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第3章・神と精霊と、契約者と
第118話・クリスティナの知らない世界
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クリスティナがリバイアスの策謀によりさらわれた翌日。
ハーバリオス王都・王城謁見の間では、帰還した緒方ら勇者たちの報告が行われている最中であった。
すでに前触れとして伝令兵は到着しているし、聖域の防衛に参加していた騎士たちも凱旋を果たしている。
メメント大森林は大賢者・武田による守護結界により魔族が侵攻することができなくなり、長年続いていた魔族の侵攻とそれを阻止するハーバリオス騎士団の戦いにも終止符が打たれていたのである。
その最中、敵指揮官の呪いにより柚月と武田が魔力枯渇症に侵されてしまい、それを解呪するために勇者ら四人は魔族を追いかけ、隣国との国境である霊峰を越えて西方諸国へと向かった。
それから様々なことがあり、二人の呪いも解呪することができたので、遅れながら勇者たち四人もようやく王都への凱旋が行われた。
「……ということです。これにて、私たちの任務であった聖域の守護及びメメント大森林の奪還は成されました」
紀伊國屋が代表として報告を行うと、国王も歓喜の笑みを浮かべて立ち上がった。
「よくぞ、無事に戻って来てくれた……当初の約定により、送還の魔法陣の魔力が集まり次第、貴公らを元の世界へと送り返すことを、改めてこの場で約束させて貰う。それと、此度の魔族の侵攻の陰で、四天王の一人が放った罠によりわが国に封じてあった宝剣が破壊された……」
その説明のあと、宰相自らが箱に収められていた宝剣を手に、国王の元へとやってくる。
それを受け取り、改めて両手で鞘を持ち上げてから国王はそれを紀伊國屋たちに差し出した。
「一刻も早く、封じの間にで儀式を行わなくてはならない。これは失われた宝剣の代わりに用意した新たな剣。これを勇者が封じの台座に収めることで、我が国を守護する精霊の結界は再び力を取り戻すことができようぞ」
「わかりました。では、緒方さん、その剣を受け取ってください。そして先に封じの間にで儀式を執り行います」
「……俺?」
「勇者はお前だろうが。一刻も早く、儀式を行うぞ」
そのまま緒方は紀伊國屋の剣幕に負けて封じの間に向かい、宝剣を台座に収めて儀式を終わらせる。
これにより、ハーバリオスには新たな魔除けの結界が発生し、魔族が領土内へと侵入するのを防ぐことができた……。
………
……
…
その夜には勇者の四人を交えての祝賀会が行われる。
いつもの堅苦しいテーブル料理ではなく、幾つもの円卓を用意しての立食形式のパーティで行われたのだが、その場にて国王は勇者たちに相談を持ちかけていた。
「実は、勇者殿に商品を納入しているフェイール商店のことで、相談があるのだが」
「……ん? それってクリスっちのことだし?」
「クリスっち? ああ、クリスティナ嬢のことだ。実は、頼みというのはだ、彼女に課せられた『契約の精霊』による王都払いの約束、それを反故にして欲しくて相談させて貰った。正確には、約束自体を無かったことにしたい」
契約の精霊を通しての約束は絶対。
それを破ることは不可能であり、故意に破った場合は死にも匹敵する罰が与えられる。
それゆえに、クリスティナは第一城砦から内部へと入ることすらできなかったのである。
そのことをシャトレーゼ伯爵から報告され、国王としても国を救った商人である彼女の恩義に報いたいと考え、このような相談を持ちかけていた。
「流石に、契約の精霊との約束は解除不可能ですよ。それに、解除してからどうするのですか?」
「実は、彼女に爵位を授与しなくてはならない。此度の宝剣は、実はクリスティナ嬢が命を賭けて西方諸国にあるドワーフの王国へ向かい、そこで初代国王であり伝説の鍛治師でもあるカネック王自らに打ち上げて貰ったのである。それを迅速に持ち帰り、王都近くまで届けてくれたのだ……」
「実は、あと数日もすれば全ての守護結界が消滅していたかもしれないのです。そうなると、魔族は西方メメント大森林ではなく、北西のシューゾマツ山脈を越えて侵攻していたかもしれない。あの山脈は活性化した竜族のナワバリでもあるのだが、魔族には竜を使役する魔術に長けたものもあると聞きます」
国王の言葉に宰相も補足を加えるのだが。
この宝剣の話については、柚月たちもクリスティナから直接聞いているので、頷くことしかしなかった。
「それで、彼女に爵位を与えてどうするのですか?」
