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2巻
2-2
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──夕方。
いつものように、即日発送担当の黒づくめの女性・クラウンさんが納品してくれました。
この雨の中、誠に申し訳ありません。
急いで品物を【アイテムボックス】に収めてから、私は一旦、濡れた服を着替えに部屋へ移動。
そして夜からは、こちらの商品を販売します。
「こちらはレインコートと言いまして。雨の時に着るコートです。効果は、ご覧のとおり!」
白いレインコートを着たノワールさんが、外に出ていきます。
はい、夕方六つの鐘が鳴り終わったということは、ブランシュさんからノワールさんに護衛を交代する時間が来たということです。
そして雨の中で華麗に舞を披露してから、ノワールさんはのんびりと帰ってきました。
「外側は雨を弾きますので、このように中の衣服が濡れることはありません。雨の中、馬車を操る御者や移動中の冒険者さんには便利な品物かと思います。そしてこちらが、ブーツカバー。靴に装着すると、ほとんど濡れませんし、裏側に溝があって転びにくくなっています」
レインコート、ブーツカバー、傘。
そして切り札は、防水スプレーです。
こちらは防水加工してほしいものに私が直接吹きかけますよ、商品の説明では缶の取り扱いに注意って書いてありましたから。
「これが目玉商品の防水スプレーです。このように衣服に吹き付けてから……」
ハンカチを取り出してスプレーします。
それをテーブルの上に置いて、水を少し垂らしますと。
──プルッ。
ハンカチの表面で、水が玉のようになっています。
そしてハンカチに染み込むことなく、すべて弾かれているではありませんか。
「それを売ってくれ! すべて買う」
「いや、うちが買う!」
「うちは五本欲しいのですけど……明日まで、取り置きできます?」
次々とやってくる商人さんや冒険者。
でも、これは売れないのです。
「お待ちください。これは売れません。その代わり、私が皆さんの希望の品物に直接スプレーします。そのスプレー代をいただきますので」
そう告げますと、商人の皆さんは腕を組んで考え始めました。
「あ、明日、明日頼む!」
「うちもだ!」
はい。
予約は受け付けますよ。
明日はスプレー職人になりそうです。
翌朝。
目が覚めると、まだ雨が降り注いでいます。
本当に、嫌な雨。
朝食を取るために食堂に向かうと、大勢の商人さんに混ざって町の人たちも集まっています。
見た感じ、食事という雰囲気ではありませんが、さて、どうしたものか。
「あの、朝食をください」
「はいよ、ちょっと待っててね」
宿の従業員さんが厨房に向かったので、私とブランシュさんはテーブルでのんびりとしています。
周りの話が聞こえてきたので、耳を傾けてみますと。
「下流では、既に堤防から水が溢れているんだ。すぐに土嚢を積んで対応しないと」
「それで、魔法使いの方に手伝ってほしいんです。どなたか、護衛に魔法使いを雇ってはいませんか?」
あちこちの商人に話しかけていますけど、隊商の護衛となると体力勝負が多く、戦士系の方が多くてですね。
それに魔法が使える人、俗に言う魔法使いは希少ですから、大抵は貴族のお抱えであったり、宮廷魔導師や魔法兵士などとして雇われたりします。
そして、魔法使いを求める方が、私たちのところにもやってきました。
「なあ、お嬢さんの護衛は魔法が使えないか?」
「俺か? 俺は魔導師だが?」
あっさり。
ブランシュさんの言葉に、目の前の男性が飛び上がりそうなほど喜んでいます。
魔導師とは、魔法使いという大きな枠組みの中でも、特に精霊魔術を使う方を指す名称です。
「それなら、この氾濫している川を抑えてほしいのだが」
「それは無理だ。この川の増水、大雨、すべては上流に住む水竜が行っていることのようだからな。そこに魔法使いが干渉すると、最悪、怒りを買ってこの町が襲われるぞ?」
淡々と説明すると、男の顔色がサーッと青くなります。
そして他のところにいた人たちも集まってきて、対策会議を始めました。
「ま、まあ、それなら体力に自信のあるやつは、土嚢を積むから手伝ってくれるか? 報酬は支払うから」
あちこちの護衛が雇い主の許可を取って、外で土嚢とかいうものを作るそうです。
あれって確か、勇者の残した緊急時用の何かですよね?
そんなことを考えつつ、朝食を終えます。
ブランシュさんのところには、どうしても諦めきれない町の人が集まり、水竜を倒せないかと話を持ちかけていますけど。
「生憎と、俺は主人のそばを離れたくはない。護衛なのでね」
「いや、しかし……うーむ。そうか……」
それでも町の人は散々頼んでいましたけれど、最後は諦めて別の商人のもとに向かいました。
それと入れ違いに、護衛の人たちが次々と集まってきました。
「フェイールさん。昨日のあれ、外に出ても濡れないマントを売ってくれるか?」
「靴に被せるやつもだ。これから外で、土木作業を始めなくてはならなくてね」
「レインなんちゃらをくれ、人数分だ!」
は、はい!
