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第二十話・コモン顧問カモン‼︎
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参った。
秋穂波先輩に上手く乗せられた。
しかも、奥の手を見せるどころか、オンパレード状態にしてしまった気がする。
まあ、やっちまったものは仕方がない。
気分を入れ替えて、明日のための準備でもするか。
そう考えて、帰宅したのはいいんだが。
普通に飯を食って、ブレイザーのメンテナンスをしようかなと思ったら。
「銀河、お父さんがラボに来いって」
「はぁ? 俺はこれから、ブレイザーのメンテナンスをするつもりだったのに」
「いいから行ってきなさい」
はいはい。
全く、親父もなんのようだか。
親父のラボなら工具も全て揃ってあるから、ついでに借りるとしますか。
──コンコン
『入りなさい』
「失礼します….それで、俺になんの用事?」
ラボに来たのはいいが、相変わらずの風景。
大量の素体、仮組みの終わったバトルリング、開発中の魔導騎士と、ファンやマニアが見たら垂涎の世界。
その中で、着物姿の親父が魔導騎士を弄っている。
「笹錦から聞いたぞ。リミッターカットしたのか?」
リミッターカットとは、魔導騎士の保有魔力を武具やエネルギーに変換するためのコントロール方法。
普通に設定した機体では不可能で、ちゃんと法則性に合わせた設定をしないと無理。
まあ、俺の場合は体内魔力で無理やり引っ張っている部分もあるんだが。
「まあ、ノリと勢い? そんな感じです」
「ふぅん。ちなみに、対戦相手はお前の彼女か?」
──ブホッ‼︎
コーヒーを飲んでいるときに、とんでもないことを言うなや。思わず吹いたぞ。
「ゲフッゲブッ、なんで彼女になるんだよ。先輩だよ、高校の先輩で、生徒会長……って、なんで知っているんだよ?」
思わず問い返しちまったよ。
すると、親父は壁掛けのモニターを作動して、YouTubeの動画を映した。
そこには、ブレイザーとブランシュの戦闘が映し出されている。
しっかりとリミッターカットでエネルギー兵装を使ったシーンまで。
そのせいか、コメント欄がとんでもないことになっている。違法チートだとか、改造機だとか、いろんな憶測が飛び回っている。
「あ~。撮られていたかぁ」
「撮られたも何も、バトルコロシアムセンターのバトル映像は、公式チャンネルで公開されるって説明されていただろう」
「そうだったよなぁ……やっちまったなぁ」
「おかげで、うちの事務所もツクダサーガも電話回線がパンクしかかったぞ。まあ、お前のバトルシーンを公式で流して、【このような攻撃方法も、設定次第で可能であります】って説明までつけたんだからな」
うむ、土下座。
速やかに非を認めます。
「ごめんなさい」
「まあ、その件で呼んだのは事実だが、別にお前を怒るために呼んだ訳ではない」
「はぁ、それならなんで?」
「お前、リミッターカットは、まだ第一段階しか見せていないよな?」
──ギクッ‼︎
確かに、俺はまだ第一段階、ファーストリミットしか開放していない。
セカンドリミットは、まだ実験中でうまく使いこなせないし、サードリミットは理屈がわからん。
そして究極の必殺技、フォースリミッターについては、俺は無理だ‼︎
あれは親父とお袋にしかできない。
「ま、まあ、そんな感じ。セカンドリミットはまだ研究中で……」
「まあ、そんなところだろうよ。それについてアドバイスする気はないから、頑張れとしか言えない。それよりも、こいつだ」
──ゴン
俺の目の前に、アタッシュケースが置かれる。
これはなんですか、マイとーちゃん。
「これは?」
「最新型のバトルリングシステム。携帯型で持ち運び自在、それでいて、最新型のシステムは全て網羅してある」
「ま、まじか‼︎」
「ああ。これをお前に貸し出すから、使い勝手をレポートしてくれるか? 笹錦たちは店長だからフットワークが軽くはないし、お前も、暫くはコロシアムセンターには顔を出さないだろう?」
「ま、まあ……」
動画にも流れたということは、顔を出すと必ず質問攻めにされる。
少なくとも、俺と秋穂波先輩しかファーストリミッターを使えないし、設定できるのは俺だけ。
そうなると、確実に秘密を聞き出そうとする輩が出てくるだろう。
「俺でいいのか?」
「構わんよ。ケースのグリップを握って、魔力を通せるか?」
「その程度なら……」
──ガシッ
グリップを握り魔力を循環させる。
──カチッ。
『ピッ、オーナー登録が完了しました』
「うおっ、喋った」
「そりゃあ、喋るわな」
「いや、アタッシュケースは言葉を発しないけど」
まあ、今ので無事に登録も完了。
さらに使い方を聞いてみると、確かに最新型には違いがない。
俺の権限で、三名までサブオーナー登録が可能だというのも理想的である。
「これで、同好会でもリングが使えるか。助かったわ……親父、感謝する」
「なんだ? 結局は部活に入らずに同好会で全国を目指すのか……お前が下剋上システムを使うことになるとはなぁ」
「仕方ないだろう? あの顧問は俺をメカニックとしか見ていないんだからな。これであと一人、同好会員を見つければ、すぐに下剋上だ」
気合が入ってきた。
明日からの勧誘も、頑張れるってものだが。
「あと一人? 銀河、同好会の顧問はいるのか?」
「顧問? なんで?」
「なんでも何も、北海道予選や下剋上を使うには、顧問の承認が必要だろうが。国際魔導騎士協会認定のコーチライセンスを持った人しか、顧問になれないのはわかっているのか?」
「……はぁ?」
え? そんなルールがあるの?
