6 / 14
エルフさん、生中継にでる
しおりを挟むHTN放送局との契約については、一悶着があった。
私がこっちの世界のルールを知らないと思い、向こうの都合の良い契約書を持って来たので全て突っ込んで返却した。
そのあとで、今度は私の都合の良い書面を持って来たので、常呂編集局長の|魂の護符(ソウルプレート)を発行し、私の魔法印で調印することで正式な書面とした。
これでもしも、向こうが内容を改変しようとしても魔法印があるので不可能である。
さて、契約したその日の夜には、特番として私の紹介番組が生放送される事になった。
……
…
「……別に、私が何をするのかなんてこの世界の人たちは興味がないような気がするのだけど?」
「魔法ですよ、魔法。攻撃的でない簡単なもので構いませんから。何か魔法を見せてください。あとは、異世界の事について質問に答えてくれれば構わないので」
そうは言われても、何をすれば良いのやら。
そんなこんなで放送が開始され、私は箒に座ってプカプカと浮いている。
「こんばんは。今日は特別生放送で、異世界からの来訪者であるアルカ・トラスさんにスタジオまでお越し頂きました」
「こんばんは」
「それでは早速ですが、本日はboyaitterを使って視聴者からのリアルタイムの質問にお答えお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」
「ええ。警察が突入するギリギリまでは構いませんよ」
昨晩、そして早朝からの一連の国家レベルでの動きに対して、アルカはあえて苦言を告げるかのように話をする。
「それでは始めたいと思います‥‥まず最初の質問ですが」
次々と繰り広げられる質問の数々。
朝の番組の中にあった質問が再度繰り返されていたが、それ以外の異世界の風習や文化についての無質問が意外と多かった。
それで判ったことだが、私の住んでいた世界は、こっちの世界では『ラノベ』『異世界ファンタジー』という分野に当てはまるらしく、意外と研究されているらしい。
中でも驚いたのは『勇者召喚』がすでにこちらの世界では小説で語り継がれているらしく、様々な手段で異世界に人々が転移もしくは転生しているという話である。
とは言っても、それらは全て物語の世界であり、現実にはあり得ないと思われていた。
そこに私の突然の登場である。
テレビの向こうでは、今まで手が届かなかった異世界が、目の前までやって来たという事もあり、それはもう、矢継ぎ早に質問が飛んでくる。
それでも、解答できるものは普通に答えていたのだけれど、段々ときわどい質問がやってくる。
「錬金術で金は作れますか? これは可能ですか?」
「ん? 錬金術で金? 普通に作るけど? こっちの世界でいうなら、ダイヤモンドも簡単だよ。むしろ、それを使って資金繰りしたり、魔導具の発動媒体を作ったりするからね?」
「‥‥え? それは本当ですか?」
「炭素があれば、ダイヤモンドは作れるし。海があるのなら、私たちの世界と同じ元素構成なら金も作れるわよ」
このアルカの解答には、放送を見ていた大勢の人が食いついた。
次の質問は、みんな同じであったから。
「そろそろお時間ですので、これが一番多かった質問です。この地球にいる人々は魔法を使えるようになりますか? 錬金術を覚えることはできますか? これはどうですか?」
「ん~、それについては、判らないんだよなぁ。まだ私は、こっちの世界の人間の魔力適性を見たことがないのよ。なんなら、明日は高橋アナの魔力測定をして、実際に魔法の訓練をしてみる? テレビで公開してもいいわよ」
「 ぇぇぇぇぇええええええぇえぇええええ!! 」
お茶の間の、声にならない『えええ』の言葉が聞こえてくるようだ。
そして目の前の高橋さんも、目を丸くして呆然としている。
「え‥‥私も魔法使いになれるのですか?」
「その素養があるかどうか調べてあげるわよ。じゃあ今日はここまでで、またあしたー」
妙にテレビ慣れしているように見えるけれど、これも全て高橋アナの記憶から覚えただけ。
