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第一章・夢から少し遠い場所~イベント設営業~
落胆と再起と、スケールの違い、後編
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自転車のパンク修理が終わるまで。
私はホームセンターの中を見学することにしました。
まあ、見学と言いますけど、実際にはどのような商品を扱っているのか興味があっただけなのですけれどね。
「うわぁ……」
店内に入って最初は、入り口から左にある木材コーナーへ向かいます。
見たこともないさまざまな材料が所狭しと並んでいまして、DIYにつかう木材やそれらを固定するパーツなど、普段は見ることがないものばかりです。
「ツーバイフォー?」
木材の規格にそのようなものがあるそうで。
ツーバイフォーというのは『厚さ38mm、幅89mm』という基準のものを指すそうです。
2×4でツーバイフォー。
つまりワンバイフォーとか、スリーバイフォーというものもあるようですが、基本的にはツーバイフォーというものが一般的に用いられているそうです。
そう、ボードに詳しく説明されていました、初心者にもやさしいいいお店です。
ちなみに、DIYの意味も初めて知りました。
日曜大工を英語にして略したものかなぁと思っていましたけれど、じつはとっても素敵な言葉が綴られています。
『Do It Yourself(ドゥ イット ユアセルフ)』
これを略してDIY。
自分でやって見よう、という言葉を英語にしたものだそうです。
そう、看板に説明されていました。
「はぁ……これは図面ですか? ご自由にお持ちくださいと……ふむふむ」
木材コーナーの一角には、手軽にできる椅子やテーブルの図面が無料で置いてあります。
しかも必要な材料もどこに置いてあるか説明書きがなされていました。
「ここで木材を子丹生して、ネジはあっちのこーなで……おや? ここにも工具が売っているのですかか。これは見なくてはなりませんね」
図面を一枚貰って、私はいそいそと工具のコーナーへ。
百均ショップでも見た工具、ここにはどのようなものが置いてあるのか興味があります。
ひよっとしたらラチェットも置いてあるかなぁと工具のコーナーに到着して、私は目を疑ってしまいます。
「え……えええ? このコーナーはドライバーだけなのですか? 百均ショップではこのコーナーだけですべての工具が展示されていましたよ。しかも、どと、ど、ドライバーなのに一本1000円を超えていますよ、これは300円ですけれど、何がどう違うのでしょうか」
確かに、握りしめると手触りが違います。
電工グリップとか、シリコンコートとか、磁石付きとかマルチとか、専門用語が次々と並んでいます。
先っぽだけを交換できるドライバーとかもありますよ。
「はぁ……こんなに高いものは必要なウような……でも、下手に安いものを買って壊れてしまうよりも、しっかりとしたものを買った方がいいとは思いますし……」
私の食費一食分のドライバーもあります。
その横には電動工具のコーナーまで。
「電動ドライバー……私みたいな力の弱い人でも簡単に使えるのか。ん、インパクトドライバー? これはなんでしょうか」
インパクトドライバーについての説明は、特に見当たりません。
なにがインパクトなのでしょうか。
そう思って、ちょっとグーグルで検索してみますと。
「ハンマー内蔵で、回転方向に衝撃が伝わりより強力に締めることができる……ふむふむ、この説明ですと、力の弱い女性向きなのかもしれませんね。でも、電動なのに二種類もあるとは」
――プッ
そう呟いた時。
近くで工具を見ていた男性が少し噴き出していました。
はて、私はなにかおかしいことを話したのでしょうか。
ま、まあ、気を取り直してラチェットですよ、ラチェット。
どうやら別のコーナーにあるようで、そこに回って見てみますが。
「え? 私の一日分のバイト代が、これ一つ?」
安いラチェットでだいたい3000円前後。
しかも、私がラチェットレンチだと思っていたのは光景が大きなものでして、普段ベテラン山河誓っていたのはラチェットハンドルというタイプです。
先っぽのビットという部分も結構多くありますと、ラチェットドライバーなるものまであります。
これだと力はあまり必要ないようですから、買うならこれでしょう……って、これ一本でバイト代二日分? え、工具ってこんなに高いのですか?
「百均ショップのものよりも、ゼロが一つ二つおおいとは……」
もう、予想外です。
これは抜本的見直しを要求せざるを得ません。
「スケールも高いんだろうなぁ……確か、スケールだけは高くてしっかりしたものを買った方がいいって話していましたよね」
そう思って確認してみますが。
ええ、百均ショップでも200円とか300円する良いスケール、ここではだいたいその10倍以上。
「ええええ? 幅が5ミリで長さが5メートル? 磁石付きロック付き?」
確かに、ベテランの皆さんが使っているものはこんな大きくてごっついタイプ。
百均ショップの細くてスリムな形とは雲泥の差ですよ。
でも、確かに丈夫で長持ちしそうです。
「これなんて……アルミフレームシリコンガード、ベルトホルダー付きで5800円……今一番売れています? 本当ですか?」
もう、頭の中が大混乱。
少し冷静になるために工具ではなく別のコーナーへ移動です。
よく見ると、靴や衣類も販売していますが。
「安全靴と作業着……って、あれ、結構おしゃれですよ? このズボンなんて伸縮自在不燃性って書いてありますし、通気性もよさそうな。あ、ぢゃけっともありますしこっちのスニーカーだむって、ちゃんと安全靴なんですね」
しかも、普段使いで背買っている衣類よりも安い!!
