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第3章・神と精霊と、契約者と
第121話・貴族の血、エルフの血、そして勇者の血
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ニッコリと微笑むイオ・ジュピトリア。
カマンベール王国の伯爵家の長男にして、クリスティナ・フェイールの夫と自称する優男。
今いる場所が、港町サライの宿屋の食堂ではなく王都の一流レストランなどであったならば、彼はいかなる女性をも口説き落とす自信があったであろう。
カマンベール王国でも、ジュピトリア家は五大侯爵家に連なる血統を持ち、次期侯爵家とも呼ばれるほどの家柄でありながら、次期当主から最も遠いと言われている。
何故、彼は家を継げないのか。
その理由は簡単で、ジュピトリア家の家訓にある『第一夫人はエルフの血統であること』に起因する。
実は、イオは妻帯者である。
イオの妻は普通の人間、それもカマンベール王国よりも北方のノーザンライト公国の貴族。
第二夫人はカマンベール王国の庶民であり、第三夫人は狼士族の獣人。
それぞれの間に子供も設けてあり、全てを親しく愛する男。
それゆえに、彼のことを悪くいう男たちと、彼のことをよくいう女性たちの間では評価が大きく異なっている。
貴族ではない人々にとっては、身分や種族に関係なく愛を告げ、そして全てを等しく愛してくれるイオの存在はまさに希望であるのだが、悪くいうと女癖が悪い……ジュピトリア家には、イオを筆頭に正統な直系の後継だけでも50を越える。
そのすべての子どもたちが、ジュピトリア家を継ぐべく日夜、努力と暗躍を続けているのに対して、イオはそんな相続争いには加担せず、持ち前の美貌と商才のみで家族を養っているという。
「……とまぁ、今話したのがこいつ、イオ・ジュピトリアの話だし。そういう事なので、女癖が悪くて気に入った子にはすぐに手を出すナンパ野郎だし」
「う~ん。否定できないのが辛いなぁ」
うわ、そこは否定してみるものですよね。
「あの、その家訓の『第一夫人はエルフ』ですが、どうしてなのです?」
「それは簡単さ。そもそも我がジュピトリア家は、初代勇者様の仲間である大賢者カナン・アーレストさまの息子の血筋にあたるのでね。アーレスト家二代目当主様であるブライト・アーレストさまの息子のジュード・アーレストさまはカマンベール王国の侯爵家に婿入りしたのがきっかけで」
そのまま話を聞いていますと、ジュード様というご先祖様が勇者様の血筋を欲した隣国に婿入りした際、初代様の言葉である『精霊の加護を持つものが後継となる』という部分を家訓として制定し、代々、当主様はエルフの女性を妻に迎え入れていたそうです。
まあ、カマンベール王国は人種差別のない国家と言われていますし、エルフの森もあちこちに点在していますから。
「……という事。これで、君が僕の妻になる理由はわかっただろう?」
「はい、さっぱりわかりませんわ。貴方が長男で、家を継ぐために君の血筋が欲しい、そういうのなら理由はわかりますがお断りします。でも、今の話では、貴方は私の血筋が欲しいのではありませんよね?」
「当然。僕が欲しいのは、君の持つ神の加護。そして、異世界の商品を入手できるというコネだよ。そろそろ事業を拡大したくてね、君の力が必要なんだ。これで、わかってくれただろう?」
──ピッ……。
ニッコリと笑って手を差し伸べてきます。
この手、ちょんぎって宜しいですか?
そもそも、私が欲しいのではなく。私の加護とコネが欲しいなどと堂々と言ってくるとは……どういう神経をしているのでしょうか?
そのようなことを言われて、はい、わかりました嫁ぎますなんていう女性がいるはずはないです。
「イオっていったよね。あーしが国王様から聞いた、カマンベール王国へクリスっちを嫁がせるっていう話、ジュピトリア家なの?」
「ノンノンノンノン」
人差し指を立てて左右に振るイオ。
その、『君は何も知らないんだね』っていう笑顔に何かむかついてきました。
「クリスティナ君を妻に迎えたいというのは、恐らくはアクシア家だね。あそこは東のアーレストと同じように商売、特に隣国との貿易で材を為していた家系だけど、ここ最近はその貿易での収入が減っていたらしくてね……そう、その理由がつまり、フェイール商店なの、さ!!」
あの、くるくると回りながら説明しなくても構いません。
できるなら静かに、普通に話してくれると助かるのですが。
──ピッ……魅了効果に抵抗しました。
ん? 何か聞こえたような。
さっきも何か聞こえましたよね?