そのまま放送は終わり、私は日当をプロデューサーから受け取ると、テレビ局の使われていない部屋を一つ間借りした。
幸いなことにテントを建てても天井に引っかからないようなので、テントの周りにだけ結界を施して、あとは自宅である『賢者の塔』へと帰ることにした。
〇 〇 〇 〇 〇
私が道警からの報告を受けたのは夜の8時。
昼間、豊平区に奇妙なコスプレイヤーが出現したという報告、そしてその女性が異世界から来たと宣言しているという報告を受けて、私は鼻で笑ってしまった。
どうせ若者が妄言を吐いたか、それとも役者がなりきっているだけだろうと思った。
二度目の報告では、どうやら外国の密航者もしくは不法滞在者の可能性があり、刃物を所持しているということで逮捕するという報告があった。
まあ、その程度なら私が何か支持する必要はない。
そして三度目、こんどは動画も添えられての報告である。
奇妙な恰好のコスプレ女が、手品か何かで空を飛んでいるというのだ。
しかもなにやら目に見えない結界とかいう壁を作り出し、その中にテントを建てて眠っているというではないか。
いよいよもって怪しすぎるのだが、その女は私、北海道知事である土方唐十郎を指名して話がしたいという。
ここに来て、私もどうすればいいか考えていた。
とりあえず、警察では何もできないので機動隊を派遣し、あとはこちらで指示を出すので下がるように説明した。
‥‥‥
‥‥
‥
状況が変化したのは翌朝。
早朝の番組に、あの女が生出演して視聴者からの質問に答えているではないか。
しかし、どう聞いてもバラエティのやらせ番組にしか見えていないのだが、それを見た東京の防衛相や各地の大使館から問い合わせが殺到した。
あれは本物なのか?
もしも本物なら、彼女の国籍はどうなる?
無国籍ならば、我々の国が彼女を、異世界からやって来た大使として迎え入れるという連絡が次々とかかってくる。
まて、何故そこまで話が飛躍した?
あんな女のたわごとに付き合わされる身にもなってみろ。
そう考えたが、このままでは騒ぎは大きくなる。
今すぐに中継を止めて彼女の身柄を拘束するように指示を出したが、残念なことに、彼女は箒に跨って空を飛んでどこかに逃げていった。
急いで探せ、おそらくは各国の大使館も動く!!
あの女の話ていたことが事実めいてきた。
なら、万が一、本当にあの女が異世界からきた女性なら
本物の魔法使いだとしたら?
急遽、あの女の捜索を命じたが、どこかに雲隠れしてしまった。
いや、一緒にHTN放送のアナウンサーもつれて逃げていた、ならば、逃げた先はHTN本社に違いない。
え? そこには来ていないといわれた?
いやまて、絶対にかくまっているに違いない。無理やり乗り込んで捜索しろ!!
捜査令状が取れない? 相手の所轄も国籍も何も判らない、名前しか判らないからすぐには令状は出ないだと?
ああ、それなら付近に機動隊も集めておけ、いつでも乗り込めるように‥‥。
私か? 私はこれから関係各庁に連絡をする。
‥‥
‥
ふう。やっと終わった。
何故、私が議員に怒鳴られないとならんのだ?
あの異世界人が本物ならどうやって責任を取るのだって? そんなの知るか!!
この科学の発達した現代に、いきなり異世界の魔法使いが来るなんて誰が想像できる? もしもその対応マニュアルがあるのなら見せてみろって逆切れしてやったわ、ああ、せいせいした。
え? あの女がテレビに出ている?
女じゃなくてアルカという名前のハイエルフ? エルフってあれだろ、どこかのメーカのトラックだろ? いや、違う? 種族?
よくわからないから指示されたとおり番組を見る。
はあ、これがそのハイエルフとやらか。意外とべっぴんさんだな。
だけど、俺としてはこう、もっとむっちりと、バインバインな方が好みなんだが。
ああ判った。だまってテレビを見ているよ。
‥‥やばい。
このハイエルフ、海水から金を作ったり炭素からダイヤモンドを作れるって豪語したぞ?
