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第3章・神と精霊と、契約者と
第139話・新年祭はハッピーニューイヤーというそうです
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精霊界・精霊女王の王城では。
──イライライライラ
自室に閉じこもったアルルカンがベッドに横たわり、天井を睨みつけながら苛々を募らせている。
その理由は至極簡単で、祠の外に出られないから。
そう、彼は出られなかった。
元来、精霊界に住まうものたちは、精霊女王の許可なくしては勝手に出入りすることは許されていない。
まあ、一部の中級精霊や下級精霊、もしくは上位精霊種の眷属などは主人に召喚されて外に出ることができるし、精霊人と呼ばれている人々は普通に交易などでヘスティア王国へと行き来しているものは多い。
だが、王族となるとそう頻繁に許可を得ることができるわけではなく、ことアルルカンやペルソナ、そして末弟のジェスターなどは精霊界を自由に歩き回ることができても、精霊の祠を通って外に出ることなど許されていない。
唯一の抜け道は、【型録通販のシャーリィ】の配達人となり、担当の元へと赴くこと。
以前、ペルソナは『彼にとって大切な』顧客であるクリスティナ・フェイールを助けるためにこの禁忌を犯し、一部能力の封印などの罰を受けている。
それでも彼は配達人として復帰し、担当であるクリスティナの元に赴くことができた。
だが、同じ担当でも早朝便の責任者であるアルルカンには、最近は出番がない。
「クソっ……どうして俺は、あんな事を……」
………
……
…
数日前。
ペルソナが復帰する際に、精霊女王から伝えられた言葉。
それは、ペルソナは担当に戻り、新しく夕方便の配達人を設定しなくてはならないということ。
それについてはペルソナもアルルカンも依存はなかったのだが。
「よし、これでお前と俺、どっちがクリスティナの夫に相応しいか決着をつけられるな!!」
「相応しいとか、そういう目であの人を見るのはやめてもらいたい」
「ああ? なんだその腑抜けた台詞は。俺たちは王族で精霊界を総べる存在になるんだぞ? より強いもののもとに女は寄り添う、それが当然だろうが」
それは獣の理屈。
だが、ペルソナはそれをも否定する。
「心だ。大切なのは相手を思いやる心、そしてそれを守れるだけの強い意志。それがあるなら、力はそれほど重要じゃない」
「なんだぁ? そうか、お前は俺よりも腕っぷしが強くないから、そんなやわっちょろい言葉を吐けるのか……それなら」
アルルカンはニィッと笑い、玉座に座る母親である精霊女王に進言する。
「母上!! あの女の夕方の配達、それもペルソナにやらせてくれ。所詮は心とかいう目に見えないものを強いという軟弱な男、だったらハンデとして正式担当と夕方の配達はお前にやらせてやるよ!!」
この暴言とも言えるアルルカンの言葉に、さすがの精霊女王も頭を抱えたくなってしまう。
「はぁ……どこまでも……わかりました。では、アルルカンの言葉、それを踏まえてペルソナには通常通りにクリスティナ・フェイールの専属担当と、夕方の配送担当も兼務してもらいます。アルルカン、これはあなたからの申し出、後ほど不平不満を溢されても覆しませんので」
「大丈夫だ。あと一カ月、それでクリスティナは俺の前に屈服する。跪いて、俺に愛を求めてくるようになるからな!」
そう告げて高らかに笑いながら玉座の間から立ち去っていく。
「はぁ……本当に、あの自信はどこから出てくるのでしょうか。それに、最大の過ちを犯したことに、どうして気づかないのでしょうか」
ため息混じりに呟くシャーリィ。
「アルルカン兄さんは、基本的に悪い人ではないのですが。なんというか、自信過剰すぎてプライドが高く、それでいて要領が悪いと言いますか」
「全部ダメです。まあ、強さということについては認めますが、それを傘に着て修行をも疎かにしてしまうというのも……まあ、ペルソナも、アルルカンを見ていてください」
「畏まりました」
………
……
…
「まあ良い、堂々と宣言した以上、俺は俺の道を貫くまで……まあ、そろそろ我慢の限界が来て、あの女も俺に会いたくなっているだろうからなぁ。離れている時間が長いほど、愛は募っていくと勇者語録にも書いてあるからなぁ」
自分が苦手意識を持たれ、早朝便が使われなくなり始めたことにアルルカンは気がついていない。
