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第一章・夢から少し遠い場所~イベント設営業~
自分だけの工具と、大規模設営と
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ここ最近は、大学に遅刻したり散財したりと大変な日々を送っています。
ですが、間もなく夏季休暇。
実家に戻ってのんびりと過ごしたいと思って、いまからスケジュールを組んでいるところです。
今のアパートは大学に通うために借りたもので、盆暮れ正月は実家に戻らないとならないのですよ。
そのため、夏休み期間のアルバイトもあまり参加できないということを、アルバイトのスケジューラーに登録しないとなりません。
これはフリーソフトで作ったらしくて、自分がアルバイトに出られる日などを登録しておくもの。
札幌営業所は、ここに登録されているデータをもとに仕事に出られそうな人を見つけてから、電話連絡を行って最終確認を取っているそうです。
だから、用事がある場合などは早めにスケジューラーに登録しておかなくてはなりません。
「えぇっと、8月の一週目から2週目まではアルバイトはお休みして……」
ポチポチと日付横の×マークをクリック。
結局、8月の設営業務は後半からしか参加できませんね。
――プルルルルルルル
そして登録が終わった直後、ウィルプラスから電話がかかってきました。
「はい、御子柴です」
『ウィルプラスの大野です。今大丈夫ですか?』
噂をすれば影ですよ。
「はい、大丈夫です」
『8月のスケジュールですが、前半はどこも動けなさそうですか?』
「帰省する予定ですので。なにか仕事があったのですか?」
『実はですね。この時期は石狩の大型ロックフェスティバル【サンライズ】の設営があるのですよ。期間は大体一週間、時間は朝9時から休憩を何度か挟んで夕方17時まで。一日だいたい8時間程度なのですが』
んんん?
石狩のロックフェスティバルですか?
私は毎年お客として参加していますが?
本当ならば今年も見に行こうと思っていたのですけれど、初めての大学生活ということで、帰省を予定していましたが。
「ううう……ちょっと待ってください。作業内容的には、どのような仕事になるのですか?」
『基本的には、朝から夕方までテント設営と備品搬入ですね。うちだけじゃなく札幌市内の設営請負業者が集結する、ある意味大規模設営フェスティバルです。御子柴さんは、テント設営はやったことありますか?』
「いえ、まだシステムぐらいですね。それも間配りとパネル設置です。あとは、備品とかこまごまとした仕事ばかりですよ」
テント設営って、キャンプとかのやつですよね?
つまり泊まり込みできるキャンプ村のようなものを作るのですか……って、あれ?
去年はそのようなものは見たこともありませんでしたけれど、今年からそういうものまであるのですか。
泊まり込みでロックフェスタを見に行ける。あるいみ本当にロックな状態ですね。
はぁ、帰省スケジュールを調整して、お客として参加したいですけれど。
一日8時間、それが一週間。
今の私の時給が一時間950円で、一日7600円。
源泉徴収とかはあえて計算しないで、単純に一週間で53000円。
んんん?
私は基本的に、一日4時間の現場ばかり参加していましたから、月の収入としてはそれほど多くはないのですよ。
それがなんと、この高額収入。
『まあ、大学生で地方から来ているっていうことですから、やっぱり帰省したいですよね。もしもスケジュール的に動けそうでしたら、ツールの方で×ではなく△でもつけておいてください』
「わかりました、ありがとうございます……こちらでも調整したいと思いますが、そもそも私、先ほどもお話しした通りテントの設営はやったことがないのですよ」
まさかぶっつけ本番で設営なんてしたくありませんから。
そう思って話してみましたら、まさかの返答。
『それなら、今週末の土曜日、朝からアクシア札幌でカーフェスタのイベントがあるのですよ。それの設営が前日の午後、つまり金曜日の13時ころからあるのですが、大学のスケジュールとかは大丈夫ですか?』
「し、少々お待ちください」
手帳を開いて確認。
今週の金曜日の午後、講義はなし。
大丈夫、いけますね。
「はい、大丈夫です。その日は朝一の講義のみです」
『それでは、今週金曜日13時から、場所はアクシア札幌でよろしくお願いします。集合場所は建物の粗に搬入口がありますので、そこに行けば誰か彼かいると思いますまので。移動は自力で行けますか? もしも難しければ札幌事務所に12時までに来てくれれば、ハイエースが出ますけれど』
いっきにまくしたてるように説明されました。
金曜日は一限目だけなので、朝8時に大学に行けば間に合いますし、終わってからいそいで事務所に向かっても11時には到着します。
「あ、はい、ハイエースでお願いします」
『では組んでおきますね。当日の設営、よろしくおねがいします。では失礼します』
「はい、よろしくお願いします」
――ガチャッ
電話が切れて、一休み。
そっか、テント設営か。
初めてだから、どんなことをするのかなぁ……。
「ってあれ? まるで私、ロックフェスティバルの設営に参加する予定になっていませんか? そのためにテント設営の経験を詰めっていうことですよね?」
なんでしょうか。
大野さんに嵌められた感が満載なのですけれど。
口がうまいというか、うまく誘導して丸め込まれたというか。
「さ、さすがベテラン社員……話術が凄い……」
ま、まあ、午後から夕方の設営なら、そこそこに稼げると思いますので。
それに、少しでも出来ることが増えるのは良いことだと、自分で納得することにしましょう。
ですが、間もなく夏季休暇。
実家に戻ってのんびりと過ごしたいと思って、いまからスケジュールを組んでいるところです。
今のアパートは大学に通うために借りたもので、盆暮れ正月は実家に戻らないとならないのですよ。
そのため、夏休み期間のアルバイトもあまり参加できないということを、アルバイトのスケジューラーに登録しないとなりません。
これはフリーソフトで作ったらしくて、自分がアルバイトに出られる日などを登録しておくもの。
札幌営業所は、ここに登録されているデータをもとに仕事に出られそうな人を見つけてから、電話連絡を行って最終確認を取っているそうです。
だから、用事がある場合などは早めにスケジューラーに登録しておかなくてはなりません。
「えぇっと、8月の一週目から2週目まではアルバイトはお休みして……」
ポチポチと日付横の×マークをクリック。
結局、8月の設営業務は後半からしか参加できませんね。
――プルルルルルルル
そして登録が終わった直後、ウィルプラスから電話がかかってきました。
「はい、御子柴です」
『ウィルプラスの大野です。今大丈夫ですか?』
噂をすれば影ですよ。
「はい、大丈夫です」
『8月のスケジュールですが、前半はどこも動けなさそうですか?』
「帰省する予定ですので。なにか仕事があったのですか?」
『実はですね。この時期は石狩の大型ロックフェスティバル【サンライズ】の設営があるのですよ。期間は大体一週間、時間は朝9時から休憩を何度か挟んで夕方17時まで。一日だいたい8時間程度なのですが』
んんん?
石狩のロックフェスティバルですか?
私は毎年お客として参加していますが?
本当ならば今年も見に行こうと思っていたのですけれど、初めての大学生活ということで、帰省を予定していましたが。
「ううう……ちょっと待ってください。作業内容的には、どのような仕事になるのですか?」
『基本的には、朝から夕方までテント設営と備品搬入ですね。うちだけじゃなく札幌市内の設営請負業者が集結する、ある意味大規模設営フェスティバルです。御子柴さんは、テント設営はやったことありますか?』
「いえ、まだシステムぐらいですね。それも間配りとパネル設置です。あとは、備品とかこまごまとした仕事ばかりですよ」
テント設営って、キャンプとかのやつですよね?
つまり泊まり込みできるキャンプ村のようなものを作るのですか……って、あれ?
去年はそのようなものは見たこともありませんでしたけれど、今年からそういうものまであるのですか。
泊まり込みでロックフェスタを見に行ける。あるいみ本当にロックな状態ですね。
はぁ、帰省スケジュールを調整して、お客として参加したいですけれど。
一日8時間、それが一週間。
今の私の時給が一時間950円で、一日7600円。
源泉徴収とかはあえて計算しないで、単純に一週間で53000円。
んんん?
私は基本的に、一日4時間の現場ばかり参加していましたから、月の収入としてはそれほど多くはないのですよ。
それがなんと、この高額収入。
『まあ、大学生で地方から来ているっていうことですから、やっぱり帰省したいですよね。もしもスケジュール的に動けそうでしたら、ツールの方で×ではなく△でもつけておいてください』
「わかりました、ありがとうございます……こちらでも調整したいと思いますが、そもそも私、先ほどもお話しした通りテントの設営はやったことがないのですよ」
まさかぶっつけ本番で設営なんてしたくありませんから。
そう思って話してみましたら、まさかの返答。
『それなら、今週末の土曜日、朝からアクシア札幌でカーフェスタのイベントがあるのですよ。それの設営が前日の午後、つまり金曜日の13時ころからあるのですが、大学のスケジュールとかは大丈夫ですか?』
「し、少々お待ちください」
手帳を開いて確認。
今週の金曜日の午後、講義はなし。
大丈夫、いけますね。
「はい、大丈夫です。その日は朝一の講義のみです」
『それでは、今週金曜日13時から、場所はアクシア札幌でよろしくお願いします。集合場所は建物の粗に搬入口がありますので、そこに行けば誰か彼かいると思いますまので。移動は自力で行けますか? もしも難しければ札幌事務所に12時までに来てくれれば、ハイエースが出ますけれど』
いっきにまくしたてるように説明されました。
金曜日は一限目だけなので、朝8時に大学に行けば間に合いますし、終わってからいそいで事務所に向かっても11時には到着します。
「あ、はい、ハイエースでお願いします」
『では組んでおきますね。当日の設営、よろしくおねがいします。では失礼します』
「はい、よろしくお願いします」
――ガチャッ
電話が切れて、一休み。
そっか、テント設営か。
初めてだから、どんなことをするのかなぁ……。
「ってあれ? まるで私、ロックフェスティバルの設営に参加する予定になっていませんか? そのためにテント設営の経験を詰めっていうことですよね?」
なんでしょうか。
大野さんに嵌められた感が満載なのですけれど。
口がうまいというか、うまく誘導して丸め込まれたというか。
「さ、さすがベテラン社員……話術が凄い……」
ま、まあ、午後から夕方の設営なら、そこそこに稼げると思いますので。
それに、少しでも出来ることが増えるのは良いことだと、自分で納得することにしましょう。
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