イベントへ行こう!

呑兵衛和尚

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第一章・夢から少し遠い場所~イベント設営業~

ダブルヘッダーと、時間差攻撃

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 はい、久しぶりの仕事です。
 ここ最近は学校のレポートが溜まったり、やや遅れ気味になってきた授業の復習などでアルバイトに向かう時間が取れていませんでした。
 そしてようやくレポートの提出も完了、オープンキャンパスの手伝いも終わってようやくですよ、実に一か月ぶりの現場なのですが。

――ロイトン札幌
 今の時間は18時。
 今日の設営は、いつもの就職活動セミナーです、はい、いつものやつですよ。
 コの字型にシステムを立てて、備品を配って看板を付けてポスターを設置するだけの作業なのですが。
 わたくし、迂闊にも『ダブルヘッダー』ということをすっかりわすれて 仕事を受けてしまいましたが。

「トミーさんトミーさん。期の製菓もしれませんけれど、今日って随分と作業員の人数か゛多くありませんか? ウィルプラスからは私たち6名だけなのに」
「ん~。今日の一つ目の設営は人海戦術で短時間勝負だからかなぁ。ほら、今日の現場ってダブルヘッダーでしょう?」
「なるほど。それでこれだけの人が集まっているのですか」

 私たち以外にも3っつの設営会社の人たちが集まっていますよ。
 ちなみにウィルプラスの『レギュラー』と呼ばれているベテランの方たちなら、8人ぐらいで2時間作業で完了なのて出すけれど。
 今日のうちのメンバーは私とトミーさん、伊藤さん、大川さん、あとは新人の女子学生と熊谷さんの6にんですからね。

「へえ、真駒内に住んでいるんだ。帰りはどうするの? 地下鉄がマニア話ないなら、車で送ってあげようか?」
「本当ですか! 助かります」
「いいっていいって。それじゃあ、君も現場は初めてのようだから、おじさんが色々と教えてあげるよ」
「わあ、助かります!! 熊谷さんって優しいのですね!!」

 ふぅ。
 現場で熊谷さんがナンパしていますが。
 その光景を見て、伊藤さんも大川さんも困った顔をしていますが、あの、新人さんを熊谷さんに任せても大丈夫大ですか?

「熊さん、お手柔らかにね。今日は別会社も入っているんだからね。それに、熊さんはWへったーじゃないよね?」
「そうだよ、一発目が終わったら帰るけれど?」
「新人の森川さんはダブルヘッダーだから。熊さんと入れ替わりで綾辻さんが来る予定だから、帰りは送ってあげなくても大丈夫だからね」
「そっか……まあ、それじゃあ次の機会にでも」

 伊藤さんと熊谷さんがそんなやり取りをしている中、ウィルプラスの溝口さんが図面を持ってやってきました。

「それじゃあ、まずは墨出しを先にうちらでやりますか。そのあとで間配りはあっちに任せるので、うちらはこの入り口側から一気にシステムを立てていきます……うん、以上」
「説明はっや。それで、終了予定時刻は?」
 
 伊藤さんがそう尋ねると、溝口さんかスマホ片手に時間を確認。

「まあ、1時間半でフィニッシュで」
「妥当な時間かなぁ」
「ほかがちゃっちゃと動いてくれれば、特に問題はないか」
「2階の設営開始が20時スタートだから、30分はやすめるな……」

 はい、実は今日の現場、2階と3階で別々のイベントが入っているのですよ。
 それで設営時間がややダブってしまっているため、3階大ホールの設営を2時間以内に終わらせなくてはなないらしく。
 ウィルプラスの精鋭チームが派遣されて来たそうで……あ、私と新人さんもいますよ?

「今日は、ミコシーは最初から上端を止めていってね。熊さんは新人さんにパネルの入れ方を説明してあげて。残った面子で下端とパネル入れを随時行うということで」
「「「「「「はいっ!!」」」」」」

――ヌッ
「それじゃあ、終了予定時刻は19時で、よろしくお願いします」

 うわぁ!!
 いきなり明桜レンタリースの堤さんが顔を出して、トンデモないことを言い始めましたよ。
 いきなり来ないでください、びっくりしますから!!

「いやいや、堤さん、流石に1時間は……ん、行けるか?」
「マジか。まあ、人は大勢いるので無理なく安全に……と、次はあっちか」

 そう告げてから、堤さんが別の設営会社の方へ移動していきました。
 うん、同じように緊張を和らげるために話をしに行ったのですよね。
 現場が早く終わったら、いきなりベースランニング10周とか言い始める人ですからね。
 
「それでは、いきますか」

 溝口さんの掛け声で、私たちは搬入用のエレベーターへ移動。
 墨だし用の道具だけを持って、さっそく会場入りです。
 なお、トラックからの荷下ろしその他も、今回は全て別業者さんにお任せしましたよ。
 システムの組み立てでしたら、ウィルプラスは札幌最速ですから!!
 と、溝口さんが申しておりました。
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