「実はな……西方のカマンベール王国のとある伯爵家が、クリスティナとの婚姻を求めて来ている。だが、先方としても庶民と伯爵家となると格式が違いすぎるので、どうにか彼女に爵位をという話が来ていてな……まあ、クリスティナ嬢も勇者御用達という看板を背負った商人ではあるが、あと数ヶ月もすれば勇者さまたちは日本へと帰還するではないか」
「そのあとは、彼女にも幸せになって欲しいというのが国王陛下のお考えですが。これについては問題はないかと思います。すでにクリスティナ嬢に課せられた『契約の精霊』の楔が外れたなら、彼女は子爵へと叙爵することで貴族院とも話を進めていますので」
どう聞いても、裏で何か高度な政治的取り決めがありそうにしか見えない。
「でも、多分だけどクリスっちはそれを断るし。彼女の幸せを考えるのなら、王都へ自由に出入りすることができるようにする、そこまでで構わないと思うし」
「そうですね。それに、彼女には思いびともいらっしゃるかと思います。そのような事実があるにも関わらず、政治的な取り決めで彼女の婚姻を決めるのは問題があるのでは?」
柚月と紀伊國屋が国王に問いかけるが、これには国王も渋い顔をしている。
「うむむ、いや、確かにそうなのだが……ちなみに、その、思い人とは?」
「それは内緒だし。ちなみに返しだけど、クリスっちが好きな人がいて、その婚姻を断ったら?」
「その時は、速やかにカマンベール王国に断りの書状を送るが。いくらわしても、国王の立場を振り翳して思い合った恋人の仲を割くようなまねはせん。そうなると、その事実も確認せねばならないし……」
そう呟くと、柚月は小さく手を上げる。
「それなら、あーしがクリスっちのところに行って、しばらく一緒に活動してくるし。その中で、彼女から思い他人の話も聞き出せるし。紀伊國屋っちたちは、契約の精霊のことを任せるし」
「うわ、きったねぇ。そんなこと言って、日本製品独り占めする気だろ?」
「……柚月さん、転送の術式を教えますので、僕たちが欲しいものを手紙でそちらに届けます。それで買って来て送ってくれるのなら、こっちの仕事は僕たちが引き受けますよ?」
武田の提案に、紀伊國屋も腕を組んで考える。
「そうなりますと、柚月さん一人というのは些か不安。この私もご一緒しましょうか」
「紀伊國屋っちの目的は、ノワールさんだし。だから、あーし一人で間に合うから問題ないし」
「な、な?な?な、な、な、な、なにを突然、そのようなことを」
真っ赤な顔で、少し下がったメガネをぐいっとあげる紀伊國屋。
そのようなやり取りを、国王は少しだけ微笑ましく思って見ていた。
「では、大魔導師・柚月よ。クリスティナ・フェイールの元へ赴き、彼女の動向を調べてくるが良い。勇者・緒方と聖者・紀伊國屋、大賢者・武田には契約の精霊との契約解除についての調査を依頼する」
威厳のある声で、そう四人に命じる国王。
これには四人も素直に頭を下げて、任務を引き受けることになった。
もっとも、魔族討伐とかのような殺伐とした任務でもなく、かといって期限が限られた任務でもない。
これ以上、勇者たちにこの世界での魔族との戦争に巻き込む必要はないという国王の配慮でもあるのだが、果たして先方カマンベール王国の伯爵家は、どのような反応を示すのだろうか。
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「……ということです。これにて、私たちの任務であった聖域の守護及びメメント大森林の奪還は成されました」
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「よくぞ、無事に戻って来てくれた……当初の約定により、送還の魔法陣の魔力が集まり次第、貴公らを元の世界へと送り返すことを、改めてこの場で約束させて貰う。それと、此度の魔族の侵攻の陰で、四天王の一人が放った罠によりわが国に封じてあった宝剣が破壊された……」
その説明のあと、宰相自らが箱に収められていた宝剣を手に、国王の元へとやってくる。
それを受け取り、改めて両手で鞘を持ち上げてから国王はそれを紀伊國屋たちに差し出した。
「一刻も早く、封じの間にで儀式を行わなくてはならない。これは失われた宝剣の代わりに用意した新たな剣。これを勇者が封じの台座に収めることで、我が国を守護する精霊の結界は再び力を取り戻すことができようぞ」
「わかりました。では、緒方さん、その剣を受け取ってください。そして先に封じの間にで儀式を執り行います」
「……俺?」
「勇者はお前だろうが。一刻も早く、儀式を行うぞ」
そのまま緒方は紀伊國屋の剣幕に負けて封じの間に向かい、宝剣を台座に収めて儀式を終わらせる。
これにより、ハーバリオスには新たな魔除けの結界が発生し、魔族が領土内へと侵入するのを防ぐことができた……。
………
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その夜には勇者の四人を交えての祝賀会が行われる。