「さて、その程度の魅了効果など、クリスティナさまには効果を発揮しないが?」
「魅了? それはなんのことだい?」
「クリムゾンっち……ん、長いから紅っち、あーしが鑑定する!!」
素早く術式を組み上げ、魔法を発動する柚月さん。
でも、イオさんは涼しげな顔で、柚月さんを見つめている。
「綺麗な女性が魔法を使うなんて、すごいね……君も、僕の妻にならないかい?」
「お断りだし……って、うわぁ……」
柚月さんが何かを見たのか、いきなり後ろに下がり始めた。
「え、柚月さん、何があったのですか?」
「こ、このイオって奴、『愛欲神ノクターンの加護』を持っているし。しかもナチュラルに『魅了効果が普段から溢れているし」
「ああ、僕の加護のことだね? 僕はね、すべての女性には幸せになって欲しいから、神様に頼んですべての女性が僕の虜になるようにお願いしたんだよ」
「虜になるのと幸せになるのって、同じではありませんよね?」
「ノンノンノンノン」
ま、また指を立てて、流し目で私に笑顔を振り撒くなんて。
──ピッ……魅了効果に対抗しました
「僕と一緒になれるのが、幸せだからさ。まあ、これ以上無理なことを話しても、君には嫌われてしまう。ここは素直に引くとするよ。それじゃあ愛しいハニーたち、またどこかでお会いしよう」
──チュッ
最後は投げキッスですよ。
うわ、鳥肌が立ってきました。
「……おおう。ここまで凄い人に会ったのは初めてだし。でも、クリスっちもあーしも魅了されていないし、セーフ」
「せ、セーフです。あの、クリムゾンさん、護衛のお勤め……」
「ん~。あやつ、本心から動かれているから、敵対対象として反応しないのじゃよ。あやつの口から出た言葉はすべて本心であり、純粋にクリスティナ嬢を幸せにできると信じ、口説いていたからのう」
「「うわぁ……」」
はい、もうこの話は辞めましょう!!
さあ、楽しいクリスマスパーティーの続きです。
「おや、君の瞳に映っているのは僕だね。どうやら、君は僕に恋したようだよ。隣の席、いいかな?」
はいはい、カウンター席の方から何か聞こえてきましたけど、何も聞こえません!!
「……久しぶりに濃すぎて困ったし」
「全くですよ。それよりも柚月さん、その、国王がどうとか、隣国へ嫁ぐのがどうとか、説明してくれます?」
「オッケー。順番に話そうとしていたんだけれど、あいつが混ざってきて困っていたし。実はね……」
と、柚月さんが私の婚姻についての説明をしてくれました。
ほほう、国王様と宰相様は、私の幸せのために隣国の伯爵家に嫁がせる話を進めていたと?
確かに今の私はアーレスト家をとは縁もゆかりもない存在ですから、父に確認しなくてもいいと考えましたか。
まあ、その辺りの確認事項はどうでもいいのです、私に許可なく婚姻話を進めるなんて……そ、そして、それを断るための言い訳が、お、おも、思い人がいるって誰ですか、紀伊國屋さんが話したのですか、次の発注の個数は減らしますから覚悟して貰いますよ!!