マジで?
コーチライセンス? それって誰でも取れるの?
「分かっていなかったか。南北海道予選の一週間前が、出場選手の登録日だからな。その日がギリギリ下剋上の間に合う日だから、それまでに顧問と部員会員を登録しないと駄目だからな」
「……あと一ヶ月? うわぁ、洒落にならないわ」
「まあ、お前のことだから忘れているだろうなぁと思っていたが……ここまでアホとは」
「いや、言い訳させてくれ、部活に普通に入って大会に出る予定だったから、そこまで詳しくルールを見ていなかっただけだ‼︎」
「自慢そうにいうなバカタレが!! まあ、そういうことだから、動くのなら早めにしたほうがいい」
話はそれだけ。
まあ、詳しい話となると、明日、学校に行ってから先輩と考えることにするか。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
そして翌日。
のんびりと学校に行くと、教室の前で曙顧問が待っていましたが。
「十六夜、昨日の動画を見させてもらったぞ。あれはなんだ?」
「さぁ? 内緒ですが」
「内緒とはなんだ? 貴様、顧問の質問には答えないか‼︎」
「顧問? 誰か?」
「俺に決まっているだろうが。十六夜は、今日付で我が高校の魔導騎士部の正式なメカニックとして登録するからな」
「断固として断ります。俺、他にやることがあるので」
いきなりなんだよ、このゴリラは。
俺は、魔導騎士部に登録する気なんてないんだからな。
「我が校は、新入生は必ず部活もしくは同好会に参加するという決まりがあるのを忘れたか? 今日がその最終日だ、どうせお前のことだから、どこにも所属していないのだろう?」
「まあ、秘密で。俺を無理やり登録させようとしで無駄ですよ? ドライバーIDカードは渡しませんからね?」
ドライバーIDカード。
これがないと、正式な部員としての登録はできない。
その理由は簡単で、魔導騎士部に登録する=バトルリングに登録=ツクダサーガに登録となる。
これがないと、公式戦には参加できないどころか、補欠やメカニックとしても参加できない。
「ふん。そんなことを言えるのは放課後までだな……」
なんだか自信満々な態度で、教室を後にするゴリラ顧問。とっとと帰れって感じだよ。
曙顧問は学校の教員ではなく、外部誘致で顧問として迎えられているらしいから、受け持ちの授業はない。
それでもプロライセンスとコーチライセンスを持っているので、全国各地の高校からはオファーが来ているらしい《自己主張》。
「はぁぁぁ。全く面倒すぎるわ」
これ以上、あの顧問に付き合う気は無いので、LINEで秋穂波先輩に今あった出来事を満遍なく報告。
『ピッ……昼休みに、魔導騎士同好会として提出します。顧問について、現在はあちこちに頼んでいるところですが、なかなか難しいところです……』
う~む。
コーチライセンスを持つ、顧問ができる人ねぇ。
心当たりはあるけれど、どうしたものか。
『十六夜くんは、誰か心当たりはありませんか?』
「ありますよ。ただ、引き受けてくれるかわかりませんけど、頼むだけ頼んでみます」
『よろしくお願いします。あと1人の部員については、知人が名義貸しで登録してくれるそうですので、校内予算最終日までには、正式なメンバーを探しましょう』
兼部は認められているから、そういう手があるかぁ。では、俺は顧問を引き受けてくれそうな人に連絡することにしよう。
………
……
…
そして昼休み。
俺は生徒会室に呼び出され、早速向かう。
ちょうど秋穂波先輩と、あと一人の女子が先に待っていた。
眼鏡っ子系の、おとなしそうな女子である。
「先輩、ちっす」
「あら、ちょうど良かったわ。ここに名前とクラスを記入してくれるかしら?」
「うっす……同好会設立申請書ですか」
「ええ、彼女が名義を貸してくれるのよ。一応は魔導騎士のドライバーIDもありますし、最悪でもなんとかなりますわ」
へぇ。
それなら改めて、自己紹介でもしますか。
「はじめまして。俺は十六夜銀河、よろしくお願いします」
「ええ。星野優芽です。あくまでも兼部ですので、あまり当てにはしないでね?」
「いざとなったら、俺が切り札でも裏技でも叩き込みますから、任せてください」
胸を張ってそう話すと、気のせいか秋穂波先輩が、俺をジト目で見ている。
「……まあ、いいわ。それで、顧問になってくれそうな人はいたのかしら?」
「ええ。夕方には学校まで挨拶に来てくれるそうですので、先に名前とライセンスコードを登録しましょう。許可は貰っていますから」
すぐに申請書に名前を書き込む。
中休みの間に、電話で許可は取ったからね。
『顧問名:笹錦康太 コード:A0000124』
「え? コロシアムセンターの店長さん?」
「ですよね? こんな偉い人が、ライセンスコードをって、Aランク???」
おや、星野先輩も笹錦おじさんのことはご存知でしたか。
コーチライセンスを所持していれば、誰でも顧問になれるというルールの隅をついただけだからね。
ツクダサーガではなくゴーレムファクトリーの正社員にしてコーチライセンス所持、しかも国内に十五人しかいないジャッジ資格も持っている。
「まあ、昼間は仕事ですので、俺たちに色々と教えることはできないそうですから、名義だけのコーチですけど」
「それでも十分よ……ちなみに、もしも断られたらどうするつもりだったの?」
「女子プロの伊勢ひかりさんにお願いしようと思ってましたが?」
こっちも知り合い。
俺が一度も勝てなかった相手。
親父となら、100戦すれば4回は勝てると思うが、伊勢さん相手だと勝てる気がしない。
サードリミッターまで自在に使いこなせる相手なんて、勝てるとも思えんわ。
「「伊勢プロ‼︎」」
おっと、先輩ズが飛び上がっていますが。
まあ、これで問題ない。
「これで書類ができましたから、校内のバトルリングで登録しましょうか」
「管理はゴリ……曙顧問かぁ。一悶着ありそうだなぁ」
「そうですの?」
先輩は、朝の曙顧問の様子を知らないから、そんなことが言えるんだよ。
まあ、行くだけ行ってみるか。
………
……
…
という事で職員室に向かうと、曙顧問が椅子に座って漫画を読んでいる。
放課後までは、暇なんだろうなぁ。
「曙先生。お願いがあってきました」
「お? 十六夜か。ようやく我が部に入る気になったんだな?」
笑顔でそう告げているところ、誠に申し訳ない。
誠はないがな。
すぐさま秋穂波先輩が、同好会申請書を取り出して説明を始めた。
「私たちは、魔導騎士同好会を設立しました。速やかに登録をしたいので、バトルリングを起動していただけますか?」
キッパリと言い切る秋穂波先輩。
すると、曙顧問の顔が真っ赤に染まる。
「な、なんだと?」
「バトルコロシアム規約、第二十五条一項、一つの学校及び会社、組織内において複数の魔導騎士に関するサークルがある場合、それの登録を妨げることはできない……ですわよね?」
うおう。
さすがは秋穂波先輩、歩く生き字引。
私がルールブックだと言いそうです。
「あ、ああ……そうだな。しかし、バトルリングの起動はできない」
「何故ですの?」
いきなり規約違反をかます曙顧問。
だが、俺たちの様子を見て、ニイッと笑った。
「バトルリングの調子が悪くてな、メーカーに修理を依頼するところだ。だから、二、三日は起動できない。分かったか?」
「……なるほど。わかりましたわ」
「それと、一年生の部活の登録は今日の放課後までだ。同好会として成立させたかったのだろうが、バトルリングで登録できない以上は、今日の同好会の登録は認められない、残念だったな」
ニヤニヤと笑う曙。
こいつ、バトルリングの修理って嘘だな。
「まあ、十六夜も諦めて、魔導騎士部に登録しろ。悪いようにはしないからな」
「断ります。別に、魔導騎士部のバトルリングでなくとも、登録は可能ですから」
「バトルリング登録のための早退など、教員として認めないからな……つまり、校内で登録しない限りは無理だ」
うわ、殴りてぇ。
このゴリラ面を、もっと男前ゴリラにしてぇ。
しかし、校内での登録……あ‼︎
「先輩。体育館に行きますか。そこで登録しましょう」
「体育館に? でも魔導騎士部のバトルリングは修理しないと使えないのですよ?」
「そうだぞ。電源を入れるのも認めないからな」
「別に入りませんよ。まあ、ついてきてください」
そう説明もしないで、俺は先輩二人を体育館まで連れて行く。
曙顧問も、勝手にバトルリングを使われるのが不安なのか、後ろからブツブツと何か呟きつつ、ついてきた。
そして体育館に到着。
魔導騎士部のある第二体育館ではなく、授業で使う第一体育館。
その一角に移動すると、俺は空間収納からアタッシュケースを引っ張り出した。
「それはなんですの?」