いきなり忙しくなりましたよ。
大慌てで【アイテムボックス】から商品を取り出すと、それをブランシュさんに手渡します。
彼には会計も任せていますので、護衛の人たちに商品を手渡してはお金を受け取ってもらいまして。
私はお客さんの注文通りの商品を、次々と取り出すだけです。
「ええっと、レインパンツ、レインパンツ……次がコートと、傘と……」
大体、一時間程度でしょうか。
それでようやく客足が止まりました。
これだけ忙しくても、ブランシュさんが疲れた様子がないのは何故ですか?
「あの、ブランシュさんは疲れないのですか?」
「ん? エセリアルナイトは疲労しないからな。まあ、魔力枯渇はありえるけど、この程度で疲れるはずもない。それよりも姐さん、次のお客だ」
店の入り口から顔を覗かせる子どもたち。
「あ、あの、でっかい人たちが着ていた、水を弾く服はありますか!」
「可愛い模様の入ったのはありますか?」
うん。
可愛いは正義ですよね。
「はいはい、子ども用も女性用も取り揃えていますよ」
そう話しかけると、ワーッと子どもたちが集まってきます。
そして親御さんたちも一緒に集まってきました。それでは商売の続きを始めましょう。
ふと振り返ると、震えている子どもたちの姿も見えます。
気温も下がったようですし、温かい飲み物も用意した方がいいですよね。
◇ ◇ ◇
外では堤防から溢れ出した水を誘導するため、大急ぎで簡易水路が作られていた。
堤防の上には土嚢を積み、丸太で下から支えを追加する。
溢れる川の水を頭から被っても、レインコートのおかげで中まで水が入ってくることがない。
当然ながら、頭から被るほどの量なら多少は浸水するものだが、これらは『型録通販のシャーリィから取り寄せた商品』であるため、すべてなんらかの魔術効果が付与されている。
同じように足元のブーツカバーやレインパンツなども、浸水を完璧に抑え込んでいる。
そして作業中に、あるものが流れてくる。
それは、誰かの死体。
軽装鎧を着た男性が、川上から流れてきている。
「……この紋章は、バルバロッサ帝国のものか」
よく見ると、死体は人間ではなく魔族のもの。
額から小さなツノが一つ生えている。
「なあ、フェイールさんとこの護衛が、この氾濫は上流に住む水竜が引き起こしたって話していたよな?」
「ああ。そして、魔族か。軽装だから偵察なのかもしれないが、これはヤバいことになりそうだぞ。竜と魔族が争っているのかもしれん」
引き上げた死体は近くの木陰に移動させて、筵を被せておく。
そして再び、作業を再開した。
◇ ◇ ◇
──夕刻。
暗くなってきたので、今日の作業は終了。
ドロドロの外套やレインコートを脱いで窓側で干し、護衛さんたちは自分の雇い主のところに報告に向かいます。
あちこちの席で酒盛りも始まりましたが、昨日よりも雰囲気は暗いようで。
そんな中で夕食を食べていますと、ボリマクールさんがテーブルまでやってきました。
「フェイールさん、私たちは明日にでも、ここを離れることにするけれど。よかったら、乗っていく?」
「え? 戻るのですか?」
「ええ。さすがにこれが何日も続くと、町の備蓄も足りなくなるでしょうから。その前に、別のルートで川を渡りたいのだけどね」
ここが溢れている以上、川沿いにある他の宿場町も似たり寄ったり。
そうなると、もっと大きな都市に戻ってしっかりと準備を整え直すか、それとも諦めるか。
「ブランシュさん。私たちも一度、ここを離れた方がよさそうですよね?」
食事を終えて、ハーブティーを飲んでいるブランシュさんに問いかけますけど、彼は頭を軽く振っています。
「いや、その必要はない。恐らくだが、雨は間もなく止む」
「え、それはどういう意味です?」
──ギィィィィィィッ。
思わず問いかけた瞬間、酒場の入り口がゆっくりと開きます。
そして全身びしょ濡れの女性が、宿に入ってきました。
「お客さん、今、身体を拭く布をあげるから待っていてね」
「あ、はい……」
弱々しい声で呟く女性。
青色のドレスに髪も青。
この町に来てからは、こんな方は見たこともありません。
先日、露店を開いていた時も、この方はいらっしゃいませんでした。
店員に布を借りて身体を拭い、女性は近くの席に座りました。
そしてキョロキョロと店内を見渡していますけど。
「あ~、姐さん、ありゃ、俺の客だわ」
ブランシュさんがそう告げてから、女性のもとに歩いていきます。
はて、彼のお客さん?
