょう……。
「配達先指定……って、こういう裏技はありなのでしょうか」
ちょっと狡いかもしれませんけれど、私の書いた手紙も一緒に届けてほしいので、ペルソナさんにお願いすることにしましょう。
ちょうどお話も終わったようですから。
「ペルソナさん、実はお願いがありまして」
「お願いですか……と、ああ、なるほど。こちらの箱を指定配達したいのですね?」
「はい、お願いできますでしょうか?」
私の横に置いてある箱を見て、ペルソナさんは察してくれました。
「構いませんよ。発注品を直接、相手に届けるだけが指定配達ではありませんので。と、そうそう、つい今しがた、王宮から使いの者が来たそうですよ。今は外でブランシュが対応していますので」
「そ、そうなのですか!!」
「はい。私が一緒に居ますと、認識阻害の効果が発生しているので話をすることもできませんから。ということで、私だけが店内に戻って来たということです」
そう説明してから、ペルソナさんが荷物をアイテムボックスに収納してくれました。
「なるほど。そういうことなのですね」
「ええ。では、私はそろそろ失礼します。当面の間は、朝の配達はクラウンが、夕方の配達は私が担当することになりますので、ご了承ください」
「はい、大丈夫です。それでは、今日もありがとうございました」
「いえいえ。それでは失礼します。今後も型録通販のシャーリィを、どうぞごひいきにお願いします」
いつものように丁寧にあいさつをしてから、ペルソナさんは馬車に乗って戻っていきます。
そして入れ違いに王宮からの使いの方と、ブランシュさんが店内に入ってきました。
………
……
…
「姐さん。勇者召喚についての日取りが決定したらしいぞ」
まずはブランシュさんの開口一発。
いきなり大切な説明を有難うございます。
「ようやくですか。それで、どちらの国での召喚となるのでしょうか?」
「はい。それがですね、ちっょとややこしいことになりまして……」
使いの方が頬を流れる汗を必死に拭っているので、まずは落ち着いてもらうためにアイテムボックスからフェイスタオルを取り出して手渡し、良く冷えた『籠の目・優しいジュース』を取り出してた渡します。
「まずは、汗を拭いて喉を潤してください」
「ああ、これはご丁寧にありがとうございます」
そうして使いの方が人心地つけてから、話を再開しました。
「勇者召喚の儀式は、4日後の朔の月の夜に行われます。宮廷魔導師が、その日がもっとも儀式との相性がよいと説明していただけまして。それで、どの国がという事ですが……」
「はい」
「ボルドー連邦王国、モーレンジィ王国、ミスティカ平原、そしてハーバリオス王国の4か国での召喚となりました。我が国以外の王国、氏族ではすでに勇者召喚に必要な魔力は確保されているらしく、我が国についてはブランシュさまが、精霊女王の使徒さまににお伝えして、魔力を供給してもらい事になりましてですね……」
うん、つまり4か国で召喚を始めると。
それについては特に問題はありませんよ、そもそも一国につき勇者召喚が行われるのは一人だけ、前回のハーバリオス王国がおかしかったのですからね。
「でも、そうなりますと勇者ご用達商人の私の立ち位置は、どうなるのでしょうか?」
「はぁ。どの国も、フェイール商店を寄越せと打診を行っていまして。ですが、フェイール商店はハーバリオスの商人ゆえ、この王都に商会を構え、そこを拠点として各国に商品を流通するということで話はつきました。もっとも、どの国も自国を拠点し他国に商品を流通すると主張していましたが」
うん、無理ですね。
それこそ初代勇者であるカナン・アーレストさまの禁呪、空間転移魔法でもない限りは不可能です。
ちなみに私は使えませんよ。私の魔導書は【型録通販のシャーリィ】ですからね。
私は戦えません、はい、終了です。
「無理です。他国となると今から向かう必要もありますので。他国からこちらにくる商会を一つに絞っていただき、無理のない範囲での納品ならば可能であるとお伝えください」
「畏まりました。ちなみにですが、わが国が召喚する勇者の接待役、つまり窓口になるのはユリシーズ王子となります。以後、勇者についての話がありましたら、直接王城にてユリシーズ王子と話をしていただくか、もしくは王子がフェイール商店を訪れるかたちとなりますので」
「はぁ、なるほど……ってえ、ユリシーズ王子が来るのですか?」
それは聞いていませんよぉ。
まあ、今聞いたのですから当然ですけれどね。
それにしても、また王子様のお相手ですか。
なんというか、こう、私ってそういう運命なのでしょうか。
「はい。では確かにご用件はお伝えしましたので。4日後の夕方、改めてお迎えに伺いますので、よろしくお願いします」
「畏まりました」
そう告げてから、使いの方は帰っていきましたが。
それにしても、ここにきて状況が大きく変化してくるというのは、またなんというか。
もう少し手心を加えてくれても良いかと思いますよ、運命の女神さま。
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