「俺たち魔導騎士同好会用の、バトルリングです」
──パチィィィン
アタッシュケースを置いてから、俺は指を鳴らす。
『ピッ……オーナー確認完了。バトルシステム、オープン』
アタッシュケースから声がすると、ゆっくりとアタッシュケースを中心に魔法陣が展開する。
そしてその中に、最新型バトルリングが姿を表した。
「これが、ゴーレムファクトリーの最新型、携帯用バトルリングです。コマンド……接続、ユーザー登録開始、データの読み込み」
秋穂波先輩から同好会の申請書を受け取り、スキャンさせる。
すると、データの読み込みが一瞬で終わり、次にドライバーIDの書き換えになる。
「ここのスリットに、ドライバーIDを差し込んでください。それでツクダサーガ及びゴーレムファクトリーへの登録が完了します‼︎」
「……ふ、ふざけるな、そんなもの認められるはずがないだろうが。それは、公式戦仕様のものなのか‼︎」
「当然。こいつは、世界大会仕様の最新型ですよ。バトルコロシアムタイプですので、ランダムフィールドも学校にあるタイプとは異なりますので」
ニヤニヤと笑いながら、俺は曙顧問に返答する。
その最中に秋穂波先輩と星野先輩も書き換えが完了。
最後に俺のIDカードを差し込んで、登録を書き換えた時点で、同好会は成立した。
『ピッ……北広島西高等学校、魔導騎士同好会の設立を許可します。校内予選システムが構築されました』
そのシステムメッセージを聞いて、曙顧問が真っ赤な顔になる。
「き、貴様ら、まさか、魔導騎士部に喧嘩を売る気なのか‼︎ そんなことは認めないぞ、貴様らの申し込みなど、俺たちは受けないからな」
「そうなると、この高校の大会参加資格が三年間停止しますわ。そしてシステムを無視した顧問は、同じく三年間のライセンス停止処分ですけれど?」
おおっと、曙顧問の扱い方を、秋穂波先輩も心得てきたようだな。
「だ、だがな、俺が同好会の顧問を引き受けて、二つの同好会の指導者として登録すれば終わりじゃないのか?」
「複数のサークルの顧問を引き受けるには、コーチライセンスではなくジャッジライセンスが必要ですのよ?」
「それなら、俺がお前たちの同好会の顧問をすればいい。うちの部のメンバーをそっちに移してな‼︎」
「校内予選システムの構築が宣言された時点で、名義移動も登録変更もできませんわよ?」
「そ、そうだ、お前たちの登録はミスだ、公式に問い合わせて、再申請を行うように連絡すれば」
「俺がゴーレムファクトリーの会長家なの、忘れたの?」
必死に抵抗する曙顧問だが。
ついに折れたらしく、がっくりと肩を落として体育館から出て行った。
「……よし、システムエンド。アタッシュケースに戻ってくれ」
──ピッピッピッ
俺の声に反応して、バトルリングがアタッシュケースに戻っていく。
これで登録は完了、夕方には笹錦さんが挨拶にくるけど、あとは俺たちがバトルリングで練習できる場所を正式に借りるだけ。
「これで同好会は成立しましたわ。十六夜くん、改めてお礼を告げさせてもらいますわ」
「ありがとうございます。まさか、こんな裏技があるなんて、思っても見ませんでした」
秋穂波先輩と星野先輩が、頭を下げる。
いや、俺としてもゴリ顧問の勧誘が収まるので一安心なんだけどね。
これで、放課後からは、まともに魔導騎士を楽しむことができそうだ。
秋穂波先輩に上手く乗せられた。
しかも、奥の手を見せるどころか、オンパレード状態にしてしまった気がする。
まあ、やっちまったものは仕方がない。
気分を入れ替えて、明日のための準備でもするか。
そう考えて、帰宅したのはいいんだが。
普通に飯を食って、ブレイザーのメンテナンスをしようかなと思ったら。
「銀河、お父さんがラボに来いって」
「はぁ? 俺はこれから、ブレイザーのメンテナンスをするつもりだったのに」
「いいから行ってきなさい」
はいはい。
全く、親父もなんのようだか。
親父のラボなら工具も全て揃ってあるから、ついでに借りるとしますか。
──コンコン
『入りなさい』
「失礼します….それで、俺になんの用事?」
ラボに来たのはいいが、相変わらずの風景。
大量の素体、仮組みの終わったバトルリング、開発中の魔導騎士と、ファンやマニアが見たら垂涎の世界。
その中で、着物姿の親父が魔導騎士を弄っている。
「笹錦から聞いたぞ。リミッターカットしたのか?」