二人は何かを話しています。
内容は私の席までは聞こえてきませんので、何を話しているのか気になるところですが。
私はのんびりとハーブティーを飲んで、体を温めていましょう。
「姐さん、ちょいと部屋に行きたいんだが」
「……え? 部屋?」
「ああ。この人のことで、ちょっとな。姐さんにも説明をしたいんだが、構わないか?」
「はぁ、何か事情があるのですね?」
ここで話せない事情なら、場所を変える必要がありますよね。
ということで、私の部屋に移動したら、青い髪の女性は突然頭を下げました。
「この度は、私のせいでこのような事態になりまして……」
「ん、ええっと、何か事件が起きたのですか?」
そう話しかけると、ブランシュさんが笑いながら一言。
「この人が、雨を降らせている張本人だよ」
「はい。このヤーギリ川を守護する水竜の一人、エリアスと申します。この度は、私たちの争いに巻き込んでしまって、誠に申し訳ありません」
は、は?
水竜?
え?
ちょっと理解が及ばないのですけれど……
これは厄介なことになりそうです。
水竜のエリアスさん。
そう名乗った女性は、私たちに謝罪するとその場に座り込んでしまいました。
しかも、よく見ると足から血が流れているじゃないですか!
「ブ、ブランシュさん、回復魔法は使えますか」
「まあ、一通りな。どれ……エリアス、回復魔術を行使するから、受け入れろよ」
「はい……あなたのお名前は?」
「ブランシュだ。いくぞ」
エリアスさんに魔法を受け入れるように伝えると、ブランシュさんが右手をかざします。
「精霊女王シャーリィの名において。我、ブランシュが命じる。かの者の傷を癒せ」
「我、エリアスはブランシュの加護を受け入れます」
──ブゥン。
ブランシュさんの右手が輝き、そしてその光はエリアスさんを包みます。
「これは……エレメンタルヒール。癒しの精霊の力ですか」
「まあ、な。こう見えても俺は、高貴で潔癖なるユニコーンだ」
「ああ、そのような方に癒していただけるとは……」
うんうん。
さすがは伝説の神獣ユニコーンのエセリアルナイトです。
「それで、何があったのか教えてほしいところだが……まだ怪我を治した反動があるから、少し休んでいろ」
ぶっきらぼうに告げるブランシュさん。
「い、いえ。今、何が起こっているのか、私は皆さんに伝えなくてはなりません……」
椅子に座ったまま、エリアスさんが話を始めました。
つい一月ほど前から。
川を遡上してやってくる一団の姿が、ちょくちょく見えるようになったそうです。
最初は冒険者が、上流の山にやってきて狩りを行っていた程度だったのですが、やがて、冒険者らの一部が水竜の聖域を目指して進み始め、水竜の眷属とぶつかり合ってしまったのです。
その目的は、山に住む水竜一族が守る【水域の聖玉】を得るため。
それは、如何なる水をも使役し、自在に操ることができるものです。
それを守るために、水竜の一族と冒険者が戦闘を繰り返していたところ、後方からやってきたバルバロッサ帝国の軍隊が聖域に突撃を行い、その地を護る水竜を手にかけたそうです。
そこからは、まさに泥沼の戦い。
対竜族特攻の武具を用いた部隊まで突入してきて、聖域自体が戦場になりました。
この時の反動により、水が制御できなくなり氾濫し、下流に向かって流れたとのこと。
さらに、一族の者を殺された水竜の長の嘆きはすさまじく、この大雨を発生させたそうです。
「私は水竜たちの長の娘。この事態により多くの人々に被害が出たことを知り、手を貸してほしくてやってきました」
「……ふぅん。それなら、下の酒場にいるやつらに力を借りればいい。暇を持て余しているやつらだし、俺は姐さんの護衛だ、勝手にここから離れることなんてできない」
あ、あっさりと断りましたよ、ブランシュさんは。
いえ、そうなる予想はついていましたけど、そこをなんとかしてあげたいとなるのが情というものではないでしょうか?
でも、ブランシュさんの言い分も理解できますし。
どうしたらよいのでしょうか。
そう考えて頭を悩ませていた時。
──バン!