「……なるほど。それで、私に思い人がいる場合は、婚姻は取り消しということで話がついたので、今頃は先方に断りを入れているということですね。王家への納品についても、少し量を減らす方向でいきましょう」
「そうなると思ったし、それで、あーしはクリスっちの思い人を調べるっていう名目で、護衛兼遊び人として合流したし」
「すべてつながりました。では、柚月さん経由で、武田さんと緒方さんにも贈り物をしておきましょう。私も本当なら、契約の精霊について調べたかったので……えーっと、ブルースリーです」
「タイムリーだし!」
そう、それ。
そのなんとかリーさんです。
「さて、難しい話が終わったあたりで、酒が切れたのじゃが」
小さい瓶が空になり、中を覗き込んでいるクリムゾンさん。
「はい、それじゃあ今日だけは追加ですよ」
「助かるのう」
「でも、酔っ払って護衛が疎かにならないように気をつけるし」
「心配せんでも、そこまで酔っておらんから安心せい」
「心配だし」
うん、久しぶりに楽しいひと時が過ごせてますね。
今日は聖なる夜。
みなさんにも、この幸せなひとときが少しでも届きますように。
カマンベール王国の伯爵家の長男にして、クリスティナ・フェイールの夫と自称する優男。
今いる場所が、港町サライの宿屋の食堂ではなく王都の一流レストランなどであったならば、彼はいかなる女性をも口説き落とす自信があったであろう。
カマンベール王国でも、ジュピトリア家は五大侯爵家に連なる血統を持ち、次期侯爵家とも呼ばれるほどの家柄でありながら、次期当主から最も遠いと言われている。
何故、彼は家を継げないのか。
その理由は簡単で、ジュピトリア家の家訓にある『第一夫人はエルフの血統であること』に起因する。
実は、イオは妻帯者である。
イオの妻は普通の人間、それもカマンベール王国よりも北方のノーザンライト公国の貴族。
第二夫人はカマンベール王国の庶民であり、第三夫人は狼士族の獣人。
それぞれの間に子供も設けてあり、全てを親しく愛する男。
それゆえに、彼のことを悪くいう男たちと、彼のことをよくいう女性たちの間では評価が大きく異なっている。
貴族ではない人々にとっては、身分や種族に関係なく愛を告げ、そして全てを等しく愛してくれるイオの存在はまさに希望であるのだが、悪くいうと女癖が悪い……ジュピトリア家には、イオを筆頭に正統な直系の後継だけでも50を越える。
そのすべての子どもたちが、ジュピトリア家を継ぐべく日夜、努力と暗躍を続けているのに対して、イオはそんな相続争いには加担せず、持ち前の美貌と商才のみで家族を養っているという。
「……とまぁ、今話したのがこいつ、イオ・ジュピトリアの話だし。そういう事なので、女癖が悪くて気に入った子にはすぐに手を出すナンパ野郎だし」
「う~ん。否定できないのが辛いなぁ」
うわ、そこは否定してみるものですよね。
「あの、その家訓の『第一夫人はエルフ』ですが、どうしてなのです?」
「それは簡単さ。そもそも我がジュピトリア家は、初代勇者様の仲間である大賢者カナン・アーレストさまの息子の血筋にあたるのでね。アーレスト家二代目当主様であるブライト・アーレストさまの息子のジュード・アーレストさまはカマンベール王国の侯爵家に婿入りしたのがきっかけで」
そのまま話を聞いていますと、ジュード様というご先祖様が勇者様の血筋を欲した隣国に婿入りした際、初代様の言葉である『精霊の加護を持つものが後継となる』という部分を家訓として制定し、代々、当主様はエルフの女性を妻に迎え入れていたそうです。
まあ、カマンベール王国は人種差別のない国家と言われていますし、エルフの森もあちこちに点在していますから。
「……という事。これで、君が僕の妻になる理由はわかっただろう?」
「はい、さっぱりわかりませんわ。貴方が長男で、家を継ぐために君の血筋が欲しい、そういうのなら理由はわかりますがお断りします。でも、今の話では、貴方は私の血筋が欲しいのではありませんよね?」
「当然。僕が欲しいのは、君の持つ神の加護。そして、異世界の商品を入手できるというコネだよ。そろそろ事業を拡大したくてね、君の力が必要なんだ。これで、わかってくれただろう?」
──ピッ……。
ニッコリと笑って手を差し伸べてきます。
この手、ちょんぎって宜しいですか?
そもそも、私が欲しいのではなく。私の加護とコネが欲しいなどと堂々と言ってくるとは……どういう神経をしているのでしょうか?
そのようなことを言われて、はい、わかりました嫁ぎますなんていう女性がいるはずはないです。
「イオっていったよね。あーしが国王様から聞いた、カマンベール王国へクリスっちを嫁がせるっていう話、ジュピトリア家なの?」
「ノンノンノンノン」
人差し指を立てて左右に振るイオ。
その、『君は何も知らないんだね』っていう笑顔に何かむかついてきました。
「クリスティナ君を妻に迎えたいというのは、恐らくはアクシア家だね。あそこは東のアーレストと同じように商売、特に隣国との貿易で材を為していた家系だけど、ここ最近はその貿易での収入が減っていたらしくてね……そう、その理由がつまり、フェイール商店なの、さ!!」
あの、くるくると回りながら説明しなくても構いません。
できるなら静かに、普通に話してくれると助かるのですが。
──ピッ……魅了効果に抵抗しました。
ん? 何か聞こえたような。
さっきも何か聞こえましたよね?