「さて。あの女の声が掛かるまでは暇だから、遊びにでも行くとするか」
そもそも自信過剰であり、王子という立場から多くの精霊人の女性から好意を持たれているのは事実であるが、それは彼の財産や地位に惚れられているなどアルルカンは知らなかった。
「ま、この俺様はモテるからなぁ。甘い言葉を囁いて一晩肌を重ねるように声をかければ、断る女はいないからなぁ」
一晩の過ちにより子供を孕った場合。
その子は王族の子となり次期王妃の座を得られると画策している女性に付き纏わられているなど、アルルカンは知らなかった。
「さて、今日はどの花街に向かうかなぁ……どこの酒場も食堂も、それに娼館だって俺をいつでも歓迎してくれるからなぁ」
そもそも王族であり払いはいい。
それでいて煽てると調子に乗り、その場の全員の酒代を奢るほどの散財をやらかすため、飲食店にとっては上客であるなどアルルカンは知らなかった。
「さて、それじゃあ出かけるか……」
決して悪い人ではない。
プライドが高く煽てられると調子に乗りやすく、それでいて自信過剰で自分の考えが絶対であると常に考えている。
無理難題も力でねじ伏せれば全て解決できる『脳筋自信過剰』な王族の長男。
そしてその兄の背中を見て、常に間違いを是正するように頑張る次男のペルソナと、病弱で精霊宮の療養所から出られないジェスター。
次期精霊界を総べる王のことを考えると、今暫くは現役を続けるべきであるとシャーリィがこっそりと決意していたのは、いうまでもない。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
──港町サライ
静かな夜は昨日まで。
今日は、一年の最後の日。
夕方六つの鐘と同時に、過ぎ去りし一年との別れの祈りが始まります。
そして祈りが終わると、今年を送り出すためのパーティタイムが始まります。
そう、本日から年末年始キャンペーンが始まるのです!!
「福袋の販売は明日からでーす!! 本日は年末年始限定商品、皆様のパーティタイムを彩る豪華絢爛なオードブル、日持ちが良く箱詰めされた『お節料理』、その他各種お飲み物やお菓子などを販売しています!!」
「料理を希望の方はこちらへどうぞ!! 飲料は隣の露店へ、その他商品の購入は店長の元へどうぞ!!」
「本日限定、飲み物は一人10本までじゃ!! この日のために胃袋を鍛えた強者どもよ、ドワーフすら倒す一撃必殺の酒もあるぞ!!」
ケイトさんやマキさん、そしてクリムゾンさんもそれぞれの露店を切り盛りしています。
本日からは、フェイール商店の露店数は三つに増加、これより一月三日までは限定商品の販売を行いますし、明日はいよいよ福袋の販売です。
これより各員一丸となって……と言いたいのですが、やはり手が足りません。
マキさんとケイトさんは二人一組でお節料理とオードブルの担当、クリムゾンさんは単独で飲み物担当ですけれど。
それ以外の商品、特にお菓子とか装飾品、日用雑貨は私の担当なのです。
「シャンプーとか言う洗髪石鹸を下さるかしら? あとは肌を磨く軟膏も」
「すまない、このクッキーとか言うやつはまだあるか?」
「故郷の仲間たちに買って帰りたいんだが、ジャージとか言う伸び縮みする衣服は今日は販売していないのか?」
「申し訳ありません……年始四日からの販売ですので」
次々とやってくるお客さま、これはいけませんピンチです。
このままですと、あまりの忙しさに狂気に陥ってしまいますと勇者語録にも記されていました。
狂気はすなわちサンチとかいうそうで、ピンチになるとサンチが下がってゼロになると花になるそうです。
異世界、なんて恐ろしい。
「ゴホン。クリスティナさま、それはサンチピンチという歌がありますが、そのような意味ではなかったかと思いますよ?」
んんん?
この、久しぶりの私の心の声に向かってのツッコミ。
そしてこの声。
思わず後ろを振り向きますと、そこにはノワールさんが立っていました。
「遅くなって申し訳ございません。神黒竜ノワール、修行を終えて再びクリスティナさまの護衛に復帰します。なお、ブランシュはとある事情によりヘスティア王国へ向かいましたので、しばらくは私とクリムゾンの二人で護衛を行います」
──ブワッ!!
涙が溢れてきました。
「わ、わた、わたじ……」
「はいはい。まずは接客を続けましょう。私が前に出ますので、クリスティナさまは商品のお渡しをお願いします」
「はい!!」
ノワールさんの復帰で私が泣いた!!
涙はハンカチで拭いておきます。
──イライライライラ
自室に閉じこもったアルルカンがベッドに横たわり、天井を睨みつけながら苛々を募らせている。
その理由は至極簡単で、祠の外に出られないから。
そう、彼は出られなかった。
元来、精霊界に住まうものたちは、精霊女王の許可なくしては勝手に出入りすることは許されていない。
まあ、一部の中級精霊や下級精霊、もしくは上位精霊種の眷属などは主人に召喚されて外に出ることができるし、精霊人と呼ばれている人々は普通に交易などでヘスティア王国へと行き来しているものは多い。
だが、王族となるとそう頻繁に許可を得ることができるわけではなく、ことアルルカンやペルソナ、そして末弟のジェスターなどは精霊界を自由に歩き回ることができても、精霊の祠を通って外に出ることなど許されていない。
唯一の抜け道は、【型録通販のシャーリィ】の配達人となり、担当の元へと赴くこと。
以前、ペルソナは『彼にとって大切な』顧客であるクリスティナ・フェイールを助けるためにこの禁忌を犯し、一部能力の封印などの罰を受けている。
それでも彼は配達人として復帰し、担当であるクリスティナの元に赴くことができた。
だが、同じ担当でも早朝便の責任者であるアルルカンには、最近は出番がない。
「クソっ……どうして俺は、あんな事を……」
………
……
…
数日前。
ペルソナが復帰する際に、精霊女王から伝えられた言葉。
それは、ペルソナは担当に戻り、新しく夕方便の配達人を設定しなくてはならないということ。
それについてはペルソナもアルルカンも依存はなかったのだが。
「よし、これでお前と俺、どっちがクリスティナの夫に相応しいか決着をつけられるな!!」
「相応しいとか、そういう目であの人を見るのはやめてもらいたい」
「ああ? なんだその腑抜けた台詞は。俺たちは王族で精霊界を総べる存在になるんだぞ? より強いもののもとに女は寄り添う、それが当然だろうが」
それは獣の理屈。
だが、ペルソナはそれをも否定する。
「心だ。大切なのは相手を思いやる心、そしてそれを守れるだけの強い意志。それがあるなら、力はそれほど重要じゃない」
「なんだぁ? そうか、お前は俺よりも腕っぷしが強くないから、そんなやわっちょろい言葉を吐けるのか……それなら」
アルルカンはニィッと笑い、玉座に座る母親である精霊女王に進言する。
「母上!! あの女の夕方の配達、それもペルソナにやらせてくれ。所詮は心とかいう目に見えないものを強いという軟弱な男、だったらハンデとして正式担当と夕方の配達はお前にやらせてやるよ!!」
この暴言とも言えるアルルカンの言葉に、さすがの精霊女王も頭を抱えたくなってしまう。
「はぁ……どこまでも……わかりました。では、アルルカンの言葉、それを踏まえてペルソナには通常通りにクリスティナ・フェイールの専属担当と、夕方の配送担当も兼務してもらいます。アルルカン、これはあなたからの申し出、後ほど不平不満を溢されても覆しませんので」
「大丈夫だ。あと一カ月、それでクリスティナは俺の前に屈服する。跪いて、俺に愛を求めてくるようになるからな!」
そう告げて高らかに笑いながら玉座の間から立ち去っていく。
「はぁ……本当に、あの自信はどこから出てくるのでしょうか。それに、最大の過ちを犯したことに、どうして気づかないのでしょうか」
ため息混じりに呟くシャーリィ。
「アルルカン兄さんは、基本的に悪い人ではないのですが。なんというか、自信過剰すぎてプライドが高く、それでいて要領が悪いと言いますか」
「全部ダメです。まあ、強さということについては認めますが、それを傘に着て修行をも疎かにしてしまうというのも……まあ、ペルソナも、アルルカンを見ていてください」
「畏まりました」
………
……
…
「まあ良い、堂々と宣言した以上、俺は俺の道を貫くまで……まあ、そろそろ我慢の限界が来て、あの女も俺に会いたくなっているだろうからなぁ。離れている時間が長いほど、愛は募っていくと勇者語録にも書いてあるからなぁ」
自分が苦手意識を持たれ、早朝便が使われなくなり始めたことにアルルカンは気がついていない。
「さて。あの女の声が掛かるまでは暇だから、遊びにでも行くとするか」
そもそも自信過剰であり、王子という立場から多くの精霊人の女性から好意を持たれているのは事実であるが、それは彼の財産や地位に惚れられているなどアルルカンは知らなかった。