勢いよく部屋の扉が開きました。
そして一人の女性が室内に入ってくると、声高らかに叫びます。
「話は聞かせてもらったし。帝国のやつらを追い出して水竜を助ければいいんだよね?」
いきなりの登場に、その場の全員の目が丸くなります。
しかし、そんな空気もお構いなしに、女性はズンズンと歩き、私の前で立ち止まりました。
「これだこれだ。この魔力、あんたが異世界のスイーツを売っていると確信したし。だから、あーしが水竜を助けてきたら、スイーツを頂戴! 成功報酬で構わないから!」
一気にまくし立てるように話されて、思わず混乱してしまいます。
これにはブランシュさんも完全に出遅れてしまったようで。
いえ、後から聞いたところ、こちらの女性からは危険な香りも嘘も感じなかったらしく、動くに動けなかったそうです。そういう相手に対して、ブランシュさんはまったくと言っていいほどに無防備なのだとか。
「私はクリスティナ・フェイールと申します。ええと、あなたは……」
女性の突撃により、話は一旦中断されてしまいました。
しかし、この緊急事態にいつまでも呆けているわけにはいきません。
ということで、まずは自己紹介から。
「あーしは柚月ルカ。どこにでもいる女子高生だよ。今は【大魔導師】だけど。それよりもさ、あーしたちの世界のものが買える商人って、あんただよね?」
「は、はい! 私ですけど」
うわ、いきなり詰め寄ってきましたよ。
チラリとブランシュさんを見ると、あちらはエリアスさんと真面目な話をしているようで……って、私の視線に気がついたのですね、こちらを向いてにこやかに親指を立てないでください!
「アイス、ある?」
「アイス……アイスクリームですか? 多少は在庫がありますけど」
「売って! 今は持ち合わせが少ないんだけど、一つでもいいから、これで!」
ゴソゴソと財布を取り出して、銀貨を二枚、私に手渡してくれます。
大丈夫ですよ、お釣りもあります。
それに、これからエリアスさんのために一肌脱いでくれるのでしたら、先行投資です。
「お代は結構です。それよりも、エリアスさんのお力になってください」
「あーしでよければ!」
はい、契約は成立です。
では、こちらのアイスをお渡ししましょう。
子どもたちに一番不人気な、シュワシュワするミント味のアイスです。
この食感が受け入れられないんだとか。
ちなみに私も苦手でして、これが一番在庫があるのですよ。
型録にはベストテンに入る味という説明が書いてあったのですけど、異世界人の味覚は私たちの世界と少し違うのかもしれません。
「こ、これはミント味のポッピングアイス! 食べてもいい?」
「はい、どうぞ」
私がそう促しますと、ゆっくりと味わいつつ食べています。
何故か涙を流しているようですけど、やはり故郷の味というのは、心に染み渡るものなのでしょうか。
その後、しばらくして。
私の部屋で、何が起きたのか簡単にご説明します。
ハーバリオス王国が召喚した勇者の一人、柚月さんが、私からアイスクリームを購入。
それを完食しただけではなく、クッキーやチョコレートも購入。【アイテムボックス】にすべて収納し、最後はコーヒー牛乳を一気飲み。
知っていますか?
コーヒー牛乳を飲むためには儀式が必要で、左手は腰に当てて、右手にコーヒー牛乳を持つ。そして一気に、空を見上げるようにぐびぐびと飲むそうです。
そんなことがあるのかと思いますよね?
今、私の目の前で、柚月さんが実演してくれました。
それを見た瞬間、はしたなくもゴクリと喉が鳴ってしまいました。
柚月さんは風呂上がりの儀式と仰っていましたから、今度、実演してみようかと思います。
「ふはぁ。あーし、復活。ということなので早速、山に行ってくるし。水竜さん、案内してくれるかな?」
「え、は、はい! もう向かわれるのですか? 騎士や軍勢を待つ必要はないのですか?」
「あーし、一人で十分。伊達に勇者名乗ってないし」
「……わかりました。では、よろしくお願いします」
エリアスさんが頭を下げています。
私もお手伝いしようかと思いましたが、私が山に登って援助できることもありません。
そもそも普段から護衛のブランシュさんとノワールさんに頼りきりですからね。
うーん、でも何か……
「姐さんは、俺とここで留守番。まさか、勇者と一緒に山に登るなんて言わないよな?」
「そ、そんなこと、言うわけがないじゃないですか。私は戦うことも、身を守ることも一人ではできないのですよ?」
「それもそうか。じゃあ、二人で頑張ってこい」
「それじゃあ、いきましょうか。あーしも早く終わらせて、色々と買い物を続けたいからさ」
はて、先ほどの買い占めで予算がなくなったとか話していたようですけど。
へそくりでもあったのでしょうか?
それとも【アイテムボックス】にしまってあったのでしょうか?
