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自由貿易国家編
旅は道連れ、酔わなさげ?
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北方のマスカラス領へ向かうため、魔力回復に勤めた玄白。
王城からの『王都内クサヤ禁止令』を受けてしまい、素直に味噌汁とご飯を堪能しつつ、三日のちには魔力が全回復することができた。
そして4日目の朝には、旅支度を終えて診療所に鍵をかけ、待ち合わせの乗合馬車の停留場へと向かったまでは良かったのだが。
「……これはまた、随分とくたびれた馬車じゃなぁ」
玄白の目の前には、旅支度を終えたマクシミリアンとミハルの二人が待っているのだが、問題はその背後に止まっている馬車。
「定期便がまだ戻ってこないのですよ。本来なら、昨日の朝には出発することができたのですけど、ほら、例のクサヤの件で出発が一日ずれましたよね?」
「あ~。それは済まなんだ。して、その馬車は?」
「マクシミリアンが、古い馬車を修理して販売している業者から買ってきたのですよ。今は、これを引く馬の手配に向かっています」
次に定期便が戻ってくるまでは、まだ少し時間がかかるらしく、それを待っているのなら次の町まで先に進んでしまおうというのが、マクシミリアンとミハルの意見。
そのために、馬車と引き馬を手配して玄白の到着を待っていたらしい。
「お、スギタ先生も来たか。馬の手配も終わったから、あとは繋いで完了だな」
「ほうほう。こりゃまた、随分とやつれた馬じゃな……どれ」
老馬とまではいかないものの、かなり痩せ細った馬が2頭。
その一頭ごとに玄白は触れて解体新書を開くと、馬の容態を確認する。
「ほぉ、慢性疼痛か……まあ、体力も回復してもらいたいところじゃから、これかな?」
近くにあった、馬用の水桶を持って来て、その中に取り出したエリクシールを注ぎ込む。すると桶の中の水がうっすらと輝き始めた。
「ほれ、これを飲むと良い」
──コクコク
玄白が馬の鼻先に水桶を置いて話しかけると、彼女の言葉がわかったのか馬たちは頷いてから水を飲み始める。
すると、二頭の馬が淡く光出すと、先ほどまでとは違い健康な毛艶に戻っていく。細かった体も少し太くなり、全体的にがっしりとした感じに見え始めていた。
「はぁ。スギタ先生は馬の病気も治せるのかよ。本当に、なんでもありだなぁ」
「なんでも、ではないな。まあ、エリクシールの力で直ったようなものじゃからなぁ……では、これで先に進めるのじゃな」
「まあ、それでも予定より少し遅れるが、ようやく出発だな」
「うむ。これで旅に出ることができるので、わしは堂々とクサヤを食べることができるぞ」
「うげぇ……風下でお願いする」
マクシミリアンが馬を馬車に繋ぎ始めるので、玄白もそれを手伝う。
幸いなことに玄白の体である御神体は闘気の制御についても人外の能力を発揮するため、マクシミリアン以上の力を出すことができた。
その結果、1時間もかからないうちに二頭を馬車に接続し、全ての出発準備を終えることができたのである。
そして無事にパルフェランの正門から北へ向かう街道を進み、再び北方の地へと向かうことになった。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
玄白がパルフェランから北へ向かって10日ほど。
道中は宿場町を利用しつつ、野宿をしないように日程を調整して進んできたのだが、宿場町オーイソに到着したとき、状況が一変した。
「……凄い人だかりじゃな」
「ええ。こんなに大勢の人や馬車があるっていうことは、何かあったのかもしれませんね」
「ちょっと調べてくるね」
素早く馬車から飛び降りたミハルが、隊列をなして停車している馬車の先頭に向かって走っていく。