いつもの堅苦しいテーブル料理ではなく、幾つもの円卓を用意しての立食形式のパーティで行われたのだが、その場にて国王は勇者たちに相談を持ちかけていた。
「実は、勇者殿に商品を納入しているフェイール商店のことで、相談があるのだが」
「……ん? それってクリスっちのことだし?」
「クリスっち? ああ、クリスティナ嬢のことだ。実は、頼みというのはだ、彼女に課せられた『契約の精霊』による王都払いの約束、それを反故にして欲しくて相談させて貰った。正確には、約束自体を無かったことにしたい」
契約の精霊を通しての約束は絶対。
それを破ることは不可能であり、故意に破った場合は死にも匹敵する罰が与えられる。
それゆえに、クリスティナは第一城砦から内部へと入ることすらできなかったのである。
そのことをシャトレーゼ伯爵から報告され、国王としても国を救った商人である彼女の恩義に報いたいと考え、このような相談を持ちかけていた。
「流石に、契約の精霊との約束は解除不可能ですよ。それに、解除してからどうするのですか?」
「実は、彼女に爵位を授与しなくてはならない。此度の宝剣は、実はクリスティナ嬢が命を賭けて西方諸国にあるドワーフの王国へ向かい、そこで初代国王であり伝説の鍛治師でもあるカネック王自らに打ち上げて貰ったのである。それを迅速に持ち帰り、王都近くまで届けてくれたのだ……」
「実は、あと数日もすれば全ての守護結界が消滅していたかもしれないのです。そうなると、魔族は西方メメント大森林ではなく、北西のシューゾマツ山脈を越えて侵攻していたかもしれない。あの山脈は活性化した竜族のナワバリでもあるのだが、魔族には竜を使役する魔術に長けたものもあると聞きます」
国王の言葉に宰相も補足を加えるのだが。
この宝剣の話については、柚月たちもクリスティナから直接聞いているので、頷くことしかしなかった。
「それで、彼女に爵位を与えてどうするのですか?」
「実はな……西方のカマンベール王国のとある伯爵家が、クリスティナとの婚姻を求めて来ている。だが、先方としても庶民と伯爵家となると格式が違いすぎるので、どうにか彼女に爵位をという話が来ていてな……まあ、クリスティナ嬢も勇者御用達という看板を背負った商人ではあるが、あと数ヶ月もすれば勇者さまたちは日本へと帰還するではないか」
「そのあとは、彼女にも幸せになって欲しいというのが国王陛下のお考えですが。これについては問題はないかと思います。すでにクリスティナ嬢に課せられた『契約の精霊』の楔が外れたなら、彼女は子爵へと叙爵することで貴族院とも話を進めていますので」
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「でも、多分だけどクリスっちはそれを断るし。彼女の幸せを考えるのなら、王都へ自由に出入りすることができるようにする、そこまでで構わないと思うし」
「そうですね。それに、彼女には思いびともいらっしゃるかと思います。そのような事実があるにも関わらず、政治的な取り決めで彼女の婚姻を決めるのは問題があるのでは?」
柚月と紀伊國屋が国王に問いかけるが、これには国王も渋い顔をしている。
「うむむ、いや、確かにそうなのだが……ちなみに、その、思い人とは?」
「それは内緒だし。ちなみに返しだけど、クリスっちが好きな人がいて、その婚姻を断ったら?」
「その時は、速やかにカマンベール王国に断りの書状を送るが。いくらわしても、国王の立場を振り翳して思い合った恋人の仲を割くようなまねはせん。そうなると、その事実も確認せねばならないし……」
そう呟くと、柚月は小さく手を上げる。
「それなら、あーしがクリスっちのところに行って、しばらく一緒に活動してくるし。その中で、彼女から思い他人の話も聞き出せるし。紀伊國屋っちたちは、契約の精霊のことを任せるし」
「うわ、きったねぇ。そんなこと言って、日本製品独り占めする気だろ?」
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「そうなりますと、柚月さん一人というのは些か不安。この私もご一緒しましょうか」
「紀伊國屋っちの目的は、ノワールさんだし。だから、あーし一人で間に合うから問題ないし」
「な、な?な?な、な、な、な、なにを突然、そのようなことを」
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もっとも、魔族討伐とかのような殺伐とした任務でもなく、かといって期限が限られた任務でもない。
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