そんなことを考えていると、柚月さんとエリアスさんが部屋から出ていきました。
「さてと。姐さん、俺たちは酒場でのんびりとしますか?」
「そうですね。この雨ですと、また店は混んでいるかも知れませんけどね」
まだ商品の在庫はありますし、のんびりと商売でもして待っていることにしましょう。
いつものように、即日発送担当の黒づくめの女性・クラウンさんが納品してくれました。
この雨の中、誠に申し訳ありません。
急いで品物を【アイテムボックス】に収めてから、私は一旦、濡れた服を着替えに部屋へ移動。
そして夜からは、こちらの商品を販売します。
「こちらはレインコートと言いまして。雨の時に着るコートです。効果は、ご覧のとおり!」
白いレインコートを着たノワールさんが、外に出ていきます。
はい、夕方六つの鐘が鳴り終わったということは、ブランシュさんからノワールさんに護衛を交代する時間が来たということです。
そして雨の中で華麗に舞を披露してから、ノワールさんはのんびりと帰ってきました。
「外側は雨を弾きますので、このように中の衣服が濡れることはありません。雨の中、馬車を操る御者や移動中の冒険者さんには便利な品物かと思います。そしてこちらが、ブーツカバー。靴に装着すると、ほとんど濡れませんし、裏側に溝があって転びにくくなっています」
レインコート、ブーツカバー、傘。
そして切り札は、防水スプレーです。
こちらは防水加工してほしいものに私が直接吹きかけますよ、商品の説明では缶の取り扱いに注意って書いてありましたから。
「これが目玉商品の防水スプレーです。このように衣服に吹き付けてから……」
ハンカチを取り出してスプレーします。
それをテーブルの上に置いて、水を少し垂らしますと。
──プルッ。
ハンカチの表面で、水が玉のようになっています。
そしてハンカチに染み込むことなく、すべて弾かれているではありませんか。
「それを売ってくれ! すべて買う」
「いや、うちが買う!」
「うちは五本欲しいのですけど……明日まで、取り置きできます?」
次々とやってくる商人さんや冒険者。
でも、これは売れないのです。
「お待ちください。これは売れません。その代わり、私が皆さんの希望の品物に直接スプレーします。そのスプレー代をいただきますので」
そう告げますと、商人の皆さんは腕を組んで考え始めました。
「あ、明日、明日頼む!」
「うちもだ!」
はい。
予約は受け付けますよ。
明日はスプレー職人になりそうです。
翌朝。
目が覚めると、まだ雨が降り注いでいます。
本当に、嫌な雨。
朝食を取るために食堂に向かうと、大勢の商人さんに混ざって町の人たちも集まっています。
見た感じ、食事という雰囲気ではありませんが、さて、どうしたものか。
「あの、朝食をください」
「はいよ、ちょっと待っててね」
宿の従業員さんが厨房に向かったので、私とブランシュさんはテーブルでのんびりとしています。
周りの話が聞こえてきたので、耳を傾けてみますと。
「下流では、既に堤防から水が溢れているんだ。すぐに土嚢を積んで対応しないと」
「それで、魔法使いの方に手伝ってほしいんです。どなたか、護衛に魔法使いを雇ってはいませんか?」
あちこちの商人に話しかけていますけど、隊商の護衛となると体力勝負が多く、戦士系の方が多くてですね。
それに魔法が使える人、俗に言う魔法使いは希少ですから、大抵は貴族のお抱えであったり、宮廷魔導師や魔法兵士などとして雇われたりします。
そして、魔法使いを求める方が、私たちのところにもやってきました。
「なあ、お嬢さんの護衛は魔法が使えないか?」
「俺か? 俺は魔導師だが?」
あっさり。
ブランシュさんの言葉に、目の前の男性が飛び上がりそうなほど喜んでいます。
魔導師とは、魔法使いという大きな枠組みの中でも、特に精霊魔術を使う方を指す名称です。
「それなら、この氾濫している川を抑えてほしいのだが」
「それは無理だ。この川の増水、大雨、すべては上流に住む水竜が行っていることのようだからな。そこに魔法使いが干渉すると、最悪、怒りを買ってこの町が襲われるぞ?」
淡々と説明すると、男の顔色がサーッと青くなります。
そして他のところにいた人たちも集まってきて、対策会議を始めました。
「ま、まあ、それなら体力に自信のあるやつは、土嚢を積むから手伝ってくれるか? 報酬は支払うから」
あちこちの護衛が雇い主の許可を取って、外で土嚢とかいうものを作るそうです。
あれって確か、勇者の残した緊急時用の何かですよね?
そんなことを考えつつ、朝食を終えます。
ブランシュさんのところには、どうしても諦めきれない町の人が集まり、水竜を倒せないかと話を持ちかけていますけど。
「生憎と、俺は主人のそばを離れたくはない。護衛なのでね」
「いや、しかし……うーむ。そうか……」
それでも町の人は散々頼んでいましたけれど、最後は諦めて別の商人のもとに向かいました。
それと入れ違いに、護衛の人たちが次々と集まってきました。
「フェイールさん。昨日のあれ、外に出ても濡れないマントを売ってくれるか?」
「靴に被せるやつもだ。これから外で、土木作業を始めなくてはならなくてね」
「レインなんちゃらをくれ、人数分だ!」
は、はい!
