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第4章・北方諸国漫遊と、契約の精霊と
第181話・バレンタイン狂想曲sideE(精霊界)
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無事にクリスティナのもとに商品を届けたベルソナ。
そのまま精霊の祠から精霊界へと戻ることなく、彼女から預かった荷物を届けるためにヘスティア王国王都王城前へと移動した。
そのまま馬車を止め、出迎えてくれたブランシュに軽く手をあげて挨拶をすると、ペルソナは開口一番。
「クリスティナさんから、バレンタインの荷物を預かってきましたよ。ジョーカーは中にいますか?」
「ああ、今の時間はアルルカンの世話をしている最中だな。なんというか、とにかく、人に頭を下げることをいやがっているからさ……あの態度だと、次期精霊王にも選出されないんじゃないか?」
「精霊の力は、等しく民と人のために……初代精霊王の言葉を、アルルカンははき違えているからねぇ」
やれやれと苦笑しつつ頭を振るペルソナ。
その肩にガシッと手を回すと、ブランシュもにいっと笑った。
「俺の方も、今日の配達はおわりだからよ。あとは精霊界に戻るだけなんだわ。それじゃあ、疲れ果てているジョーカーにも、姐さんからの贈り物を届けるとしようか」
「はいはい。そんなことを言って、一番楽しみにしているのはブランシュなのでしょう」
「違いない。最高のハーブティーがあるから、それと一緒に楽しむことにしようや」
そんな他愛もない話に耳を傾けつつ、ブランシュとペルソナの二人は王城へと入っていく。
そして普段は使われない、国賓などの際に用いられる応接間へと移動すると、すぐさまブランシュは侍女にハーブティーの準備と、ジョーカーにペルソナが来たことを伝えてほしいと伝言を頼んだ。
「それで、今、姐さんはどのあたりにいるんだ?」
「北方の、ヤージマ連邦ですね。相変わらず、のんびりと旅を続けているようですよ。ノワールとクリムゾンも元気そうでしたから、護衛についてはご安心を」
「あの二人がついているのなら、敵はないってというかんじだな」
「それと、勇者の一人、大魔導師・柚月も同行していますが……間もなく、彼女の召喚期限が訪れます、そうなるとクリスティナさんは悲しい思いをすることになるでしょうから……」
勇者の召喚期限は一年。
帰還用の送還魔法陣に魔力が蓄積するまでは帰ることはできないものの、一年の時を経て送還魔法陣が起動したのなら、自分たちの世界に帰らなくてはならない。
また、契約を更新してこの世界に留まることも可能なのだが、その際は送還魔法陣の軌道のための魔力集積は行われないため、こちらの世界に留まるということを選択したのなら、永遠に帰るすべを失ってしまうのである。
それゆえに、過去に召喚された勇者たちの大半は、送還魔法陣の軌道と同時に自分たちの世界へと戻っていった。
勇者の力を聖剣や魔導杖に残し、その力を弟子に託すことで勇者の力をこの世界にも留めているのである。
初代勇者である大魔導師カナン、彼女もまたこの世界に残っていた三人の弟子に自らの力を分割譲渡し、未来永劫、この世界を護るようにと告げていたという。
そのカナンの弟子の系譜がハーバリオスのアーレスト家であり、同じくハーバリオス南方のエルフの里、フェイールの氏族長であったことなど、まさに運命の悪戯でしかない。
三人の弟子の最後の一人は、ハーバリオスよりも遥か東、海沿いの国家へと旅立ったとされている。
「……まあ、クリスティナさんも勇者の系譜、伝承などでその話は聞いていると思いますから、覚悟は決めているでしょう。それでも、つらいとは思いますが」
――ガチャっ
静かに扉が開き、ティーセットの乗せられたワゴンを押しつつジョーカーとアルルカンが入ってくる。
「……ったく。どうして王族の俺が、来客にティーセットを運ばなくちゃならないんだ……ってペルソナ、てめえが来客なのかよ」
「兄さんもお元気そうで。王城勤めはどうですか」
「どうもこうもないわ、なんでこの俺が、下々の輩に頭を下げて媚びへつらわないとならねーんだよ。逆だろうが」
そう叫んだ刹那、アルルカンは口元を両手で押さえてジョーカーの方をチラリとみる。
「その傲慢な態度を直してほしいと、私は女王様から頼まれているのをお忘れですか。これは、スペシャル特訓コースの再実施を行う必要が」
「悪かった、誠に申し訳なかった!! さ、さあ、ジョーカーさんも座って、俺がハーブティーを入れるから。な?」
大慌てでジョーカーに座るように促すと、アルルカンはやや仏頂面でゆっくりとハーブティーを入れ始める。その様子を見て、ペルソナは口を少しだけ開いて驚いた顔になっているが、すぐにアルルカンもそれに気が付く。
「……なんだ、俺がハーブティーを入れているのがそんなにおかしいのか?」
「ええ、いつも侍女にやらせていて、少しでも冷めていたり苦かったりとその時の気分で難癖をつけては侍女に熱いハーブティーを浴びせてた兄と同一人物とは思えませんから」
「……お待たせしました。とっとと飲みやがれ」
「ゴホン」
「お客様、どうぞごゆっくりとお楽しみください……」
その様子に苦笑しつつ、ペルソナはアルルカンにも座るように促す。
そしてジョーカーからの許可を貰って、ようやくアルルカンもソファーにどっかりと腰を落とすと、ハーブティーを飲み始めていた。
「変われば、変わるものなのですねぇ」
「むしろ、変わらない場合は幽閉と仰せつかっていますので。それで、本日はどのようなご用件でしょうか」
「はい。クリスティナさんから、荷物を預かってきましたので。それをお届けに参りました」
アイテムボックスからメッセージ付きの箱を取り出すと、それをジョーカーの前に一つ、ブランシュの前に二つ差し出した。
「これは?」
「異世界の風習だそうで、バレンタインデーというものです。なんでも女性が意中の人にチョコレートを渡して告白するのが始まりであ、今では日頃の感謝の気持ちをそえて親しい人に贈るようになったとかで。ブランシュとジョーカーにも日頃からお世話になっていたので、そのお礼だそうです」
「それで、何で俺には二つ?」
「一つは柚月さんからですよ」
――ブッ
予想外の言葉に、ブランシュがハーブティーを噴き出す。
そしてジョーカーとブランシュはまずメッセージを呼んでほっこりとしたのち、箱を開けてチョコレートを確認したのだが。
「おい、ペルソナ。どうして俺には届けられていないんだ?」
不機嫌そうにアルルカンがつぶやく。
「あれだけ彼女が嫌がることをしていて、もらえると思っているとは……」
「っせーな。俺に言い寄られて、嫌な顔をした女なんていなかったんだよ。だから、あいつも俺のことを好きになったと思っていたんだよ」
「ゴホン……」
「ヒッ!! ま、まあ、今では反省しているし、いつでも俺のもとに嫁いできても受け入れる準備は出来ていからよ……」
「まだ凝りていないのですか。はあ、その図太い神経だけは時折うらやましく思いますよ」
「それに、お前だって貰っていないんだろう? つまり俺とお前は対等っていうことだ」
そう勝ちほこったかのように告げるアルルカンに、ペルソナはアイテムボックスから自分用にと受け取った箱とメッセージを取り出す。
「しっかりと頂いていますよ。まあ、メッセージはブランシュたちと同じ内容だと思いますけど」
「俺と同じってことは、日ごろの感謝の気持ちを込めてってやつか?」
「まだ見ていませんけれど、彼女の性格を考えますと、おそらくは……」
にっこりとほほ笑んで、メッセージを開く。
『A toi, mon précieux, avec amour.』
(大切な貴方へ、愛を込めて贈ります……)
そう書かれたメッセージカード。
しっかりと彼女の手が気であるそれは、ブランシュとジョーカーのものとは内容が異なっていた。
――ゴシゴシ
改めて目をこすってから、もう一度、いまにも破裂しそうな鼓動を抑えるように気合を入れてもう一度内容を確認する。
『A toi, mon précieux, avec amour.』
(大切な貴方へ、愛を込めて贈ります……)
――カァァァァァァァッ
体が熱くなったような気がする。
そしてその様子を見て、ブランシュはにやにやと笑っていた。
普段から感情を抑えていたペルソナが、真っ赤な顔で困ったような、そしてうれしいようななんとも言えない顔になっているのである。
そしてジョーカーもまた、そんなペルソナを見てフォッフォッと笑いつつハーブティーを飲んでいるし、何が起こったのか分からないアルルカンは三人を見渡して頭をひねっている。
「お、おいペルソナ、何が書いてあったのか見せろ!!」
「ちょ、ちょっと待ってください」
がばっと勢いよくペルソナからメッセージカードを奪い取り、内容を確認するアルルカン。
そして全身が硬直したかのように止まっていると、突然、部屋から外へと飛び出そうと走り出した。
「認めない、この俺も告白の手紙を貰わなくては納得がいかない!!」
「アルルカンさま、逃がしませんよ!!」
素早くアルルカンを追いかけて走り出すジョーカー。
その数分後には、全身を黄色いPPバンドで拘束されたアルルカンが廊下で発見されることになる。
「それで、ペルソナは返事をどうするんだ?」
「返事とは……」
ブランシュに促されて、ペルソナもまた真っ赤な顔になってしまう。
そう、バレンタインデーの返事はホワイトデーに行う。
それが異世界の流儀であり、【型録通販のシャーリィ】でも、専用型録が用意されている徹底ぶりである。
「まあ、男なら、きっぱりと覚悟を決めるんだな。それとも、あの馬鹿兄貴にクリスティナを奪われていいのか?」
「それは断固としてお断りします……ま、まあ、まあ、まだひと月もありますから、じっくりと返事を考えることにしますよ」
「それが無難だな……さて、ハーブティーのお代わりが欲しいところだが……」
「私が淹れますよ。こう見えても、自信がありますから」
やがてジョーカーも戻ってきて、楽しいティータイムは再開されることになるのだが。
アルルカンは、まあ、説教部屋へと連行されたそうで。
そのまま精霊の祠から精霊界へと戻ることなく、彼女から預かった荷物を届けるためにヘスティア王国王都王城前へと移動した。
そのまま馬車を止め、出迎えてくれたブランシュに軽く手をあげて挨拶をすると、ペルソナは開口一番。
「クリスティナさんから、バレンタインの荷物を預かってきましたよ。ジョーカーは中にいますか?」
「ああ、今の時間はアルルカンの世話をしている最中だな。なんというか、とにかく、人に頭を下げることをいやがっているからさ……あの態度だと、次期精霊王にも選出されないんじゃないか?」
「精霊の力は、等しく民と人のために……初代精霊王の言葉を、アルルカンははき違えているからねぇ」
やれやれと苦笑しつつ頭を振るペルソナ。
その肩にガシッと手を回すと、ブランシュもにいっと笑った。
「俺の方も、今日の配達はおわりだからよ。あとは精霊界に戻るだけなんだわ。それじゃあ、疲れ果てているジョーカーにも、姐さんからの贈り物を届けるとしようか」
「はいはい。そんなことを言って、一番楽しみにしているのはブランシュなのでしょう」
「違いない。最高のハーブティーがあるから、それと一緒に楽しむことにしようや」
そんな他愛もない話に耳を傾けつつ、ブランシュとペルソナの二人は王城へと入っていく。
そして普段は使われない、国賓などの際に用いられる応接間へと移動すると、すぐさまブランシュは侍女にハーブティーの準備と、ジョーカーにペルソナが来たことを伝えてほしいと伝言を頼んだ。
「それで、今、姐さんはどのあたりにいるんだ?」
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「あの二人がついているのなら、敵はないってというかんじだな」
「それと、勇者の一人、大魔導師・柚月も同行していますが……間もなく、彼女の召喚期限が訪れます、そうなるとクリスティナさんは悲しい思いをすることになるでしょうから……」
勇者の召喚期限は一年。
帰還用の送還魔法陣に魔力が蓄積するまでは帰ることはできないものの、一年の時を経て送還魔法陣が起動したのなら、自分たちの世界に帰らなくてはならない。
また、契約を更新してこの世界に留まることも可能なのだが、その際は送還魔法陣の軌道のための魔力集積は行われないため、こちらの世界に留まるということを選択したのなら、永遠に帰るすべを失ってしまうのである。
それゆえに、過去に召喚された勇者たちの大半は、送還魔法陣の軌道と同時に自分たちの世界へと戻っていった。
勇者の力を聖剣や魔導杖に残し、その力を弟子に託すことで勇者の力をこの世界にも留めているのである。
初代勇者である大魔導師カナン、彼女もまたこの世界に残っていた三人の弟子に自らの力を分割譲渡し、未来永劫、この世界を護るようにと告げていたという。
そのカナンの弟子の系譜がハーバリオスのアーレスト家であり、同じくハーバリオス南方のエルフの里、フェイールの氏族長であったことなど、まさに運命の悪戯でしかない。
三人の弟子の最後の一人は、ハーバリオスよりも遥か東、海沿いの国家へと旅立ったとされている。
「……まあ、クリスティナさんも勇者の系譜、伝承などでその話は聞いていると思いますから、覚悟は決めているでしょう。それでも、つらいとは思いますが」
――ガチャっ
静かに扉が開き、ティーセットの乗せられたワゴンを押しつつジョーカーとアルルカンが入ってくる。
「……ったく。どうして王族の俺が、来客にティーセットを運ばなくちゃならないんだ……ってペルソナ、てめえが来客なのかよ」
「兄さんもお元気そうで。王城勤めはどうですか」
「どうもこうもないわ、なんでこの俺が、下々の輩に頭を下げて媚びへつらわないとならねーんだよ。逆だろうが」
そう叫んだ刹那、アルルカンは口元を両手で押さえてジョーカーの方をチラリとみる。
「その傲慢な態度を直してほしいと、私は女王様から頼まれているのをお忘れですか。これは、スペシャル特訓コースの再実施を行う必要が」
「悪かった、誠に申し訳なかった!! さ、さあ、ジョーカーさんも座って、俺がハーブティーを入れるから。な?」
大慌てでジョーカーに座るように促すと、アルルカンはやや仏頂面でゆっくりとハーブティーを入れ始める。その様子を見て、ペルソナは口を少しだけ開いて驚いた顔になっているが、すぐにアルルカンもそれに気が付く。
「……なんだ、俺がハーブティーを入れているのがそんなにおかしいのか?」
「ええ、いつも侍女にやらせていて、少しでも冷めていたり苦かったりとその時の気分で難癖をつけては侍女に熱いハーブティーを浴びせてた兄と同一人物とは思えませんから」
「……お待たせしました。とっとと飲みやがれ」
「ゴホン」
「お客様、どうぞごゆっくりとお楽しみください……」
その様子に苦笑しつつ、ペルソナはアルルカンにも座るように促す。
そしてジョーカーからの許可を貰って、ようやくアルルカンもソファーにどっかりと腰を落とすと、ハーブティーを飲み始めていた。
「変われば、変わるものなのですねぇ」
「むしろ、変わらない場合は幽閉と仰せつかっていますので。それで、本日はどのようなご用件でしょうか」
「はい。クリスティナさんから、荷物を預かってきましたので。それをお届けに参りました」
アイテムボックスからメッセージ付きの箱を取り出すと、それをジョーカーの前に一つ、ブランシュの前に二つ差し出した。
「これは?」
「異世界の風習だそうで、バレンタインデーというものです。なんでも女性が意中の人にチョコレートを渡して告白するのが始まりであ、今では日頃の感謝の気持ちをそえて親しい人に贈るようになったとかで。ブランシュとジョーカーにも日頃からお世話になっていたので、そのお礼だそうです」
「それで、何で俺には二つ?」
「一つは柚月さんからですよ」
――ブッ
予想外の言葉に、ブランシュがハーブティーを噴き出す。
そしてジョーカーとブランシュはまずメッセージを呼んでほっこりとしたのち、箱を開けてチョコレートを確認したのだが。
「おい、ペルソナ。どうして俺には届けられていないんだ?」
不機嫌そうにアルルカンがつぶやく。
「あれだけ彼女が嫌がることをしていて、もらえると思っているとは……」
「っせーな。俺に言い寄られて、嫌な顔をした女なんていなかったんだよ。だから、あいつも俺のことを好きになったと思っていたんだよ」
「ゴホン……」
「ヒッ!! ま、まあ、今では反省しているし、いつでも俺のもとに嫁いできても受け入れる準備は出来ていからよ……」
「まだ凝りていないのですか。はあ、その図太い神経だけは時折うらやましく思いますよ」
「それに、お前だって貰っていないんだろう? つまり俺とお前は対等っていうことだ」
そう勝ちほこったかのように告げるアルルカンに、ペルソナはアイテムボックスから自分用にと受け取った箱とメッセージを取り出す。
「しっかりと頂いていますよ。まあ、メッセージはブランシュたちと同じ内容だと思いますけど」
「俺と同じってことは、日ごろの感謝の気持ちを込めてってやつか?」
「まだ見ていませんけれど、彼女の性格を考えますと、おそらくは……」
にっこりとほほ笑んで、メッセージを開く。
『A toi, mon précieux, avec amour.』
(大切な貴方へ、愛を込めて贈ります……)
そう書かれたメッセージカード。
しっかりと彼女の手が気であるそれは、ブランシュとジョーカーのものとは内容が異なっていた。
――ゴシゴシ
改めて目をこすってから、もう一度、いまにも破裂しそうな鼓動を抑えるように気合を入れてもう一度内容を確認する。
『A toi, mon précieux, avec amour.』
(大切な貴方へ、愛を込めて贈ります……)
――カァァァァァァァッ
体が熱くなったような気がする。
そしてその様子を見て、ブランシュはにやにやと笑っていた。
普段から感情を抑えていたペルソナが、真っ赤な顔で困ったような、そしてうれしいようななんとも言えない顔になっているのである。
そしてジョーカーもまた、そんなペルソナを見てフォッフォッと笑いつつハーブティーを飲んでいるし、何が起こったのか分からないアルルカンは三人を見渡して頭をひねっている。
「お、おいペルソナ、何が書いてあったのか見せろ!!」
「ちょ、ちょっと待ってください」
がばっと勢いよくペルソナからメッセージカードを奪い取り、内容を確認するアルルカン。
そして全身が硬直したかのように止まっていると、突然、部屋から外へと飛び出そうと走り出した。
「認めない、この俺も告白の手紙を貰わなくては納得がいかない!!」
「アルルカンさま、逃がしませんよ!!」
素早くアルルカンを追いかけて走り出すジョーカー。
その数分後には、全身を黄色いPPバンドで拘束されたアルルカンが廊下で発見されることになる。
「それで、ペルソナは返事をどうするんだ?」
「返事とは……」
ブランシュに促されて、ペルソナもまた真っ赤な顔になってしまう。
そう、バレンタインデーの返事はホワイトデーに行う。
それが異世界の流儀であり、【型録通販のシャーリィ】でも、専用型録が用意されている徹底ぶりである。
「まあ、男なら、きっぱりと覚悟を決めるんだな。それとも、あの馬鹿兄貴にクリスティナを奪われていいのか?」
「それは断固としてお断りします……ま、まあ、まあ、まだひと月もありますから、じっくりと返事を考えることにしますよ」
「それが無難だな……さて、ハーブティーのお代わりが欲しいところだが……」
「私が淹れますよ。こう見えても、自信がありますから」
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アルルカンは、まあ、説教部屋へと連行されたそうで。
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