リミッターカットとは、魔導騎士の保有魔力を武具やエネルギーに変換するためのコントロール方法。
普通に設定した機体では不可能で、ちゃんと法則性に合わせた設定をしないと無理。
まあ、俺の場合は体内魔力で無理やり引っ張っている部分もあるんだが。
「まあ、ノリと勢い? そんな感じです」
「ふぅん。ちなみに、対戦相手はお前の彼女か?」
──ブホッ‼︎
コーヒーを飲んでいるときに、とんでもないことを言うなや。思わず吹いたぞ。
「ゲフッゲブッ、なんで彼女になるんだよ。先輩だよ、高校の先輩で、生徒会長……って、なんで知っているんだよ?」
思わず問い返しちまったよ。
すると、親父は壁掛けのモニターを作動して、YouTubeの動画を映した。
そこには、ブレイザーとブランシュの戦闘が映し出されている。
しっかりとリミッターカットでエネルギー兵装を使ったシーンまで。
そのせいか、コメント欄がとんでもないことになっている。違法チートだとか、改造機だとか、いろんな憶測が飛び回っている。
「あ~。撮られていたかぁ」
「撮られたも何も、バトルコロシアムセンターのバトル映像は、公式チャンネルで公開されるって説明されていただろう」
「そうだったよなぁ……やっちまったなぁ」
「おかげで、うちの事務所もツクダサーガも電話回線がパンクしかかったぞ。まあ、お前のバトルシーンを公式で流して、【このような攻撃方法も、設定次第で可能であります】って説明までつけたんだからな」
うむ、土下座。
速やかに非を認めます。
「ごめんなさい」
「まあ、その件で呼んだのは事実だが、別にお前を怒るために呼んだ訳ではない」
「はぁ、それならなんで?」
「お前、リミッターカットは、まだ第一段階しか見せていないよな?」
──ギクッ‼︎
確かに、俺はまだ第一段階、ファーストリミットしか開放していない。
セカンドリミットは、まだ実験中でうまく使いこなせないし、サードリミットは理屈がわからん。
そして究極の必殺技、フォースリミッターについては、俺は無理だ‼︎
あれは親父とお袋にしかできない。
「ま、まあ、そんな感じ。セカンドリミットはまだ研究中で……」
「まあ、そんなところだろうよ。それについてアドバイスする気はないから、頑張れとしか言えない。それよりも、こいつだ」
──ゴン
俺の目の前に、アタッシュケースが置かれる。
これはなんですか、マイとーちゃん。
「これは?」
「最新型のバトルリングシステム。携帯型で持ち運び自在、それでいて、最新型のシステムは全て網羅してある」
「ま、まじか‼︎」
「ああ。これをお前に貸し出すから、使い勝手をレポートしてくれるか? 笹錦たちは店長だからフットワークが軽くはないし、お前も、暫くはコロシアムセンターには顔を出さないだろう?」
「ま、まあ……」
動画にも流れたということは、顔を出すと必ず質問攻めにされる。
少なくとも、俺と秋穂波先輩しかファーストリミッターを使えないし、設定できるのは俺だけ。
そうなると、確実に秘密を聞き出そうとする輩が出てくるだろう。
「俺でいいのか?」
「構わんよ。ケースのグリップを握って、魔力を通せるか?」
「その程度なら……」
──ガシッ
グリップを握り魔力を循環させる。
──カチッ。
『ピッ、オーナー登録が完了しました』
「うおっ、喋った」
「そりゃあ、喋るわな」
「いや、アタッシュケースは言葉を発しないけど」
まあ、今ので無事に登録も完了。
さらに使い方を聞いてみると、確かに最新型には違いがない。
俺の権限で、三名までサブオーナー登録が可能だというのも理想的である。
「これで、同好会でもリングが使えるか。助かったわ……親父、感謝する」
「なんだ? 結局は部活に入らずに同好会で全国を目指すのか……お前が下剋上システムを使うことになるとはなぁ」
「仕方ないだろう? あの顧問は俺をメカニックとしか見ていないんだからな。これであと一人、同好会員を見つければ、すぐに下剋上だ」
気合が入ってきた。
明日からの勧誘も、頑張れるってものだが。
「あと一人? 銀河、同好会の顧問はいるのか?」
「顧問? なんで?」
「なんでも何も、北海道予選や下剋上を使うには、顧問の承認が必要だろうが。国際魔導騎士協会認定のコーチライセンスを持った人しか、顧問になれないのはわかっているのか?」
「……はぁ?」
え? そんなルールがあるの?