それって、海水からレアメタルまで抽出できるってことだよな? この世界全てのうちに存在している金 どれぐらいあるのか知っているのか?
推定でも50億トンはあるんだぞ?
それを手に入れられるって?
しかも、今度は俺たちも魔法が使えるようになれるかもしれないだと?
それを明日、テレビで公開するだと?
まて、それはまずい。
それで万が一、俺たちも錬金術が使えるようになったら、それこそ金やダイヤモンドの価値が暴落するぞ。
それよりも魔法の存在だ。
そんなものを俺たちが使えるようになったら危険すぎる!!
魔法による犯罪なんて、どうしていいかわかんねえぞ。
とにかく止めろ、明日の放送までにそのハイエルフを捕まえろ!!
〇 〇 〇 〇 〇
「‥‥はぁ~快適快適。久しぶりにゆっくりと眠れたような気がするわ‥‥」
私はふかふかのベットから出て顔を洗いに外の井戸へ向かう。
朝食は、少しだけ奮発してドラゴンのステーキと行こう。
昨日の質問では、こっちの世界の人間って、エルフは野菜しか食べないって思っている奴もいるんだよなぁ。そんなわけないだろうが。
肉体に宿るエネルギーを効率よく変換するには動物性タンパク質が必要なんだよ?
エルフが野菜しか食べないっていうのはガセだよ?
そりゃあ野菜は必要さ。
こっちでは栄養素って言っているけれど、私たちは野菜から魔素を吸収するからね。
世界樹が地下深くに走るマナラインから|光魔力(ソーマ)を吸収し、それが世界樹を通じて大地に浸透する。
その大地からの恵みが魔素。
魔法使いにとっては|光魔力(ソーマ)と魔素、この二つが必須だからね。
「しっかし、この世界の世界樹はどこにあることやら。地下にはマナラインがあるし、私はそこから直接|光魔力(ソーマ)を引き出せるから良いんだけれど、世界樹がないから魔法が発達していないのかなぁ?」
そんなこんなで食事も終わり、テントから出ていくのだけれど、部屋の外がなんだか騒がしい。
ああ、そう言えば、この控え室の鍵も|魔法の鍵(マジックロック)で開かなくしたんだっけ。
『アルカさん、ここ、開かないのですが何かあったのですか?』
「その声は高橋さんだね、いま解呪するから……」
すぐに|魔法の鍵(マジックロック)を解除すると、息を切らせた高橋さんが部屋の中に飛び込んできた。
「おや、その慌てっぷりは何かあったの?」
「はい。警察の方が来て、アルカさんを密入国の現行犯で逮捕すると。でも、逮捕状も捜査令状も無いのでうちの編集局長が突っぱねていますけれど、現行犯の犯人が逃走したので必要ないと……」
「うーん。こっちの世界の法律は分からないなぁ。でも、それって話的には合っているの?」
「は、はい。ですが、現行犯も何も、いきなり公園に姿を現した異世界の人を密入国扱いはないんじゃないかって話をしています」
ふーん。
まあ、言いたいことはわかるし、今日の夜にはまた生放送もある。
昨日貰ったこっちのお金も10万円あるけど、ここに迷惑をかけるわけにはいかないからね。
「じゃあ、私が話ししてみるよ、案内して?」
「え、いや、危険ですよ?」
「大丈夫だよ。敵性防御……と、これで私に害をなす敵は、私に触れることもできないからね」
万が一の為に、敵性防御結界を施す。
ああ、この魔法もマジックリングに作り直して装備した方がいいような気がしたぞ?