その後も一台、また一台と馬車が後ろに並び、玄白たちの馬車は行くにも引くにもできない状況になってしまう。
「やれやれ。全く動かんぞ、参勤交代でも起こっておるのか?」
「サンキン? なんだそりゃ?」
「こっちの話じゃよ……と、ミハル殿が戻って来たぞ」
小脇に荷物を抱えたミハルが走ってくるのを見て、玄白はようやく状況を確認できるとホッとしている。
そしてミハルもまた、抱えていたパンやらハムやらの入った袋をマクシミリアンに手渡してから馬車に飛び乗ると、開口一番。
「大渓谷の吊り橋が落ちたんだって。ここの吊り橋の管理はマフトミン公国だから、向こうの国が復旧してくれるまではここから先には行けないらしいよ。前の方の馬車は、復旧後にすぐに走らせられるように並んでいて、見張りがついているだけだったし」
「つまり、商人やら旅人やら冒険者は、この宿場町の宿に泊まったっていうことか……どうしますか? ここの吊り橋が使えないとなりますと、戻って日を改めるか、もしくは馬車を置いてこの森を西に抜けて、直接マスカラス領へと向かうか。しっかし、あの領地は面倒臭い場所にあるんだよなぁ」
「そうなのか?」
マクシミリアン曰く、マスカラス領へ向かうには、一旦、大渓谷を抜けてマフトミン公国に入り、渓谷に沿って西へ向かい、そこから渓谷の下へと続くゆるい坂道を降りなくてはならない。
元々はマフトミン公国領であった場所なのだが、公国の第二皇女とパルフェノンの貴族の婚姻の際、マスカラス領が譲渡されたのである。
通行に不便で何もない、治安もそれほど良くないマスカラス領であるが、ヤル・マスカラス子爵の領地となってからは治安の安定、渓谷奥から流れる温暖な河川、そこにあった温泉などが次々と発見され、一大保養地となったのである。
「ということで、ここから吊り橋を越え、その先の街道を東に向かわないとならないんだが」
「こっち側、渓谷の向こうへ向かずに東に向かうことは?」
「森が深すぎて、開拓が追いついていない。それに、ここの西の森は途中からヘスティア森林王国の領土になる。エルフや亜人、幻獣族の国なので、パルフェノンもマフトミン公国も手を出さないんだが」
「ヘスティア王国はエルフをはじめ、かなり大勢の高位神官や魔導士がいるのですよ。その人たちに頼んで、魔法で渓谷の下まで下ろしてもらうしかないのですよ」
ふぅんと、玄白は腕を組んだままうなずく。
そして渓谷の西側を見るのだが、果てしなく続く大渓谷はやがて巨大な山脈に吸い込まれていく。
そこまでいたる道もなく、深い森が広がっていた。
「西の森を越えるのは?」
「余計無理。あの山の向こうが魔族の国、バルバロッサ帝国で、その手前がストライダー森林。野生の飛竜が生息していて、魔族が使役してドラゴンライダーとして使っているらしい。つまり、この森の西は魔族領みたいなものだから、踏み込む奴はいない。そもそも、渓谷を下る道もないんだ」
「そうなると、吊り橋の修復を待つか、渓谷手前の東の森を進むか。その二択しかないのか」
かといって、一旦戻っても、これ以外の道がないのも事実。
街道整備については、江戸時代よりもこの世界の方が遅れているものだなと、玄白は苦笑するしかない。
「取り敢えず、数日はここに待機して、様子を調べるしかあるまいな。そののち、吊り橋の復旧を待つか、無理矢理にでも東の森を抜けるか、どちらかを選択するしかないのう」
「それじゃあ、宿を取ってくるから待っていてね」
「スギタ先生、この馬車ってアイテムボックスに仕舞えるか?」
三人旅なので、馬車に一人残すというのも可哀想である。
それならば、馬車をしまってから馬を引いて、宿に向かったほうがいいとマクシミリアンは判断した。
「それはやぶさかでないが。それならば、わしらや馬を魔法で向こうへ運んでくれる人を探すというのもありじゃな?」
「飛行魔法が……そういうものもあるっていうのは、伝説や文献では見たことがあるんだがなぁ。身内でそれを使える奴は知らないし、そもそも、そういうのは高くつくと思うんだがなぁ」
やはり楽な方法はないのかと、玄白は落胆する。
そしてミハルが宿を確保して帰ってくると、馬車をしまって宿へと向かうことにした。
王城からの『王都内クサヤ禁止令』を受けてしまい、素直に味噌汁とご飯を堪能しつつ、三日のちには魔力が全回復することができた。
そして4日目の朝には、旅支度を終えて診療所に鍵をかけ、待ち合わせの乗合馬車の停留場へと向かったまでは良かったのだが。
「……これはまた、随分とくたびれた馬車じゃなぁ」
玄白の目の前には、旅支度を終えたマクシミリアンとミハルの二人が待っているのだが、問題はその背後に止まっている馬車。
「定期便がまだ戻ってこないのですよ。本来なら、昨日の朝には出発することができたのですけど、ほら、例のクサヤの件で出発が一日ずれましたよね?」
「あ~。それは済まなんだ。して、その馬車は?」
「マクシミリアンが、古い馬車を修理して販売している業者から買ってきたのですよ。今は、これを引く馬の手配に向かっています」
次に定期便が戻ってくるまでは、まだ少し時間がかかるらしく、それを待っているのなら次の町まで先に進んでしまおうというのが、マクシミリアンとミハルの意見。
そのために、馬車と引き馬を手配して玄白の到着を待っていたらしい。
「お、スギタ先生も来たか。馬の手配も終わったから、あとは繋いで完了だな」
「ほうほう。こりゃまた、随分とやつれた馬じゃな……どれ」
老馬とまではいかないものの、かなり痩せ細った馬が2頭。
その一頭ごとに玄白は触れて解体新書を開くと、馬の容態を確認する。
「ほぉ、慢性疼痛か……まあ、体力も回復してもらいたいところじゃから、これかな?」
近くにあった、馬用の水桶を持って来て、その中に取り出したエリクシールを注ぎ込む。すると桶の中の水がうっすらと輝き始めた。
「ほれ、これを飲むと良い」
──コクコク
玄白が馬の鼻先に水桶を置いて話しかけると、彼女の言葉がわかったのか馬たちは頷いてから水を飲み始める。
すると、二頭の馬が淡く光出すと、先ほどまでとは違い健康な毛艶に戻っていく。細かった体も少し太くなり、全体的にがっしりとした感じに見え始めていた。
「はぁ。スギタ先生は馬の病気も治せるのかよ。本当に、なんでもありだなぁ」
「なんでも、ではないな。まあ、エリクシールの力で直ったようなものじゃからなぁ……では、これで先に進めるのじゃな」
「まあ、それでも予定より少し遅れるが、ようやく出発だな」
「うむ。これで旅に出ることができるので、わしは堂々とクサヤを食べることができるぞ」
「うげぇ……風下でお願いする」
マクシミリアンが馬を馬車に繋ぎ始めるので、玄白もそれを手伝う。
幸いなことに玄白の体である御神体は闘気の制御についても人外の能力を発揮するため、マクシミリアン以上の力を出すことができた。
その結果、1時間もかからないうちに二頭を馬車に接続し、全ての出発準備を終えることができたのである。
そして無事にパルフェランの正門から北へ向かう街道を進み、再び北方の地へと向かうことになった。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
玄白がパルフェランから北へ向かって10日ほど。
道中は宿場町を利用しつつ、野宿をしないように日程を調整して進んできたのだが、宿場町オーイソに到着したとき、状況が一変した。
「……凄い人だかりじゃな」
「ええ。こんなに大勢の人や馬車があるっていうことは、何かあったのかもしれませんね」
「ちょっと調べてくるね」
素早く馬車から飛び降りたミハルが、隊列をなして停車している馬車の先頭に向かって走っていく。
その後も一台、また一台と馬車が後ろに並び、玄白たちの馬車は行くにも引くにもできない状況になってしまう。
「やれやれ。全く動かんぞ、参勤交代でも起こっておるのか?」
「サンキン? なんだそりゃ?」
「こっちの話じゃよ……と、ミハル殿が戻って来たぞ」
小脇に荷物を抱えたミハルが走ってくるのを見て、玄白はようやく状況を確認できるとホッとしている。
そしてミハルもまた、抱えていたパンやらハムやらの入った袋をマクシミリアンに手渡してから馬車に飛び乗ると、開口一番。
「大渓谷の吊り橋が落ちたんだって。ここの吊り橋の管理はマフトミン公国だから、向こうの国が復旧してくれるまではここから先には行けないらしいよ。前の方の馬車は、復旧後にすぐに走らせられるように並んでいて、見張りがついているだけだったし」
「つまり、商人やら旅人やら冒険者は、この宿場町の宿に泊まったっていうことか……どうしますか? ここの吊り橋が使えないとなりますと、戻って日を改めるか、もしくは馬車を置いてこの森を西に抜けて、直接マスカラス領へと向かうか。しっかし、あの領地は面倒臭い場所にあるんだよなぁ」
「そうなのか?」
マクシミリアン曰く、マスカラス領へ向かうには、一旦、大渓谷を抜けてマフトミン公国に入り、渓谷に沿って西へ向かい、そこから渓谷の下へと続くゆるい坂道を降りなくてはならない。
元々はマフトミン公国領であった場所なのだが、公国の第二皇女とパルフェノンの貴族の婚姻の際、マスカラス領が譲渡されたのである。
通行に不便で何もない、治安もそれほど良くないマスカラス領であるが、ヤル・マスカラス子爵の領地となってからは治安の安定、渓谷奥から流れる温暖な河川、そこにあった温泉などが次々と発見され、一大保養地となったのである。
「ということで、ここから吊り橋を越え、その先の街道を東に向かわないとならないんだが」
「こっち側、渓谷の向こうへ向かずに東に向かうことは?」
「森が深すぎて、開拓が追いついていない。それに、ここの西の森は途中からヘスティア森林王国の領土になる。エルフや亜人、幻獣族の国なので、パルフェノンもマフトミン公国も手を出さないんだが」
「ヘスティア王国はエルフをはじめ、かなり大勢の高位神官や魔導士がいるのですよ。その人たちに頼んで、魔法で渓谷の下まで下ろしてもらうしかないのですよ」
ふぅんと、玄白は腕を組んだままうなずく。
そして渓谷の西側を見るのだが、果てしなく続く大渓谷はやがて巨大な山脈に吸い込まれていく。
そこまでいたる道もなく、深い森が広がっていた。
「西の森を越えるのは?」
「余計無理。あの山の向こうが魔族の国、バルバロッサ帝国で、その手前がストライダー森林。野生の飛竜が生息していて、魔族が使役してドラゴンライダーとして使っているらしい。つまり、この森の西は魔族領みたいなものだから、踏み込む奴はいない。そもそも、渓谷を下る道もないんだ」
「そうなると、吊り橋の修復を待つか、渓谷手前の東の森を進むか。その二択しかないのか」
かといって、一旦戻っても、これ以外の道がないのも事実。
街道整備については、江戸時代よりもこの世界の方が遅れているものだなと、玄白は苦笑するしかない。
「取り敢えず、数日はここに待機して、様子を調べるしかあるまいな。そののち、吊り橋の復旧を待つか、無理矢理にでも東の森を抜けるか、どちらかを選択するしかないのう」
「それじゃあ、宿を取ってくるから待っていてね」
「スギタ先生、この馬車ってアイテムボックスに仕舞えるか?」
三人旅なので、馬車に一人残すというのも可哀想である。
それならば、馬車をしまってから馬を引いて、宿に向かったほうがいいとマクシミリアンは判断した。
「それはやぶさかでないが。それならば、わしらや馬を魔法で向こうへ運んでくれる人を探すというのもありじゃな?」
「飛行魔法が……そういうものもあるっていうのは、伝説や文献では見たことがあるんだがなぁ。身内でそれを使える奴は知らないし、そもそも、そういうのは高くつくと思うんだがなぁ」
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