マジで?
コーチライセンス? それって誰でも取れるの?
「分かっていなかったか。南北海道予選の一週間前が、出場選手の登録日だからな。その日がギリギリ下剋上の間に合う日だから、それまでに顧問と部員会員を登録しないと駄目だからな」
「……あと一ヶ月? うわぁ、洒落にならないわ」
「まあ、お前のことだから忘れているだろうなぁと思っていたが……ここまでアホとは」
「いや、言い訳させてくれ、部活に普通に入って大会に出る予定だったから、そこまで詳しくルールを見ていなかっただけだ‼︎」
「自慢そうにいうなバカタレが!! まあ、そういうことだから、動くのなら早めにしたほうがいい」
話はそれだけ。
まあ、詳しい話となると、明日、学校に行ってから先輩と考えることにするか。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
そして翌日。
のんびりと学校に行くと、教室の前で曙顧問が待っていましたが。
「十六夜、昨日の動画を見させてもらったぞ。あれはなんだ?」
「さぁ? 内緒ですが」
「内緒とはなんだ? 貴様、顧問の質問には答えないか‼︎」
「顧問? 誰か?」
「俺に決まっているだろうが。十六夜は、今日付で我が高校の魔導騎士部の正式なメカニックとして登録するからな」
「断固として断ります。俺、他にやることがあるので」
いきなりなんだよ、このゴリラは。
俺は、魔導騎士部に登録する気なんてないんだからな。
「我が校は、新入生は必ず部活もしくは同好会に参加するという決まりがあるのを忘れたか? 今日がその最終日だ、どうせお前のことだから、どこにも所属していないのだろう?」
「まあ、秘密で。俺を無理やり登録させようとしで無駄ですよ? ドライバーIDカードは渡しませんからね?」
ドライバーIDカード。
これがないと、正式な部員としての登録はできない。
その理由は簡単で、魔導騎士部に登録する=バトルリングに登録=ツクダサーガに登録となる。
これがないと、公式戦には参加できないどころか、補欠やメカニックとしても参加できない。
「ふん。そんなことを言えるのは放課後までだな……」
なんだか自信満々な態度で、教室を後にするゴリラ顧問。とっとと帰れって感じだよ。
曙顧問は学校の教員ではなく、外部誘致で顧問として迎えられているらしいから、受け持ちの授業はない。
それでもプロライセンスとコーチライセンスを持っているので、全国各地の高校からはオファーが来ているらしい《自己主張》。
「はぁぁぁ。全く面倒すぎるわ」
これ以上、あの顧問に付き合う気は無いので、LINEで秋穂波先輩に今あった出来事を満遍なく報告。
『ピッ……昼休みに、魔導騎士同好会として提出します。顧問について、現在はあちこちに頼んでいるところですが、なかなか難しいところです……』
う~む。
コーチライセンスを持つ、顧問ができる人ねぇ。
心当たりはあるけれど、どうしたものか。
『十六夜くんは、誰か心当たりはありませんか?』
「ありますよ。ただ、引き受けてくれるかわかりませんけど、頼むだけ頼んでみます」
『よろしくお願いします。あと1人の部員については、知人が名義貸しで登録してくれるそうですので、校内予算最終日までには、正式なメンバーを探しましょう』
兼部は認められているから、そういう手があるかぁ。では、俺は顧問を引き受けてくれそうな人に連絡することにしよう。
………
……
…
そして昼休み。
俺は生徒会室に呼び出され、早速向かう。
ちょうど秋穂波先輩と、あと一人の女子が先に待っていた。
眼鏡っ子系の、おとなしそうな女子である。
「先輩、ちっす」
「あら、ちょうど良かったわ。ここに名前とクラスを記入してくれるかしら?」
「うっす……同好会設立申請書ですか」
「ええ、彼女が名義を貸してくれるのよ。一応は魔導騎士のドライバーIDもありますし、最悪でもなんとかなりますわ」
へぇ。
それなら改めて、自己紹介でもしますか。
「はじめまして。俺は十六夜銀河、よろしくお願いします」