ま、まあ、これを期て町に遊びに行くとかはないと思いますし、仕事用としても週に一度か二度しか着ることはありませんので。
でも、安全靴だけは欲しいところです。
今は、普段はいているスニーカーのつま先に、安全靴カバーのようなものを借りて装着しているだけですから。
あれって、つけると歩きずらいのですよ。
せめて靴だけでも買っておいた方が……ッテアレ、おしゃれな安全靴が格安ですよ、在庫セールだそうで一足2500円です。
これでも安全規格は通っているそうですから……よし、今日はこれを買っていきましょう。
「うう、一回分のアルバイト代が消えていきますが……でも、足がつぶれたりすると医療費でもっと高くかかりますか……でも、仕事中の怪我は労災がでるって話していましたし……」
悩むなら買う!!
そういうことで安全靴をカゴにいれて。
そのほかにも工具を入れる袋とか、安全ベルトなるものもあります。
とにもかくにも、不思議なものが大量にあるということは、今回はよく分かりました。
『ピンポンパンポーン……自転車修理番号26番、自転車修理番号26番のカードをお持ちのお客様。修理が完了しましたので受付までお越しください』
はいはい、急ぎレジに向かって安全靴の支払いを済ませて。
あとはじんてしゃコーナーで修理の終わったマイ自転車と再会、ここでも支払いを終わらせてようやく帰路につきます。
「うん、快適快適。やっぱり自転車は便利でいいですね。それに、いい買い物もしましたから」
自宅に戻って自転車の鍵をかけ、家に入ってようやく一段落。
買ってきた安全靴の紐を調節して履いてみますと、確かに作りが普通のスニーカーとは異なり、かかとやつま先がしっかりとガードされています。
「これならシステムの具材が足の上に落ちてきても安全ですね」
ほっとしたら、おなかがすいてきまして……って。
「あああああああ、トンカツの材料、ロッカーに預けたままだぁぁぁぁぁ」
もう一度、ホームセンターは戻ることに。
うん、やっぱり今日は厄日だったのかもしれません。
でも、いい靴が手に入ったのでプラマイゼロということにしておきましょう。
私はホームセンターの中を見学することにしました。
まあ、見学と言いますけど、実際にはどのような商品を扱っているのか興味があっただけなのですけれどね。
「うわぁ……」
店内に入って最初は、入り口から左にある木材コーナーへ向かいます。
見たこともないさまざまな材料が所狭しと並んでいまして、DIYにつかう木材やそれらを固定するパーツなど、普段は見ることがないものばかりです。
「ツーバイフォー?」
木材の規格にそのようなものがあるそうで。
ツーバイフォーというのは『厚さ38mm、幅89mm』という基準のものを指すそうです。
2×4でツーバイフォー。
つまりワンバイフォーとか、スリーバイフォーというものもあるようですが、基本的にはツーバイフォーというものが一般的に用いられているそうです。
そう、ボードに詳しく説明されていました、初心者にもやさしいいいお店です。
ちなみに、DIYの意味も初めて知りました。
日曜大工を英語にして略したものかなぁと思っていましたけれど、じつはとっても素敵な言葉が綴られています。
『Do It Yourself(ドゥ イット ユアセルフ)』
これを略してDIY。
自分でやって見よう、という言葉を英語にしたものだそうです。
そう、看板に説明されていました。
「はぁ……これは図面ですか? ご自由にお持ちくださいと……ふむふむ」
木材コーナーの一角には、手軽にできる椅子やテーブルの図面が無料で置いてあります。
しかも必要な材料もどこに置いてあるか説明書きがなされていました。
「ここで木材を子丹生して、ネジはあっちのこーなで……おや? ここにも工具が売っているのですかか。これは見なくてはなりませんね」
図面を一枚貰って、私はいそいそと工具のコーナーへ。
百均ショップでも見た工具、ここにはどのようなものが置いてあるのか興味があります。
ひよっとしたらラチェットも置いてあるかなぁと工具のコーナーに到着して、私は目を疑ってしまいます。
「え……えええ? このコーナーはドライバーだけなのですか? 百均ショップではこのコーナーだけですべての工具が展示されていましたよ。しかも、どと、ど、ドライバーなのに一本1000円を超えていますよ、これは300円ですけれど、何がどう違うのでしょうか」
確かに、握りしめると手触りが違います。
電工グリップとか、シリコンコートとか、磁石付きとかマルチとか、専門用語が次々と並んでいます。
先っぽだけを交換できるドライバーとかもありますよ。
「はぁ……こんなに高いものは必要なウような……でも、下手に安いものを買って壊れてしまうよりも、しっかりとしたものを買った方がいいとは思いますし……」
私の食費一食分のドライバーもあります。
