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第一章・夢から少し遠い場所~イベント設営業~
初めての現場にいこう
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私、御子柴優香がイベント設営会社ウィズプラスのアルバイトが決まって。
ついに今日は、初めての現場です。
会場は札幌市白石区にある大型商業施設【札幌コンベンションセンター】。
ここで行われる、大学生の就職活動支援イベント、通称【ナビコン】の設営業務でやって来ました。
ちなみに私の登録されているウィルプラス以外にも、いくつかのイベント設営会社のスタッフさんも集まっています。
そして待ち合わせの場所に向かいますと、右も左も男性ばかり。
「うわぁ、女性は私だけですか?」
思わず口ずさんでしまいましたら、社員の大野さんが私を見つけてくれたらしく、手招きをしています。
「御子柴さん、こっちに来てください」
「あ、はい」
いそいそと大野さんの元に向かいますと、私以外にもう一人の女性が。
うわ,この人すごく背が高い。
それに、体型もすらっとしててボーイッシュ。
つまり、格好いい女性ですよ。
「おーい、ウィルプラスのメンツは集まれ~。新人の紹介をするから」
「うい~っす」
大野さんの掛け声で、周りの人たちが集まって来ます。
「それじゃあ、彼女が今回入った新人の御子柴さん。色々と教えてあげてください。熊沢さんは彼女に近づかないように、接近禁止ね」
「なんでさぁ!!俺は常に女性には優しいよ?」
熊沢さんというおじさんが、バツが悪そうに頭を掻いています。
なるほど、思ったよりもアットホームな感じです。
「はいはい。ということなのでよろしくお願いします。御子柴さんも、何かわからないことがあったらいつでも声をかけてくださいね。あと、女性同士ということなので、彼女にもサポートをお願いしようかな?」
「了解。御子柴さん、私は冨岡です。気軽にトミさんってよんでもかまわないからね?」
「はい、トミさんよろしくお願いします。私と同じように補助作業ですか?」
「まさか? 私はシステム担当ですよ。この身長を見てわからないかな?」
あ、システムら高いところだと2.4mの場所もありますからね。
普通なら脚立を使ってビームを止める作業をしなくてはならないのですけれど、この身長なら手を伸ばせば届くのかぁ。
私は152センチだから、脚立がないと無理よね。
「なるほど」
「あとは、間配りとかはそっちの禿げたおじさんが詳しいから」
「誰がハゲじゃい!」
「はいはい、中島さんも彼女の補佐をお願いね」
「うい~」
愛嬌のある禿げたおじさん……中島さんというのですね。その方が、笑いながら手をあげています。
トミさんは他のスタッフの人も紹介してくれましたし、このバイトは良い人ばかりです。
対人関係で拗れたりしたらどうしようかと思っていましたけれど、なんとかなりそうです。
………
……
…
図面を見て、そこに書いてあるシステムを配って。
他のスタッフさんが組み上げてる間に、私は完成したブースに備品を入れる。
看板の設営は背の高い人が担当、私はその間にブースごとに届いた宅配便を配る作業。
他の会社の人たちもそれぞれ、ポスターを貼り付けたり大ホール外の受付の設営と大忙しです。
それでも、当初の予定時間であった五時間よりもかなり早く、作業は全て完了しました。
「ほいほい、全員集合して~」
大野さんがスタッフを集めましたので、私も急いでそちらに向かいます。
「それでは、本日の作業はこれで完了です。撤去作業は明日の夕方、17時からの開始ですので、担当スタッフは20分前までにこの会場の裏の搬入口に集まってください。それでは、本日はありがとうございました!!」
「「ありがとうございました!」」
全員が頭を下げ、これで作業は終わりです。
私にとって初めての設営。
何なかった広いホールが、今は彩られたパネルが立ち並ぶ会場に早変わりしました。
「……これが、私の仕事の結果……」
「そうね。まあ、今日の夜は筋肉痛で辛いと思うから、ゆっくりと休んだほうが良いわよ」
「はい。トミさんもおつかれさまでした!!」
「ええ、お疲れ様…また明日ね」
にこやかに手を振って、冨岡さんが自転車に乗って颯爽と帰っていきます。
かっこいい。
その姿に同性ながら見惚れてしまいそうです。
さて、あとは自宅に戻って……。
あれ?
私って、確かMC希望でアルバイトを始めたはずなのに?
どうして、設営業務にやり甲斐を見つけ始めているの?