いきなり忙しくなりましたよ。
大慌てで【アイテムボックス】から商品を取り出すと、それをブランシュさんに手渡します。
彼には会計も任せていますので、護衛の人たちに商品を手渡してはお金を受け取ってもらいまして。
私はお客さんの注文通りの商品を、次々と取り出すだけです。
「ええっと、レインパンツ、レインパンツ……次がコートと、傘と……」
大体、一時間程度でしょうか。
それでようやく客足が止まりました。
これだけ忙しくても、ブランシュさんが疲れた様子がないのは何故ですか?
「あの、ブランシュさんは疲れないのですか?」
「ん? エセリアルナイトは疲労しないからな。まあ、魔力枯渇はありえるけど、この程度で疲れるはずもない。それよりも姐さん、次のお客だ」
店の入り口から顔を覗かせる子どもたち。
「あ、あの、でっかい人たちが着ていた、水を弾く服はありますか!」
「可愛い模様の入ったのはありますか?」
うん。
可愛いは正義ですよね。
「はいはい、子ども用も女性用も取り揃えていますよ」
そう話しかけると、ワーッと子どもたちが集まってきます。
そして親御さんたちも一緒に集まってきました。それでは商売の続きを始めましょう。
ふと振り返ると、震えている子どもたちの姿も見えます。
気温も下がったようですし、温かい飲み物も用意した方がいいですよね。
◇ ◇ ◇
外では堤防から溢れ出した水を誘導するため、大急ぎで簡易水路が作られていた。
堤防の上には土嚢を積み、丸太で下から支えを追加する。
溢れる川の水を頭から被っても、レインコートのおかげで中まで水が入ってくることがない。
当然ながら、頭から被るほどの量なら多少は浸水するものだが、これらは『型録通販のシャーリィから取り寄せた商品』であるため、すべてなんらかの魔術効果が付与されている。
同じように足元のブーツカバーやレインパンツなども、浸水を完璧に抑え込んでいる。
そして作業中に、あるものが流れてくる。
それは、誰かの死体。
軽装鎧を着た男性が、川上から流れてきている。
「……この紋章は、バルバロッサ帝国のものか」
よく見ると、死体は人間ではなく魔族のもの。
額から小さなツノが一つ生えている。
「なあ、フェイールさんとこの護衛が、この氾濫は上流に住む水竜が引き起こしたって話していたよな?」
「ああ。そして、魔族か。軽装だから偵察なのかもしれないが、これはヤバいことになりそうだぞ。竜と魔族が争っているのかもしれん」
引き上げた死体は近くの木陰に移動させて、筵を被せておく。
そして再び、作業を再開した。
◇ ◇ ◇
──夕刻。
暗くなってきたので、今日の作業は終了。
ドロドロの外套やレインコートを脱いで窓側で干し、護衛さんたちは自分の雇い主のところに報告に向かいます。
あちこちの席で酒盛りも始まりましたが、昨日よりも雰囲気は暗いようで。
そんな中で夕食を食べていますと、ボリマクールさんがテーブルまでやってきました。
「フェイールさん、私たちは明日にでも、ここを離れることにするけれど。よかったら、乗っていく?」
「え? 戻るのですか?」
「ええ。さすがにこれが何日も続くと、町の備蓄も足りなくなるでしょうから。その前に、別のルートで川を渡りたいのだけどね」
ここが溢れている以上、川沿いにある他の宿場町も似たり寄ったり。
そうなると、もっと大きな都市に戻ってしっかりと準備を整え直すか、それとも諦めるか。
「ブランシュさん。私たちも一度、ここを離れた方がよさそうですよね?」
食事を終えて、ハーブティーを飲んでいるブランシュさんに問いかけますけど、彼は頭を軽く振っています。
「いや、その必要はない。恐らくだが、雨は間もなく止む」
「え、それはどういう意味です?」
──ギィィィィィィッ。
思わず問いかけた瞬間、酒場の入り口がゆっくりと開きます。
そして全身びしょ濡れの女性が、宿に入ってきました。
「お客さん、今、身体を拭く布をあげるから待っていてね」
「あ、はい……」
弱々しい声で呟く女性。
青色のドレスに髪も青。
この町に来てからは、こんな方は見たこともありません。
先日、露店を開いていた時も、この方はいらっしゃいませんでした。
店員に布を借りて身体を拭い、女性は近くの席に座りました。
そしてキョロキョロと店内を見渡していますけど。
「あ~、姐さん、ありゃ、俺の客だわ」
ブランシュさんがそう告げてから、女性のもとに歩いていきます。
はて、彼のお客さん?
二人は何かを話しています。
内容は私の席までは聞こえてきませんので、何を話しているのか気になるところですが。
私はのんびりとハーブティーを飲んで、体を温めていましょう。
「姐さん、ちょいと部屋に行きたいんだが」
「……え? 部屋?」
「ああ。この人のことで、ちょっとな。姐さんにも説明をしたいんだが、構わないか?」
「はぁ、何か事情があるのですね?」
ここで話せない事情なら、場所を変える必要がありますよね。
ということで、私の部屋に移動したら、青い髪の女性は突然頭を下げました。
「この度は、私のせいでこのような事態になりまして……」
「ん、ええっと、何か事件が起きたのですか?」
そう話しかけると、ブランシュさんが笑いながら一言。
「この人が、雨を降らせている張本人だよ」
「はい。このヤーギリ川を守護する水竜の一人、エリアスと申します。この度は、私たちの争いに巻き込んでしまって、誠に申し訳ありません」
は、は?
水竜?
え?
ちょっと理解が及ばないのですけれど……
これは厄介なことになりそうです。
水竜のエリアスさん。
そう名乗った女性は、私たちに謝罪するとその場に座り込んでしまいました。
しかも、よく見ると足から血が流れているじゃないですか!
「ブ、ブランシュさん、回復魔法は使えますか」
「まあ、一通りな。どれ……エリアス、回復魔術を行使するから、受け入れろよ」
「はい……あなたのお名前は?」
「ブランシュだ。いくぞ」
エリアスさんに魔法を受け入れるように伝えると、ブランシュさんが右手をかざします。
「精霊女王シャーリィの名において。我、ブランシュが命じる。かの者の傷を癒せ」
「我、エリアスはブランシュの加護を受け入れます」
──ブゥン。
ブランシュさんの右手が輝き、そしてその光はエリアスさんを包みます。
「これは……エレメンタルヒール。癒しの精霊の力ですか」
「まあ、な。こう見えても俺は、高貴で潔癖なるユニコーンだ」
「ああ、そのような方に癒していただけるとは……」
うんうん。
さすがは伝説の神獣ユニコーンのエセリアルナイトです。
「それで、何があったのか教えてほしいところだが……まだ怪我を治した反動があるから、少し休んでいろ」
ぶっきらぼうに告げるブランシュさん。
「い、いえ。今、何が起こっているのか、私は皆さんに伝えなくてはなりません……」
椅子に座ったまま、エリアスさんが話を始めました。
つい一月ほど前から。
川を遡上してやってくる一団の姿が、ちょくちょく見えるようになったそうです。
最初は冒険者が、上流の山にやってきて狩りを行っていた程度だったのですが、やがて、冒険者らの一部が水竜の聖域を目指して進み始め、水竜の眷属とぶつかり合ってしまったのです。
その目的は、山に住む水竜一族が守る【水域の聖玉】を得るため。
それは、如何なる水をも使役し、自在に操ることができるものです。
それを守るために、水竜の一族と冒険者が戦闘を繰り返していたところ、後方からやってきたバルバロッサ帝国の軍隊が聖域に突撃を行い、その地を護る水竜を手にかけたそうです。
そこからは、まさに泥沼の戦い。
対竜族特攻の武具を用いた部隊まで突入してきて、聖域自体が戦場になりました。
この時の反動により、水が制御できなくなり氾濫し、下流に向かって流れたとのこと。
さらに、一族の者を殺された水竜の長の嘆きはすさまじく、この大雨を発生させたそうです。
「私は水竜たちの長の娘。この事態により多くの人々に被害が出たことを知り、手を貸してほしくてやってきました」
「……ふぅん。それなら、下の酒場にいるやつらに力を借りればいい。暇を持て余しているやつらだし、俺は姐さんの護衛だ、勝手にここから離れることなんてできない」
あ、あっさりと断りましたよ、ブランシュさんは。
いえ、そうなる予想はついていましたけど、そこをなんとかしてあげたいとなるのが情というものではないでしょうか?
でも、ブランシュさんの言い分も理解できますし。
どうしたらよいのでしょうか。
そう考えて頭を悩ませていた時。
──バン!