その横には電動工具のコーナーまで。
「電動ドライバー……私みたいな力の弱い人でも簡単に使えるのか。ん、インパクトドライバー? これはなんでしょうか」
インパクトドライバーについての説明は、特に見当たりません。
なにがインパクトなのでしょうか。
そう思って、ちょっとグーグルで検索してみますと。
「ハンマー内蔵で、回転方向に衝撃が伝わりより強力に締めることができる……ふむふむ、この説明ですと、力の弱い女性向きなのかもしれませんね。でも、電動なのに二種類もあるとは」
――プッ
そう呟いた時。
近くで工具を見ていた男性が少し噴き出していました。
はて、私はなにかおかしいことを話したのでしょうか。
ま、まあ、気を取り直してラチェットですよ、ラチェット。
どうやら別のコーナーにあるようで、そこに回って見てみますが。
「え? 私の一日分のバイト代が、これ一つ?」
安いラチェットでだいたい3000円前後。
しかも、私がラチェットレンチだと思っていたのは光景が大きなものでして、普段ベテラン山河誓っていたのはラチェットハンドルというタイプです。
先っぽのビットという部分も結構多くありますと、ラチェットドライバーなるものまであります。
これだと力はあまり必要ないようですから、買うならこれでしょう……って、これ一本でバイト代二日分? え、工具ってこんなに高いのですか?
「百均ショップのものよりも、ゼロが一つ二つおおいとは……」
もう、予想外です。
これは抜本的見直しを要求せざるを得ません。
「スケールも高いんだろうなぁ……確か、スケールだけは高くてしっかりしたものを買った方がいいって話していましたよね」
そう思って確認してみますが。
ええ、百均ショップでも200円とか300円する良いスケール、ここではだいたいその10倍以上。
「ええええ? 幅が5ミリで長さが5メートル? 磁石付きロック付き?」
確かに、ベテランの皆さんが使っているものはこんな大きくてごっついタイプ。
百均ショップの細くてスリムな形とは雲泥の差ですよ。
でも、確かに丈夫で長持ちしそうです。
「これなんて……アルミフレームシリコンガード、ベルトホルダー付きで5800円……今一番売れています? 本当ですか?」
もう、頭の中が大混乱。
少し冷静になるために工具ではなく別のコーナーへ移動です。
よく見ると、靴や衣類も販売していますが。
「安全靴と作業着……って、あれ、結構おしゃれですよ? このズボンなんて伸縮自在不燃性って書いてありますし、通気性もよさそうな。あ、ぢゃけっともありますしこっちのスニーカーだむって、ちゃんと安全靴なんですね」
しかも、普段使いで背買っている衣類よりも安い!!
ま、まあ、これを期て町に遊びに行くとかはないと思いますし、仕事用としても週に一度か二度しか着ることはありませんので。
でも、安全靴だけは欲しいところです。
今は、普段はいているスニーカーのつま先に、安全靴カバーのようなものを借りて装着しているだけですから。
あれって、つけると歩きずらいのですよ。
せめて靴だけでも買っておいた方が……ッテアレ、おしゃれな安全靴が格安ですよ、在庫セールだそうで一足2500円です。
これでも安全規格は通っているそうですから……よし、今日はこれを買っていきましょう。
「うう、一回分のアルバイト代が消えていきますが……でも、足がつぶれたりすると医療費でもっと高くかかりますか……でも、仕事中の怪我は労災がでるって話していましたし……」
悩むなら買う!!
そういうことで安全靴をカゴにいれて。
そのほかにも工具を入れる袋とか、安全ベルトなるものもあります。
とにもかくにも、不思議なものが大量にあるということは、今回はよく分かりました。
『ピンポンパンポーン……自転車修理番号26番、自転車修理番号26番のカードをお持ちのお客様。修理が完了しましたので受付までお越しください』
はいはい、急ぎレジに向かって安全靴の支払いを済ませて。
あとはじんてしゃコーナーで修理の終わったマイ自転車と再会、ここでも支払いを終わらせてようやく帰路につきます。
「うん、快適快適。やっぱり自転車は便利でいいですね。それに、いい買い物もしましたから」
自宅に戻って自転車の鍵をかけ、家に入ってようやく一段落。
買ってきた安全靴の紐を調節して履いてみますと、確かに作りが普通のスニーカーとは異なり、かかとやつま先がしっかりとガードされています。
「これならシステムの具材が足の上に落ちてきても安全ですね」
ほっとしたら、おなかがすいてきまして……って。
「あああああああ、トンカツの材料、ロッカーに預けたままだぁぁぁぁぁ」
もう一度、ホームセンターは戻ることに。
うん、やっぱり今日は厄日だったのかもしれません。
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