あれ?
あれれ?
どうしてこうなったの?
──to be next event……
ついに今日は、初めての現場です。
会場は札幌市白石区にある大型商業施設【札幌コンベンションセンター】。
ここで行われる、大学生の就職活動支援イベント、通称【ナビコン】の設営業務でやって来ました。
ちなみに私の登録されているウィルプラス以外にも、いくつかのイベント設営会社のスタッフさんも集まっています。
そして待ち合わせの場所に向かいますと、右も左も男性ばかり。
「うわぁ、女性は私だけですか?」
思わず口ずさんでしまいましたら、社員の大野さんが私を見つけてくれたらしく、手招きをしています。
「御子柴さん、こっちに来てください」
「あ、はい」
いそいそと大野さんの元に向かいますと、私以外にもう一人の女性が。
うわ,この人すごく背が高い。
それに、体型もすらっとしててボーイッシュ。
つまり、格好いい女性ですよ。
「おーい、ウィルプラスのメンツは集まれ~。新人の紹介をするから」
「うい~っす」
大野さんの掛け声で、周りの人たちが集まって来ます。
「それじゃあ、彼女が今回入った新人の御子柴さん。色々と教えてあげてください。熊沢さんは彼女に近づかないように、接近禁止ね」
「なんでさぁ!!俺は常に女性には優しいよ?」
熊沢さんというおじさんが、バツが悪そうに頭を掻いています。
なるほど、思ったよりもアットホームな感じです。
「はいはい。ということなのでよろしくお願いします。御子柴さんも、何かわからないことがあったらいつでも声をかけてくださいね。あと、女性同士ということなので、彼女にもサポートをお願いしようかな?」
「了解。御子柴さん、私は冨岡です。気軽にトミさんってよんでもかまわないからね?」
「はい、トミさんよろしくお願いします。私と同じように補助作業ですか?」
「まさか? 私はシステム担当ですよ。この身長を見てわからないかな?」
あ、システムら高いところだと2.4mの場所もありますからね。
普通なら脚立を使ってビームを止める作業をしなくてはならないのですけれど、この身長なら手を伸ばせば届くのかぁ。
私は152センチだから、脚立がないと無理よね。
「なるほど」
「あとは、間配りとかはそっちの禿げたおじさんが詳しいから」
「誰がハゲじゃい!」
「はいはい、中島さんも彼女の補佐をお願いね」
「うい~」
愛嬌のある禿げたおじさん……中島さんというのですね。その方が、笑いながら手をあげています。
トミさんは他のスタッフの人も紹介してくれましたし、このバイトは良い人ばかりです。
対人関係で拗れたりしたらどうしようかと思っていましたけれど、なんとかなりそうです。
………
……
…
図面を見て、そこに書いてあるシステムを配って。
他のスタッフさんが組み上げてる間に、私は完成したブースに備品を入れる。
看板の設営は背の高い人が担当、私はその間にブースごとに届いた宅配便を配る作業。
他の会社の人たちもそれぞれ、ポスターを貼り付けたり大ホール外の受付の設営と大忙しです。
それでも、当初の予定時間であった五時間よりもかなり早く、作業は全て完了しました。
「ほいほい、全員集合して~」
大野さんがスタッフを集めましたので、私も急いでそちらに向かいます。
「それでは、本日の作業はこれで完了です。撤去作業は明日の夕方、17時からの開始ですので、担当スタッフは20分前までにこの会場の裏の搬入口に集まってください。それでは、本日はありがとうございました!!」
「「ありがとうございました!」」
全員が頭を下げ、これで作業は終わりです。
私にとって初めての設営。
何なかった広いホールが、今は彩られたパネルが立ち並ぶ会場に早変わりしました。
「……これが、私の仕事の結果……」
「そうね。まあ、今日の夜は筋肉痛で辛いと思うから、ゆっくりと休んだほうが良いわよ」
「はい。トミさんもおつかれさまでした!!」
「ええ、お疲れ様…また明日ね」
にこやかに手を振って、冨岡さんが自転車に乗って颯爽と帰っていきます。
かっこいい。
その姿に同性ながら見惚れてしまいそうです。
さて、あとは自宅に戻って……。
あれ?
私って、確かMC希望でアルバイトを始めたはずなのに?
どうして、設営業務にやり甲斐を見つけ始めているの?
あれ?
あれれ?
どうしてこうなったの?
──to be next event……
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