勢いよく部屋の扉が開きました。
そして一人の女性が室内に入ってくると、声高らかに叫びます。
「話は聞かせてもらったし。帝国のやつらを追い出して水竜を助ければいいんだよね?」
いきなりの登場に、その場の全員の目が丸くなります。
しかし、そんな空気もお構いなしに、女性はズンズンと歩き、私の前で立ち止まりました。
「これだこれだ。この魔力、あんたが異世界のスイーツを売っていると確信したし。だから、あーしが水竜を助けてきたら、スイーツを頂戴! 成功報酬で構わないから!」
一気にまくし立てるように話されて、思わず混乱してしまいます。
これにはブランシュさんも完全に出遅れてしまったようで。
いえ、後から聞いたところ、こちらの女性からは危険な香りも嘘も感じなかったらしく、動くに動けなかったそうです。そういう相手に対して、ブランシュさんはまったくと言っていいほどに無防備なのだとか。
「私はクリスティナ・フェイールと申します。ええと、あなたは……」
女性の突撃により、話は一旦中断されてしまいました。
しかし、この緊急事態にいつまでも呆けているわけにはいきません。
ということで、まずは自己紹介から。
「あーしは柚月ルカ。どこにでもいる女子高生だよ。今は【大魔導師】だけど。それよりもさ、あーしたちの世界のものが買える商人って、あんただよね?」
「は、はい! 私ですけど」
うわ、いきなり詰め寄ってきましたよ。
チラリとブランシュさんを見ると、あちらはエリアスさんと真面目な話をしているようで……って、私の視線に気がついたのですね、こちらを向いてにこやかに親指を立てないでください!
「アイス、ある?」
「アイス……アイスクリームですか? 多少は在庫がありますけど」
「売って! 今は持ち合わせが少ないんだけど、一つでもいいから、これで!」
ゴソゴソと財布を取り出して、銀貨を二枚、私に手渡してくれます。
大丈夫ですよ、お釣りもあります。
それに、これからエリアスさんのために一肌脱いでくれるのでしたら、先行投資です。
「お代は結構です。それよりも、エリアスさんのお力になってください」
「あーしでよければ!」
はい、契約は成立です。
では、こちらのアイスをお渡ししましょう。
子どもたちに一番不人気な、シュワシュワするミント味のアイスです。
この食感が受け入れられないんだとか。
ちなみに私も苦手でして、これが一番在庫があるのですよ。
型録にはベストテンに入る味という説明が書いてあったのですけど、異世界人の味覚は私たちの世界と少し違うのかもしれません。
「こ、これはミント味のポッピングアイス! 食べてもいい?」
「はい、どうぞ」
私がそう促しますと、ゆっくりと味わいつつ食べています。
何故か涙を流しているようですけど、やはり故郷の味というのは、心に染み渡るものなのでしょうか。
その後、しばらくして。
私の部屋で、何が起きたのか簡単にご説明します。
ハーバリオス王国が召喚した勇者の一人、柚月さんが、私からアイスクリームを購入。
それを完食しただけではなく、クッキーやチョコレートも購入。【アイテムボックス】にすべて収納し、最後はコーヒー牛乳を一気飲み。
知っていますか?
コーヒー牛乳を飲むためには儀式が必要で、左手は腰に当てて、右手にコーヒー牛乳を持つ。そして一気に、空を見上げるようにぐびぐびと飲むそうです。
そんなことがあるのかと思いますよね?
今、私の目の前で、柚月さんが実演してくれました。
それを見た瞬間、はしたなくもゴクリと喉が鳴ってしまいました。
柚月さんは風呂上がりの儀式と仰っていましたから、今度、実演してみようかと思います。
「ふはぁ。あーし、復活。ということなので早速、山に行ってくるし。水竜さん、案内してくれるかな?」
「え、は、はい! もう向かわれるのですか? 騎士や軍勢を待つ必要はないのですか?」
「あーし、一人で十分。伊達に勇者名乗ってないし」
「……わかりました。では、よろしくお願いします」
エリアスさんが頭を下げています。
私もお手伝いしようかと思いましたが、私が山に登って援助できることもありません。
そもそも普段から護衛のブランシュさんとノワールさんに頼りきりですからね。
うーん、でも何か……
「姐さんは、俺とここで留守番。まさか、勇者と一緒に山に登るなんて言わないよな?」
「そ、そんなこと、言うわけがないじゃないですか。私は戦うことも、身を守ることも一人ではできないのですよ?」
「それもそうか。じゃあ、二人で頑張ってこい」
「それじゃあ、いきましょうか。あーしも早く終わらせて、色々と買い物を続けたいからさ」
はて、先ほどの買い占めで予算がなくなったとか話していたようですけど。
へそくりでもあったのでしょうか?
それとも【アイテムボックス】にしまってあったのでしょうか?
そんなことを考えていると、柚月さんとエリアスさんが部屋から出ていきました。
「さてと。姐さん、俺たちは酒場でのんびりとしますか?」
「そうですね。この雨ですと、また店は混んでいるかも知れませんけどね」
まだ商品の在庫はありますし、のんびりと商売でもして待っていることにしましょう。
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