「ま、この俺様はモテるからなぁ。甘い言葉を囁いて一晩肌を重ねるように声をかければ、断る女はいないからなぁ」
一晩の過ちにより子供を孕った場合。
その子は王族の子となり次期王妃の座を得られると画策している女性に付き纏わられているなど、アルルカンは知らなかった。
「さて、今日はどの花街に向かうかなぁ……どこの酒場も食堂も、それに娼館だって俺をいつでも歓迎してくれるからなぁ」
そもそも王族であり払いはいい。
それでいて煽てると調子に乗り、その場の全員の酒代を奢るほどの散財をやらかすため、飲食店にとっては上客であるなどアルルカンは知らなかった。
「さて、それじゃあ出かけるか……」
決して悪い人ではない。
プライドが高く煽てられると調子に乗りやすく、それでいて自信過剰で自分の考えが絶対であると常に考えている。
無理難題も力でねじ伏せれば全て解決できる『脳筋自信過剰』な王族の長男。
そしてその兄の背中を見て、常に間違いを是正するように頑張る次男のペルソナと、病弱で精霊宮の療養所から出られないジェスター。
次期精霊界を総べる王のことを考えると、今暫くは現役を続けるべきであるとシャーリィがこっそりと決意していたのは、いうまでもない。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
──港町サライ
静かな夜は昨日まで。
今日は、一年の最後の日。
夕方六つの鐘と同時に、過ぎ去りし一年との別れの祈りが始まります。
そして祈りが終わると、今年を送り出すためのパーティタイムが始まります。
そう、本日から年末年始キャンペーンが始まるのです!!
「福袋の販売は明日からでーす!! 本日は年末年始限定商品、皆様のパーティタイムを彩る豪華絢爛なオードブル、日持ちが良く箱詰めされた『お節料理』、その他各種お飲み物やお菓子などを販売しています!!」
「料理を希望の方はこちらへどうぞ!! 飲料は隣の露店へ、その他商品の購入は店長の元へどうぞ!!」
「本日限定、飲み物は一人10本までじゃ!! この日のために胃袋を鍛えた強者どもよ、ドワーフすら倒す一撃必殺の酒もあるぞ!!」
ケイトさんやマキさん、そしてクリムゾンさんもそれぞれの露店を切り盛りしています。
本日からは、フェイール商店の露店数は三つに増加、これより一月三日までは限定商品の販売を行いますし、明日はいよいよ福袋の販売です。
これより各員一丸となって……と言いたいのですが、やはり手が足りません。
マキさんとケイトさんは二人一組でお節料理とオードブルの担当、クリムゾンさんは単独で飲み物担当ですけれど。
それ以外の商品、特にお菓子とか装飾品、日用雑貨は私の担当なのです。
「シャンプーとか言う洗髪石鹸を下さるかしら? あとは肌を磨く軟膏も」
「すまない、このクッキーとか言うやつはまだあるか?」
「故郷の仲間たちに買って帰りたいんだが、ジャージとか言う伸び縮みする衣服は今日は販売していないのか?」
「申し訳ありません……年始四日からの販売ですので」
次々とやってくるお客さま、これはいけませんピンチです。
このままですと、あまりの忙しさに狂気に陥ってしまいますと勇者語録にも記されていました。
狂気はすなわちサンチとかいうそうで、ピンチになるとサンチが下がってゼロになると花になるそうです。
異世界、なんて恐ろしい。
「ゴホン。クリスティナさま、それはサンチピンチという歌がありますが、そのような意味ではなかったかと思いますよ?」
んんん?
この、久しぶりの私の心の声に向かってのツッコミ。
そしてこの声。
思わず後ろを振り向きますと、そこにはノワールさんが立っていました。
「遅くなって申し訳ございません。神黒竜ノワール、修行を終えて再びクリスティナさまの護衛に復帰します。なお、ブランシュはとある事情によりヘスティア王国へ向かいましたので、しばらくは私とクリムゾンの二人で護衛を行います」
──ブワッ!!
涙が溢れてきました。
「わ、わた、わたじ……」
「はいはい。まずは接客を続けましょう。私が前に出ますので、クリスティナさまは商品のお渡しをお願いします」
「はい!!」
ノワールさんの復帰で私が泣いた!!
涙はハンカチで拭いておきます。
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