「さて、その程度の魅了効果など、クリスティナさまには効果を発揮しないが?」
「魅了? それはなんのことだい?」
「クリムゾンっち……ん、長いから紅っち、あーしが鑑定する!!」
素早く術式を組み上げ、魔法を発動する柚月さん。
でも、イオさんは涼しげな顔で、柚月さんを見つめている。
「綺麗な女性が魔法を使うなんて、すごいね……君も、僕の妻にならないかい?」
「お断りだし……って、うわぁ……」
柚月さんが何かを見たのか、いきなり後ろに下がり始めた。
「え、柚月さん、何があったのですか?」
「こ、このイオって奴、『愛欲神ノクターンの加護』を持っているし。しかもナチュラルに『魅了効果が普段から溢れているし」
「ああ、僕の加護のことだね? 僕はね、すべての女性には幸せになって欲しいから、神様に頼んですべての女性が僕の虜になるようにお願いしたんだよ」
「虜になるのと幸せになるのって、同じではありませんよね?」
「ノンノンノンノン」
ま、また指を立てて、流し目で私に笑顔を振り撒くなんて。
──ピッ……魅了効果に対抗しました
「僕と一緒になれるのが、幸せだからさ。まあ、これ以上無理なことを話しても、君には嫌われてしまう。ここは素直に引くとするよ。それじゃあ愛しいハニーたち、またどこかでお会いしよう」
──チュッ
最後は投げキッスですよ。
うわ、鳥肌が立ってきました。
「……おおう。ここまで凄い人に会ったのは初めてだし。でも、クリスっちもあーしも魅了されていないし、セーフ」
「せ、セーフです。あの、クリムゾンさん、護衛のお勤め……」
「ん~。あやつ、本心から動かれているから、敵対対象として反応しないのじゃよ。あやつの口から出た言葉はすべて本心であり、純粋にクリスティナ嬢を幸せにできると信じ、口説いていたからのう」
「「うわぁ……」」
はい、もうこの話は辞めましょう!!
さあ、楽しいクリスマスパーティーの続きです。
「おや、君の瞳に映っているのは僕だね。どうやら、君は僕に恋したようだよ。隣の席、いいかな?」
はいはい、カウンター席の方から何か聞こえてきましたけど、何も聞こえません!!
「……久しぶりに濃すぎて困ったし」
「全くですよ。それよりも柚月さん、その、国王がどうとか、隣国へ嫁ぐのがどうとか、説明してくれます?」
「オッケー。順番に話そうとしていたんだけれど、あいつが混ざってきて困っていたし。実はね……」
と、柚月さんが私の婚姻についての説明をしてくれました。
ほほう、国王様と宰相様は、私の幸せのために隣国の伯爵家に嫁がせる話を進めていたと?
確かに今の私はアーレスト家をとは縁もゆかりもない存在ですから、父に確認しなくてもいいと考えましたか。
まあ、その辺りの確認事項はどうでもいいのです、私に許可なく婚姻話を進めるなんて……そ、そして、それを断るための言い訳が、お、おも、思い人がいるって誰ですか、紀伊國屋さんが話したのですか、次の発注の個数は減らしますから覚悟して貰いますよ!!
「……なるほど。それで、私に思い人がいる場合は、婚姻は取り消しということで話がついたので、今頃は先方に断りを入れているということですね。王家への納品についても、少し量を減らす方向でいきましょう」
「そうなると思ったし、それで、あーしはクリスっちの思い人を調べるっていう名目で、護衛兼遊び人として合流したし」
「すべてつながりました。では、柚月さん経由で、武田さんと緒方さんにも贈り物をしておきましょう。私も本当なら、契約の精霊について調べたかったので……えーっと、ブルースリーです」
「タイムリーだし!」
そう、それ。
そのなんとかリーさんです。
「さて、難しい話が終わったあたりで、酒が切れたのじゃが」
小さい瓶が空になり、中を覗き込んでいるクリムゾンさん。
「はい、それじゃあ今日だけは追加ですよ」
「助かるのう」
「でも、酔っ払って護衛が疎かにならないように気をつけるし」
「心配せんでも、そこまで酔っておらんから安心せい」
「心配だし」
うん、久しぶりに楽しいひと時が過ごせてますね。
今日は聖なる夜。
みなさんにも、この幸せなひとときが少しでも届きますように。
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