「ええ。星野優芽です。あくまでも兼部ですので、あまり当てにはしないでね?」
「いざとなったら、俺が切り札でも裏技でも叩き込みますから、任せてください」
胸を張ってそう話すと、気のせいか秋穂波先輩が、俺をジト目で見ている。
「……まあ、いいわ。それで、顧問になってくれそうな人はいたのかしら?」
「ええ。夕方には学校まで挨拶に来てくれるそうですので、先に名前とライセンスコードを登録しましょう。許可は貰っていますから」
すぐに申請書に名前を書き込む。
中休みの間に、電話で許可は取ったからね。
『顧問名:笹錦康太 コード:A0000124』
「え? コロシアムセンターの店長さん?」
「ですよね? こんな偉い人が、ライセンスコードをって、Aランク???」
おや、星野先輩も笹錦おじさんのことはご存知でしたか。
コーチライセンスを所持していれば、誰でも顧問になれるというルールの隅をついただけだからね。
ツクダサーガではなくゴーレムファクトリーの正社員にしてコーチライセンス所持、しかも国内に十五人しかいないジャッジ資格も持っている。
「まあ、昼間は仕事ですので、俺たちに色々と教えることはできないそうですから、名義だけのコーチですけど」
「それでも十分よ……ちなみに、もしも断られたらどうするつもりだったの?」
「女子プロの伊勢ひかりさんにお願いしようと思ってましたが?」
こっちも知り合い。
俺が一度も勝てなかった相手。
親父となら、100戦すれば4回は勝てると思うが、伊勢さん相手だと勝てる気がしない。
サードリミッターまで自在に使いこなせる相手なんて、勝てるとも思えんわ。
「「伊勢プロ‼︎」」
おっと、先輩ズが飛び上がっていますが。
まあ、これで問題ない。
「これで書類ができましたから、校内のバトルリングで登録しましょうか」
「管理はゴリ……曙顧問かぁ。一悶着ありそうだなぁ」
「そうですの?」
先輩は、朝の曙顧問の様子を知らないから、そんなことが言えるんだよ。
まあ、行くだけ行ってみるか。
………
……
…
という事で職員室に向かうと、曙顧問が椅子に座って漫画を読んでいる。
放課後までは、暇なんだろうなぁ。
「曙先生。お願いがあってきました」
「お? 十六夜か。ようやく我が部に入る気になったんだな?」
笑顔でそう告げているところ、誠に申し訳ない。
誠はないがな。
すぐさま秋穂波先輩が、同好会申請書を取り出して説明を始めた。
「私たちは、魔導騎士同好会を設立しました。速やかに登録をしたいので、バトルリングを起動していただけますか?」
キッパリと言い切る秋穂波先輩。
すると、曙顧問の顔が真っ赤に染まる。
「な、なんだと?」
「バトルコロシアム規約、第二十五条一項、一つの学校及び会社、組織内において複数の魔導騎士に関するサークルがある場合、それの登録を妨げることはできない……ですわよね?」
うおう。
さすがは秋穂波先輩、歩く生き字引。
私がルールブックだと言いそうです。
「あ、ああ……そうだな。しかし、バトルリングの起動はできない」
「何故ですの?」
いきなり規約違反をかます曙顧問。
だが、俺たちの様子を見て、ニイッと笑った。
「バトルリングの調子が悪くてな、メーカーに修理を依頼するところだ。だから、二、三日は起動できない。分かったか?」
「……なるほど。わかりましたわ」
「それと、一年生の部活の登録は今日の放課後までだ。同好会として成立させたかったのだろうが、バトルリングで登録できない以上は、今日の同好会の登録は認められない、残念だったな」
ニヤニヤと笑う曙。
こいつ、バトルリングの修理って嘘だな。
「まあ、十六夜も諦めて、魔導騎士部に登録しろ。悪いようにはしないからな」
「断ります。別に、魔導騎士部のバトルリングでなくとも、登録は可能ですから」
「バトルリング登録のための早退など、教員として認めないからな……つまり、校内で登録しない限りは無理だ」
うわ、殴りてぇ。
このゴリラ面を、もっと男前ゴリラにしてぇ。
しかし、校内での登録……あ‼︎
「先輩。体育館に行きますか。そこで登録しましょう」
「体育館に? でも魔導騎士部のバトルリングは修理しないと使えないのですよ?」
「そうだぞ。電源を入れるのも認めないからな」
「別に入りませんよ。まあ、ついてきてください」
そう説明もしないで、俺は先輩二人を体育館まで連れて行く。
曙顧問も、勝手にバトルリングを使われるのが不安なのか、後ろからブツブツと何か呟きつつ、ついてきた。
そして体育館に到着。
魔導騎士部のある第二体育館ではなく、授業で使う第一体育館。
その一角に移動すると、俺は空間収納からアタッシュケースを引っ張り出した。
「それはなんですの?」
「俺たち魔導騎士同好会用の、バトルリングです」
──パチィィィン
アタッシュケースを置いてから、俺は指を鳴らす。
『ピッ……オーナー確認完了。バトルシステム、オープン』
アタッシュケースから声がすると、ゆっくりとアタッシュケースを中心に魔法陣が展開する。
そしてその中に、最新型バトルリングが姿を表した。
「これが、ゴーレムファクトリーの最新型、携帯用バトルリングです。コマンド……接続、ユーザー登録開始、データの読み込み」
秋穂波先輩から同好会の申請書を受け取り、スキャンさせる。
すると、データの読み込みが一瞬で終わり、次にドライバーIDの書き換えになる。
「ここのスリットに、ドライバーIDを差し込んでください。それでツクダサーガ及びゴーレムファクトリーへの登録が完了します‼︎」
「……ふ、ふざけるな、そんなもの認められるはずがないだろうが。それは、公式戦仕様のものなのか‼︎」
「当然。こいつは、世界大会仕様の最新型ですよ。バトルコロシアムタイプですので、ランダムフィールドも学校にあるタイプとは異なりますので」
ニヤニヤと笑いながら、俺は曙顧問に返答する。
その最中に秋穂波先輩と星野先輩も書き換えが完了。
最後に俺のIDカードを差し込んで、登録を書き換えた時点で、同好会は成立した。
『ピッ……北広島西高等学校、魔導騎士同好会の設立を許可します。校内予選システムが構築されました』
そのシステムメッセージを聞いて、曙顧問が真っ赤な顔になる。
「き、貴様ら、まさか、魔導騎士部に喧嘩を売る気なのか‼︎ そんなことは認めないぞ、貴様らの申し込みなど、俺たちは受けないからな」
「そうなると、この高校の大会参加資格が三年間停止しますわ。そしてシステムを無視した顧問は、同じく三年間のライセンス停止処分ですけれど?」
おおっと、曙顧問の扱い方を、秋穂波先輩も心得てきたようだな。
「だ、だがな、俺が同好会の顧問を引き受けて、二つの同好会の指導者として登録すれば終わりじゃないのか?」
「複数のサークルの顧問を引き受けるには、コーチライセンスではなくジャッジライセンスが必要ですのよ?」
「それなら、俺がお前たちの同好会の顧問をすればいい。うちの部のメンバーをそっちに移してな‼︎」
「校内予選システムの構築が宣言された時点で、名義移動も登録変更もできませんわよ?」
「そ、そうだ、お前たちの登録はミスだ、公式に問い合わせて、再申請を行うように連絡すれば」
「俺がゴーレムファクトリーの会長家なの、忘れたの?」
必死に抵抗する曙顧問だが。
ついに折れたらしく、がっくりと肩を落として体育館から出て行った。
「……よし、システムエンド。アタッシュケースに戻ってくれ」
──ピッピッピッ
俺の声に反応して、バトルリングがアタッシュケースに戻っていく。
これで登録は完了、夕方には笹錦さんが挨拶にくるけど、あとは俺たちがバトルリングで練習できる場所を正式に借りるだけ。
「これで同好会は成立しましたわ。十六夜くん、改めてお礼を告げさせてもらいますわ」
「ありがとうございます。まさか、こんな裏技があるなんて、思っても見ませんでした」
秋穂波先輩と星野先輩が、頭を下げる。
いや、俺としてもゴリ顧問の勧誘が収まるので一安心なんだけどね。
これで、放課後からは、まともに魔導騎士を楽しむことができそうだ。
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