あっちの世界じゃ保険程度の効果しかないんだけど、こっちじゃかなり有効みたいだからね。
そのまま受付に向かうと、昨日の制服を着た警官ではなく私服の警官が受付にいた編集局長と話をしている。
外を見ると、機動隊の車が何台も停車しており、さらに盾を構えた機動隊が入り口付近をカバーしている。
「あ、アルカさん、危険ですから下がっていてください‼︎」
「大丈夫ですよ~、ここは私に任せてください、編集局長さん」
そう告げて、私は警察官の前に立つ。
「……私が賢者アルカだけど、私に何か用事ですか?」
「ええ。あなたを密入国の現行犯及び騒乱罪で逮捕します。構いませんね?」
「お断りします。まあ、こっちの法律では、密入国は国外退去と言うことですから、私はいますぐにこの国から出ていきます。それで良いですよね?」
そう説明すると、警察官たちの表情が変化した。
これはあれだ、私を捕まえて良いように扱おうと誰かが命令したんだろうね。
それで、私がここからいなくなると都合が悪いんでしょう。
「そ、それはそうだが、まずは貴方がどこから来たのかとか、身分なども調べないとならない。同行して頂けますね?」
「お、こ、と、わ、り。貴方達にとって、法を侵したものがここからいなくなると何か不都合があるのでは? どうせ、この国の宰相とか偉い人が私を利用したい為に連れてこいって話でもしたんでしょ?」
「その質問についてはノーコメントだな。おい、お前達、こいつを連行しろ!」
ほらきた。
けれど、私を捕まえようとしても無駄。
全て私の手前五十センチで止まるから。
「な、け、警部、この女に近寄れません‼︎」
「何を馬鹿なことを‼︎」
そう叫んで警部が私を捕まえようとするが、手前の結界で阻まれてしまっている。
「はぁ、これじゃあお話しにもなりませんね。編集局長さん、今日の番組は残念ですが出られなくなりましたので……」
「あ、ああ。なんだか、色々と済まないな」
「良いのですよ。こっちの世界の一宿一飯の恩は、いずれ返しますので」
そのまま私は外に向かう。
必死に私の前に出て、盾を構えて阻もうとしているが無駄。
私のステータスは、ブーストリングで増幅しているからね。私を止めたかったらレッサードラゴンでも連れてこないと。
側から見ると、盾を構えた機動隊が10人がかりでも細身の女一人抑えることができないのだから。
そして編集局長さん、その物陰からカメラを構えているのはナイスですよ。この光景もしっかりと録画しておいてくださいね。
そして私は、放送局の外に出ると、魔法の箒に座って青空高く飛び立った。
46
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
機動戦艦から始まる、現代の錬金術師
呑兵衛和尚
ファンタジー
有限会社・異世界トラックのミスにより死亡した俺だけど、神様からチートスキルを貰って異世界転生することになった。
けど、いざ転生する直前に、異世界トラックが事故を隠蔽していたことが発覚、神様の粋な計らいで俺は生き返ることになりました。
チートアイテム『機動戦艦』を所有したまま。
しかも、俺の凡ミスで肉体は女性になり、本当の体は荼毘に付されて手遅れ。
もう一つのチートスキル『伝承級錬金術』と『機動戦艦』を操り、この現実世界を面白おかしく生き延びてやる……生き延びたいよなぁ。
階段落ちたら異世界に落ちてました!
織原深雪
ファンタジー
どこにでも居る普通の女子高生、鈴木まどか17歳。
その日も普通に学校に行くべく電車に乗って学校の最寄り駅で下りて階段を登っていたはずでした。
混むのが嫌いなので少し待ってから階段を登っていたのに何の因果かふざけながら登っていた男子高校生の鞄が激突してきて階段から落ちるハメに。
ちょっと!!
と思いながら衝撃に備えて目を瞑る。
いくら待っても衝撃が来ず次に目を開けたらよく分かんないけど、空を落下してる所でした。
意外にも冷静ですって?内心慌ててますよ?
これ、このままぺちゃんこでサヨナラですか?とか思ってました。
そしたら地上の方から何だか分かんない植物が伸びてきて手足と胴に巻きついたと思ったら優しく運ばれました。
はてさて、運ばれた先に待ってたものは・・・
ベリーズカフェ投稿作です。
各話は約500文字と少なめです。
毎日更新して行きます。
コピペは完了しておりますので。
作者の性格によりざっくりほのぼのしております。
一応人型で進行しておりますが、獣人が出てくる恋愛ファンタジーです。
合わない方は読むの辞めましょう。
お楽しみ頂けると嬉しいです。
大丈夫な気がするけれども一応のR18からR15に変更しています。
トータル約6万字程の中編?くらいの長さです。
予約投稿設定完了。
完結予定日9月2日です。
毎日4話更新です。
ちょっとファンタジー大賞に応募してみたいと思ってカテゴリー変えてみました。
解体新書から始まる、転生者・杉田玄白のスローライフ~わし、今度の人生は女の子なのじゃよ~
呑兵衛和尚
ファンタジー
杉田玄白。
享年、享年八十三歳。
徳を積んだ功績により、異世界転生を果たす。
与えられたチート能力は二つ。
神によって作られた御神体、そして神器『解体新書(ターヘルアナトミア)』。
回復魔法という概念のない世界で、蘭学医の杉田玄白が神器を武器に世界を癒す。
男であった自分の肉体を捨て、知識としてしか知らない女性の体を得て。
さまざまな困難も、蘭学医ならば大丈夫w
己の好奇心を満たすため二つのチート能力を駆使して、杉田玄白が異世界を探訪する。
注)毎週月曜日、午前10時の更新です。
女性が少ない世界へ異世界転生してしまった件
りん
恋愛
水野理沙15歳は鬱だった。何で生きているのかわからないし、将来なりたいものもない。親は馬鹿で話が通じない。生きても意味がないと思い自殺してしまった。でも、死んだと思ったら異世界に転生していてなんとそこは男女500:1の200年後の未来に転生してしまった。
レンタルショップから始まる、店番勇者のセカンドライフ〜魔導具を作って貸します、持ち逃げは禁止ですので〜
呑兵衛和尚
ファンタジー
今から1000年前。
異形の魔物による侵攻を救った勇者がいた。
たった一人で世界を救い、そのまま異形の神と共に消滅したと伝えられている……。
時代は進み1000年後。
そんな勇者によって救われた世界では、また新たなる脅威が広がり始めている。
滅亡の危機にさらされた都市、国からの援軍も届かず領主は命を捨ててでも年を守る決意をしたのだが。
そんなとき、彼の目の前に、一軒の店が姿を現した。
魔導レンタルショップ『オールレント』。
この物語は、元勇者がチートスキルと勇者時代の遺産を駆使して、なんでも貸し出す商店経営の物語である。
白梅奇縁譚〜後宮の相談役は、仙術使いでした〜
呑兵衛和尚
キャラ文芸
こことは違う、何処かの世界。
神泉華大国という国の西方にある小さな村の女の子『白梅』が、世界を知るために旅に出たのが、物語の始まりです。
娘はまだ生まれて間も無く、この村の外れに捨てられていました。それを不憫に思ったお人よし集団の村人により育てられ、やがて娘は旅に出ます。
ところが旅先で偶然、この国の官吏である洪氏を救うことにより命運は大きく揺らぎ、白梅は後宮の部署の一つである『東廠』にて働くことになりました。
彼女の仕事は、後宮の相談役。
尸解仙、つまり仙女である白梅ですが、それほど頭が切れるわけではありません。
それでも、身につけた仙術と体術と戦術を駆使して、後宮でのんびりと暮らすことを決めたのですが。
皇后候補たちの権力争い、後宮に満ちる瘴気、そして敵国の貴妃の後宮入りなどなど、彼女にはゆっくりとする暇もありません。
白梅にとって、本当に心穏やかな日々は来るのでしょうか。
いえ、来ません。
注)イメージイラストは、AI生成ツールを使用して作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる